医療マーケティングの片隅から

医療ライター・医療系定性調査インタビューアーとして活動しています。独立30年を機に改題しました。

イソフラボンの受難

2006年01月29日 | 医療・健康

大豆イソフラボン。
植物性女性ホルモン擬似作用があるということで、
更年期向けのサプリメントとしてもたくさん出回っている。
骨そしょう症を予防し、悪玉コレステロールを下げる効果が証明されていた。

効果があるだけに、取りすぎると弊害もある。

イソフラボンは、化学構造が女性ホルモンのエストロゲンと似ているため、加齢によるエストロゲンの分泌
量減少で進む骨粗しょう症などの予防に効果があるとされる一方、過剰摂取すると逆に発がんの危険性を高めるとの研究結果もある。 (共同通信) - 12月12日

これは特定の成分だけが人工的に抽出されたいわゆる「サプリメント」の話だ。
大豆そのものであればいいのだが、
厚生労働省の食品安全委員会は「サプリメントとしてとる場合は1日30mg」の上限を設けようとしている。

サプリメントに詳しい産婦人科医は、「これでは少なすぎる」と言っていた。
更年期症状のひとつであるホットフラッシュを改善するにはサプリメントで1日150㎎必要だというのだ。
でも、これはあくまでも「改善」のために飲む人の場合。
いわば、食品をクスリとしてつかおう、という人だ。

この医師の話では、女性の患者さんがまちがって1日300㎎の大豆イソフラボンのサプリメントを2ヶ月間飲み続けたところ、なんと生理が止まったという。
つまり、大量に摂取した大豆イソフラボンが、ピル作用を発揮したわけだ。

上限の5倍ものめば、食品といえども何らかの作用はあってもおかしくない。
江戸時代にも「薬食い」という言葉という言葉があった。

「食品ですのでいくら摂っても安全です」
よく聞くこのフレーズ、大キライ。
それは、明らかに違うと思う。
これが本当なら、「いくら摂っても効果はない」と言っているに等しいじゃありませんか。

健康な人が、美容やアンチエイジングのためにイソフラボンを取ろうと思うなら、
取りすぎを避けるため、納豆や豆腐、豆類で摂るのがベストだと私は思う。
サプリメントとしては、厚生労働省のお墨付きにしたがって30㎎にとどめておくのが妥当だろう。

さてさて。
イソフラボンの受難は続く。
今日、大豆には悪玉コレステロール(LDL)改善効果はない、という報道があった。

心臓病予防「大豆に効果なし」 米の民間団体が研究結果 (朝日新聞) - goo ニュース

AHAは心臓病分野では世界的に権威のある団体だ。
心臓病予防やコレステロール低下を期待して飲んでいた人たちにはかなりショックかも

何らかの「改善」を期待するのでなければ、
大豆が十分にヘルシーな食品であることには何ら変わりはない。
「身土不二」=人の命と健康はその土と共にある
ってことばもある。
日本の伝統食である大豆。
クスリ食いせずに、おいしくつきあっていきたい。

というわけで、我が家は今夜も鍋です。
肉は争って食べるのであっという間になくなり、葉物は高いので、豆腐ばかり
自分を「家族」、いや「主人」と認識しているらしい我が家の愛猫も、このとおり、ちゃんと着席(笑)

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Yoshi)
2006-01-28 20:34:24
「食品なら摂りすぎOK」の否定、同感です。近頃は、ある一面だけを強調しすぎる健康情報が氾濫してるので、先人からの格言(?)を見直すのもマルですね。。

ところで、今回は写真なしですか~???

文章はモチロンですが、写真も楽しみにしてますよ! 
返信する
ご期待にお応えして (nakaho)
2006-01-29 01:18:34
yoshiさま、こんばんわ。

ハイ、写真を入れました。

ネコの目が光ってしまいましたが、おゆるしを(笑)



近々また地方のうまいものの写真でも入れますのでまたお越し下さい
返信する
はじめまして (かつみき)
2006-02-01 12:12:23
とても参考になりました。サプリを飲むより食生活を充実したいと思うのですが、ついつい楽なほうにいってしまいがちです。また、見にきますね。
返信する
ありがとうございます。 (nakaho)
2006-02-01 17:39:02
かつみきさん、はじめまして。

嬉しいコメント、ありがとうございます。

かつみきさんのブログも拝見しました。健康食品にはかなりお詳しそうですね。



念のため、私はサプリメント全面否定論者ではありません。私自身、実際使っているものもありますし。

ただ、「摂りすぎ」やメーカー・販売店の「摂らせすぎ」には要注意、とお知らせしたいと常々思っています。

またお立ち寄りくださいね。

返信する
有難うございました。 (オヤジ)
2006-07-12 11:30:30
沖縄ではお世話になりました。オヤジです。

サプリメントに頼り過ぎる事については、親父も問題ありと考えます。しかし、イソフラボンの場合、サプリメントは、1日30mgが上限であり、大豆食品からはいくら摂取しても、OKという事には疑問を感じます。本来は、体内での吸収効率を考慮に入れ考えるべきであると思いますが、イソフラボンの場合、豆腐や豆乳も非常に吸収効率が良いと考えられる事や、、豆腐半丁で約50mgのイソフラボンが含まれているということを考えるとどうかなと思います。

また、この規制成立時にお役所が、数多くの欧米のイソフラボンの安全性臨床試験の結果を無視した事もあります。

本来の順番は、バランスが取れた食生活を健康の基本とする、しかし、それが中々出来ないから、サプリメントで補う、しかし、そのサプリメントに適切な使用方法(呑むタイミングや、使用量)を明示できないというこの国の法律に問題ありと考えます。

もちろん、儲け主義の劣悪、サプリメントメーカーは問題外です。

これからもよろしくお願いします。

返信する
コメントありがとうございます (nakaho)
2006-07-12 11:53:28
親父さん、初書き込みありがとうございます。

こちらこそ沖縄ではお世話になりました。

来年は後をついていきますので、よろしくお願いします



さて、メーカーの方のご意見、勉強になりました。

もし、厚労省の国民健康・栄養調査等で豆腐・豆乳の過剰摂取が明らかであれば、それはヘルスプロモーションの一環としてかつての減塩運動のように是正していくべき、と思います。もちろん、一般の食品であっても、「薬食い」すべきでないことは言うまでもありません。

>しかし、そのサプリメントに適切な使用方法(呑むタイミングや、使用量)を明示できないというこの国の法律に問題あり

全く同感です。30mgと決めても「を目安として」としかパッケージには書けないわけで、これでは筋が通りませんね。

貴重なご意見ありがとうございました。
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