医療ライターのいもづる話 by 中保裕子

マーケティングプランナーから医療ライターへ。地域医療、地域包括ケアシステムの存続にはマーケティングも必要です。

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アンジェリーナ・ジョリーさんの卵巣切除について

2015-03-27 01:23:04 | 「がん」について

アンジェリーナ・ジョリーさんの予防的卵巣卵管切除術について、テレビで批判的なコメントも聞かれたようです(実際は見ていないのですが、「私なら卵巣がんの兆候が出るまでほっとく」といったコメントだったらしい)。

そこ、かなり誤解があると思うんですが、まず、「卵巣がん検診がなぜ無いか」をご存じでしょうか。
それは、検診で見つけられるがんじゃないからです。
いきおい、卵巣がんになった方の半分程度がステージⅢ以上で見つかっています。
つまり、早期発見は非常に難しいがんなのです。早期のうちに「兆候」なんて、出ないのです。

特にアンジェリーナさんのようなBRCA遺伝子変異陽性の人(つまり「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」の人)の場合、「漿液性腺がん」というみつかりにくいタイプの卵巣がんが多いので、国際的な診療ガイドラインでも「妊娠の希望がなければ、出産が完了した時点でのリスク低減手術(=卵巣卵管切除)を考慮する」とされています。詳しいことを知りたい方は、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の専門学会、HBOCコンソーシアムの一般向け情報のページをごらんください。

もうひとつ、「乳房も切除したのに、今度は卵巣まで?どこまで切除したら気がすむの?」なんて思った方もいるかもしれません。

「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」という病名からもおわかりの通り、BRCA1/2遺伝子は、乳がんと卵巣がん、双方の責任遺伝子なので、この2つはセットなのです。この病気で乳がんにかかった人は、卵巣がんのリスクも高く、逆に卵巣卵管を切除すると乳がんのリスクも減ります。まあ、アンジェリーナさんの場合はすでに乳房を切除しているので、乳がんリスクについてはどうでもよかったはずですが。。

いずれにしても、アンジェリーナさんの選択は、日本ではまだあまり行われていないだけの話で、国際的にはエキセントリックでも何でもなく、診療ガイドラインに載っているまっとうな治療です。本人の意思で決めればよいことであり、他人に批判されることではありません。

テレビの影響は大きいです。この番組には卵巣がんの専門医は出演していたのでしょうか。
こうしたことをわかっていないコメンテーターが乏しい知識だけで発言するべきことではないと思います。

 

 

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「断られ方」上手になろう

2015-03-25 23:52:53 | 仕事

ありがたいことに私のブログや会社のホームページを見てくださった方からいろいろな仕事のお話をいただきます。いまおつきあいさせていただいているクライアントさんもwebからのお問い合わせが皮切りの方も少なくありません。時には逆に私の方からお仕事をお願いするような関係もできたり。Webのおかげで新しいつながりができています。

ただ、時間的に限りがあるのでどうしてもいただいたお仕事すべてをお受けすることは出来ないんですね。せっかく声をかけていただいたのに申し訳ないんですが、お断りしなければいけないケースもあります。その場合は、自分なりに決めている「お断りの仕方ルール」があります。
といってもたいしたものではなく、メールでは①まず声をかけてくれたことへの感謝を述べる。②その後、お断りしなければならない理由を書いてお送りする、というものです。謝辞という語は「感謝」と「陳謝」、両方の意味があるので、両方セットにするのは断る側の最低のマナーだと思っています。

ところが最近、それに対するレスポンスはほとんどありません。「了解しました。またよろしくお願いします」の一言くらいでもあればよいのですが、9割以上はそのままシカトですね。そういう人に限って、依頼のメールはやけに熱烈だったりして(笑)、こちらとしては、「数撃ちゃ当たる」形式で大勢に一斉メール出したのだろうなぁ、と想像してしまうわけです。

もちろん逆の立場で、取材を申し込んだ相手からお断りのお返事をいただくこともあります。まぁそんなに多くはないですが。その時私は決してレスポンスなしということはしません。検討してくださったことに対してお礼を述べます。また今後、どういうことでその方とのつながりが必要な機会が訪れるかもわからないですしね。「断られ方」をきちんとしておけば、もしかしたら次の機会には、「前回は断ってしまったから」と好意的に思ってもらえるかもしれません(姑息な期待・・)。レスポンスなしというのはただ相手に悪印象を残すだけだと思うのですが。

 

 

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「病の皇帝『がん』に挑む」

2015-03-18 12:31:30 | レビュー

 

がん研究の歴史書。わたしのような素人にもとても面白く読めました。

本の内容は、Amazonからの引用によれば、「地球全体で、年間700万以上の人命を奪うがん。紀元前の昔から現代まで、人間を苦しめてきた「病の皇帝」の真の姿を、患者、医師の苦闘の歴史をとおして迫真の筆致で明らかにし、ピュリッツァー賞、ガーディアン賞を受賞した傑作ノンフィクション」なのです。
わたしは、小説よりもノンフィクションが好き。小説もリアルに取材がされたものを再構成したようなのが好きなのですが、この本の「事実」の集積には圧倒されます。 

著者、シッダールタ・ムカジー Siddhartha Mukherjee 氏はコロンビア大学の現役の腫瘍内科医です。
1947年からのがん治療の歴史がほぼ薬物療法中心に描かれているのは、腫瘍内科医という視点からかもしれませんが、それにしてもこの50年の腫瘍内科の発展にはめざましいものがあったと思います。最初はマスタードガスの成分を使ったまさに「毒をもって毒を制す」的な治療だったのです。思わず「いまの時代に生まれてよかった~」と思ってしまいました。

実在のさまざまな人物のなかで、主役と言えるのは、がん化学療法を確立した米国の医師、シドニー・ファーバーと、米国の世論、ひいては政府を動かしてがん研究を推し進めたメアリー・ラスカーというロビイスト。前者は、現在米国でも最も有名ながん専門病院のひとつ、ダナ・ファーバー癌研究所の創設者ですね。 

でも、個人的にはさらに印象的だったのはダナ・ファーバー研究所で1993年、慢性骨髄性白血病の治療薬グリベックの有用性に最初に気づき、製品化を推し進めたブライアン・ドラッカーという医師でした。
自社の研究員がキナーゼ阻害剤を発見したのにもかかわらず、動物実験、臨床試験に1~2億ドルの費用を投じることに「尻込み」していたノバルティス社に、しつこくもあきらめずに繰り返し「薬の開発を中止しないでほしい」と説得し続けたのです。これってふつうは逆ですが、ドラッカー医師は「(ノバルティス側で)薬の臨床試験をするか、さもなければ、私が(個人で)行うのを許可してくれ。さあ、どちらにするか決めるんだ」と迫り、最悪、ノバルティスに創薬するつもりがないなら、ドラッカー医師が「地下の研究室でつくるはめになるかもしれないと考えていた」そうです。

グリベックのおかげで慢性骨髄性白血病は9割近くが治癒するようになり、この薬が分子標的薬の草分けとなりました。
最近、ノバルティス社がグリベックの副作用報告に虚偽があるとか、いろいろ問題点は指摘されていますが、白血病治療において大きな貢献をした薬であることはたしかです。

 
ちなみに上巻を読み終えたのが、2013年の12月。で、下巻読了は昨日(2015年3月)。
電子書籍で読んでいたのですが、途中で前のKindleをお風呂で沈没させてしまったりして、その後、2度目の購入。そんなわけで、えらく長い旅路を終えたような気がしています。
「いくらなんでも遅すぎるだろ」という批判は甘受しますが(笑)、上下巻合わせて800ページを超える大著を出張先などに持ち歩いて読むのはとても無理だったので、電子書籍の恩恵を感じた次第。
今日の日経朝刊によれば、まだ74%の人が電子書籍未経験だそうですが、文字の大きさも変えられるので、高齢の方にもお勧めですよ。
 
 

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