ちょっと時間がたってしまったが、以前聞きに行った東京大学「メディカルキューブ」のシンポジウムで紹介されたガン治療方法の研究はたいへん興味深いものだった。
それは、「ウイルス療法」というもの。
意外に思われるかもしれないが、そもそもガンはウイルスに弱い。
はしかによってガン細胞が死滅することなどは、すでに1971年のランセットにも掲載されているそうだ。チベット医学では同様の方法で、感染症にかからせてガンを治療すると聞いたことがあるので、新しいようでじつは古い治療法なのかもしれない。
東大ではHSV-1ウイルス、つまり単純ヘルペスウィルスがガン治療に使えることを見出した。
HSV-1は7割の人が抗体をもっているほどの普及?しているメジャーなウイルスで、治療法も確立しているため、それ自体はこわいものではない。東大では、このウイルスに遺伝子操作を行ない、独自の新世代ヘルペスウィルスを開発したそうだ。IL -12武装ヘルペスといって、体内でインターロイキン12というサイトカインを発現させる=免疫機能を高めるヘルペスウイルスも開発した。
ウイルスの遺伝子を操作してガン細胞だけを殺すことができる機能をもたせる、というのがこの研究のコンセプトらしい。ウイルスはウイルスどうしで勝手に戦ってくれればいい。地球にやってきたキングギドラに対し、へたに地球防衛軍なんかがちまちま戦いを挑むより、ゴジラに戦わせておけばよいのだ・・・という理論なのだろうと思う(勝手な理解)。
現在手術以外のガン治療には、「化学療法(抗ガン剤)」「放射線照射」があるが、いずれも“毒をもって毒を制す”だ(発表された藤堂具紀先生自身がそう発言されていたのが印象的だった)。だれも喜んで受ける人はいない。このウイルス療法は、まだまだ未知の部分はあるとはいえ、少なくとも2大療法よりも安全で、しかも有効性が高いとのことで、確立すれば大きな進歩だと思う。いまのところ安全性は高く、あらゆる固形ガンへの効果が期待されている由。すでに研究は臨床応用の段階に入っており、今年、まず脳腫瘍の患者さんから治験が始まる。
全然関係ないが、日本の媒体別広告費は①テレビ ②新聞 ③雑誌 の順だったのが、昨年インターネットが雑誌を抜き、第3の広告媒体となった。数年前に、インターネットがこれほどの大きいメディアになると誰が予測しただろうか。この第3の治療法ももしかすると大きく発展しそうな予感がするのだが。
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