医療マーケティングの片隅から

医療ライター・医療系定性調査インタビューアーとして活動しています。独立30年を機に改題しました。

せっかく甑島に行ったので。

2004年11月27日 | 旅★日記
朝、宿の近くを散歩してみた。
取材が終わり、午前の船で島を離れる日。船が出るまでにはまだ小一時間あった。

村役場の近くに石碑がある。
「おふくろさんの碑」という。
甑島は森進一の実の「おふくろさん」の出身地だそうで、りっぱな石碑が建っているのだ。
碑からはご当人の顔も姿も全くわからないが、とりあえず主役は「歌」らしい。

石碑の前に足型があった。
何だろう、とうっかり立ったのがまずかった。
突然、「おふくろさん」のイントロが響き渡り始めた。まもなく森進一がうなり始めた。結構な大音響・・・。
よく見るとたて看板があり、ご丁寧に「3番までごゆっくりお聴きください」と書いてあった。
3番まで聴かないと帰れないらしい。大音響の責任をとる気持ちで、仕方なく最後まで聴いた。

海岸に歩いていくと、「みなれない人・船に注意」の看板があった。
静かな島は、密入国のゲートになることがある。離島の宿命だろう。
「みなれない人」の私は、突然すれ違う人にやたら愛想良くなり、同行の写真家S氏に「却ってアヤシイ!」と言われた。

今回のは、医療ネタでも、健康ネタでもありませんねぇ。

Dr.コトーの真実 その2

2004年11月24日 | 医療・健康
さてさて、ホンモノのコトーはどこが違うか、というお話。
ホンモノと吉岡クンのタイプがかなり違うということは前回書きました。

で、ホンモノは自転車は使わない。往診は車。
あんな起伏の激しい崖だらけの島で自転車は使えない。
(でも、自転車の方が雰囲気あるよね。ドラマ的には。)

「しんきろうの丘」は、診療所から車で山道を行くこと20分ほど。
甑島は結構広い。
石碑によれば、ここから見える蜃気楼は、どうやら台湾の都市の灯りだったようだとか。

診療所は、海を見下ろす高台に建っている。
日当たりのいい2階建ての診療所。でも、「え、こんなところに」と思うような立派な手術室がある。
普段は使わない手術室だが、いつでも臨戦態勢に入れるよう、壁も器具もぴかぴかだった。
都内の小さい病院にある見てくればかりの手術室みたいな、メスをいれたとたんに病原菌が寄って来そうな手術室とはわけが違う。(あるんだよホントに。)
急患を運ぶのも、今は船ではなく、本土からヘリコプターが飛んでくる。

コトー先生は毎日ネットで本土の医師たちと連絡をとっている。
難しい症例について相談したり、逆に指導したりするためで、色々な領域の専門医がメーリングリストに参加している。
コトーが手書きの紹介状を書いているのは、あの当時の話。
離島でも、ちゃんと情報化は進んでる。
いや、離島医療だからこそ、インターネットは必需品。
医療の情報化が都市よりへき地で進んでいるのは必需品だからだろう。

ちなみに今、一番医療のITが進んでいるのは香川県ですね。
その取材も面白かったのだが、また、いずれ・・・。

Dr.コトーの真実 その1

2004年11月20日 | 医療・健康
先週、特番で「Dr.コトー診療所」をやっていた。
皆さん、見ましたか?

あの「コトー」先生には実在のモデルがいて、今年62歳。今も離島で診療している。
ロケ地の島とは違い、ホンモノは鹿児島の甑島にいる。
今年5月にその島に行き、「本物」瀬戸上健二郎先生に会い、2日間取材させてもらった。

鹿児島の串木野港からフェリーで3時間、高速艇だと1時間半。
船に弱い私は迷わず船底にまっしぐら、ただちに爆睡体勢に入ったのだが、島の方々は皆さんバス同然に席についていて、あんなに揺れる船で平然としてる。

港を見下ろす高台の診療所にいる瀬戸上先生は、丸顔で日焼けしていて、恰幅がよくて、ニコニコしながらお腹を突き出すようにしてゆっくりゆっくり歩く。吉岡クンとはだいぶタイプが違う。

でも、ひとたび処置室に入ると、途端に厳しい顔になる。
この人はこういう顔をして、こんな島の診療所で難易度の高い手術を何例もひとりでやってきたのだ、と思うと身の引き締まる思いがした。

ドラマが始まって以来、次々と研修希望の若い医師や医学生がくる。
ドラマを見て、離島医療に憧れて。医者も意外にミーハーだったりする。
「勉強は大学ですればいい。ここでは何かを感じてくれれば」と瀬戸上先生は言っていた。
仕事柄、医者に会う機会は多いが、教育者としても、技術者としての医師としても、コトー先生は忘れえぬ大人物だったな。

次回は、ドラマとホンモノは実際どこが違うか、ツッコミを入れてみましょう。

取材にならんぞ。

2004年11月17日 | 仕事
沖縄での仕事。
嘉手納基地のすぐ近くの工場で説明を聞く。

「ここはですね、原料の」と、突然バリバリバリ!の轟音。
何よ大事なとこで!と空を見上げると米軍の戦闘機。「今のはファントムです」と工場の方。

ここはハーブガーデンで、国内外のハーブをバリバリバリ!。
冬でも暖かい沖縄では温度管理がバリバリバリ!
これからバスにのってバリバリバリ!
えっいつもこうなんですか?これじゃあ仕事にバリバリバリ!

…30分間に4回、ですよ。
前に立川で聞いた騒音とは比べ物にならない。イラク開始前からこんなものだそうだ。
米軍基地が近くにあるというのはこういう事なんだね。
沖縄が健康日本一の座を降りたのも、コヤツのせいかもしれない。
あー、血圧が上がる。
ファントムはオペラ座に帰れ!(怒)

海外旅行のおみやげに!

2004年11月11日 | 医療・健康
海外、特にこれからヨーロッパに行くなら、是非タバコをチェックしたい。
私は吸わないけど、欲しい。
目当ては中身ではなく、パッケージだ。

EU圏内のタバコのパッケージはまもなく恐怖の写真集となる。
EUの委員会が42種類の写真を選び、各メーカーはその中からどれかを自由に選んでパッケージに載せなくてはならない。
その42種類の写真ときたら・・・・。
顔に白布がかかった死体、ガンに蝕まれた臓器、手術中の開腹写真、壊疽を起こした足など、おどろおどろしいのなんの。

この中から選択を迫られるメーカーも苦慮するに違いない。「自由に選んで」と言われたって、あんた・・・。
パッケージ制作の現場では、日夜こんな会議が展開されるのだ。
「パッケージはこれまでガンの臓器だったから、今度は壊疽でイメージを一新したいな」「いやトレンド的には何たってEDでしょー」「いや、ナウなヤングにはやっぱ、死体じゃない?」(んなわけないか)。

言うまでもなく、これは禁煙促進キャンペーンの一環だ。
ショッキングな写真を使ったタバコはすでにカナダ、タイ、ブラジル、シンガポールで販売されており、カナダではそれなりの成果を挙げているのだそうだ。
これからEU圏内に旅行する人、お土産はこれで決まり!友達にあげれば、クラスの人気者だ!
海外旅行の予定がない方は↓へどうぞ。
http://europa.eu.int/comm/mediatheque/photo/select/tabac_en.htm

かまいすぎかも?お母さん。

2004年11月05日 | 医療・健康
先週、アトピー性皮膚炎に関する講演を聴きに行った。
質疑応答タイムでのこと。「子供のことで」と手を挙げた2人のお母さんがいた。

「うちの娘は20歳でアトピーになり、今30歳なんですが・・・」
「子供に先生の外来を受けさせたいのですが、学生(大学生と思われる)なので、平日は無理なんです・・・」

どんな「子供」かと思いきや、大学生??30歳??・・ぜんぜん「子供」じゃないじゃん。
その年齢になって、本当に困っているのなら、自分自身で情報を集めるのが筋ってものだ。
よほど「子供」が自立していないか、母親が「過干渉」なのか・・・。

以前皮膚科系の学会で聞いた某医大教授の講演を思い出した。
それは「アトピー性皮膚炎は心因性」というものだった。
ストレスの原因は母親の過干渉、あるいは全く逆の無関心、だそうだ。
診察室に来る子供たちは、小学校低学年ならともかく、中学生であっても自分では何一つ医師の質問に答えない。医師は子供自身に尋ねているのに、いつも母親が代わりに答えてしまうという。

アトピーの子供をもった母親は、皆、子供に対して罪悪感がある。
子供のアレルギーは自分の体質の遺伝だとか、妊娠中の食べ物が悪かったのだとか、育て方が・・・とか。
だからつい一生懸命になり、過干渉になる。連日「これはだめ、あれはだめ」「これ食べなさい」「これ試してみたら」の人間機関銃。子供はうっとうしくても反抗できず、徐々に自立心を失って行く。

子供にしてみれば、構われすぎはやっぱりストレスでしょう。
母親の“一生懸命オーラ”が時には重荷にもなり、却って症状を悪化させてしまうこともあるらしいということをちょっと知ってほしくて書きました。

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