医療ライターのいもづる話 by 中保裕子

マーケティングプランナーから医療ライターへ。地域医療、地域包括ケアシステムの存続にはマーケティングも必要です。

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「なぜ精神障害者の寿命は、健常者より20年も短いのか? メンタルヘルス業界が抱える不都合な真実」

2017-08-18 13:37:17 | レビュー
TEDの講演の書き起こしを読みました。
趣旨は下記のとおり。引用します。

 
精神科医のVikram Patel(ヴィクラム・パテル)氏は、世界で精神疾患患者が増え続けるなかで、メンタルヘルス業界の深刻な人手不足を指摘します。
従来までの医療モデルに捉われず、国ごとに適したケアモデルを考える「タスク・シフティング」の重要性を訴え、その事例と成功の鍵を紹介します。(TEDGlobal2012より)
 
これを読んで、とても刺激を受けました。
じつは、私自身の体験でも思うところがあるので、ちょっと聞いてください。
 
 
 日本でも、たぶん実際に起こっている
 
4月に私は足首を脱臼+3か所骨折しました。 階段しかないビルの地下でどうにも自力で動けず、
救急車で搬送されたのですが、その搬送中に訊かれました。
 
「うつ病や精神疾患はないですよね?」
 
「ありません。でも、もしあったらどうなるんですか?」
 
受け入れてくれる病院がきわめて少なくなります
 
ええええ。

せっかくなので、その理由も尋ねると(←搬送されているのにもはや取材モード)、
救急隊員は「精神病薬などを飲んでいると調整が難しいので」と答えてくれました。
 
でも、それはおそらく建前でしょう。
本音としては、スタッフ不足のところに、対応に時間のかかる患者は受け入れられないか、
そもそも精神疾患に詳しい医療スタッフがいないか、というところだろうと思います。
 
精神疾患の患者のなかには、手がかかる人が少なくないのも事実。
(1人のスタッフが1時間かかりきりになるとか)

スタッフ不足で、ぎりぎりのところで回している病院もあるにはあると思うので、
受け入れるかどうかは、それぞれの医療機関の事情です。
違法でもなんでもありません。
しかし、精神疾患の患者が不利益をこうむっているという事実は、実際あるということです。
うつ病は世界で3億2200万人を超していますし、自分の知り合いに患者がいる、という人も少なくないと思います。
誰にとっても身近な問題ですし、本気で対策を講じないと、これはまずいだろう、と。
 

■保健師に委ねるのは、無理ではないか

一方、Vikram Patel医師は、地域での精神障害者のケアにあたるスタッフ増強のために、
メンタルケア専門外の人を教育してスタッフを育てる「タスク・シフティング」を提唱しています。

「パキスタンの地方で行われたランダム化比較試験では、アティフ・ラマン氏とその同僚たちが、
パキスタンの医療システムで働く母体管理担当の女性保健師が、
うつ病である母親に対して認知行動療法を行った結果、回復率が著しく改善することを証明しました。」

専門外の人のマンパワーを流入することにはおおいに賛成したいのですが、
「保健師さんで」という点はちょっと気になるんですね。

昨年、いくつかの自治体の保健師さんたちを取材する機会があったのですが、
どこもマンパワー不足のうえ、貧困、DV、育児放棄、虐待、等の困難なケースへの対応に追われ、皆さん疲弊していました。
行政サービスの一環で訪問すれば罵倒される、ということも結構あって、
保健師さん自身のメンタルヘルスを保つのが大変だ、という話も聞きました。

もっとも、マンパワーの問題で新生児担当の保健師さんが精神保健を兼ねることになったといった話も聞いたので、
これに近いことはすでに始まっているのかもしれません。
でも、キツいはずです、相当。

単純にこれをそのまま日本でも、とトップダウンで保健師さんに認知行動療法をやれ!ということになったら、
保健行政は崩壊しかねないんじゃないかと。

Vikram Patel医師も「各国の事情に応じて」と言っているので、
日本では日本のやり方を模索すること自体はとてもよいことだと思います。


■じゃあ、どうすればいいのか。

素人なりに思うのは、
医療機関においては、まず医療クラークをたくさん導入し、医療職を事務やパソコン仕事から解放するのが最善じゃないかと。
その上で、すべての病院医師と看護師に、メンタルケアの専門知識をもってもらう。

優先順位をつけるなら、今回、奇しくも問題が顕在化していることがわかった救命救急科からでしょうか。
救命救急で医療クラークが役に立つ局面があるかどうかわかりませんが、
施設全体で余力が出たマンパワーを、救命救急に回せばいい。

一方、地域のメンタルケアの方は、休眠看護師さんを活用できないか、と思います。
医療職でないまったくの素人を活用するのは、いまの日本ではなかなかハードルが高いと思うのです。

看護師さんのほうも、病院勤務の離職率は約11%。(日本看護協会調べ
病院勤務で燃え尽きた看護師が、毎年1割やめていくのです。

そして、看護師資格をもっていながら、仕事についていない看護師さんが70万人もいます(厚労省調べ)。
この人たちの力を活かさないのはじつにもったいないし、
看護師が多様な働き方を選べるように選択肢を広げることも、
将来的な看護職の確保につながると思うのです。

 

 

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「看取りのお医者さん」

2017-04-16 09:57:39 | レビュー


在宅医療の実話エピソード。早寝して目覚めた夜中、一気に読了(注・漫画です)。


【感想メモ】
余命を告げられた患者に「家で暮らしたい」という思いがあり、家族にそれを引き受ける覚悟がある場合に訪問医療を引き受ける名古屋の杉本由佳医師の実話エピソード。

訪問1回に1時間以上かけるから先々の転帰が見え、家族と先手を打つことができるので、結果として夜間の呼び出しが少ないという。

厚労省の在宅医療推進政策では3人以上の医師がいることを補助金の支払い要件としているが、あえてそれを取らない。初診2時間、訪問1時間といういまのやり方を崩したくないからだそうだ。医師1人、事務員1人だけと小回りの利く運営体制にしているはいえ、これで経営が成り行くのかどうか。

自分も介護する人、される人、看取りを含めていくつもの話を聞いたが、同じ職種でありながら、いろいろな人が入れ替わり立ち代り出入りするのは、本人、家族のどちらにとっても苦痛なものだ。
医師だって、他の医師の対応への遠慮があるだろう。いきおい、顔を見るだけのような形式的な訪問になりかねないのではないか。

国も在宅医療を推進するなら、「医師3人」の枠にとらわれず、ぜひ杉本由佳医師のような、がっつり家族と四つを組める医師をも支援の対象にすべきだろう。

以上、 感想メモでした。

つい最近、マザーテレサの「死を待つ人の家」では、全てが管理されていて、食事や入浴だけでなく「水を飲む時間」まで決まっているという話を聞きました。

お国柄もあるのでしょうが、イメージと違うというか、とても違和感をもっていたところだったので、ひとりひとりの死に際の個性を大事にする「看取りのお医者さん」に共感をもちました。
と、同時に、看取る家族には相当の覚悟がいることも否めません。

国は、今後、高齢者医療の拠点を病院から在宅(サ高住などの施設も含みます)に移そうとしています。
在宅での看取りの実際を知りたい方には、手軽に読めて、リアルにわかる良書です。幾度となく、胸も打たれます。

http://amazon.jp/dp/4040689038/
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遺産相続争いは小金持ちに多い~樋口範雄「超高齢社会の法律、何が問題なのか」

2016-02-23 18:21:01 | レビュー

 


大金持ちより、小金もちこそ遺産相続争いが多い

ってご存じでしたか? 

恥ずかしながら、遺産相続なんて、サラリーマン家庭にはおよそ関係のない話だと思っていました。
「華麗なる一族」の世界の話で、資産家か、一流企業の役員クラスか、一戸建てでもそれなりに大きくて庭もあって、マンションでもせいぜい億ションを買うようなお家の話だと思ってました。 

しかし、実態はというと。
相続争いの裁判の7~8割は、相続財産が5000万円以下の案件なのだそうです。びっくり。

それほど大きくない土地付き一戸建てでも、場所にもよるけれど3LDKくらいのマンションでも、売却すればそのくらいになりそうです。
親が小金もちなら、子どもも親類も皆さほど裕福とは思い難いので、「争族」が起こりやすいってことなのでしょうか。ましてや、今後、子世代以下は将来の年金が手薄になりますから、もらえるものは少しでもほしい。浅ましいと思ってた相続のドラマが意外に誰にでも身近な問題になってくる。いやな話ですね。。
まあ超リッチな資産家であれば、事前に相続でモメないように手を打っているのかもしれませんが、小金もちですとそこまでは大げさと考えてしまいそうです。

ともあれ、著者は今後増えると予測される相続争いを避けるために、「生前信託」「家業信託」などのシステムを日本でも普及させることが必要とおっしゃるわけです。
また、これから進められようとしている地域包括ケアのステークホルダーの中に、弁護士などの法律の専門家も入れてほしい、という提案も、なるほど!と思いました。

・地域包括ケアシステムには利用者や介護者、ソーシャルワーカーと並べて法律の専門家も加えてもらえないだろうか。法的な助言があれば申請しそこなっていた社会給付に気づくことや、(中略)紛争予防に意義があるのではないか。p.212

確かに、たとえばがん医療でも、高額医療費制度があるのに知らずにいたり、面倒な手続きに役所に出向くことができない、面倒・・・という理由で、自治体によっては未払い金が相当額あるという話を聞きます。
本来、法的に受け取ることができるお金が使われていないのです。
高齢者になると、要介護になったときの資産の処分とか、先述の遺産相続とか、さらにさまざまな法的な問題がありそうです。

法律家は単に法律を順守するだけではなく、現在の社会状況の間尺に合わなくなってきた法を見直すことも重要、という著者の考えに目からウロコでした。
何よりこの先生、ところどころにユーモアがあって、面白そうな方であることが文章からうかがえました。

 

以下、私の読後メモよりコピー。

・終末期の問題。胃瘻はフランスではあくまで治療のために一時的に行なう医療。(=日本での使い方は国際的にみるとおかしい)p.58

・終末期(尊厳死)の問題。日本の病院あるいは医学部では、立ち会っている家族の様子を伺い、家族がもう十分ですと言う表情を浮かべるまで心臓マッサージを続けるのが適切だと教えている。p.62

・単身の高齢者の住まいの問題。「朝日新聞2015年2月7日の記事は、貸す相手として単身の高齢者は不可が40.6%。高齢者のみの世帯は不可34.9%という数字を紹介している」p.96

・相続争いについて。「相続争いの7割から8割近くが相続財産5000万円以下」p.158

・日本でも生前信託制度を普及すべき。アメリカでは「人生の失敗とは、財産形成に失敗したと言う意味ではない。自分で考えてするべきこと、何もしないで任せにすることを意味する」p.177

 

「超高齢社会の法律、何が問題なのか(樋口範雄)」 →Amazon  オムニ7  

 

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「病の皇帝『がん』に挑む」

2015-03-18 12:31:30 | レビュー

 

がん研究の歴史書。わたしのような素人にもとても面白く読めました。

本の内容は、Amazonからの引用によれば、「地球全体で、年間700万以上の人命を奪うがん。紀元前の昔から現代まで、人間を苦しめてきた「病の皇帝」の真の姿を、患者、医師の苦闘の歴史をとおして迫真の筆致で明らかにし、ピュリッツァー賞、ガーディアン賞を受賞した傑作ノンフィクション」なのです。
わたしは、小説よりもノンフィクションが好き。小説もリアルに取材がされたものを再構成したようなのが好きなのですが、この本の「事実」の集積には圧倒されます。 

著者、シッダールタ・ムカジー Siddhartha Mukherjee 氏はコロンビア大学の現役の腫瘍内科医です。
1947年からのがん治療の歴史がほぼ薬物療法中心に描かれているのは、腫瘍内科医という視点からかもしれませんが、それにしてもこの50年の腫瘍内科の発展にはめざましいものがあったと思います。最初はマスタードガスの成分を使ったまさに「毒をもって毒を制す」的な治療だったのです。思わず「いまの時代に生まれてよかった~」と思ってしまいました。

実在のさまざまな人物のなかで、主役と言えるのは、がん化学療法を確立した米国の医師、シドニー・ファーバーと、米国の世論、ひいては政府を動かしてがん研究を推し進めたメアリー・ラスカーというロビイスト。前者は、現在米国でも最も有名ながん専門病院のひとつ、ダナ・ファーバー癌研究所の創設者ですね。 

でも、個人的にはさらに印象的だったのはダナ・ファーバー研究所で1993年、慢性骨髄性白血病の治療薬グリベックの有用性に最初に気づき、製品化を推し進めたブライアン・ドラッカーという医師でした。
自社の研究員がキナーゼ阻害剤を発見したのにもかかわらず、動物実験、臨床試験に1~2億ドルの費用を投じることに「尻込み」していたノバルティス社に、しつこくもあきらめずに繰り返し「薬の開発を中止しないでほしい」と説得し続けたのです。これってふつうは逆ですが、ドラッカー医師は「(ノバルティス側で)薬の臨床試験をするか、さもなければ、私が(個人で)行うのを許可してくれ。さあ、どちらにするか決めるんだ」と迫り、最悪、ノバルティスに創薬するつもりがないなら、ドラッカー医師が「地下の研究室でつくるはめになるかもしれないと考えていた」そうです。

グリベックのおかげで慢性骨髄性白血病は9割近くが治癒するようになり、この薬が分子標的薬の草分けとなりました。
最近、ノバルティス社がグリベックの副作用報告に虚偽があるとか、いろいろ問題点は指摘されていますが、白血病治療において大きな貢献をした薬であることはたしかです。

 
ちなみに上巻を読み終えたのが、2013年の12月。で、下巻読了は昨日(2015年3月)。
電子書籍で読んでいたのですが、途中で前のKindleをお風呂で沈没させてしまったりして、その後、2度目の購入。そんなわけで、えらく長い旅路を終えたような気がしています。
「いくらなんでも遅すぎるだろ」という批判は甘受しますが(笑)、上下巻合わせて800ページを超える大著を出張先などに持ち歩いて読むのはとても無理だったので、電子書籍の恩恵を感じた次第。
今日の日経朝刊によれば、まだ74%の人が電子書籍未経験だそうですが、文字の大きさも変えられるので、高齢の方にもお勧めですよ。
 
 

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「ドラッカーとオーケストラの組織論」山岸淳子著

2014-01-21 23:10:02 | レビュー


日帰り出張の移動中に読み終わったのですが、期待通りの面白さでした。

2003年に世界最高峰のオーケストラベルリン・フィルに史上最年少の17歳で入団したコントラバス奏者はベネズエラ出身。決してクラシック音楽が盛んな地域では無い南米で、スーパープレーヤーが誕生したのか。

1975年に子供たちを犯罪と貧困から守るために、地下駐車場の一角で始められた小さなアンサンブルが発端でした。今で言えばNPOですが、いまや65億円の政府予算がつき、国内に200もの青少年オーケストラがあるのだそうです。ちなみに、ドゥダメルもここの出身。

ベルリン市の補助を切られたベルリン・フィルが、どのように再生し、イノベーションを起こしたかという話も載っています。

今日の出張は大阪だったのです。伊丹空港を利用しました。やけに静かな感じ…。



大阪も2つのオーケストラが橋本知事、橋本市長の時に補助金を切られているんですね。大阪フィルハーモニー交響楽団なんて、朝比奈隆さんが創設された名門じゃないですか。著者は同情しつつも、厳しい叱咤激励の視線も向けています。社会にアピールすべき「成果」を出して再生してほしいものです。


 


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チーム医療とリンパ浮腫

2014-01-14 09:54:25 | レビュー



「視能訓練士」をご存知ですか。
恥ずかしながら、私はこの名称を初めて知りました。

視能訓練士とは眼科の視力や眼圧、緑内障などの視野の検査や、視力が低下した人のリハビリ斜視や弱視の訓練などを行う国家資格の医療職です。いや、 何度もお世話になっているのですが、認識不足でした。

医療には、これに限らずあまり知られていない職種も多いのですが、さまざまな専門技能を持ったメディカルスタッフが、連携しながら1人の患者にかかわっていく診療体制を「チーム医療」といいます。たとえば「視能訓練士」だと、糖尿病療養指導チームに参画し、糖尿病網膜症の発症予防と早期発見に注力している病院があるんですね。

わたしはがんのチーム医療を取材する機会が多いので、医療ジャーナリストの福原麻希さんが書かれた「チーム医療を成功させる10ヶ条」(中山書店)をとても興味深く読みました。

この本は、多職種がチーム医療に参加する例を紹介した本で、主に医療関係者向けに書かれています。

「チーム医療が機能していない病院では、チームで活動すること自体が目的化して、そこで息切れしてしまっている」という指摘なんてもう、激しく「あるある!」とうなずいてしまいます。国が「チーム医療の推進」と言い始めたので、とりあえずカタチを、という病院も少なくないようです。個人的には、やはり医師が負のムードメーカー(笑)になっていると感じます。医師が他のメディカルスタッフに何を任せたらいいのかわからないのですね。がん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター」も同様で、あまり実効機能していないところもあると聞いています。

著者の福原さんはジャーナリストであり、「発信することを通して、課題に対する建設的な議論のきっかけをつくること」を主眼に置いています。そのため様々な現状の制度的な問題点にも触れています。

そのひとつに、癌の手術後に行われるリンパ浮腫の指導が取り上げられていました。指導料は保険適用になります。しかし、子宮がん、乳がん、卵巣がん、前立腺かんなどの術後に限られるため、全体の2割にあたる患者さんは保険適用にならないそうです。つまり、リンパ浮腫予防が必要なのは同じなのに、指導を保険で受けられる人とそうでない人がいるんですね。以前取材しましたが、生命にかかわらないとはいえ、リンパ浮腫って、相当酷ですよ。特に女性には…。

それに、指導は保険適用でも治療は適用外、とこれまた患者から見れば不思議な制度が…。おかげで混合診療になってしまうのを避けたい病院が、本来算定できる診療報酬をあえて算定せず、無料サービスで指導を行っているところもあるそうです。病院の持ち出しとメディカルスタッフの熱意に負うだけでは、みんな疲弊してしまい、長続きするはずがありません。
福原さんは、「これでは今後、専門外来が普及せず、必要な人数のメディカルスタッフを配置することもできない。 (中略)患者目線の医療体制づくりが急務」と述べています。

 

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Kindleでの読書。

2013-03-22 18:30:06 | レビュー




最近、わたしの生活には「Kindle」が入ってきました。Kindleでの読書はもうすっかり生活の一部になっています。

じつは、iPadにもKindleのアプリは入れてあるので、一番安いペーパーホワイトとはいえちょっと躊躇したのですが、比べてみると、同じ本を電子書籍を読んでもぜんぜんKindleのほうが目が疲れません。iPadのほうが、光が強いのではないかという気がします。

薄くてかさばらないし、出張や旅行に数冊分持って歩けるとか、家の中の蔵書スペースが減らせる(実際にはまだそんな域には達してないけど)というメリットは想定内でしたが、実際使ってみて新たにわかった長所も。

・ベッドの中で、照明なしでも読めるから、同室の人の睡眠をさまたげない。
(友人の藤木さんがブログで「入院時に便利」と述べておられたのですが、それってこういうことだと思います)

・布団の中でも、ページがめくりやすい。
(なんだか寝る話ばかりですが、わたしにとって就寝前は貴重な読書タイムなのです)

・お風呂で読んでもヨレヨレにならない。
(ただし、浴室に持ち込むときはジップロックの「小」を装着。操作性には問題ありません)

・ハイライトをいれた箇所だけをピックアップして読める検索性。(これは便利です)

・そして…何といっても、文字の大きさを変えられること!
アラフィフの視力にとってはこれ、福音以外の何ものでもありません。おかけで、美容院でめがねをかけていなくても快適に本が読めるわけです。ページの間に髪の切れ端が挟まることもないし。

というわけで、特にわたしと同世代かそれ以上の方にはお勧めです。あとはもう少し、電子書籍自体が増えてくればなあ~、というところ。特に専門書は軒並みアウト。出版部数の少ない専門書こそ、電子書籍化に適していると思うのですが。専門書特有のとっつきにくさも、電子化によって少しは解消されるような気がします。




箱根・大涌谷からの富士山。富士山の姿を見るたびに、気持ちが上がります。ケーブルカーからの眺めに富士山が現れたときは、国籍問わず、「おお~っ」という声があがり、ちょっとした感動の瞬間でした。


テンプレート一新しました。どうぞよろしくお願いします。


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“心のバリアフリー”とDTC広告~「心の病へのまなざしとスティグマ」

2013-01-14 11:40:53 | レビュー

 

仕事部屋からの雪景色。川崎も外は大雪です。
年明けからインフルエンザにかかってしまい、ようやく回復したものの、この寒さ。3連休は初詣に出かけただけで、あとは家で読書したりダイオウイカに驚愕したりしつつ、おとなしく引きこもっています。
そんなわけで、年賀状を下さった方にまだ返信しきれていませんが、申し訳ありません。。。 



寝込んでいる間に、友人が昨年送ってくれた本を読むことができました。
「心の病のまなざしとスティグマ」(明石書店)


世界10カ国で行われたメンタルヘルススティグマ国際比較研究プロジェクトの一環として日本で行われた意識調査の結果報告書です。
心の病を持つ人々のソーシャルインクルージョンがどの程度達成しているか・・・わかりやすく言えば、「心のバリアフリー」がどの程度達成されているかの現状レポートです。

うつ病に関してはDTC広告が10年ほど前から繰り返し行われていることもあり、国の自殺予防キャンペーンも手伝って、かなり理解されてきているとようですが、統合失調症についてはまだまだ。特に現在の10代~20代の若者の理解が不足していて、「本人の性格の問題」といった誤解があることや、統合失調症もうつ病と同様、治療によって良くなる可能性があることがあまり知られていないことなどが指摘されています。

昨年、うつ病のDTC広告を担当したときには、うつ病が脳に一時的に生じるトラブルであること、薬物による効果が期待できることを訴求しました。普通の病気と同じように治療で回復できる病気だと訴えることは、「心のバリアフリー」に役立つとの本書の見解を見て、安心しました。

精神科領域でのDTC広告のヒントが詰まっている、わたしにとってはありがたい本でした。第1章には、日本における精神障害の社会的状況の歴史や現状もまとめられています。精神科領域の医薬品メーカーや、DTC広告を担当する広告関係者にもお勧めです。

 

 

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「ください」は命令形

2012-06-18 19:30:19 | レビュー

お恥ずかしいことに、わたくし、職業文人の仕事をかれこれ20年ほど続けていながら、最近初めて知ったことがあります。

 

外山滋比古さんの「日本語の作法」を読んでいたら、こんな一節があったのです。 

 

だいたい「ください」が多すぎる。「ください」は命令形であって、目上の人には使えない。対等の間柄でも強すぎることがある。

 

おお、「ください」は命令形であったか!

著者も例にあげていたのですが、駅のホームで

「ホームと電車の間が広くあいているところがあります。ご注意ください」

とアナウンスを聞くたびに「ほっとけ」と思っていたんですね。
漠然とした不快感の理由は、単純なはなしですが「命令形」にあったわけです。w

 

あらためてメールの文章をみると

「ご留意ください」「〇〇してください」 は、おしつけがましいなあ、と感じるのですが、
「ご確認ください」 や「ご検討ください」は、わたしもしょっちゅう使っていました。
丁寧語のつもりで使っていたのですが、たしかに「確認」や「検討」を「命令」してますわね。

もう少し、日本語をていねいにあつかわないといけないなと反省した次第です。

 

しかし、取材の依頼状など、一言一句に気をつかうお手紙には、さすがに「ください」は使っていませんでした。
「よろしくご検討のほど、お願い申し上げます」、ですね。
命令形だとは知らずに、「ください」のもつおしつけがましさを感覚的に避けていたのだと思います。

 

「ビールください」は、文字通り「命令」です。
これはまあ、いいか(笑)

 

【余談】

GWに、鳩間島の民宿「ゆみさんち」のカフェで、冷たいビールをのみましたが、暑すぎてあっという間に水分が蒸発してしまうのか、酔いませんでした。(←代謝の説明として適切かどうかは不明)

 

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「伝え上手な患者になる!」

2012-05-18 17:30:45 | レビュー

山形県米沢市の眼科医、平松類さんの著書、「伝え上手な患者になる!」を読みました。

 

伝え上手な患者になる

 

著者は、「聞き下手」な医師だった自分への反省から、「聞き上手」になるべく努力したところ、「話し下手だった患者さんまで話し上手になってきて、お互いに治療がうまくいくようになった」という経験を持つ医師です。
その経験から、患者が忙しそうな医師に、体調や自分の気持ちを的確に伝えるか、そのコツを述べています。

要点を整理することに役立つ、3つの「気持ち伝達シート」 つき。
このシートは、症状の改善度合いや、治療に対する不安など、医師から見ても的確な診断に役立つだろうと思います。

なぜ、いま、患者の方が「話し上手」にならなければいけないのか。
著者は次のように述べています。

 

「医者は『聞き上手』になろうと努力をしていますが、すべての医者がそうなるのはまだまだ先の話でしょう。となると、あなたが話し上手になることが大切です。」 


いざ、診察室で医師と向き合うと、緊張してしまってうまく話せないのはよくあることだし、ましてやいまは、パソコンのモニタの方を向いている医師が多いので、昔より一層、コミュニケーションのハードルが高くなっています。
取材でお会いしたある看護師さんが、「看護師である私たちでさえ、いざ患者の立場になるとうまく話せなかった」と話してくれたのを思い出します。プロの医療従事者でさえ、そうなんですから。

それに、いくら聞き上手な医師がいたところで、現在の医療制度では、患者一人にさける診療時間には限りがあります。 限られた時間のなかで、臆せずに要点よく自分の意思を伝えることは、患者にとってもメリットが大きいと思います。
著者は 

 

「シートを利用し、話し上手になるだけで、『治らないと思っていた病気が治った』『受けなくていい治療を受けなくてすんだ』ということが起こるのです」

 

 と述べています。なんとまあ、エライことじゃありませんか・・・。

 

「気持ち伝達シート」には、「症状以外に困っていること」という項目があります。


「例えば、症状としては痛いのだけれども、実際は、傷はたいしたことなくて、本当に心配なのが、『自分の父がこんな感じの痛みで心筋梗塞だったことがあるから、心筋梗塞じゃないか不安だ』というのが「症状以外に困っていること』 。

 

がん医療でいえば、経済的な問題などがこの代表的なもの。
300~400万円かかる粒子線治療などは別格としても、新しい分子標的薬なども高額です。
医師にすすめられても、「家族にすまない」という思いから受けるふんぎりがつかず、治療を中断して病院に来なくなってしまう患者さんも少なくない、という話を聞きます。
平松医師は、がん治療の専門家ではないのですが、「経済的な心配を医師に伝えてくれれば、他の代案をすすめることもできるのに」と述べています。

 

これとは逆に、医師が、患者の年齢や経済力を推し量って、勝手に思いこみで治療をすることがある、という指摘もありました。
「この人はお金がないかもしれない」「この人は手術嫌いだろう」「高齢だから手術をしなくてもいいだろう」・・といった思いこみをする場合があるというのです。 やっぱり「人は見た目が9割」なんだな~。
そこで、シートには「多少危険性があり、費用がかかってもいいので積極的な治療法があるでしょうか」という質問もあり(すべての人が利用する項目ではないかもしれませんが) 、こんなエピソードが紹介されていました。

 

私は、 100歳代の方の白内障手術をしたことがあります。その方は非常にしっかりとされていましたが、 100歳を超えるその年齢からして、「もう年齢的に手術はしなくても良いだろう」と考えていました。
しかし、ご本人は本当にしっかりされていて、またメモを書いて、内容を私に伝えてくれます。それは、 「ぜひ手術を受けて、見えるようにしたい」というものでした。手術の結果、見えるようになって喜ばれていました。聞くと、水彩画をなさっているということで作品を拝見させていただきました。非常に力強く、しっかりとした絵画でした。

 

医療のむずかしさは、病気を治すだけでなく、その治療が患者の気持ちや事情に沿うものでなければ、満足度は得られないところにあります。
相互の理解が、満足度の高い治療を受けられるための第一歩。
この本には、医師自身の過去の失敗談が率直に語られています。
眼科医が書いた本だけあって(?)字も大きくて読みやすいです。

巻末のシートはじゃんじゃんコピーして、病院に持っていきましょう。(著者もオッケーされていますので♪)

 

 


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「精神の産業化」の時代

2012-05-10 19:17:59 | レビュー

GWが終わったいまごろが、5月病が最も出やすい時期。
5月病も、悪化すればそのままうつ病に移行していくことがあるそうです。
 

それにしても、うつ病は、この10年で2倍になり、社会人のかかる病気として、メジャーな存在になりました。診断基準の変化や、景気の悪化の影響はあるにしても、それだけでこの増加を説明するのはちょっと無理があるように思います。「構造不況」ならぬ、労働環境の構造的な問題がからんでいるとしか思えません。
 

最近、梅棹忠夫さんの「情報の文明学」を読んで、目からウロコでした。
この本は、早くも1962年に情報化社会の到来を予言している本として知られており、多くの書評やブログに取り上げられています。(ほぼ日でも紹介されてます

 

主旨としては、この時代にテレビ局が開設され、マスメディア産業が黎明期を迎えているのを目の当たりにして、「農業の時代、工業の時代につづいて、今後は情報産業の時代がくる」と予言しています。わたしの生まれた年に(小声)、こんなことを見通している人がいたとは、驚きです。 

 

で、こんなくだりが。

 

工業の時代が物質およびエネルギーの産業化が進んだ時代であるのに対して、情報産業の時代には、精神の産業化が進行するだろうと言う予察のもとに、これを精神産業の時代とよぶことにしても良い。

 

精神が産業の資源に!
ならば、すりへらし、疲弊し、病む人々が増えるのは、残念ながら当然のながれではないか、と思いました。つまり、特別な人だけがなるわけではなく、だれにでもかかる可能性がある、ということになります。

 

もちろん梅棹氏は、こういう時代の到来を必ずしも手放しで歓迎しているわけではないようです。

 

ただ、それがバラ色の未来につながるかどうかは別問題である。例えば工業時代の前期には、いろんな社会悪が発生している。日本には「女工哀史」の例がある。新しい生産システムに人間が適合できなかったからだ。同じことが21世紀の初期に起こるかもしれない。


たとえばIT関係の仕事なんかはどうでしょう。低賃金の長時間労働に代表される、まさに現代の「女工哀史」といえそうです。さしずめ〝昔は「労咳(=結核)」、いま「うつ病」”というところでしょうか。怒声を受け続けて文字通り神経をすりへらすコールセンターのような仕事も、きっとそう。どちらも、前時代にはなかった職業です。 人間にとっては新しすぎて、われわれのからだがその仕事にまだ適応していないのではないかと。もっと疲弊しないやり方もあるのでしょうが、そうしたシステムが発達するにはもう少しかかるのかもしれない。

 

それにしても、梅棹忠夫さんの先見の明にはおどろかされます。高度成長期前だというのに、早くもいわゆる「パクリ」の問題を論じています。コピー機が大量生産され、安価になったことが、情報化に拍車をかけたが、それに対するいさめとして、つぎのように述べています。


一般に情報機器と称しているものは、自ら情報を生産したしたりはしない。オリジナルな情報の生産は、もともと人間の仕事である。 情報機器は本質的に、それを模倣し記録し、再生する機能を備えていたにすぎない。(中略)情報関連機器の発達をもって、そのまま情報産業の発展と喜ぶわけにはいかない。それは、自ら情報産業の成立の基盤の一角を、ほりくずしているかもしれないのだ。


精神が産業の資源となるこの時代にあっても、その仕事が社会の発展やだれかの幸福になんらか貢献するという本質的な喜びがあれば、精神の消耗度は少なくてすみます。情報産業の発展に役立つと思ってしていた仕事なのに、期せずして「ほりくずし」に貢献してしまうことは、やはり精神が消耗しそう。 まあ、そもそもオリジナルな情報の生産をしつづけることも、結構なストレスをともなうことではあるのですが。

 


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「夜と霧」~ドイツ強制収容所の体験記録~

2011-06-06 10:12:37 | レビュー

こういうときだから読み返したいと思い、本棚から取り出した本。
著者、ヴィクトル.E.フランクルはフロイトに師事し、1997年に亡くなった、ウィーンの精神医学者。
ユダヤ人だったゆえに、アウシュビッツに囚われながら、奇跡的に生還しました。
この本は、収容所内の人々の心理と人間模様が、精神科医の視点で克明に記されています。



何度読んでもすごい。
ちっぽけなドラマや小説は、この「現実」の前にはひれ伏す以外ありません。


冒頭の「解説」は70ページにも及ぶ、ユダヤ人強制収容所の実態。
字も小さいし(笑)、目をそむけたくなる写真も満載ですが、ここを飛ばしちゃダメ。
人間ってどこまで「悪」か、と思わされます。


そのなかで生き延びた人々。
人間は、そう弱い存在ではないと、力づけられます。


ガス室に送られなかった人々も、雪の中をはだし同然の軽装で働かされ、感染症や飢餓で多くの人がいのちを失いました。
しかし、生き残ったひとには共通項がある。


「ひとつの未来を、彼自身の未来を信ずることのできなかった人間は収容所で滅亡していった。
未来を失うと共に彼はそのよろりどころをうす内、内的に崩壊し、身体的にも心理的にも転落したのであった」
 

彼は、極限状態にあっては、いかに「未来への希望」をもちつづけることが大切かをわかっていました。
逆に、「失望と落胆がどんなに致命的な効果を持ち得るか」も。


第2次大戦の終戦を翌年に控えた1944年、収容所内では「クリスマスには家に帰れる」という希望的観測がながれ、多くの人がそのことに希望をつなぎました。が、それは実現せず、結果として、明くる1945年正月までの間に、収容所内ではなかつてない大量の死者が出たのです。いやはや、デマというやつは・・・・。いつの時代も罪なことです。

 
ところで、東北の避難所で、被災者の方々がボランティアに「希望を失わないで」とか「明日はきっとやってきます」とか言われると超むかつくのだそうです。
それは十分にわかります。私も言われたら「あんたに何がわかる」というかもしれない。


しかしながら、やはり未来は信じるべきでしょう。
極限状態の人間の経験からの学びとして。

 

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アカデミー賞候補

2011-02-27 00:12:40 | レビュー

三線のお稽古日だったが、仕事と荷物の発送(いわゆる“ヤマト待ち”)で出られず、やむなく欠席。
夕方から時間があいたので、亭主をさそって映画を見に行くことに。亭主のリクエストとわたしのリクエストがめずらしく一致して、「英国王のスピーチを見た。

吃音のある国王に、友人として接して治していくセラピスト。
あきらめや怒りを超えて、信頼関係で結ばれる師と患者。
国王の吃音は、幼少時に心理的にうけたストレスが背景にあることがほのめかされる。

主人公は、兄が「王冠をかけた恋」をつらぬいて、退位してしまったので、自信喪失のまま国王とならざるを得なくなった、ジョージ6世。本当のいまのエリザベス女王の父である。

とてもすばらしい人間ドラマだった。
たましいの、めったに揺さぶられない部分がわしづかみされた感じだ。
圧巻のシーンでBGMとして流れるベートーベンの交響曲7番の2楽章が大好きなので、それもまたたまらない。
アカデミー賞12部門にノミネートされているらしいが、こうなったら総なめしてほしい。

セラピストのライオネルから、英国王室の人々まですべて実在の人物。
しかも、すべて俳優さんたちが似ているのです。お父様のジョージ5世も、娘時代のエリザベス女王やマーガレット王女も。ついこの間まで健在だったエリザベス皇太后も。よくこの映画化を英国王室が映画化を許したものだ。日本の皇室だったら、ぜったいありえないだろうなぁ。

ところで、今日航空便で荷物を送るためヤマトに集荷にきてもらったら、「中身を確認させてほしい。パソコンなどはいれては困る、ボイスレコーダーもだめ」と、税関なみにやかましく、しかもドライバーさんがじかに手をふれて荷物を“検閲”した。あまりのことに、「なんでそこまでするの?」と聞いたら、「国の指導が厳しくなった。パソコンが入っていると荷物は戻ってくることもある」とのこと。
えー、そうなんですか。いつの間に。なんかめんどくさいなあ。

せっかくの映画の感動の最後、興ざめな話をして失礼。

 

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イサム・ノグチと映画「レオニー」

2011-01-31 14:41:33 | レビュー

直島で2日間にわたり、いろいろやらかした“おとな女子”二人旅も、無事?3日目を迎える。
今回のアート探訪はもうひとつ。3日目に、高松市内近郊のイサム・ノグチ庭園美術館へ。
Cさんお勧めのスポットで、見学は要予約。
Cさんはわざわざ事前に予約もしてくれた。どうもありがとう。

この美術館がとっても衝撃的だった。
石という素材が、こんなにも力と温かさをもった素材だとは。
表面の仕上げや色や、切り方によって、表情も多様になる。
わたしは半世紀近くも生きてきたくせに、石のことを誤解していた。
彼(石)にはもっとたくさんの魅力も可能性もあったのに、それを何もかも知らずにいて…。石さんごめん。

庭におかれた作品に思いっきりスリスリして、エネルギーをチャージさせてもらう。
ここは写真はNGだが、作品には触れてもいいことになっており、警報は鳴りません。

初めて見たイサム・ノグチの作品にすっかり魅了された私は、先日この映画も見た。
松井久子監督の「レオニー」

天才イサム・ノグチの母、レオニーの強い生き方を描いている。
「自立した女性」と言ってしまえばそれまでだが、時代は、まだまだ庶民には「ガイジン」が珍しかった明治40年。
津田梅子が津田塾大学を創設したばかりの頃だ。
レオニーの才能に依存しているくせに、男の見栄と沽券にこだわる内縁の夫のダメダメっぷりを演じた中村師堂が、やたらはまり役(笑)

レオニーという母の息子の才能を見抜くたしかな眼力はすごい。
わずか13歳の息子に家の新築の設計を任せた。
やがて、アメリカで医学の勉強を始めた息子に

「あなたは医師になるために生まれてきたんじゃない。芸術家として生きるためよ」

と言ってのける。
それがきっかけでイサムは本格的に美術の勉強を始め、彼の名を知らしめる「石」という素材と日本というモチーフとに向かって進むことになる。

そんなことをいう母親が、果たしていまの日本にいるだろうか。
逆のことを言うな人なら、たくさんいそうだけど(笑)

 

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「精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本」

2010-04-21 12:26:24 | レビュー
その昔「ルポ・精神病棟」を書いた大熊一夫さんが、自費でイタリアに飛び、イタリア精神保健改革の父・フランコ・バザーリアの遺志をつぐ人々にあい取材したドキュメンタリー。
それなりにボリュームもあるし、テーマの重さもあってある種の読みにくさはあるが、印象的な本だった。

冒頭には日本の精神病院史の汚点が記されている。
患者の人権を無視した、病院都合による暴力的な「管理」。それがWHOの調査で指摘されるという恥辱を経てようやく表沙汰になり、消滅するまでの過程。

かつては同じ状況だったイタリアの都市で、精神障害者を退院させ、地域で社会生活を送れるようにし、結果的に精神病院というものを事実上消滅させたのが、精神科医フランコ・バザーリアだ。

「多くの精神科医が、重い統合失調症の患者を病院に入れて、完治していないといっては入れっぱなしにする。ところが、病院の外で生活するには、何も完治する必要はない。患者は専門家の支援のもとで自分の狂気と共存できるのだ。」
(フランコ・バザーリア)

重要なのは「専門家の支援のもとで」という部分。
単に退院させ地域に戻すだけではだめで、24時間体制で患者が飛びこめる精神保健センターや訪問リハビリ、街ごとにつくられた小さなクリニックなど、精神保健サービスのインフラがあって成立している。
法的にも「180号法」(通称「バザーリア法」)が作られ、統合失調症の患者が社会生活を送れるサポート体制を整えた。
“180号法”第六条 第一項 
「精神病に関する予防、治療、リハビリテーションという措置は、通常、病院以外の居住地区の精神医療拠点機関とその事業によって実施される」

これを実施した街の精神医療にかかる医療費は、入院中心の時代に比べなんと6割だそうだ。
廃止された元・大型精神病院は、改築されて豪華な5つ星ホテルに変わっているところもある。泊らなくてもいいから(高そうなので)行ってみたい。

精神保健サービスの中心が「精神保健センター」だ。
以下、サルデーニャ島の精神保健センターの人のコメントを引用;
「人間は複雑な関係性の中で生きています。だから私たちも利用者の生活上の複雑さに正面から向き合って解決の道を見つけます。
病気の兆候を観察するのではなくて、病気の背後にある人間関係だの、労働環境だの、住環境だのを理解して対処する。それが精神保健センターです。」

精神保健センター自体は日本にもあるのだが、イタリアのそれとどう仕事内容は違うのだろうか。

胸のすくエピソードをひとつ。
いざ地域に戻った患者たちが賃貸住宅を断られ、公営住宅への居住も断られて住む場所を失ったとき、バザーリアの部下たちはゲリラとなり、工事作業員に扮装して公営住宅の空き家を“占拠”し、患者たちを住まわせた。それをまた市民も支持したという。
バザーリアも強い信念とリーダーシップと行動力を併せ持った人のようだが、その部下たちもなかなかやんちゃな精神科医たちなのだ。



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