医療マーケティングの片隅から

医療ライター・医療系定性調査インタビューアーとして活動しています。独立30年を機に改題しました。

無念

2010年08月26日 | 音楽

一昨日、10月の演奏会と、その主人公の山本繁先生のことを書いたばかりなのに。

昨日の朝、その山本先生の訃報が入りました。
奇しくも、ブログを書いた当日、24日の18時半ごろに亡くなられたそうです。
心よりおくやみ申し上げます。

当日は、クラリネット・アンサンブルGrowの練習日。
昼ごろ、「オレ、熱中症かな。ちょっと体調が悪いから今日は休ませてもらうよ」と先生ご本人から電話をいただいていたので、私たちは、まさかその事態に気付くこともなく、いつも通りに集まり、練習し、バカ話をして、解散したのでした。

2009年3月に末期の肺がんで「余命2カ月」と診断。
以来約1年5か月、いずれお別れの日がくることは、覚悟はしていました。
が、先生自身が楽しみにしておられたご自分の古希記念演奏会を目前にして旅立たれるとは、、先生もさぞ悔しがっておられることでしょう。
私は本当にくやしい。そして残念です。

先生は一言もおっしゃらなかったのですが、がんは既に全身に転移していたそうです。
でも不思議なことに全く疼痛もなく、亡くなる2日前には暑い中、合奏の指導に来てくださり、
3時間もタクトを振って下さいました。
亡くなった当日でさえ、午前中は仕事に出かけておられたそうです。
ある方の表現を使わせていただくなら、本当に死ぬまで生きておられた。見事な、先生らしい最期でした。

20年以上にわたって師事し、これまで生き、音楽を続ける上で、大きな支えになってくださったことに、心から感謝したいと思います。

10/17の演奏会については、はっきりしたことが分かり次第改めて書きます。
私個人の想いを言わせていただくならば、追悼演奏会に変えて開催できたらと願っているのですが。
でも、生前、先生との酒飲み話で「お前らの演奏じゃ成仏できない。起きあがっちゃうもんね!」といわれたことがあります(笑)。
いいですよ、先生、出てきてください。もう一度。




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ブラスバンドの夏

2010年08月24日 | 音楽

朝夕の風にほんのわずかに秋を感じられるようになったこの頃。
しかし昼間は相変わらず暑い。29度なら涼しいとさえ感じるようになってしまいました。あり得ない…。

「あり得ない」といえば…。
10月17日に開催する演奏会のチラシが完成しました。

山本繁先生は、現在私が所属しているクラリネットアンサンブルをもう25年以上にわたり指導して下さっているクラリネットの先生です。もともとヤマハの、いまで言う「大人の音楽教室」でクラリネットを習った人が引き続きアンサンブルを楽しめる場所を作ろうと山本先生が立ち上げたものなんですが、以来、先生は全く休むことなく、我々の進歩のなさにも倦むことなく、率いてきて下さったのです。感謝。

私は入団当時3年間くらいブランクがあったので、ここだけの話、少しリハビリできればいいやというくらいの気持ちというか腰かけ気分で入ったのですが(超小声)、楽しかったのですっかり予定外の牢名主に…。
あっという間に21年が経ち、気付けば周囲はみんな上手い奏者ばかりで、現在はリハビリどころかひ~ひ~言いながらどうにかついて行っているという次第…。あ、入団当時は5歳でした。

その山本繁先生が古希を迎えられたので、やはり先生が創立された吹奏楽団「ヤマハ目黒吹奏楽団」さんと一緒にお祝いの演奏会をやろう、というわけです。

で、何が「あり得ない」かというと。
3部の「ヤマハ目黒吹奏楽団+Grow」の合同演奏がちょっと見ものなのです。

80人編成のブラスバンドで、うち30人がクラリネット。
しかも、中低音木管が10人強。普通の吹奏楽団で、バスクラが8人とか並んでるのって、めったにお目にかかれませんよ、ホントに。

もちろん、我々クラリネット・アンサンブルGrow単独の演奏もあります。
曲目は
・モーツァルト「歌劇『魔笛』序曲」
・レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア」
・バッハ「トッカータとフーガ」

今回は、いつもと違って大ホールだし、ポップスの上手なヤマハ目黒吹奏楽団のステージもあるので、いろいろ楽しんでいただける演奏会になりそうです。

もちろん入場無料。
さらに、

チケットがありません!

いや、もう既に満員御礼、という意味ではありません。そもそも発行しないのです。
なので、当日自由に聴きに来ていただけます。
ぜひぜひ、応援に来てくださいね!

応援といえば、今年は、高校野球の決勝戦を久しぶりにテレビの前でがっつり全て見ました。
神奈川県民のくせに、当然興南を応援。あの2時間、那覇ではきっと、宅配便も郵便配達も?皆止まったことだろうと想像しながら。

試合もさることながら、元ブラスバンド部員としては応援合戦も楽しいんですよね。「サウスポー」やら「アフリカンシンフォニー」「狙い撃ち」といった、30年くらい全く進化のない定番曲の合間に、興南高校の応援団からは「沖縄民謡が!お気づきでしたか?
NHKのアナウンサーが「この曲もすっかりおなじみになりました」と言っていたあの曲は「ヒヤミカチ節」です。「掛け声とともに立ち上がれ!」といった、戦後の沖縄復興の応援歌です。本当の意味での応援歌なんです。

ちなみに、Growの最若手メンバーのMちゃん20歳は、「サウスポー」が誰の曲か知りませんでした。そうだよね…。
私も知らないって言ったら、諸方面からさすがに殴られるだろうなあ~(って、本文中にも既に嘘を書いていますが)。
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抗がん剤を中止するとき

2010年08月12日 | 「がん」について

前回(といってももう1カ月ほど経ってしまいましたが)に引き続き、いよいよ病状が進行してきたときに抗がん剤をいつまでやるか、というお話。

アメリカ最大のがん専門病院、M.D.アンダーソンがんセンターの医師、上野直人先生の書かれたコラムがとてもわかりやすいので引用させていただくことにする。

がん治療の原則(1)
■治療が効くか効かないかは身体の調子によって決まります
がん治療が効くか効かないかが何によって決まるかというと、それはパフォーマンス・ステータス(Performance Status:PS)によって決まります。パフォーマンス・ステータスとは、患者さんがどれだけ元気に活動しているかの指標です。全身症状の指標とも言います。これはカルテにちゃんと書いてあるはずです。医師は、これをふし目ふし目でちゃんとカルテに記入しなければいけません。

つまり、元気な患者さんほど、抗がん剤を投与すると効果があります。そして、身体の調子が悪い人ほど、抗がん剤を投与すると良くなるより悪くなる可能性が高くなります
ただし、この原則からはずれる症例もあります。たとえば、がんが重要な臓器(肺など)に明らかに直接的に悪影響を与えていて、身体の調子が悪い場合です。このような場合は抗がん剤を投与すると効果がありますが、多くの場合、身体の調子が悪い人ほど、抗がん剤を投与すると悪くなる可能性が高くなります。

つまり、身体の調子の悪い人に、最期の最期まで抗がん剤を投与することは、生活の質(QOL)を下げることになります。また逆に、調子のいい人は、多くの治療オプションを求めても良いと思います。ただし、進行性がんについての治療は臨床試験で積極的に治療すべきであり、勝手な組み合わせによる治療は行うべきではありません。


詳しくは、こちらをお読みください。
http://www.teamoncology.com/column/column_ueno.php4?f=090420.inc


抗がん剤というのは、毒を以て毒を制するという類のクスリなので、がん細胞の増殖も抑制するけれど、健康な普通の細胞にも同じような作用をしてしまう。副作用が強いのはそのためである。
「分子標的薬」という、がん細胞だけに働くクスリが開発されたとはいえ、まだ完全に副作用がないというものではないし、第一、まだあらゆるがん種に分子標的薬があるわけでもない。
だから、体全体の調子が悪いと、まさに「弱り目に祟り目」的な作用になってしまうということのようだ。

前回紹介した「生きる力がわく がん緩和医療」にも、こう書いてある。
著者の向山先生は、他の主治医のもとで抗がん剤治療を受けている患者の緩和ケアを、外来で受け持っている。

「なかには、抗がん剤の効果が得られていないのに、副作用だけが強く出ている患者さんもいて、その場合は、主治医に対して抗がん剤の減量や中止を検討してはどうかの相談をする場合があります。ただやみくもに投与を続けるのではなく、効果と副作用を注意深く見ながら、効果がほとんどなく、副作用のほうが大きければ早急に抗がん剤は中止すべきです。副作用だけが出ている場合は、毒を飲んでいるのと同じことですから、延命どころかQOLを落とし、さらに命を縮めかねません。」

これは想像にすぎないが、実際に医師がこう判断しても、「抗がん剤を中止しましょう」と言われた患者さんや家族が、「見捨てられた」と誤解してしまうことも結構ありそうに思う。
ホントは形勢の立て直し、一旦退却して軍を立て直すというようなことも含まれているはずだが、医師の伝え方によっては大きいショックを受ける人もいそう。

しかし「あと1度だけでも」という家族の思いを優先させて抗がん剤治療を行うと、却って悪い結果を招くこともあるということは、やはり知っておいた方がいいと思う。
家族の気持ちはすごくわかるのだけど。


当面、2月のパリの写真を大放出します。
→だって、夏休みにどこにも行かないから。絵日記の書けない子供状態です。


※2010.8.12 タイトルと本文の一部を修正しました。

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