医療マーケティングの片隅から

医療ライター・医療系定性調査インタビューアーとして活動しています。独立30年を機に改題しました。

海馬は育つ!

2005年04月28日 | レビュー
先週、神戸から帰る新幹線のなかで読んだ本。

池谷裕二・糸井重里著の「海馬」(朝日出版社)。

池谷氏は東大薬学部助手。脳、特に「海馬」の研究をしている30代の研究者だ。本は全編、二人の対談で進んでいく。

爽快な本だった。
会話のテンポ感、展開の妙。
最近の新刊というわけではないが(2002刊)、初めて読んであんまり面白かったので、目ウロコ箇所を挙げてみる。

●「言ってしまったことが未来を決める」

牛の絵をみて、「これは牛だ」と決め付けてしまうと、脳はもう牛以外のものに見ようとしなくなってしまう。脳はもともと決め付けたがり、安定化したがるものだそう。「俺はバカだから」なんて演歌のようなことを言ってると、全ての可能性が断ち切られる。いい意味でも悪い意味でも「言葉は呪い」になる。
(これってポジティブシンキングってことだと思う。)

●やる気がなくても、やり始めてみるしかない。

脳のやる気を生み出す「側坐核」という部位は、ある程度刺激を与えないと活動してくれない。
やる気がないなぁ、と思っても、一度やり始めると「やっているうちに側坐核はだんだん自己興奮してきて集中力が高まって気分がのってくる」。
(「一度やり始める」スイッチさえなかなか入らないのはどうしたらいいのか(笑))

●旅は海馬を育てる。

海馬は記憶を作るところ(保存するところは別)。海馬にとって一番刺激のあるものは空間の情報なので、旅をすればするほど海馬に刺激を与えられる。「ずっと病院で天井を見ているような生活」が一番海馬を衰えさせるのだそうだ。

明日からGW。たっぷり海馬を育てて下さい。
私は4月の全国取材旅行でたっぷり育てた(はず)なので、GWは寝て過ごします。

ポール牧さんの訃報に思うこと。

2005年04月22日 | 医療・健康
出張先の神戸で衝動的にこれを書いている。
ホテルの新聞で、ポール牧さんの死を知ったから。
自殺らしいということだ。

この際、絶対知っていてもらいたいこと。それは、

【自殺の約7割はうつ病によるもの】。

つまり、「自殺したい気持ち」自体が病気のなせる業、なのです。
死にたいという気持ち、それが病気だということに気づけば、そしてそれをきちんと治療できれば、その人はもっと生きられたかもしれない。年間3万人の自殺者のうち、2万人以上がそのために亡くなった思うと残念だ。

うつは「心の風邪」なんていわれている割には風邪みたいにわかりやすくはなく、自分では気づきにくい。「起きられない」とか「食欲がなくて痩せた」とかで病院にいき、医者といろいろ話しているうちにやっとうつだとわかるというケースが少なくない。自分自身ではなかなか認めたくない病気でもあるし、いきなり精神科にいくのも勇気いるし。

一緒にすむ家族がいれば、「なんか最近変」と気づいて受診を促したり、防波堤になるのだが、ポール牧さんは一人暮らし。病気に気づくチャンスを失ったのではないかと思う。「最近、仕事が少ないと悩んでいる様子」だったそうだが、それを周囲にもらしていたとしたら、それが唯一のSOSだったのだろう。

ポール牧は最近離婚したという話もある。離婚や連れ合いとの死別はうつが起こるきっかけとしてよくあること。特に男性には堪えるらしい。「夫は妻に先立たれると3ヶ月で死ぬが、妻は夫が亡くなった3年後ピンピンして元気はつらつになる」というが、あながち大げさなたとえ話でもないと思う。

もし、周囲に悩める人がいたら励ますばかりではなく、「うつ」の可能性を心に留めながら接してください。うつはがんと同様に早期発見・早期治療が大事な病気なんです。
精神科受診を勧めにくいのはもっともだけど、せめて「死にたいと思うのは病気のせい」ということだけでも伝えられれば、最悪の事態を少しでも防げるのではないかと。まあとにかくポール牧さんに合掌。

10年前、皮膚科で

2005年04月18日 | 医療・健康
日曜日は川崎フロンターレ×グランパス戦を観戦。
フロンターレの応援にいったのに、「楢崎だー」「秋田だー」とグランパスの代表組ばかり見てしまった。(挙句、フロンターレは敗戦・・・。)
やっぱりJ1になると動員数がちがう。
あのちっちゃな等々力グラウンドに、1万5000人ですよ。

それにしても午後3時の西陽の横殴り攻撃はキビシかった。
SPF50の下地で対抗したが、それでもひりひりした。

で、思い出したのだけど。

WHOが18歳以下の日焼けマシン使用禁止を勧告した。
皮膚がんの原因になるそうだ。

http://health.nikkei.co.jp/news/hea/heaCh.cfm?id=20050318c1g1800118

案の定・・・と思った。

10年ほど前、皮膚科医に日焼けについて取材したことがある。
「海外で急に強い紫外線をあびるよりは、事前に日焼けサロンに行って慣らしておいたほうがいい」。
個人差はあるのだろうが、医者もその程度の認識だった。

人工的な光で皮膚を焼くなんて、人類始まって以来ごくごく最近のことだ。
ある程度の時間が経ってからでなくては、安全性が証明されない。
医者が「安全」と保障しても、それはその時点で「疑わしいデータが出ていない」ということに過ぎないと考えたほうがいい。

愛知万博のワザあり展示

2005年04月11日 | 旅★日記
「最近ブログ更新してます?」と編集者F氏から鋭く突っ込まれた。
気づいてみれば1ヶ月のご無沙汰。
その間何をしていたかというと・・・

2週間を風邪でどんより過ごしたあと、愛知万博の内覧会でマンモスの前を素通りし、その後蒲郡で久しぶりのタラソテラピーでまったり過ごし、月に2回習っている沖縄三線の師匠が突然渡米するという話にボーゼンとし、ボーゼンとしながらも企画書を2つ書いてプレゼンテーションし、仕事場のパソコンを新しくし、日経朝刊の濃厚小説(渡辺淳一・作)は絶対に欠かさず読み、横浜の寿町というドヤ街に取材にいき、めちゃめちゃ仕事は忙しかったがなぜか浅草には2度行き、「花やしき」の名物木製ジェットコースターが通りぬける“民家”がじつは作り物であることを知った。

あまりにもいろいろな所に行って激しく活動していたので、いろいろ書けるネタはありそうだが、人さまに一番よく訊かれるのが「愛知万博」なので、今回はそれにする。

行ったのは3月19日、内覧会の初日。3年ほど前に地方博の仕事に関わった関係で内覧入場券をいただいたのだ。
(ありがとうございました!>mayumiさん)

入場ゲートのチェックが厳しいとか、コンビニの袋に入れておいた下着(使用済み)を弁当と疑われ危うく取り上げられそうになったとかはマスコミで散々言われている(ないか)とおり。弁当OKの対処は当然だと思う。

トヨタ館とか日立館とか、マンモスのいる「グローバルハウス」とか、「さつきとメイの家」だとか、メジャーな所ばかりを狙えばあまり回れなかった~、と不満が残るのがオチであるが、比較的空いている外国館もそれなりに面白い。各国が、お国の感覚で工夫をこらした屋台という感じ。色彩感覚などかなり違いがあるし、けっこう楽しめる。
一番センスがよく素敵だったのがカナダ館。イタリア、スペインはかなり混んでいたが、楽しい。日本の企業館に比べれば待つ時間など知れてます。

写真は、内覧会当日もかな~り空いていた「国連館」で撮ったもの。
パビリオンの奥のほうにひっそりとWHO(世界保健機関)の展示があり、テーマは地味ィ~に「生活習慣病」である。
しかし、そこにあった「心血管疾患危険度セルフチェック」(その名もカタイぞ。)はなかなか優れものであった。
自分の血圧値とか、コレステロール値を知っていないといけないなど健康IQの高さは要求されるが、タッチパネルの精度もよく、さくさくと進んでいき、私の結果は以下のとおり。

●今後10年間に心筋梗塞にかかる確率・・・・0.1%
●今後10年間に脳卒中にかかる確率・・・・1.0%

さらに、「何をどう改善すると確率はこう下がる」というアドバイス付であるところもよい。
「何%デスヨ」と予言されて終わりじゃあ、それは単なる不幸の手紙である。

きっと空いてると思います。並ぶのにメゲた方はぜひお試しを。


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