「もし自分や自分の身内の方ががんになったら、どういう治療を受けたいか」という話になると、だいたいは「抗がん剤を受けるか、受けないか」で分かれる。
私は診療ガイドラインにのっとった標準治療を受けるのが最良の選択だと思っており、周囲の人たちにもそれを勧めているので、世間ではどうも「クスリ好き」、とりわけ「抗がん剤シンパ」だと思われているらしい(笑)。
シンパもへったくれも、確率的にそれが一番確実だからであって、はなから負ける賭けはしたくないというだけなのだが。
辟易するのは「抗がん剤は是か非か」といったニ元論的な議論。
抗がん剤を拒絶する人は「抗がん剤は毒だから、体に悪い」というのだが、そんなもん「神農本草経」の昔から、強いクスリは強い毒薬と相場がきまっている。クスリとリスクは裏返し、というくらいで。
しかし、抗がん剤の進化は日進月歩で、分子標的薬(「なんとかニブ」という名の薬剤です)など、ターゲットになる遺伝子だけを狙い撃ちすることができるようになった。もちろん、それでも副作用はあるが、たとえば吐き気止めなど副作用を緩和する薬もいっしょに進歩している。
乳がん 83%
子宮がん 71%
大腸がん 68%
胃がん 58%
何の数字かおわかりだろうか。
正解は「日本人のがん患者の5年生存率」。これは93~96年診断例でのデータなので、現在はもっと伸びているかもしれない。
日本人に比較的多いがんで、半数以上が命をつなぎとめている。
これだけがんが“治る”病気になってきているのは、3大治療(手術、化学療法(=抗がん剤)、放射線)が進化し、診療ガイドラインがつくられて普及してきたからに他ならない。
「抗がん剤はいや」と決めつける前に、まず、その事実は考えてみるほうが得なのではないかと。
幸いにしてまだ自分では抗がん剤を体験したことはないが、もしがんにかかり、積極的治療が有効な段階であれば、私は多分躊躇なく切り、抗がん剤をやると思う。
この話はもう少し続くのだが、長くなるので今回はこのへんで。
例によって話題と関係ないけど、ルーブル美術館の「モナリザ」の部屋。
人種国籍を問わず、やることは皆同じ。わかります?ほとんど全員、写メかデジカメ(笑)
ご高覧多謝。
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