最近、音楽療法についての原稿仕事があって、取材相手の著書を編集者Hさんが送ってくれた。
現在大学で教鞭をとっておられる著者が、教科書として書いた本だそうだが、80ページ足らずの薄い本で(このポイントは高い)、一気に読んだ。
個人的にもクラリネットアンサンブルのグループに属して18年目、沖縄三線を習いはじめて4年(ただしどちらもぼちぼちやっているため、年数から受けるイメージほど上達はしていません)と、ずっと音楽のある生活をしていたので、そもそも興味のある分野でもあったし、三線教室の姉弟子であり、一説にKY仲間といわれているHちゃんが、この春から音楽療法士として障害児の施設で活動をはじめた経緯もあり、音楽療法にはちょっと親しみがあった(と言うわりには何をするのか知らなかったのだが)。
著者は医学博士であるが、国立音大卒である。長く精神科病院や介護施設で活動してきた方なので、この本もコンパクトながら、具体例がとても多いし、がっちり気持ちの入った本である。
とにかく、教科書というには面白すぎるのである。
というか、いちいち自分のことに置き換えて読んでしまう。
音楽療法は、認知症の高齢者のケアで用いられることが最も多い。
重度の認知症の人であっても、昔好きだった歌、よく歌った歌、思い出のある歌は旋律が流れるや否や歌詞が自然に出てきて、その歌を最後まで歌えることが多い。
そして瞬時にその当時の記憶や感情が甦ってくるのである。
音楽は身近にあって、簡便にQOLを向上させることのできる道具であることを実感する。(「はじめに」より)
もしもわたしが将来認知症になったら(今でも相当あぶないが)、「でんさー節」だけは歌えるかもしれない。
そのとき瞬時にいや~な記憶や感情が甦ってこないように、今年の沖縄民謡コンクールはどうにか合格したいものである。(昨年は涙をのんで不合格、今年6月末にリベンジ予定です)
音楽療法を行なうのに適した時間は、
いつから始めても構わないが、あまり早朝だと発声が困難なこともある。
したがって午後一番から始めて、セッション後に「おやつ」というのが妥当であろう。
これはまるで所属の三線教室の実況中継?ではないか。
最近は、演奏中の生理的な変化をとらえたエビデンスが出てきている由。
NK細胞が増加したセッションでは、だんだん曲のテンポが速くなっていたことが記述されている。では、対象者のNK細胞の増加をめざして、自分のセッションでも曲をaccelerando(だんだん速く)していこうかと考えること、これがEBMである。
そういえばわたしは三線でもクラリネットでもやたらだんだんテンポが上がっていってしまうくせがあるらしいのだが(自覚なし)、本能的にNK細胞を高めていたのだろう。(嘘)
精神科病棟での音楽療法についても書かれている。
選曲はメンバー全員で自主的に行なうようにしてもらっているが、なかなか曲が決まらないことが多く、もめにもめることもある。
先日、10月に開く予定のクラリネットアンサンブルコンサートの企画打合せをしたのだが、2時間弱のコンサートの選曲に3時間くらいかかった!
9月に横浜の関内ホールで開催する三線道場の発表会の演目決めもそろそろ準備しなくてはならないのだが、これまたなかなか決まりそうにない予感・・。
まあ、精神病棟であろうがなかろうが、こういうものは「全員で自主的に」やりはじめたらまちがいなく決まらないです、ハイ。
ところで音楽療法は、歌だけでなく、ベルや打楽器を使ったりするのだが、
和太鼓は人気の楽器で、歌は歌わないが、和太鼓なら叩くという男性もいる。
おお。これはワタシのことだ!
このGWは半年ぶりに那覇にいき、同門の三線教室の発表会で太鼓伴奏を手伝わせてもらうことになっている
なぜかわからないが太鼓をたたけるのはウキウキで、こんな楽しいことはそうそうあるものではなく、ちょっとやそっとの更年期障害なら吹っ飛ぶに違いない!(予想です。)とさえ思える。ホント、楽しいですよ。
ともあれ、音楽が人のQOLを高めるというのであれば、私はまちがいなくその恩恵を受けているなあ、としみじみ思う読書だった。取材ももちろん、楽しかった。
写真は、大阪・梅田の沖縄民謡酒場「島唄ライブ琉球」の天才少女(6歳)。
伊是名島出身のオーナーのお孫さんだが、小さい手で早弾きしちゃうのだ。
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