医療ライターのいもづる話 by 中保裕子

マーケティングプランナーから医療ライターへ。地域医療、地域包括ケアシステムの存続にはマーケティングも必要です。

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不妊治療の始めどき~少子化の理由(2)

2006-08-31 19:21:44 | 医療・健康

さて、前回(早くも1ヵ月半前!ごめんごめんごめん。)のつづき。
今度は河合蘭・著「未妊~『産む』と決められない」を読んだ。
「医療ライター」も充分範疇は狭いと思うが、河合さんはさらに「お産」を専門にしている、数少ないライターである。

著者は、20代の出産は減っている代わりに、30代、40代の「駆け込み出産組」が大幅に増えていることを取り上げ、その背景として、企業内でキャリア組に対しては半ば公然と「子供は産まないで」と暗に圧力をかけたり、「君が産んだら(職場は)大変だ」とクギを刺すようなことが行われており、男女雇用機会均等法の実態は「産まないなら均等」という“均等”だ、と述べている。

特に、私が仕事柄気になったのは不妊治療についての記事だ。
あまりにも多くの人が、40歳近くなってから
不妊治療を始めたいと駆け込んでくる、という。

医師が「あなたの年齢では妊娠能力はだいぶ落ちている」というと、「そんなことは誰にも教えてもらっていない」と言うのだそうだ。

以下、国立成育医療センターの医師の話から引用:

「・・・中学でも高校でも、保健体育の時間で教えてもらっていない、と言うのです。どこかで確実に伝えられるシステムが必要なのではないですか。僕ら医者が診療室で一人ずつ話していたって、埒があかないですよ。・・・(略)『でも、まだ今は仕事をしたい』というならそれは個人の選択の自由だけど、知らなくてチャンスを逃してきた人がたくさんいるのはよくないと思いますよ」

私も不妊治療の専門医に以前取材をしたことがあるが、「35歳以上は断っている」という医師もいる。

意外にこのことは知られていないらしい。
私の友人も「どうするの?」という話に及んだとき、
「40歳になったら、そろそろ・・・」と言っていた。

うーむ。。。それじゃあ、遅いんだって。

年齢的な限界を知らずに、成功率の低い治療を、高い費用と多大な時間、精神的エネルギーをかけて受ける。
うまくいけばもちろんハッピーなのだが、全年齢を通しても体外受精の成功率は20%強。
年齢が上がれば、さらに低くなる。
本人の努力が必ず報われる、というものじゃないのです。
がんばったのに夢はかなわず、「不妊うつ」になる女性も少なくない。
そのことがあまりにも知られていないのじゃないかと。

だから・・・少子化対策として、ただ不妊治療を健康保険適用化すればいいという考え方には、とても賛成できないのですね。
国策として行う以上は、費用対効果を証明した上で制度化するべきだと思う。
そうでないとこの施策はパンク寸前の国保にとって痛みが大きすぎる。

今もすでに、多くの自治体が不妊治療に対する補助金を出している。
20万円までは補助されるらしいので、治療を受けたい人にはチャンスが広がる。
でも、「受けさえすれば誰でもハッピー」というようなものではないという現実を、
ちゃんと知ったうえで受けることを、切にお勧めします。

行政側も、無尽蔵に補助を出し続けられるわけではない。
治療を受けるチャンスを広げる一方で、最低限、中学・高校できちんと性教育を行って
●不妊治療には年齢的限界があること、
●性行為によるクラミジアなどの感染症も、女性はあまり症状が出ない場合もあるものの、将来不妊につながる可能性があること
などをしっかり教えること、それが前提条件、でしょう。
それを教えることなく、不妊治療受診だけを促進するのは、バランスが悪すぎる。

とかく、学校教育では性教育には及び腰になりがちで、それというのもPTAが神経過敏になり「寝た子を起すな」式の大反対で実施できない、という話。
その実、当の子どもたちはとっくに「起きて」いるのだけど・・・。

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