「生きる力がわく『がん緩和医療』」(向山雄人)を読んだ。
苦痛の除去を主とする緩和医療は、「本当に必要になるのは再発・転移してから」だが、痛みや吐き気はがん闘病に向かう体力も気力も奪うので、初期から行うべきだということだ。
2007年にがん対策基本法が施行されてから、緩和医療の充実は国のがん対策の柱のひとつになった。でも、まだまだ「緩和医療=あきらめの医療」というイメージをもつ人が多く(もしかしたら医療従事者にも!)「これから緩和医療を受けてもらいます」と言われた日には、驚いたり、「もはやこれまで」と嘆いたりする人もあると思う。いま、国や学会はキャンペーンを張って、誤解の払拭につとめている(オレンジバルーンプロジェクト)が、この本を読めば、“現在の”緩和医療のコンセプトがとてもよくわかる。
緩和医療の主役は、いうまでもなく医療用麻薬、モルヒネだ。もう題名も忘れてしまったが、麻薬というものが、いかに人間の歴史に必要なものだったか、が書かれた本を読んだことがある。あまりにも昔読んだので、多少の記憶違いはお許しいただくとして、エジプトのピラミッドの建造で、輸送機材もないなか重い石を運ぶ苦痛を和らげるのに、コカの葉をかんで歩いたとか。コカの葉はコカインの原料になる。緩和医療でコカインは使われないだろうが、麻薬の本来の価値とは、こうした肉体の苦痛を軽減することにあるのであり、専門家が適量を使えばまぎれもなく有益な「薬」なのだ。
緩和医療は早くから受けるとして、問題は「抗がん剤をいつまで続けるか」だ。
先週品川で米国のがん患者団体「Annie Appleseed Project」の代表 Anne Fonfaさんの講演会があった。Fonfaさんは、もともと化学物質にアレルギーがあり、手術は受けたものの化学物質は受けられなかった。放射線治療に関しては医師の説明が十分なものではなかったらしく、これは自分の意思で受けなかった。そのためCAM(代替療法)に詳しく、さらに米国の医学界でアドボカシ―活動をしている団体だ。「医師の説明を受ける時も、市民公開講座などでも、患者はもっとどんどん質問すべきだ」ということで、後半1時間はQ&Aコーナー。ある患者の家族が質問した。「81歳の父のがんが再発したのだが、抗がん剤治療を受けようとしない。家族としては受けてもらいたいのだがどう説得したらよいでしょうか」。
Fonfaさんは、こう答えた。
「家族や周囲の意見が、必ずしも本人にとって良いこととは限りません。」
含蓄深い。。抗がん剤治療に要する体力を考えたら、年齢は慎重に考えざるを得ないと思う。また、何より「本人」の意志が尊重されるべきだろう。ただし、本人にしろ家族にしろ、正しい情報を知ったうえで結論を出すことが大事だと思う。何も知らないのにイメージだけで「麻薬は廃人になるから」「抗がん剤はこわいから」ではきっと損をする。では、どう判断したらいいか。長くなったので、そのあたりはまた次回に。
しっかしアヂーですな。。
この3連休はどこにも行かず、ほとんど家から出ていません。来週は大阪、再来週は松山と相変わらず平日は出張が多いので、連休くらい出かけず、のんびりうちにいたいし。(→原稿仕事がたまっていてどこへも出かけられないという裏事情も)。
ともあれこのお天気のおかげで3日連続洗濯ができ、しかもパリパリに乾くシアワセを満喫しています。結構、家事のなかでは好きなんですよ。洗濯が。今日はこれからまた仕事をして、あと出来たらバスクラのパート譜をスキャンしておきたいなあ。そこまでやれるかなあ。
結構重い話が続いたので、ちょっと緩和休題でした。写真も甘めに(笑)
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