医療マーケティングの片隅から

医療ライター・医療系定性調査インタビューアーとして活動しています。独立30年を機に改題しました。

不妊治療と放射能汚染と。

2006年03月12日 | レビュー

ダニエル・キースの最新作「タッチ」を読んだ。

結婚4年目、不妊に悩む夫婦。
不妊治療のストレスで、二人の関係は最初からぎくしゃくしている。(ありがち!)
そこへ、降ってわいた災難。
夫の勤める自動車会社の研究施設から、放射線がもれ、技師の車で毎日通勤していた夫は「放射線ちり」を自宅に、妻に、そして市内のいたるところに撒き散らしてしまう。

ことが明らかになるにつれ、嫌がらせの電話や投石が続き、半狂乱になりそうな日々。
被害者なのに、いつのまにか加害者にされている妻と自分。
会社はことなかれ主義で、穏便に示談ですませようとするが、その額はあまりにも小さい。
もはや、周りの誰もが敵。
自分もまた、災難をもたらした技師に対し、やり場のない怒りをぶつけてしまう。

そんな最悪の状況で、奇跡的に妻の妊娠が判明。
躊躇なく「産もう」と決心する妻。
ここでもまた夫婦の間には温度差がうまれ、ぎくしゃくは絶高潮になるのだ。

そして、結末は・・・・書きません!もちろん。

新刊かと思って読んだら、なんと原書は1968年刊。
なぜかわからないが、初版時は翻訳されなかったらしい。
ダニエル・キイスがこの小説を2003年に改訂して、あらためて世に出したのは

「放射能汚染の危険が、事故や、廃棄された医療用、産業用機器の盗難、放射性廃棄物の不適切な処分などによって、今日、ますます増大しているから」

だそうだ。

放射性廃棄物というと、つい原発施設を思いうかべてしまうが、
実際は、企業や研究施設、病院など多くの施設で扱われている。
そしてずさんな管理による「紛失」は頻繁に起こっているらしい。

ところで、最近人気の放射線診断機器PETについても、当然放射性廃棄物が出る。
2年前にこの廃棄方法の規制が緩和されたが、ホントに緩和しちゃってよかったのか?
素人目には疑問が残る。
皆さんはこのことをご存知でしたか?
少なくとも、この緩和に便乗して放射線管理の「ずさん化」が進まないように願うばかりだ。

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地域医療賞

2006年03月07日 | 仕事

今年も「ノバルティス地域医療賞」の受賞者が決まり、1月末にホテルオークラで授賞式があった。

日本医師会が主催し、永年地域医療に携わってきた医師を全国から5人選んで表彰している。

簡単にいうと、ニッポンの赤ひげ先生、なわけです。

4年前から、私はこの賞の記念誌の原稿を担当している。
受賞した先生に会い、インタビューを録り、ルポ風にまとめる。
写真家の齋藤亮一さんが録る、見事なモノクロ写真が主役。

どんなにがんばっても、齋藤さんの写真ほど雄弁に人柄を語ることは文章ではできないのだが、
ひとりの医師の生きてきた軌跡と、人柄を、「お祝い」という文脈に載せて
少しでもリアルに伝えること。
・・・
それが私の役目。

さすが赤ひげ先生方は人間味あふれる、魅力的な方が多い。
それをうまく引き出したくて、ともかくインタビューには時間をかけている。

というか、
かけざるを得ないのですね。

受賞する医師はだいたい70歳以上。これまでに90代の先生も何人も・・・。
その人生のものがたりを聞こうというのだから。

結局、丸2日くらい滞在してじっくり話を聞く。
本人だけでなく、ご家族、患者さん、関係者・・・とても多くの人たちに会う。

写真は与那国島にいまもある「Drコトー診療所」の撮影セット。
ホンモノのコトー(吉岡くんじゃありませんよ。モデルになった実在の甑島・瀬戸上先生です)にもこの仕事でお目にかかった。

毎年、春先はこの取材のため出張シーズンになる。
今年は、北は岩手県の三陸海岸、広島県の福山から1時間くらいにある府中市、愛媛の伊予西条、三重県の嬉野、南端は宮古島。
この5箇所にいくことになった。

再来週、21日からまず広島で取材し、そのまま車で伊予西条へ移動。
5日間の取材旅行
が今年の皮切りになる。
関係者の皆さん、どうぞよろしく!

そして・・・今からあやまっちゃお。
留守中ご迷惑をおかけするであろう東京の皆さん、どうぞおゆるしを!

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