てつがくカフェ@ふくしま

語り合いたい時がある 語り合える場所がある
対話と珈琲から始まる思考の場

はじめてのてつがくカフェ in A・O・Z報告2021.6.5

2021年06月06日 07時00分00秒 | 世話人のつぶやき
6/5㈯にアクティブシニアセンターAOZ(以下アオウゼ)で行われました

第2回目の「はじめてのてつがくカフェ」について

世話人の石井が報告をさせていただきます。



昨年の10月に「はじめてのてつがくカフェ」と題して、

これまで「てつがくカフェ@ふくしま」に参加されたことのない方を対象に

アオウゼで「てつがくカフェ」を開催させていただきましたが、

好評につき今年度も同じ参加条件で募集したところ、

前回の参加人数(8名)を上回る20名もの方にご参加いただきました。



さて、前回はテーマは事前に決めずに、

当日参加者同士の話し合いで進行いたしましたが、

今回は「老い、そして若さとは?」といったテーマで語り合いました。



講師の先生の講演を聞くというスタイルのいわゆる講座とは違い、

講師は進行役となりテーマについてそれぞれ参加者同士で対話をはかるといった

「てつがくカフェ」の形式に初めての方は戸惑われたかと思いますが、

イベント自体は活発な議論が展開されておりました。


ここで参加されたみなさまのご意見を一部ご紹介させていただきます。

【老いについて】
・経験を積むこと=老いにも価値がある

・年を取ることは達成感を得られて嬉しい

・老いを感じるとき:病気や物忘れ、身体の衰え、時間の経過が早いなど

・心と身体の乖離がある

・退職後どうすればいいのか不安
→アオウゼで開催している講座などに参加してみては?

【若さについて】
・経験不足、無鉄砲さ、好奇心

・年齢は関係なく「今日用がある、今日行くところがあること」が大事

【シニアについて】
・経験を語り継ぐことが重要(戦争体験、3.11、コロナなど)

・年下に「説教」「自慢話」「思い出話」ではなく、「褒める」「将来の夢や目標を聞く」「謙虚に学ぶ」ことが出来る年上の方を尊敬している

【若者について】
・年長者からの抑圧への抵抗から新しい文化を作ってきた(カウンターカルチャー)

・若い世代が年長者の話を聞かないのはなぜか?
→自分の話しかせず、相手の話を聞かない相手との交流は望んでいないのでは?(「大丈夫です」という言葉で年上の話をブロック)


最終的な板書はコチラ







「てつがくカフェ」いかがだったでしょうか?

色々な意見を聞けて満足できた方、思っていたのとは違った方など

参加してみた感想はそれぞれ違うかと思いますが、

これを機に誰もが対等に何でも自由に思ったことを発言していい場として、

「てつがくカフェ」に少しでも興味を持っていただければ幸いです。



「てつがくカフェ@ふくしま」は

毎月一回、様々なテーマで開催しておりますので、

「ちょっと自分の話を聞いてもらいたい」

「みんなはどう思っているのかな?」

位の気持ちでお気軽にご参加していただければと思います。

祝・「てつがくカフェ@ふくしま」10周年!

2021年05月21日 18時00分00秒 | 世話人のつぶやき
忙しさにかまけてすっかり忘れておりましたが、
「てつがくカフェ@ふくしま」は2021年5月をもって10周年を迎えました!
飽きっぽい世話人がよくもまあ、毎月1回、10年間も続けてこられたものです。
よっぽど本人の性に合っていたというか、やっていて楽しかったのでしょう。
それもこれもすべては参加者の皆さまのおかげです。
これまでのご愛顧に心より感謝申し上げます。
これからもコロナに負けず開催していく所存ですので、
何とぞよろしくお願い申し上げます。

過去10年分のテーマ一覧をこちらに掲載しておきます。
これを眺めながらお祝いの Zoom 飲みでもいたしましょう!













はじめてのてつがくカフェ in A・O・Z報告2020.10.23

2020年10月30日 00時23分32秒 | 世話人のつぶやき
先日アオウゼで行われましたてつがくカフェについて

世話人の石井が報告をさせていただきます。



会場はアオウゼの多目的ホールで、18時から19時半まで

参加対象を「今までてつがくカフェに参加されたことがない方」で募集したところ

関係者含めて8名の方に参加いただきました。



テーマは事前に決めずに、

当日参加者同士の話し合いで「老い」となりました。


会場のアクティブシニアセンターらしいテーマとなりましたが、

内容は定年退職者の居場所の話から、

介護の問題、老いとは精神的なものか肉体的なものかといった認識の話から

アオウゼで今後開いてほしい講座の要望まで多岐にわたって話し合いました。





初参加の方だけで行なわれたてつがくカフェでしたが、

活発な話し合いとなったので、世話人として参加された方にはご満足いただけたのかなと思った次第です。



またアオウゼさんからも継続的に語らいの場として設けていければと

次回の開催に向けて前向きなお言葉もいただけましたので、

今後も開催する際はブログで告知させていただきます。


最後に今回は参加を見送った方も

二の足を踏んでいらっしゃる方も

次回の開催の際には、

「とりあえず、アオウゼに行ってみよう」

「まずは、皆さんのお話を聞いてみよう」

「ちょっと話を聞いてもらいたい」

位の気持ちでご参加していただければと思います。




てつがくカフェ@ふくしまのメールアドレス復活!

2020年01月23日 18時54分04秒 | 世話人のつぶやき
本ブログの左側のプロフィール欄に記載してある
《お問い合わせ先》のメールアドレスですが、
長いあいだ放置状態にありました。
メールアドレス自体は残っているのですが、
世話人の小野原がそのメールチェックをする余裕がなく、
しばらくほったらかしにしているうちにログインパスワードも忘れてしまい、
完全に見ることができなくなってしまっていました。
したがって最近では、ポスターに記載するメアドは自分の大学アドレスにするなど、
公式メアドは完全にダミーと化しておりました。

しかし、新しく世話人になった石井が広報・宣伝体制の立て直しをはかってくれるなかで、
連絡先メールアドレスに届いたメールを読むことができないどころか、
メールが来ているのかどうかすら確認できない現状にあきれはて、
旧世話人は厳しく叱責されました。
で、怒られながらいろいろと試行錯誤を繰り返してみた結果、
なんとかかんとか「@ふくしま」のメアドを復活させることに成功しました。

久しぶりにログインしてみるとなんと1,000通近くの未読メールがたまっておりました
ほとんどは gooブログの事務局から届く迷惑メールブロック通知だったりするので、
実害をおかけした方はいらっしゃらないことを願っておりますが、
もしもあのメアドに何度も連絡したのにまったく返信をもらえず頭に来た、
なんていう方がいらっしゃいましたら、本当に申しわけありませんでした
今後はこの《お問い合わせ先》のメールアドレスは復活し、
世話人の石井が適切に管理してくれることになりましたので、
ここに謹んでご報告申し上げます。
何か質問や個別の依頼等がある場合には、
ブログのコメント欄とともに、下記のメールアドレスもぜひご活用ください。

fukushimacafe@mail.goo.ne.jp

新年のご挨拶

2020年01月03日 20時50分09秒 | 世話人のつぶやき
てつがくカフェのブログをご覧いただいている皆様

新年、明けましておめでとうございます。

平素はてつがくカフェをご愛顧を賜わり、厚く御礼申し上げます。

旧年中は、多くの方々にご参加をいただき、誠にありがとうございます。

昨年度はサイゼリヤで懇親会を行い

飲む人と飲まない人で完全に別会計とする新方式が採用されたり、

不定期で作成し、イベントの3日前に会場のみで掲示していたポスターも

2019年の2月からは毎月ポスターを作成し、1か月前から市内8か所に掲示するようになったり、

より多くの方々に活動を知ってもらおうとパンフレットを作成したりと、

立ち上げてから9年目を迎えるてつがくカフェですがここ1年で色々と変化してきております。

これもひとえにご参加いただきました皆様からの貴重なご意見とお力添えのおかげと感謝しております。

重ねてお礼申し上げます。

今後も皆様の声に耳を傾けながら少しずつ出来ることから始めていきたいと思っておりますので

今後も忌憚なきご意見を頂ければ幸いに存じます。



さて、新しい年を迎えたところで

ここで初心に帰って、

てつがくカフェについて軽くご説明させていただきます。

てつがくカフェはだれでも自由に安心して何でも話せる場として、

福島市内で「対話の空間」を提供しています。

世の中にはこうした「何を言ってもいい空間」はほとんどなく、

言葉尻をとらえて攻撃したり、

どちらが正しいか争ったり、

低い評価を下して相手の意見をつぶしたりすることがあります。

しかし、てつがくカフェは

そうした「ものを言えない環境」ではなく

一人ではなく他者と共に考えること

言い換えると「共同で思考を深めていく作業」としての対話を重視しています。

専門的な知識を必要とせず、

自分の経験に即して

コーヒーを飲みながらリラックスした雰囲気で

お互いが自由に考え自由に語る

そんな多様性と自由と寛容の形としての

「対話の空間」を毎月開いております。



そんなてつがくカフェですが、

今後の開催の予定としましては、下記の通りとなります。

・1月18日(土) 16:00~18:00 福島市市民活動サポートセンター 多目的ホール 「人気とは何か?」

・2月15日(土) 16:00~18:00 福島市市民活動サポートセンターA-1会議室 「日本は近隣諸国とどう付き合うべきか?」

・3月07日(土) 13:00~17:00 福島市市民活動サポートセンター 多目的ホール 「哲学対話と教育復興」

・4月18日(土) 16:00~18:00 開催場所未定「テーマ未定」

長くなりましたが、2020年もより一層のご支援、お引立てを賜りますようお願い申し上げます。

本年も何卒宜しくお願い申し上げます。

世話人一同



てつがくカフェ@ふくしまポスター掲示先紹介

2019年12月26日 22時51分22秒 | 世話人のつぶやき
てつがくカフェ@ふくしまは、

毎月異なるテーマでイベントを開催しておりますが、

毎月テーマに合わせてポスターも作成しております。

その毎月のポスターですが、

現在福島市内計8か所の施設に掲示していただいております。

今回はそのポスターを掲示している場所を写真付きで紹介したいと思います。

・福島大学


【M棟1階の人間発達文化学類の掲示板】


【人間発達文化学類棟3階の大学院掲示板】

・金谷川駅


【駅の階段を上ってすぐ左手側にある掲示板】

・福島駅は見当たらなかったので、もし見かけた方は教えてください。

・AOZ(MAX福島4階/福島市アクティブシニアセンター)


【エレベーターから降りて左手側にある多目的ホール横の掲示板】

・まちなか交流スペース(旧男女共同参画センター/ウィズもとまち)


【自動ドア入ってすぐのスペース】

・チェンバおおまちビル1階

【北側入口(東邦銀行本店側)から入ってすぐの自動ドアの前】

・チェンバおおまち3階の福島市市民活動サポートセンター

【福島市市民活動サポートセンター(3階フロア)の廊下】

以上8か所となっております。

今回はてつがくカフェのポスターを掲示していただいている

施設の皆様に感謝を込めて、ご紹介させていただきました。

もし上記の施設にお立ち寄りの際は、

ついでにてつがくカフェのポスターも見て頂ければと思います。

常時用(年間)ポスター&パンフレット掲示場所募集!!

2019年12月17日 10時41分14秒 | 世話人のつぶやき
てつがくカフェ@ふくしまのパンフレット完成については
先日告知させていただきましたが、
実は裏で常時用(年間)ポスターも作成しておりました。
画像はコチラ↓



毎月のポスターですと掲示期間(1か月程)が短く、
開催日を過ぎてしまうとすぐに剥がされてしまいます。
そうした点から、
常時団体の活動をPRする方法として専用のポスターを作成したという次第です。

さて、パンフレットと常時用(年間)ポスターも出来上がったということで、
ここで、てつがくカフェ@ふくしまPRのため
ポスターの掲示先およびパンフレットの配架先を募集したいと思います。

てつがくカフェ@ふくしまは、
現在お店や企業、学校や公共施設などで、
ポスターおよびパンフレットを掲示・配架していただける場所を募集しています。

ご応募いただいた方には、
てつがくカフェ@ふくしまより
イベント当日の会場で、
ポスターおよびパンフレットをお渡しいたしますので、
イベント当日の会場で世話人にお声かけ頂くか、
またはお問い合わせ先(下記参照)からご応募ください。
(当日ご応募された方は次回以降の開催時にお渡しさせていただきます)

お渡しするポスターのサイズはA2(420×594mm)、
パンフレットのサイズは三つ折りA4となります。
部数には限りがあります。在庫がない場合はご容赦ください。
なおポスターのみの掲示、パンフレットのみの配架でも結構です。

ご応募される方は、
直接会場にお越しいただくか、または問い合わせ先に、
件名「常時用ポスター&パンフレット掲示場所応募」と明記の上、
1.名前
2.参加する日付とテーマ(原則会場での受け渡しとさせていただきます)
3.メールアドレス(こちらより折り返し連絡しますので、必ず記載してください)
4.掲示(配架)していただける場所
5.必要部数(例:ポスター1枚、パンフレット30部)
をご記入の上、送信してください。
後日、世話人よりメールにて折り返し連絡させていただきます。

【問い合わせ先】
小野原 雅夫(福島大学)
メールアドレス:onohara@educ.fukushima-u.ac.jp

皆様のご応募お待ちしております。

てつがくカフェ@ふくしまパンフレット完成!!

2019年12月03日 16時30分39秒 | 世話人のつぶやき
てつがくカフェ@ふくしまのパンフレットが遂に完成いたしました。

画像はこちら↓






A4サイズの三つ折りタイプとなります。

こちらのパンフレットは新世話人・石井の発案で、

てつがくカフェ@ふくしまってどんな団体?

何をしているの?という疑問に答えるために作成いたしました。

てつがくカフェ@ふくしまに参加したことのある方から、

今度初めて参加しようと思っている方、

興味はあるけどどんな集まりかちょっと不安に思っていらっしゃる方まで、

ぜひこちらのパンフレットをご覧になってみてください!

なお次回以降のてつがくカフェでも、会場内で配布していきたいと思います。

また福島市内の公共施設(学習センター等)でも、

年明け頃にはこのパンフレットが配架される予定ですのでお待ちください。

常連さんたちの人気に胡座をかいて、新規参加者の開拓を怠ってきた旧世話人に代わり、

新しい世話人が他にもいろいろと作戦を練ってくれています。

乞うご期待!

「てつがくカフェ@ふくしま」 の歩み

2013年11月15日 17時10分40秒 | 世話人のつぶやき
「てつがくカフェ@ふくしま」 はあまり勤勉でない世話人が2人で、
先のことなど考えずその場の思いつきとノリで何とかここまでやってきましたが、
ふと振り返ってみると、毎月1回のペースでもう2年半、すでに30回も開催しています。
先日、てつカフェ番外編として、「なぜ私たちはてつがくカフェに集うのか?」 のテーマで、
常連の皆さんにお話をうかがう機会を設けましたが、
なんだかこのところちょっとノスタルジーというか、回顧モードに入っているところです。
7月の 「哲学カフェ@しぞ~か創設記念講演会」 や、
先日の福島フォーラムさんとの打ち合わせのために、
これまでの 「てつがくカフェ@ふくしま」 の歩みをまとめてみましたので、
こちらにも掲載しておきます。
いろんなテーマで話し合ってきたんだということがおわかりいただけるのではないでしょうか。
ぼくたち頑張ってるよね。


            「てつがくカフェ@ふくしま」 の歩み

 開催日            回数                    テーマ
2011/ 5/22   第1回てつがくカフェ@ふくしま   「いま、〈ふくしま〉で哲学するとは?」
2011/ 6/25   第2回てつがくカフェ@ふくしま   「〈ともだち〉とは誰か?」
2011/ 8/ 6   第3回てつがくカフェ@ふくしま   「〈男女〉の友情は成り立つのか?」
2011/ 8/27   第4回てつがくカフェ@ふくしま   「血は水よりも濃いのか?
                                   ―家族はどこまで他人か?―」
2011/ 9/24   第5回てつがくカフェ@ふくしま   「〈正義〉って何だろう?」
2011/10/22   てつがくカフェ@ふくしま特別編   「いま、健康をてつがくする
                                   ―福島で人間らしく生きるために―」
2011/11/26   第6回てつがくカフェ@ふくしま   「〈安心〉は共有できるか?
                                   ―放射能をめぐる〈温度差〉とは何か?―」
2011/12/23   第7回てつがくカフェ@ふくしま   「〈対話〉と〈和〉の精神」
2012/ 1/21   第8回てつがくカフェ@ふくしま   「幸せって何だろう?」
2012/ 2/18   第1回本deてつがくカフェ      『dream body』
2012/ 3/10   てつがくカフェ@ふくしま特別編2 「あれから1年 〈3.11〉で何が変わったか?
                                   ―震災・原発をめぐって―」
2012/ 4/21   第9回てつがくカフェ@ふくしま   「悪法にも従わなければならないのか?」
2012/ 5/19   第10回てつがくカフェ@ふくしま  「切実な〈私〉と〈公〉、どちらを優先すべきか?」
2012/ 6/23   第2回本deてつがくカフェ      カフカ 『断食芸人』
2012/ 7/21   第11回てつがくカフェ@ふくしま  「教育を再生するとは?」
2012/ 8/25   第12回てつがくカフェ@ふくしま  「愛と恋は何が違うの?」
2012/ 9/29   第13回てつがくカフェ@ふくしま  「おカネは大切か?」
2012/10/27   第3回本deてつがくカフェ      ジョージ・オーウェル 『動物農場』
2012/11/23   第14回てつがくカフェ@ふくしま  「わたしの身体はわたしのものか?」
2012/12/23   第1回シネマdeてつがくカフェ    『声の届き方』
2013/ 1/27   第4回本deてつがくカフェ      サン=テグジュペリ 『星の王子さま』
2013/ 2/16   第15回てつがくカフェ@ふくしま  「躾と体罰はどう違うのか?」
2013/ 3/10   てつがくカフェ@ふくしま特別編3 「フクシマはどこへ? ―絶望と怒りの淵から―」
2013/ 4/13   第16回てつがくカフェ@ふくしま  「〈ならぬことはならぬもの〉なのか?」
2013/ 5/18   第5回本deてつがくカフェ      高橋哲哉 『犠牲のシステム 福島・沖縄』
2013/ 6/23   第2回シネマdeてつがくカフェ    『happy ―しあわせを探すあなたへ―』
2013/ 7/20   第17回てつがくカフェ@ふくしま  「脳死は人の死か」
2013/ 8/24   第1回哲学書deてつがくカフェ   ルネ・デカルト『省察』
2013/ 9/21   第18回てつがくカフェ@ふくしま  「結婚? する? したい? しない?」
2013/10/26   第19回てつがくカフェ@ふくしま  「ほんとうの〈ワタシ〉って何?」

第17回てつカフェのための資料

2013年07月18日 08時41分48秒 | 世話人のつぶやき
次回のテーマは 「脳死は人の死か」 ですが、
脳死の問題は、事実を知らないまま語ることのできない問題です。
人は、脳死とは何かや、脳死と植物状態の違いを知らないまま、
脳死臓器移植がよいことか悪いことかを語れてしまいますが、
事実を知ってみるとその議論がまったく空虚であったことが判明したりします。
ふだんのテーマでしたら、皆さんの常識や感覚、言葉に対してもっているイメージ等から出発して、
自由に思考の翼を広げていっていただければいいのですが、
特に今回の脳死臓器移植というテーマに関しては、
やはり事実を押さえておいた上で議論していただく必要があるでしょう。
(実は脳死や臓器移植に関しては事実を確定するのが難しいという面があるのですが…)
ですので、今回は簡単な資料を配付しようかと考えております。
今週のてつカフェに参加予定の方は、あらかじめざっと目を通しておいていただければと思います。


1.脳死と臓器移植の歴史

 1902年 人工呼吸の継続 → 23時間後死亡 → 死亡後解剖、脳が融解
 1936年 世界初の死体からの腎臓移植 (36時間後死亡)
 1940年代 移植免疫拒絶反応の解明
 1950年代 人工呼吸器の普及
         →「力強く脈打つ死体」 「超過昏睡」 「不可逆的昏睡」
 1963年 米、世界初の肝臓移植 (直後に死亡)
 1967年 米、世界初の肝臓移植の成功
      南ア、バーナードによる世界初の心臓移植 (18日後死亡)
 1968年 米、バーナードによる2度目の心臓移植 (9ヶ月生存)
      日、札幌医大の和田寿郎による日本初の心臓移植 (83日後死亡)
         → 殺人罪で告発 → 証拠不十分のため不起訴
         → これ以降日本では脳死臓器移植はタブーに
      米、ハーバード大学が脳死判定基準作成  → 「脳死 brain death」 概念の登場
 1980年代 免疫拒絶反応抑制剤 (シクロスポリン) の普及
         → 臓器移植の成績が向上し、脳死臓器移植が世界的に普及
 1985年 日、厚生省の脳死判定基準 (竹内基準)
 1992年 日、脳死臨調の答申 「脳死は人の死」
 1997年 日、臓器移植法施行
 1999年 日、臓器移植法の下での初の脳死臓器移植 (改正まで86件実施)
 2009年 WHOが渡航移植を規制する方針を表明
      日、臓器移植法改正
 2010年 日、改正臓器移植法施行 (改正後140件実施、2013年7月8日現在)


2.脳死とは何か?

 ①植物状態と脳死の違い
  植物状態‥‥脳幹は機能している
            ※呼吸,心拍,消化,代謝,ホルモン分泌等を司る
           自発呼吸がある

  脳死‥‥少なくとも脳幹が機能していない
         自発呼吸がなく、人工呼吸器が必要

 ②脳死をめぐる争点
  ・脳幹死 (脳幹さえ死ねば脳死) or 全脳死 (脳幹も大脳も含めて全脳の死が脳死)

  ・機能死 (脳の機能の不可逆的停止) or 器質死 (脳の細胞レベルでの死)

 ③脳死の定義の3種類
  A.脳幹の機能死  ex.イギリス

  B.全脳の機能死  ex.日本やアメリカをはじめとして多くの国々

  C.全脳の器質死  ex.ロシア、スウェーデン等


3.日本における脳死

 ①定義 「脳幹を含む全脳の不可逆的な機能停止」(=B.全脳の機能死)

 ②判定方法 厚生省基準 (竹内基準) 1985年作成
   イ.深昏睡
   ロ.自発呼吸の停止
   ハ.瞳孔散大
   ニ.脳幹反射の消失 (対光反射、角膜反射、毛様脊髄反射、眼球頭反射、前庭反射、咽頭反射、咳反射)
   ホ.平坦脳波
   ヘ.イ~ホの確認後6時間後に再検査


4.日本の臓器移植法の骨子

 ①改正前臓器移植法 (1997年) の骨子
   イ.医師は死体(脳死した人の身体を含む)から移植のために臓器を摘出できる。
   ロ.脳死した者の身体とは、移植のために臓器が摘出される予定で、
     全脳の機能が不可逆的に停止したと判断された人の身体をいう。
   ハ.脳死で臓器を摘出する場合の脳死判定は、
     本人が生前に書面で脳死と判定されたら死者として扱われることに同意しており、
     家族が判定を拒まない場合に限って行える。
   ニ.脳死の判定はこれを的確に行うために必要な知識、経験を有する
     2人以上の医師の行う判断の一致による。(摘出医、移植医は除く。竹内基準による。)
   ホ.脳死で臓器摘出ができるのは、死者が生前に書面で臓器を提供する意思を表示しており、
     遺族が摘出を拒まない場合に限る。
   ヘ.心臓停止後に腎臓又は角膜を摘出する場合は従来どおり、
     本人の提供意思が不明でも、遺族の同意で摘出できる。     
   ト.脳死した者の身体への処置の費用は当分の間、保険給付の対象とする。
   チ.臓器提供は15歳以上の者のみ可能とする。

 ②改正後臓器移植法 (2010年) の骨子
   イ.脳死は一律に人の死。
   ロ.本人の書面による意思表示がない場合、家族の同意のみで脳死者から臓器提供できる。
      (15歳未満の者からも、家族の同意があれば臓器提供できる。)
   ハ.本人の書面による意思表示があれば、近親者への選択的臓器提供ができる。

社会的立場を解除できるのか? 【世話人のつぶやき】

2012年11月29日 08時21分09秒 | 世話人のつぶやき
世話人の小野原です。
渡部さんのつぶやきに触発されて初めてつぶやきます。
私たちは2010年に 「てつがくカフェ@せんだい」 の取り組みに触れ、
これはぜひ福島でも開催したいと思い、年末だったか年明けだったかぐらいに、
「てつがくカフェ@せんだい」 を主宰している西村高宏さんに来福いただき、
「地歴公民学習研究会」 で哲学カフェについて発表してもらったことがありました。
そのときに 「てつがくカフェ@せんだい」 の 「活動趣旨」 のなかの文言が、
議論のタネとなりました。

「『哲学カフェ』 は、参加者間での会話がより促進されるように、先生や生徒、上司と部下などといった社会における役割関係をいったん解除し、フラットで気楽な対人関係のもとで進められる哲学的対話の試みのことです。」

「【哲学カフェの流れ】
社会における役割関係を解除し (自分の属性を軽視するわけではない)、会話が促進されるようなフラットな対人関係 (そこに集う誰もが平等な立場で考えて語ることが可能な場) にする。」

ここでいう 「社会における役割関係を解除する」 とはどういうことなのか、
そもそも社会における役割関係を解除することはできるのか、
カッコのなかで言われている 「自分の属性を軽視するわけではない」 とは何か、
その両者の関係はどうなっているのか、
といったようなことが問題とされました。
これはロールズが言うように、
私たちは 「無知のヴェール」 で覆われた 「原初状態における個人」 として考えるべきなのか、
それともコミュニタリアンが言うように、属性をぬきにした 「負荷なき自己」 など存在せず、
それぞれが背負っている社会的立場からしかものを考えることはできないのか、
という現代倫理学における大問題にも通じる難しい問題だと思います。

私はどちらかというとロールズ派なんですが、
しかし、社会における役割関係を解除したり、社会的立場を解除してものを考えるのは、
そうとう高度な思考実験であり、かなりの知的訓練が必要な営みだと思っています。
難しいから誰にもできないと言う必要はないと思いますが、
まず自分がそもそもどういう社会的役割を担い、どういう社会的立場に立っているのか、
これは1つだけではなく気づかないまま無数の役割や立場を背負わされてしまっていますので、
それらを自分自身で自覚することだけでもけっこうたいへんな作業です。
しかも自覚した上で、さらにこれらをいったんカッコに入れて、
その役割や立場から離れて不偏不党な観点から自由に考えてみようというのですから、
これはムチャクチャ難しい試みなのです。
ホッブズやロックやカントの社会契約論というのは、こういう思考実験を経て打ち立てられましたが、
のちにマルクスによって、あんなものブルジョワジーのイデオロギーにすぎない、
つまり、彼らは近代市民という立場にどっぷり浸かって考えていたにすぎないと批判されました。
ロールズもまたこうした批判を免れえないでしょう。
思考のプロですらそうなのですから、一般市民が自らの社会的立場を解除して考えるというのは、
そうとう困難な要求になるのではないでしょうか。

私はそのときの議論を聞いていて、自分の属性を軽視するわけではないけれど、
社会における役割関係は解除する、という要求が一般にはわかりにくいだろうなと感じました。
それと同時に、実はそこにはあまり力点は置かれていないのではないかとも思ったのです。
要するに大事なのは、フラットで気楽な、対等な関係の下に議論が進められることでしょう。
それを言うために 「役割関係を解除する」 とか 「社会的立場を解除する」 という表現を、
わざわざ使わなくてもいいのではないでしょうか。
たまたま参加者のなかに、職場で上下関係にあるような人がいた場合に、
今日だけはその上下関係のことは忘れて、対等な市民として話し合ってくださいね、
というだけのことでいいのではないでしょうか。
ある会社の社長さんと平社員が参加していたとして、
社長さんは資本家という立場でいろいろ考えるでしょうし、
平社員のほうは労働者という立場で考えるでしょうから、それはそれでかまわない、
ただ社長に遠慮して思ったことを言えないとか、社員なんだからオレの言うことに賛成しろ、
なんていうことは絶対にあってはならない、それだけでいいのではないでしょうか。

というような思考を経て、「てつがくカフェ@ふくしまの進め方」 を決める際には、
文言をだいぶ簡素化することにいたしました。

「1.お互いに対等な立場で話し合ってください。

1-1.参加者の中に例えば上司と部下、教員と教え子等がいたとしても、この場では上下関係は忘れて、対等な参加者として話し合ってください。
1-2.そのために 「○○先生」 など敬称をつけて呼ぶのはやめ、お互いに 「○○さん」 とかニックネームなどで呼び合ってください。
1-3.哲学その他に関する専門知識があるかないか、多いか少ないかということを争う場でもありません。知識の多寡ではなく、論拠の正しさによって議論を交わすようにしましょう。」

これだけです。
社会的立場や役割関係の解除といった表現は一切排除しました。
はたしてそれが正統な 「哲学カフェ」 の流儀に適っているのかどうか自信ありませんが、
一般市民に上述したような高度な思考操作を強いるよりは、
気楽に対等に話し合ってね、というぐらいのノリのほうが、
哲学カフェの本来の趣旨に沿っているのではないだろうかと判断したのです。
というわけで、渡部さんの問題提起はわたし的にはたいへん面白いのですが、
それはそれとしてまた別の機会に2人で話すか、てつカフェのテーマに取り上げるとして、
参加者の皆さんはそんなこと気になさらずお気軽に参加いただければと思います。
私としては、いまだにてつカフェの場で私のことを 「先生」 と呼んでしまう学生がいるので、
日頃の上下関係のあり方を少し見直してみたいと思います。