廃盤日記(増補改訂版)

めざせ!日本全国の中古盤店制覇!(by じみへん)

★桐山秀樹著 「旅館再生-老舗復活にかける人々の物語」 角川oneテーマ21

2008年07月16日 | BOOK
 
現在、読んでいるのがこの新書判 『旅館再生―老舗復活にかける人々の物語』 (角川書店刊)です。最近、充実したラインナップを出し続けている「角川oneテーマ21」シリーズの新刊ですね。税込価格720円。

本書のテーマは、ズバリ「旅館再生」。躍進を続ける星野リゾートほか、全国の老舗旅館の復活劇を徹底取材した一冊です。ちょうどバブル崩壊以降、一気に本格化した「旅館再生業」に関する導入事例が語られていますので、職業柄、個人的にはたいへん参考になりました。当たり前のことが当たり前のように書かれているのですが、「世間の常識は旅館業の非常識」と云われるぐらい超保守的な業界ですので、これが意外と新鮮に感じてしまえるところが悲しいところなのですが(苦笑)。日本旅館の9割以上が実は慢性的な赤字を抱えていると云われていますが、本書にはこれからの日本旅館が目指すべき「意識改革」と「サービス改革」の道標がいくつも提示されているように思えてなりませんでした。

「旅館再生」が成立したのは、たしかに「意識改革」や「サービス改革」だけでなく、ロケーションに恵まれていたからだとか、全国的に知名度が高い有名温泉地にあったからだ、と頭ごなしに否定してしまうのは簡単なのですが、復活を期して努力してきた人々の悪戦苦闘を知るということはやはり大切なのだと思う。結局はつまるところ、日本旅館の魅力は「人」にあるのだ、という結論に達したのだが、これはたぶんどんな商売をやっていても共通する真理なんだろう。奥が深い。