現在でも道を作るというのは、政治家にとって大きな選挙対策です。自分の力を誇示できるというわけです。それは古代からそうだったようで、下々の人間はけものみちに毛が生えたくらいでも使用上は問題ないのですが、為政者から見ると権威、権力発揮の場であり、国対国でみると国力誇示のものであったのです。有名なところではローマ帝国におけるローマ街道。現代のハイウェイに相当する道を帝国ないにはり巡りました。ローマだけでなく文明国家は立派な道を作りました。日本も古墳時代から飛鳥時代になって、朝鮮・中国と外交を繰り広げるようになると、使節を迎えた時にけものみちを通すわけに行かず、また大陸からの文物の流通のためにも立派な道を作るようになりました。大和から河内には直線を主体にした10m幅の道路が作られました。地盤改良までして作った道です。その古代道は平安京になるころには廃れたわけですが、5世紀、6世紀の飛鳥時代までには日本でも立派な道が作られることがあったというのは、ローマよりはかなり遅いですが世界史的には立派なことでありますね。
「道が語る日本古代史」近江俊秀 朝日選書
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