宮美庵

幸せはいつだって、わたしの中に。

幸せは どんなときも 私の中に・・・

「介護」という言葉は、心に馴染まないけれど・・・

2017-03-24 22:08:34 | 家族・親戚

昨日のお昼のこと・・・

父から電話がかかってきた。必死の声で「助けてくれ」と。

手短に話を聞いてから、私は車を走らせた。

我が家と実家が車で10分かからないことが本当にありがたかった。

 

顛末はこういうことだった。

朝から母は、最近時々そうなるように、父を夫と認知できずにいた。兄とか父親だとか だと・・・。

そのことが納得できない父は、自分のことを思い出させよう、わからせようとし続け、

必死さのあまり、強い言い方をした。

母はますます混乱した。

午後は眼科受診のため医大に行くことになっていたが、

父に対して頑なになってしまい、一緒に行くことに抵抗した。

そこへだけは自分が公共交通機関で母を連れて行きたいと私に断り続けている父は

焦り始めたらしく・・・

とうとう怒って、

母を力づくでソファから立たせ動かそうとしたらしい。

母は「変な酔っ払いとなど一緒に行けない!」と、

ついにパニックのようになってしまった。

そうして・・・

どうにもならなくなった父は、やっと私に電話をかけてきたのだった。

 

 

私が着くと、父は本当に情けなさそうに説明をし、

母は母で「変な酔っ払いのせいで、もう!訳がわからない!」と訴えてくる。

母の前に座って、何も否定せずに、ゆっくりと話を聞いた。全然関係ない話題で笑いながらおしゃべりもした。

母は落ち着きを取り戻し、一緒に笑い、いつもの母に戻った。

そして病院の予約に間に合わなくなることを気にし出した。

 

父には、母の混乱は「父が怒ったせい」だから、とにかく否定せず優しく接してと話した。

父は「頭では分かってはいるけれど、いくら言ってもだめだから怒ってしまった」と、とても悲しそう・・・

そして母に「ごめんな・・」と優しい言葉をかけた。

 

母だけ連れて病院へ行こうとも思ったけれど、

今度は父が「俺はもう生きてるのが嫌になってきた・・・一人で家にいたらもう・・・」

なんて情けない表情で言い出したので、

「お父さんを一人で家に置いていくのは心配だね」と母に話すと、

「うん、一人にするのは心配だからパパも連れて行こう!」と言う。

もう完全に落ち着いて、元に戻った母。ほっとした表情で支度する父。

 

病院では、診察券や会計や薬の手配は、父が一生懸命動いてくれた。

私が母に「お父さんは本当に頼りになるね~、助かるね~」と言うと、

母も「ほんと、しっかりしてるわ~。私は見えなくて頭も弱くなってるから、パパがいて本当に良かったよ」と同意。

父もやっと、気持ちが晴れてきた様子だった。

 

帰ってからも認知症状は出たけれど、

父はもう必死に分からせようとは、しなかった。

すっかり落ち着いた母は、

一緒に夕食の支度をし終えると、

「まだ帰らないの~?もう帰っていいよ!」と私を追い返すまでになったので、

私は苦笑しつつ、家に戻ったのだった。

 

 

過去にどんな時を過ごしてきたのか・・・

そんなことを思い出せなくなったとしても、

「今 ここ」に、自分に注がれる「あたたかく優しいもの」を感じることさえできれば、

人は幸せでいられるのだと思う。

 

老いてゆくことの切なさと向き合いながら、

私にも父にも母にも、人生勉強は続く・・・。

コメント (6)
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