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エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

10のモノローグを10の薔薇にのせて

2011年07月12日 | 
10の薔薇の名前から紡ぎだされるイマージュである。


「花音」

青い額が弾け、花が顔を現す時の音であろうか?

ぼくは秘密の花園を歩いていた。
そこには薔薇が一年中咲いていて、開くとき妙なる音を奏でるのだ。
そのハーモニーがぼくの身体を音叉のように震わせる。
薔薇の花音は、たゆまず鳴り響いている。

ぼくはその音をきみと聴きたいのである。


「ミスター・リンカーン」

ふーん、ミスター・リンカーンって言うのか。
花弁の先に走っている白い条痕は、リンカーンの痛みって訳かい。
確かに、不思議な痕跡だと思う。

弾痕でもなく、かと言って刃物の切り口でもない。
リンカーンに痛みを普遍化してしまったのだね・・・。


「ムーン・シャドウ」

月の影が射した時、華やかさが際立つというのだ。
こんな色彩を持った影があったら、ぼくは間違いなく「虜」になってしまうだろう。
ムーン・シャドウ。
誰にともなく独り言を云ってみた。


「女神」

薔薇はいつか女神へと昇華した。
飛天のようにユラユラと風に頬をなぶらせていたとき、薔薇は飛天であった。

こうして、大輪で見ると確かに女神である。


「メリナ」

ドイツで1974年発表されたのだけれど、ぼくは君きみの名前を花に冠した。
そして、そっと「メリナ・・・メリナ」と呼んでみる。
きみは、ただじっと佇み微笑んでいる。

それがぼくは嬉しい。


「香貴」

年老いてしまった。
肌にはシミが滲み、張りもいつの間にか無くなってしまった。
けれど私の美は比類なきものだった。
盛りを過ぎたけれど、こうして朽ちていくのも良いものだよ。

そんな香りが貴いあなたの声をぼくは聴いた。


「スペル・バウンド」

2006年USAで発表されたのである。

そうアメリカの大地は「新大陸」だった。
「自由と民主主義の国」だった。
それがいつの間にか、大国主義に陥り植民地の解放に名を借りて侵略を続けてきた。
手痛いしっぺ返しも食らった。
ベトナムもそうだったし、アフガンやイラクもそうだ。

まだ色褪せない今だからこそ・・・花を希望を託したいのさ!


「ロイヤル・プリンセス」

無垢の白さが真実だったのは始めだけだった。
王室はいつだって膨張する国土のシンボルにされたものだった。

私はロイヤル・プリンセスと冠せられるのが嫌だった。
だから、ローマで休日を楽しんだの。
バイクの後ろはお尻が痛かったけれど、風を切って走るのって・・・楽しい。


「モナリザ」

モナリザが謎の微笑みを浮かべたのは、薔薇の花に向けたのだ。
ぼくはそう確信する。
ふくよかな身体を包んだショール。
さりげなく両手を交差させた姿。
その謎の微笑が、ぼくの両手にこぼれ落ちてきた。

薔薇はそうした空想と良い意味での妄想の産物であってほしいのだ。


「プリンセス・チチブ」

シルバーがかるピンクは内側にいくにつれて、アプリコットを帯びたピンクになっていく花色が特徴。
花名は秩父宮妃勢津子妃殿下に因んでいるのである。

私って、日なたが好き。
日向で十分に太陽を浴びさせてちょうだい。
そうしたら、もっともっと綺麗に咲かせていただくわ。

ぼくはその魔術のような花弁の美しさに時間を忘れていた。
高貴な花は、時間さえ美しくしてしまうものらしい。

今日は、10のモノローグを10の薔薇にのせてみた。
「なつそうび」である。




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 荒野人