平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

天才ダ・ヴインチ最大の謎と秘密の暗号

2006年05月21日 | バラエティ・報道
 絵画や彫刻をただ美しいと見るだけでは面白くない。
 それらに込められた制作者の意図を読み取ることによって見えてくるものがある。
 これがこの番組「天才ダ・ヴインチ最大の謎と秘密の暗号」。
 例えば、ダ・ヴィンチの絵画「最後の晩餐」には当然あるべきはずのもの=聖杯が描かれていない。
 これは何を意味するのか?
 「最後の晩餐」のイエスとマグダラのマリアの間には「V」の文字が隠されている。
 これは何を意味するのか?
 ここにはダ・ヴィンチの込めたメッセージがある。
 そして番組はこう解釈する。
「Vは女性・子宮を表すアルファベット。イエスは最後の晩餐で弟子たちに自分の血を聖杯で分け与えたというが、実はそうではない。イエスはマグダラのマリアに自分の子を宿すことによって自分の血を分け与えたのだ。だから、聖杯は描かれていない」
「聖杯はラテン語でサングリュ。しかし、単語の区切り方を変えると、サン・レアル。サン・レアルは「王の血脈」。つまりユダヤの王の血脈=イエスの血脈ということだ」

 ただ一方で、この説を単なる思いこみ、ダ・ヴィンチは聖杯を描き忘れただけと考えることもできる。
 そうなると上記の解釈は霧散してしまうが、それだと逆にロマンがない。
 平凡な解釈は退屈しかもたらさない。

 番組では「モナリザ」にも触れていた。
 モナリザのモデルには、ダ・ヴィンチ本人説など諸説があるが、番組は「マグダラのマリア説」をとる。
 理由のひとつは背景。
 通常肖像画には背景は描かれない。描かれるのは宗教画である。
 モナリザの背景には岩山・川など宗教画のモチーフが描かれている。
 すなわちモナリザは肖像画ではなく宗教画。
 二番目の理由は、モナリザに修正がないこと。
 通常の肖像画であれば、モデルを前にして画家が試行錯誤した跡があるようなのだが、モナリザにはない。
 ということはダ・ヴィンチは自分の頭の中のイメージをそのまま描いたのではないかというのだ。
 また、第3の理由はモナリザの右手。
 右手が左手よりも大きく描かれているのは、右手が大きく前に出ているから。
 つまり妊娠してお腹が出ているから。
 この様な理由で番組は「モナリザ」=「マグダラのマリア説」を取っていた。
 これもロマンがある。

 そして番組はフランス南西部にある教会地下にあるサラという女性像に着目する。
 フランス南西部は逃れたマグダラのマリアが最後に行き着いた場所。
 そこでマリアはイエスの子を産んだ。
 それがサラがそうではないのかと言うのだ。
 ひとつの仮説がこの様に「モナリザ」「サラ像」などと結びつくと真実みを帯びてくる。

 この番組で描かれたことが真実であるかはわからないが、目の前の現実をこの様に見事に解釈・再構成してくれると楽しくなる。
 絵や彫刻が単なる美しいものでなく、物語やメッセージがあるものだと考えると楽しくなる。
 これは空想・想像力の領域。
 しばし日常を忘れて、想像力の世界を楽しんでみるのもいい。

★研究ポイント
 物語の作り方
 現実の新しい解釈。
 今まで見たことのない新しい解釈を提示することによって生まれる非日常。

★追記
1.モナリザの復元されたオリジナル
 現在のモナリザはニスのせいで黄ばんでいるのだそうだ。この黄ばみをなくして現れたモナリザは肌は白く、空は青い絵画。
 左右の汚れのような黒い縁は寺院の柱であるという。
2.ダ・ヴィンチは秘密結社の指導者
 ダ・ヴィンチはシオン修道会という秘密結社の指導者であったという。
 その記録が残っている。
 メンバーにはニュートン、ジャン・コクトーの名も。
 秘密結社は何を守り、隠してきたのか?
3.ロスリン礼拝堂の聖杯
 イギリスのロスリン礼拝堂には「聖杯」が隠されているという。
 調査団は床に空洞があることを探知機で発見して、ドリルで掘ってみた。
 すると地下の空間にあったのは木の器。
 これが聖杯か?
4.ロスリン礼拝堂の暗号
 ロスリン礼拝堂の暗号を解けば、聖杯の隠されている位置がわかるという。
 番組では暗号を解いたという人物を取材。
 暗号解読のポイントは柱の楽器と突起に記された紋様。
 その紋様は音階であるという。
 ピンと張った布の上に砂を置いて「ド」の音を鳴らすと、砂は動いて必ず同じ紋様を作るという。
 人物は突起の紋様を組み合わせて、音楽を作った。
 その音楽は何か意味があるのか?
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ギャルサー 第6話

2006年05月21日 | その他ドラマ
 今回のテーマはこれ。

ジェロニモ
「いなくていいものは最初から生まれてこない。自分はいていい人。隣りの誰かもいていい人。そんな簡単な事を人間はちょっとしたきっかけで忘れてしまう。愚かな事だ」

 「八つ星てんとうの呪い」
 この極限状況でサキ(戸田恵梨香)らは互いをののしり合う。
 極限状況で見せる人間の本性がモチーフだ。
 サキらは互いを否定し合うが、最後には呪いに負けまいと協力し合う。
「いらない奴は切り捨てるべきなんじゃねぇ?」と言っていたナギサ(新垣結衣)が仲間の大切さを認識する。
 サキは言う。
「みんながいるからパラパラ。みんながいるからエンゼルハート。いなくていい奴なんて一人もいないって事ですよね」

 今回の話は「八つ星てんとうの呪い」についていけないとつらい。
 「八つ星てんとうの呪い」を信じられるか否かによって、この話に入っていけるかどうかが決まる。
 僕は「呪いなんてウソだろう? 絶対オチがあるに違いない」という想いがあったから、呪いに怯えてののしり合いをするサキたちに感情移入できなかった。
 極限状況にサキたちを置いて魔女狩りをさせようという意図が見え見えだった。
 この様な作品の場合、事件は現実的なものの方がいいと思う。

 また、作品への慣れもある。
 シンノスケ(藤木直人)の行動パターンも読めてきてしまった。
 通常のドラマでは、「クロサギ」の様にドラマが進行していくに従って人間関係が深まっていくものだが、この作品はそれがない。
 これがこの作品のオープンでいい所でもあるのだが、逆に新しい刺激・アイデアを投入していかなくては飽きられてしまうというマイナスもある。

 サキがリーダー昇格。 
 早川晶子(三浦理恵子)がイモコ。
 新しいモチーフが加わった今回。
 今後、これらのエピソードがどう発展していくか、楽しみだ。

★研究ポイント
 ドラマの作り方:ドラマの中の「呪い」「迷信」の使い方。
         エピソードの発展、登場人物の成長。

 今回は商店街の連中がギャルを捕まえて説教するというモチーフがあったが、これは視聴者を迷わせる仕掛け。
 ギャルがいなくなったのは、呪いではなくどうせ商店街の連中の仕業だろうと視聴者に思わせておいて実はそうではなかった。
 それでは本当に呪いがあるのか?と思わせる仕掛け。

 シンノスケがネバネバの液体を作る伏線はワンカットで描かれていた。

★キャラクター研究:シオリ(松山まみ)
 白組のリーダだが、ともかく人間が小さい。
 メンバーからもそれを見抜かれている。
 今回はサキの失敗をかばってナギサと争ったが、すぐに引き下がった。

★名セリフ
 今回はナギサがレミ(鈴木えみ)のお株をとった。 
ナギサ
「おまえがてんとう虫追いかけてるのをうちらが体育座りして見ててみ?ああ、今日はエンゼルハートの運動会の借り物競走でレミがてんとう虫追いかけ回してるって思われちゃうじゃん?」
 その代わりにレミが突っこんだ。
レミ「思わねえよ!」

★追記
 キャラクターをもとにした小ネタが随所に散りばめられていた。
 サキ……腐ったゆで卵をたくさん食べても腹を壊さなかった。
     「おまえ、どういう腹してんだよ」と突っこまれる。
 シズカ(佐津川愛美)……いらないと言われてすごく傷つく。第1話を引きずっている。
 スミレ(奈津子)だと思うが?
 呪いでののしり合いをするメンバーだが、スミレだけは話題に上がらない。
「誰かあたしのこと、いらないって言ってくれないんですか?」と自己主張するが、「おまえは陰が薄いから」と言われてしまう。
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クロサギ 第6話

2006年05月20日 | 職業ドラマ
 やはりドラマは対決が面白い。

 今回は黒崎(山下智久)と佐多博道(黒沢年雄)の詐欺対決の他に2つの対決が登場。

 まずは吉川氷柱(堀北真希)VS三島ゆかり(市川由衣)
 氷柱の告白現場を見てしまったゆかりから氷柱に電話。
「黒崎さんのことで話がしたいの」
 これはついに対決かと思っているとゆかりは、自分の気持ちを知りながらも告白した氷柱を責めることなく笑顔でこう言う。
「あたし、そろそろ勝負かけようと思うんだ。黒崎さん…。あたし、黒崎さんみたいな人初めて会った。ぶっきらぼうだけどすごく優しい人だと思うんだ。ねぇ氷柱、黒崎さんのこと協力してね。アタシ本気だから」
 こう言って氷柱を牽制するゆかり。
 氷柱が協力の約束をしたら、氷柱は黒崎に近づけない。
 この点、ゆかりは女として氷柱より上。
 氷柱も「あたし…」と言うだけで次の言葉を言えない。

 そして氷柱、ゆかりの対決は続く。
 ゆかりは黒崎について氷柱と議論する。
「相変らず反対なんだ。詐欺師してる事。なんでそんなに反対するの?黒崎さんいつも被害者を助けてるのに」
 氷柱は言う。
「そう思う事もある。あいつのやってる事が検事になって私がやりたい事と同じなのかもって。でもそれを認めちゃダメじゃないかって。うまく言えないんだけどね」
 ゆかりには、同じく愛している黒崎を氷柱がなぜ否定するのかがわからないのだ。

 この黒崎に関する議論はラスト、愛し方の問題にまで発展する。
ゆかり
「氷柱にはわからないのよ!誰からも愛されなかった人の気持ち。それじゃ、黒崎さんの事好きだなんて言えないと思う。氷柱が告白するの偶然聞いちゃったの。あたしの気持ち知ってたのに。何で?」
氷柱「ごめん」
ゆかり
「私も黒崎さんが好き!だから、家族の復讐をしたいって気持ちも全部受け入れてあげたい。それが本当に人を好きになるって気持ちだと思うから。私なら黒崎さんを理解してあげられる」
 すべてを受け入れる愛と相手の向上を望む愛。
 クロサキを変えようとする氷柱の愛し方は、相手を自分の価値観に合わせようとするエゴだと言うゆかり。
 一方、氷柱は黒崎の中の深い悲しみを知って、彼を変えようとしている。
 氷柱はゆかりに言う。
「復讐は何も生まないよ!彼が救われるなんて思わない」
 黒崎にもこう言う。
「悲しみは時間が忘れさせてくれる物だと思う。でも、このままじゃあなたの悲しみは癒されないよ。そんな人生辛すぎるよ!」
 さて、この恋の行方は?

 第2の対決は黒崎VS神志名将(哀川翔)。
 詐欺師に人生を狂わされた男ふたりは別の道を歩んで来た。
 かたや詐欺師、かたや刑事。
 神志名の選んだ方法は検事を目指す氷柱の方法と同じだ。
 あくまで法律で悪を裁こうとする。
 黒崎と神志名はこんな議論をする。
「何で法律があるかわかるか?何故「人を殺すな」と言う法律があるかわかるか?人は人を殺す生き物だからだ。人はもともと欠陥だらけの存在だ。だからお前のような人間が出る」
「法学部の教授になりなよ」
 そう黒崎に言われて逆上する神志名。
 本音が出る。
「法律破って私的制裁を加えるのは簡単だ。力で相手を押さえつける。これがお前の生き方だ!」
 自分も抜け道だらけの法律の無力を知っている。
 できれば自分も力で悪を制裁したい。
 そんな自分の抑えつけていた想いが爆発したせりふだ。

 対決のラストはやはり黒崎論議。
 神志名は言う。
 「俺が終わらせてやるよ。お前の復讐の輪を」

 神志名は黒崎を逮捕することで彼を苦しみから解放しようとしている。
 それは詐欺師に人生を狂わされた男どうしの共感からだ。
 神志名と同じ様な考え方をするのは氷柱。
 氷柱は黒崎を詐欺師をやめさせて解放しようとする。
 そして、ゆかりは黒崎すべてを受け入れようとする。

 三者三様の黒崎への想い。
  氷柱VSゆかり
  黒崎VS神志名
 別々の対決を描きながら、結局は「黒崎をどう解放するか?」という議論に集約した。
 見事なドラマづくりである。
 今後は桂木敏夫(山崎努)、白石陽一(加藤浩次)もこの「黒崎をどう解放するか?」というテーマに関わってくるであろう。
 結論やいかに?
 今後が実に楽しみだ。  

★研究ポイント
 ドラマの作り方:人物の対決。対決によりテーマを浮き彫りにする。

★キャラクター研究:黒崎
 今回、クロサギとして復讐を行う黒崎の覚悟が吐露された。
 以前、氷柱に「あなた幸せなの?」と問われたことに対して黒崎はこう答えを言う。
「俺は幸せなんていらないんだ。もう何もいらない。友情も愛情も安い同情も」
 復讐ためにすべてを犠牲にする覚悟を決めた黒崎。
 しかし、彼は復讐に徹するには弱すぎるようだ。
 彼は友情と愛情を求めている。
 何も要らないと言う自分と愛情を求める自分との間で、黒崎は激しく葛藤している。
 
★名セリフ
 早瀬(奥貫薫)が黒崎に言う。
「最近、神志名が桂木さんを調べ始めたの。下手をうって桂木さんに迷惑かけないで。出来ればあなたに消えてもらいたいぐらい」
 ※たったひとつのせりふで早瀬の桂木への気持ちを表現した。お見事!

 神志名
「お前等みたいに茶飲んでるだけの警官がいるからあのガキがいるんだ!さっさと逮捕状をとって来い!」
 ※悪を裁けない警察への怒りが爆発したせりふ。

 桂木
「もっと俺を楽しませてくれ。そうしたら俺の心臓くれてやるよ」
 ※世の中のあらゆることに退屈しきった桂木。桂木は黒崎の行き着く果てか?

 黒崎、法の正義を説く神志名に反論!
「カッコつけんなよ!アンタはただ逃げてるだけだ。真実を知った後も偽物の自分にしがみついて。白詐欺の息子に戻るのが怖いんだろう?」
 ※神志名の言葉は自分を欺く建前だと言うのだ。こう切り返せるとキャラクターは立つ。

 氷柱、黒崎を殴る神志名に
「やめてください。警察だったら何してもいいんですか?」
 ※神志名を警察官に戻したせりふ。

★名シーン
  1
 黒崎に告白した氷柱、きまりが悪く、会いたくない。
 見るとポストの家賃の催告状。
黒崎「読んだ?そういう事だから」
氷柱「こんなやり方酷いよ。あたしがあんな事言ったから?」
黒崎「最初から出てけって言ってたじゃん。出てけ、出てけ。聞かなかったことにするから。検事になる人間が冗談でもそんな事言わない方がいいんじゃない。俺は死ぬまで詐欺師だ」
氷柱「あんたみたいな犯罪者あたしの方こそ無かった事にしたいんだから」
 ※この微妙な距離感がいいですね。告白して近づいたと思ったら、少し遠ざかる。ラブコメの王道です。

 2
 詐欺師どうしの駆け引き
佐多
「なんで私に話しを思ってきたんですか?あなたはこの町の人間ではないし、ファンドマネージャーなんでしょう?信金の買収を手伝って何が得なんですか?」
 黒崎は少し困った顔。
 そこへ信金の道楽息子が助け船。
「何でもお願いしたい事があるらしいですよ。ぶっちゃけましょうよ」
 ※相手を信用させるには、本人がいうよりは第3者が言った方がいい。
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医龍 カルテ6

2006年05月19日 | 職業ドラマ
 ついに始まったバチスタ手術。
 ドラマは2転3転。
 心の葛藤もあって実に面白い。

「オンビートで行くぞ」
 人口心肺を装着しているにも関わらず、心臓を動かしたまま、手術を行おうとする朝田龍太郎(坂口憲二)。
 オペを受ける患者の体には優しい手術だが、手術は「100倍難しくなる」。
 野口(岸部一徳)いわく。
「どうして止めないの? 加藤ちゃん」
 しかし、朝田の手際はよく、他のチームスタッフもついてくる。
「速い」「予想以上の速さだ」
 鬼頭笙子(夏木マリ)は言う。
「あの僕ちゃんも何とか踏みこらえている」

 しかし、朝田がオンビートの手術を行ったのには、体に優しい以外に別の理由があった。
 変性部位を見つけ出すためだ。
 心臓の動きで問題の部位を判別する朝田ならではの方法。
 ここでまたまた鬼頭の解説。※実においしい役だ。
「医者には2種類の医者いる。教科書的に体を単体としてとらえる者、総合的にとらえる者」「関連している人体」「生々しい人体」
「心臓専門の加藤先生にはわからないことね」
 ※意味はよくわからないが、何となくスゴイというのはわかる。

 しかし、このまま手術がうまく行くわけではない。
 麻酔医、臨床工学士の技量が朝田の技量に追いつかないのだ。
 トイレに行く臨床工学士。
 助手が代わりを務めるが、ここで人口心肺にトラブル。
 助手は混乱。
 朝田は伊集院登(小池徹平)にフォローするように指示を出す。
 第2助手の伊集院がいなくなった穴は加藤晶(稲森いずみ)が務めることになる。
 伊集院は臨床工学士のフォローにまわるが、工学士はさらに混乱。
 伊集院が工学士の頬を叩いた。
「しっかりしろ! 君しかいないんだ」
 ※成長したね!伊集院君!

 これで何とか人口心肺も直って手術は成功。
 あとは閉胸のみとなるが、ここで新たな問題が発生。
 右冠動脈の閉塞が発見されたのだ。
 これは事前の検査では見つからなかった項目。
 このまま閉胸すれば、バチスタ手術は成功するが、患者はいずれ死んでしまう。
 ※これを見抜いた朝田先生エラい!

 朝田は引き続き、バイパス手術に取りかかる。
 しかし、バイパス手術には「グラフト採取」という作業が必要。
 伊集院は人口心肺に関わったため、再度手を洗浄しなければならない。
 それに要する時間は5分。
 このままでは患者が死んでしまうと考えた朝田は里原ミキ(水川あさみ)に「グラフト採取」を命じる。
 しかし、ミキは優秀だが看護士。
 「グラフト採取」は越権行為。
 行えば倫理委員会にかけられる。※ナースあおい!

 朝田にはそんなことは関係ない。
 「何があっても前に進む」
 ここで加藤の葛藤。
 命か?立場か?
 結局、加藤もミキの「グラフト採取」を認め、患者は助かる。

 しかし、問題は残った。
 ミキの越権行為だ。
 沈没する船から逃げていくようにスタッフは去っていくが、朝田は加藤を見て言う。
「まだ、諦めていない。あの女は。論文も患者も」
 加藤の打開案は、日本で初めてのバチスタ手術の栄誉だった。
 看護士の越権行為は緊急事態での正しい判断とし、野口教授は「バチスタ手術を成功させた担当教授」として栄誉を得る。
 マスコミが大騒ぎする中で大量の処分者を出すことはかえって問題。
 利を説く加藤に野口は言う。
「ネクタイは水玉でいいかな?」

 しかし、ドラマはさらに3転する。
 日本で初めてのバチスタ手術の栄誉が北日本大学の霧島軍司(北村一輝)によってなされるのだ。

★研究ポイント
 ドラマの作り方:2転3転するドラマ。

 主人公を次々と襲う困難を分析するとこうなる。
  1.まわりの人間が足を引っ張る。(力量不足、保身など)
  2.新たな事件・問題。(ひとつが解決しても次の事件・問題が起こる)
  3.葛藤・AかBかの選択。

 手術シーンは緊迫のドラマ。
 凝縮された時間の中に人の弱さ、生き様、生死が描かれる。
 これは他の職業でもあり得るはず。
 この様な緊迫したドラマを他の職業物でも見てみたい。

★名セリフ
 朝田が加藤、伊集院に
「この感覚を覚えておけ。これが変性部位だ」

 鬼頭がうろたえる教授陣に
「解説が欲しければ野球中継でも見てなさい」

 加藤、チームの動きを見て
「この男のリズムにみんなが飲み込まれている」

 看護師長がミキに
「これは個人的意見だけど、あなたがそこいらの医者よりずっとうまくグラフト採取をやってのけた時、少しすっとしたわ」
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プリマダム 第6回

2006年05月18日 | ホームドラマ
 ドラマ中盤。
 佳奈(黒木瞳)さんもバレエをすることを認めてもらい、次にすることを模索している様子。
 嵐子(中森明菜)のことを心配し、夏芽(高岡早紀)らのことを心配する。

 バレエ教室のメンバーも厳しい現実とバレエの壁にぶつかって脱落者が。
 夏芽は保険の契約がうまく取れず、レイ(映美くらら)は夫の反対。
 店長(加藤雅也)は夏芽とのことで失踪。
 やはり人には目標が必要な様だ。
 楽しいことは続かない。やがて慣れが来て今まで楽しくやってきたことが当たり前に見えてくる。

 そしてドラマにも主人公たちの目標が必要。
 今回はその目標を作るための話。
 そのため少々、中だるみの感じが。

 しかし、ラストの発表会に向けて盛り上がりを作るためには、描いておかなくてはならない話なのだろう。
 そのために描いたことは次の2点。

 1.目標の設定(「発表会をやる!」)。
 2.発表会に参加する7人の描写。

 高杉民江(松島トモ子)は夫に愛される外交官夫人を演じていたが、実は違っていた。夫はタイから戻らず5年間孤独な生活。良妻であったが、「お前といると息が詰まる」と夫に言われていた。
 また、子供頃やっていたから始めたバレエ教室であったが、今は友だちができて嬉しいことを描いた。
 吉村夏芽は契約が取れず悩んでいる。バツイチ。
 店長は夏芽との恋。
 三崎レイは夫の反対。 

 これらの人物が抱えたドラマが絡み合って、発表会が描かれていくだろう。

★研究ポイント
 ドラマの作り方:中盤の物語。新たな目標の設定。脇キャラの描写。

★名セリフ
  1
 匠先生
「楽しくなければバレエじゃないと言いましたが、楽しいだけがバレエじゃありません。バレエは地味な努力の積み重ねです。体が動かなくてつらくてもがんばって動かしてみる、そうすると動けるようになる」
「壁にぶち当たったら、なぜバレエを始めたか思い出して下さい」

  2
 店長、慰問会で自分の足を踏んだ夏芽に
「僕が夏芽さんの足の下に足を置いたのが悪いんです」
 ※本当に夏芽さん、一途。

  3
 みんなに力を与えた女の子の手紙に
「コントショーでも喜んでくれた子がいるって事だ」
 ※仲間が手紙を回覧して、元気をもらい教室に戻ってきた。

  4
 高太郎(古田新太)の言い訳・ごまかし。
 風呂場の手すりが壊れているのを発見されて
「また不良品でも掴まされたんだろ」
 バレエ教室に無料体験レッスンを受けに来て
「遥生が無理やり誘ってきてな」
 ※別番組では言い訳・ごまかしはいけないと言っていたのに。

  5
「親父のバレエなんて宇宙で一番見たくない!モスラよりキモイ!」
 ※万田家で唯一バレエに否定的な結(志保)。これからもクールな一言をお願いします。

★名シーン
 朝、店長と電話をしながらお弁当を高太郎らに渡す佳奈さん。
 大根とジャガイモを買った佳奈さん。レイに400円を300円に負けてもらう。
 遅くなった時は、冷凍チャーハン。
 ※この生活のディティル。嵐子とも対照的。本当に「生きてきた道が違う」のだ。

★ちょっと一言
 嵐子はなぜあんなに頑ななのか?
 佳奈に心配されて「私を誰だと思ってるの?あなたに心配してもらう事なんて何もないの!」と言い、医者に「1ヶ月の命」と言われ入院を勧められても断る。
 ここがきっちり描写されないとラストは盛り上がらない。
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あいのり 5/15

2006年05月17日 | バラエティ・報道
 5/15 「あいのり」で感じたこと。

  1
 ヒデがケニヤのあいのり学校にお金を届けた。
 ヒデのポエムカレンダーの収益から生まれたお金。

 ヒデはアフリカの旅でポエムを作った。
 カレンダーを買った方はポエムを読んで力をもらった。
 アフリカの方は、カレンダーのおかげで学校運営資金を得て力をもらった。
 番組のレポートに拠れば、今あいのり学校の子供たちや親は教育への意欲で元気になっているという。

 アフリカの旅~ヒデのポエム~ポエムカレンダー~売上金~あいのり学校
 ヒデはアフリカの旅で力をもらい、
 日本の人たちはポエムで力をもらい、
 アフリカの人たちは売上金で力をもらった。
 この力の循環。

 与えられたら与える。
 昔「ペイフォワード」という映画があったが、「与えられたら与える」ということを繰り返せば豊かな世界になるということを感じた。

  2
 アウトローの変貌。
 歌舞伎町のホストが純情な少年になっている。
 ゴキの前で口もきけない。
 人は真剣に人と向き合うとこうなってしまうのだろうか?
 今まで自分を覆っていた殻が取り払われると、人はああなってしまうのだろうか?

 無器用で見え見えのアピール。
 チーズフォンデュの念力。
 視聴者はアウトローを笑いながらも、自分の中の純な想いを確認している。

 お父さんみたいと言われたのは可哀想だけど。
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アテンションプリーズ 「CA流イイ女への道!」

2006年05月17日 | 職業ドラマ
「ちょっと待てよ。勝手に決めんなよ。途中で逃げんのかよ。そりゃ給料倍になるかも知んね~けど、人生金だけじゃねーだろ。あんた言ったよな。自分の負けを認めろって、あんたが言ったから私ここまで来たんだろ。あんたに負けたくなかったから。もう戻れね~んだよ。本気でCAになりたいんだよ」

 洋子(上戸彩)にとって三神教官(真矢みき)は初めて自分に全力でぶつかってきてくれる存在だったのだろう。
 男っぽいが根は素直な洋子には、人の嘘と本音を見抜く力がある。
 三神は会社の人間としてではなく、人として自分に厳しく指導していると洋子は思っていた。
 会社の人間で物を言っているのであれば、自分に「逃げるな」「負けを認めろ」とは言わない。落ちこぼれて逃げれば、「そういう子だったのね」で終わるだけである。
 三神は人として自分に接している。
 そう洋子は信じていた。

 だが、引き抜き事件で洋子は自分の考えに疑いを持つ。
 簡単にお金で自分たちから離れることができる三神。
 もしかしたら、三神は給料(お金)をもらっている会社人として、自分たちに教えていたのではないか?
 それは会社の人間として当然なのだろうが、洋子はそれ以上であると信じたい。
 そうでなければ、今まで三神が自分に言ってきたことが全部ウソになってしまう。

 また、同時に洋子には、三神のことを思う気持ちもある。
 劣等生である自分のことが心配で引き抜きに応じることができない三神。
 自分のために三神の人生が台なしになるなんて嫌だ。
 そんな気持ちを洋子は洋子流に三神に告げる。
「知りもしない相手に似てるって言われるのムカつくんですけど。何なんですか?その後輩。どうなったんですか?私のせいにしないでくださいよ」

 この2つの気持ちが混じり合って、洋子は揺らぐ。
 そして、キャプテンの桜田(小日向文世)から三神の洋子に対する本音を聞いた時、洋子は走る。
 三神の本音とはこうだ。
「成績はビリ。言葉は乱暴。素行は最悪。勝手に先輩の制服は着ちゃうし、ハンガーではコード抜いちゃうし。でも芯はしっかりした子なんだって。今の子は、ちょっとうまくいかないと投げ出すけど、その子は結局戻って来たって。ああ見えて友達思いなところもあるんだって。ようやく、ちょっとだけ仕事への愛情も生まれてきたって。その子がどんなCAになるのか見てみたいって」
 三神は自分を見ていてくれた。
 愛情を持って。
 三神の幸せを願いつつも、自分には三神が必要だと思う洋子。
 こんなに自分のことを見てくれていた人はいなかったからだ。
 何の目標もなかった自分に初めてCAという目標を持たせてくれたのも三神。
 三神を引き止めたくて、洋子は
「あんたが言ったから私ここまで来たんだろ。もう戻れねーんだよ。本気でCAになりたいんだよ」 
 と言った。

★研究ポイント
 テーマ:先生と生徒。自分の人生に影響を与えた人。自分を見ていてくれた人。

★キャラクター研究:関山(大塚ちひろ)さん
 人のいいトロいキャラは自己主張しなくても存在感を見せる。
 ひとつはハチャメチャな主人公に振りまわされる役割。
 今回は「いい女」になりたい洋子につき合って、砂風呂・整体・お茶。
 ふたつめは悪気はないのに人をおとしめる役割。
 今回は「わらにもすがる気持ち」で恋の相談を洋子にしろと弥生(相武紗季)にけしかける。(でも関山さんは基本的にいい人。弥生の父親に弥生が「研修中に恋をするなどとんでもねえ」と怒られると「自分が恋に悩んでいる」と代わりに被ってあげた)
 三つめは意外な知識・事情通。
 今回は、スーパーCA・MKギャルズを知っていた。
 カレンダーモデルに新人も選ばれることを知っていた。
 ※活発な洋子との対照的なキャラで主役を引き立たせ、ドラマを進行させる情報を語って、狂言まわしの役割をする関山さん。重要なキャラだ。

★名セリフ
 「あんな小姑みたいな教官、いなくなった方が絶対楽だって」
 ※洋子、本音とは逆のせりふ。

 いい女なら自分、百歩譲って将来はいい女になると言う洋子に、弘田沙織(上原美佐)ら3人組は声を揃えて
 「違う違う」「無理無理」
 ※3人、声を揃えるから効果的。

 もうひとつ沙織とのやりとり
 「サメみたいな肌」
 「お前、サメに触ったことあるのかよ」

 翔太(錦戸亮)、洋子たちがカレンダーモデル募集のことで盛り上がっているのを聞いて
 「いいんじゃないの。弥生ちゃんならかわいいし。美咲が応募するとか言い出したら、どうしようかと思ったよ」
 ※これで弥生の恋の炎は燃え上がる。

 もうひとつ翔太のせりふ。洋子に
 「女としてのポテンシャルが違う」

 化粧とは?
「教室での化粧直しは禁止。メイクは洋服を身にまとうのと同じです。公共の場で化粧直しをするという事は他人の前で平気で着替えをしているようなものです」

 ラスト!
 「ミス5月? 見てみて~~」

★名シーン
 蜘蛛が着物に入って大騒ぎする洋子。
 次のカット。
 ホテルラウンジで話をしている三神と桂木志穂(森口瑤子)。
 そこへ蜘蛛が入って大騒ぎしている洋子がやって来る。
 ※笑いの増幅。一番、見られてはまずい人に見られるからさらに笑える。

 公園のブランコでビールを飲みながら楽しそうに話をしている洋子と翔太。
 そこへ恋の相談で洋子の部屋に遊びに来た弥生。
 ※弥生、かなしい。

 部屋に戻ってくる洋子。
 三神に言われたことを思い出して、掃除を始める。
 ※洋子、基本はすごく素直な子。

★追記
 「三神を信じたいという気持ち」と「三神の幸せを思う気持ち」。
 このふたつの気持ちを盛り込んだことが見事。
 どちらかひとつで物語を進行させるのが通常の手法。

 「勘違い」での事件解決は、バカにしてると視聴者に思われる可能性がある。
 今回は洋子の気持ちが描けていたからOK。洋子は勘違いキャラだし。
コメント (3)
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富豪刑事DX 第4話

2006年05月16日 | 推理・サスペンスドラマ
 またまた刑事ドラマ論を。

 美和子(深田恭子)には「心の葛藤」がないんですね。
 それがいい所。
 例えば、「アンフェア」の雪平。彼女は自分に降りかかる状況にメチャクチャ悩んでいる。
 でも、美和子は「犯人を捕まえること」に一直線。自分は悩むことなく、何の葛藤もない。
 これは古畑任三郎や右京さんも同じ。
 彼ら犯人のトリックを見破り、犯人を追いつめることを楽しんでいる。
 彼らにある障害は自分の心ではなく、犯人の仕掛けたトリック。
 美和子の障害も今回の場合、「重田(秋本奈緒美)よりも当たる占い師になること」。
 この障害をクリアするために、宝くじを買い占め、あらゆる番号の要請に応えるため札束を部屋いっぱいに集める。売れない眼鏡デザイナーを有名デザイナーにする。
 視聴者はその突飛なアイデアを楽しむというのが、このドラマの仕掛けだ。
 この作品は「ドラマ」でなく「アイデア」を描く。
 これに豪華絢爛な料理やギャグの小ネタを織り交ぜて、人を楽しませている。
 実にドライな作品だ。

 この作品を見ている視聴者は恐らく美和子に感情移入しないだろう。
 いっしょに泣いたりドキドキしたりせずに、次にこの子はどんなことをしてくれるんだろうという目で見ている。

 これを良しとするか、物足りないとするかは見る者次第。
 個人的には僕は大好き。
「七人の女弁護士」のような主人公の中途半端な犯人への思い入れはいらないと思う。

 今後、刑事ドラマはどこに向かうのだろうか?

★研究ポイント
 ドラマの作り方:刑事ドラマ

★名セリフ
美和子
「どうしてこんなことを? 占いは迷っている人達に勇気を与えるもののはずでしょう。好きな人に愛を告白したり、諦めないで何かを頑張ろうと思ったり。それをお金儲けの道具に使うなんて、あなたは間違っています」
重田「あんたみたいなお人よしがいるから、私の商売安泰なの」
 ※テーマを語るラストの犯人とのやりとり。これがあるから作品が締まる。
 美和子はいつも疑問を発するのみで、その後、言われたことはスルー。
 言われて悩むことはない。
 これがこの作品のいいところ。

★名シーン
 今回は事件解決までのエピソードの持って生き方が見事。
 1.占い師・神戸美和子登場/宝くじが当たる。
   ここの占い師はすごいんですよ、と大騒ぎをする1億円が当たった人。
 2.美和子の占いに長蛇の列/お札の番号が一致する。
 3.テレビ取材/競馬の予想が当たる。
   サイン会で重田ではなく美和子に長蛇の列。美和子のグッズも大ヒット。
 4.重田とテレビで対決!
   美和子が勝利。
 5.重田が反撃。
  「全国の皆様、騙されてはいけません。彼女はVery no good! 私は彼女にのろいをかけました」
   美和子はバスで溺れ死ぬと予告。
 エピソードがどんどん大きくなって盛り上がっている。
 まさに「起承転結」の「承」のお手本。
 BUSとBATHのひねりも面白かった。

★追記
 美和子の捜査手法は「目には目を」方式が多くなってきた。
 第3話では「振り込め詐欺」を相手に仕掛けて、相手に痛みをわかってもらう。
 今回は自分が重田以上の人気占い師になって、重田の下で占いの実現を手伝っていた人間に告発させる。

★追記
 婦警コンビのサービスシーンはついにハダカ!?
 温泉で囚われた婦警はむしろにくるまれて発見された。
 今後が楽しみ。
温泉に入りたくて美和子の無料温泉チケットを盗み、巻き込まれてしまう所もいい。
コメント (2)
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功名が辻 天魔信長

2006年05月15日 | 大河ドラマ・時代劇
 第19回「天魔信長」は信長をめぐって様々な人間が議論をする。

 まずは一豊(上川隆也)と六平太(香川照之)。
 「信長の思い上がりを見ろ。お前も信長に嫌気がさしているであろう?」
 グサリと一豊の思っていることをえぐる六平太。
 一豊は、苦労して織田家に仕え1100石の武将になったこと、他家と比べないのが侍だと反論するが、六平太はさらに本質を言う。
 「命あっての成功。死ねば、千代やよね姫が悲しむ」
 六平太は状況を読み、「織田家は内から崩れ」「中国攻めは織田家のみではなし得ないこと」を指摘した。このまま行けば、一豊は命を落とすだけだと六平太は言うのだ。

 信長をめぐる議論の2番目は市(大地真央)と濃(和久井映見)。
 完成した安土城の天守をほめる市と「怨念の上に作られた城」と語る濃。
 信長の殺戮を弁護する市と信長のそれを責める濃。
 市は濃に言う。
 「怖れと賞賛は似たようなもの。信と不信は紙一重でございます」
 市の腹の中にも何かありそうだが、市は英雄とは何かを濃に語った。

 3番目の議論は、謀反を起こした荒木村重(ベンガル)と光秀(坂東三津五郎)の対話。
 信長の使者として来た光秀に村重はこう語る。
 「信長は人を人と思わぬ」「必要でなくなれば捨てる」
 そして光秀に尋ねる。
 「まこと信長を信じておるのか?」
 答えられない光秀。

 今回は信長とは何だったか?を語った1時間。
 天魔信長を前に葛藤する普通の人間たちの姿が描かれた。
 この結論は「本能寺の変」まで出せないため、ラストは死の淵にある半兵衛(筒井道隆)にこう言わせて締めた。
 「安土様に天下は取れません」

★研究ポイント
 テーマ:英雄とは何か?
     
 ただしこの場合、登場人物の言葉が飛び交うのみでドラマ要素は薄くなる。
 そのため半兵衛の死でドラマ要素の味付けをした。
 半兵衛の死をメインにして、信長論をサブにしたらどんな話になっていただろう?

★名セリフ
  1
 「私は千代殿から生きて楽しむことを学びました」
  千代は半兵衛から生き方を学んでいた。
  「おなごの身であっても信ずべき道を打ち立て、それを堅く守るべき」
  「深き山に隠れ、異国にのがれようとも、恋しき人と添い遂げよ」
  しかし、半兵衛も千代から学んでいたのだ。

  2
 「私が生涯愛したおなごは千代殿でござった」

  3
 「サルは余を敬う気持ちが薄いゆえ、三木城ごときに手間取っておるわ」
 「この城が出来上がれば、長治、弾正のような謀反を起こす者もいなくなるわ」
  ※信長の狂気

★名シーン
  1
 村重と秀吉の会話。
 「命に代えてもお守りいたす」と涙を流す秀吉に村重も涙。
 しかし、別れるとそれぞれに言う。
  秀吉「どうであった? わしの演技は?」
  村重「筑前の猿芝居には反吐が出るわ」
 ※狸の化かし合い。
 今回は村重の方が上だった。

  2
 「天下を取る夢をいっしょに楽しめましたものを」と言って死んでいく半兵衛。
 外に出てニヤリと笑う秀吉。
 ※秀吉の中には何らかの形で信長が転んだ後、自分が行動すべきか見えていたのでは?

★追記
 吉兵衛(武田鉄矢)と「功名」=「成功」について話をする一豊。
 「功名とは何じゃ?」と一豊に聞かれ、吉兵衛は答える。
 「功名とは、家族や家臣が幸せになるための働き」
 では家族や家臣のためには非道を行ってもいいのかと思う一豊。
 これがこのドラマのへそ。
 ラスト、大石さんはどう結論を出すか?
コメント (8)
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ギャルサー 第5話

2006年05月14日 | その他ドラマ
 「ギャルサー」第5話は「言い訳」。

 ジェロ~ニモ~いわく
「言い訳とは泳げぬ人間がしがみつく浮き輪のようなものだ。つかまってるうちは楽だがいつまでたっても自分で泳げる力は得られない。その娘達はやがて言い訳という浮き輪を手放し悠々と大海原を泳ぎだすだろう」

 言い訳をして他人に責任転嫁しているうちは自分自身になれないし、自分に自信を持てないということだ。その場を言い訳でのがれたとしても常に罪の意識がついてまわる。結果、いつも問題に正面から向き合わず、逃げる人間になってしまう。

 サキ(戸田恵梨香)、シズカ(佐津川愛美)、スミレ(奈津子)は逃げる。
 イベントの契約書をなくしてしまい、シンノスケ(藤木直人)に罪をなすりつけようとする。
「カウボーイのおっさんに犠牲になってもらおう」と言うサキ。
 そして、契約書はシンノスケが燃やしたことになり、なすりつけに成功した。
 でも、罪の意識は残る。
 連れて行かれるシンノスケにサキは言う。
「言い訳すればいいじゃん!あたしが火の近くにかばん置いたのが悪いとか」
 しかし、シンノスケは言い訳しない。
「言い訳はしない。言い訳すればお前ムカつく。友達嫌な気持ちにしたくない」
 言い訳からは何も生まれないことを彼は知っているのだ。
 サキにしてみれば、シンノスケが「火の近くにかばん置いたのが悪い」と言い訳してくれた方が罪の意識が薄らぐ。
 サキはエンジェルハートの上層部が対策を練っているのを聞いて気持ちが穏やかでない。誤魔化そうとしてもそれは何らかの形でサキの意識にのぼり、彼女を苦しめるのだ。
 そして苦しいから言ってしまう。
「全部あのおっさんに責任取らせればいいじゃないですか?」
 そしてタンスの裏に契約書が落ちていたことが発覚。
 ここでもサキは言い訳を繰り返す。今度はスミレに責任転嫁だ。
 そしてスミレたちにも当たり散らす。
「あんな事しなきゃよかったのに」というスミレに
サキ「なんだよアタシが悪いのかよ!元はと言えばなくすお前が悪いんだろ」
 シズカにも
サキ「お前はいつも金魚のフンで一人だけ良い子かよ!」

 そんなサキが苦しみから逃れられたのは、やはり言い訳をせずに謝った時。
 サキはシンノスケに言う。
「あたしなんだよ火をつけたのはさ!あたし達のせいだと思われるのが嫌で誰かのせいにしたかった…。でも全部ばれちゃった…。みんな怒ってるよだからおっさんも怒れよ!何すんだって怒れよ!」
 そしてサキはイベントを共同開催するギャルサーのトップたちにも謝る。
「嘘ついたのあたしです!なんでもします…だからエンジェルハートだけは許してください!」
 スミレもシズカも謝る。
スミレ「契約書なくしたのあたしです!」
シズカ「そばにいて何も出来なかったのあたしです!」

 シンノスケに謝った時は通り雨に打たれたサキ。
 それはミソギの雨。
 晴れ晴れしい気持ちになったサキは問題に正面から向き合う人間になっていくだろう。

★研究ポイント
 テーマ:言い訳をしない。言い訳は逃げ。問題に正面から向き合う。

 言い訳は格好悪い。
 土下座をするサキたちは格好悪いか?
 むしろ言い訳を繰り返す姿の方が格好悪い。
 あるいは土下座は格好悪いかもしれないが、心の中は晴れやかだ。

 言い訳された方はムカツク。
 しかし、シンノスケは言い訳を仕返さなかった。
 あるいは正直に言ったサキをこう言って許した。
「何故?お前正直に言った。何も怒る理由がない」
「謝る心尊い。それを聞く人間に穏やかな許しの気持ちをもたらす。謝る心人の心から怒りを消す。お前謝った。とても気持ちいい」
 何とサワヤカ!

★キャラクター研究:レミ(鈴木えみ)
 さすがリーダー。
 仲間の失敗は自分で責任を取る。彼女は謝って土下座した。
 だからみんながついてくる。
 契約書が燃えた時にも他のメンバーは大騒ぎしたが、彼女は別のリアクション。
「サキ、怪我がなくて良かったね」
 その言葉は嘘をついていたサキの心を逆にえぐったが、やはりこう言えるのはリーダー。
 そんな彼女だが、一番の欠点はギャグがつまらないこと。
 今回のギャグ
「壊れた王冠つけててみ。あ~、あの人王子様に愛想疲れたショックで社交ダンス踊れなくなったお姫さま様だ~なんて思われちゃうじゃん」
 今回はメンバー、どうリアクションをとっていいかわからず、ナギサ(新垣結衣)にふる。ナギサは少し間があって「そんなわけないじゃん」とツッコミ返す。

★名セリフ
 ジェ~ロニモ~は言い訳についてこう説明する。
「言い訳とは『だって~』『でもぉ』『そんな事言ったってぇ』で始まり、『何々なんだもん』で終わる一連の言葉の事だ。自分に起こった悪い事象を人のせいにする時に使う。言い訳をする人間は言い訳をする事で責任から逃れようとする。言い訳をする人間の気持ちお前には解るまい」
 ※やわらかい言い回しと堅い言い回しをミックスさせた見事なせりふ。
 
 そして言い訳の実際。
 食料送るのを忘れるジェ~ロニモ。
ジェロニモ「だって今日は朝から湿気が多くって神経痛の具合が悪かったんだもん」
シンノスケ「それがいいわけか……なるほど…ムカつく」
 ※前半の食糧送る話がこう繋がるとは。

★名シーン
 謝るためにサキのカバンを補修し、お金がないから野菜を作るシンノスケ。
 直したカバンはダサくて野菜を作るという発想が突飛だが、アルバイトを始めるとか普通のリアクションをしていたのでは、この謝るという行為が死んでしまう。
 笑いながらも何かを感じてしまういいシーンだ。

 その後のやりとりもいい。
 サキがいよいよ謝るシーンだ。
シンノスケ「大切な物燃やした。ごめんなさい」
サキ「おっさん、雨だよ」
シンノスケ「たいした事ない。通り雨だ」
サキ「おっさん、もういいよ!」
シンノスケ「良くない」
サキ「こめんなさい。あたしなんだよ、火をつけたのはさ!」

★追記1
 この物語のメインストーリーであるイモコ探し。
 毎回、忘れ去られるいい加減な所がこの作品の魅力。
 今回も手掛かりなのかどうかわからない。

「イモコ探しはどうなってる?」
「どうやらイモコは恥ずかしがってるようだ」
 シンノスケは「イモコ」が自分の名前を恥ずかしがって、言えないでいると思っている。
 ジェ~ロニモ~は殿様を無体にされて恥ずかしがる娘の姿を想像する。
「シンノスケ守れ!早くイモコを探し出し純粋な心を守るのだ」

★追記2
 今回の話のおさめ方には賛否両論あるだろう。
 ムツコ(丹野友美)がティアラを壊し、壊した原因を作った契約書を隠したという告白して、契約書事件は解決する。
 通常ならレミがサキたちを許して終わるところだろうが、今回はそうしなかった。
 ムツコが新たな告白をした結果、みんなの怒りの持っていく場がなくなってチャン!チャン!という終わらせ方。
 取ってつけた感じは否めないが、結構好きだ。
 この作品らしい。

★追記3
 自信とは成功の数ではなく、問題をどれだけ自分の力で解決してきたか?である。
 言い訳せずに事件を解決したサキは少しは成長したのでは?

★追記4
 ジェロ~ニモのラストの言い訳
 「だっておひょいさんが…」
 モモがパソコンを切ってしまい、その後が聞けなかったのだが、何を言ったのか知りたい。
コメント (4)
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