平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

クロサギ 第7話

2006年05月27日 | 職業ドラマ
 今回は被害者に視点を置いた。
 インチキ占い師・神代正人(和泉元彌)に騙されたくら(内海桂子)の心情を描いた。
 なぜくらにスポットを当てたかというと、くらが家族を亡くして何かにすがった結果、騙された人間だったからだ。
 黒崎(山下智久)は初めて被害者に思い入れをした。
 彼は言う。
「家族が突然死んでしまったら誰だって寂しくなるよ。その寂しさ紛らわすために
神代にすがった。その気持ちはよくわかるよ」
 では、黒崎が自分の家族を亡くした時にすがったものは何か?
 警察(法律)は当てにならなかった。
 おそらく神代のような占い・宗教にもすがらなかったのだろう。
 頼れるのは自分だけ。
 だから桂木敏夫(山崎努)をナイフで刺そうと思った。
 だが、それは未遂。
 逆に桂木に言われる。
「お前の父親と同じだ。殺せばすむと思ってる」
 黒崎は父親を愚かだと思っている。
 騙されて家族を殺して自殺して。
 こんな愚かな父親といっしょにはなりたくない。
 だから詐欺師を騙し返す詐欺師になった。
 被害者へお金も返すことができる。

 今回はクロサギになった黒崎の心情をより深く描いた。
 単なる復讐、もしくは救いにはいろいろな方法があるが、黒崎は一番有効な復讐手段としてクロサギになることを選んだのだ。

 残りの黒崎のテーマは吉川氷柱(堀北真希)の言う「あなたはそれで幸せなの?」というテーマだ。
 果たして黒崎に氷柱の言う救いは訪れるのか?
 自分を捨てたという黒崎がもとの自分に戻れるのか?というテーマだ。

 ただし、この段階で氷柱の言う黒崎の苦しみはあまり伝わって来ない。
 黒崎は詐欺をすること・頭脳合戦をむしろ楽しみ、被害者にお金を返せて救済できることに喜びを感じているように見える。
 三島ゆかり(市川由衣)が黒崎を是認しているように彼も詐欺師であることを認めているように思える。
 ここでドラマをさらに深くするためには、詐欺師・黒崎の苦しみを明確に描かなくてはならないだろう。
 もはや氷柱の訴えだけでは足りない気がする。第2話の親友を食ってしまった苦しみのエピソードが必要である。
 また、黒崎がクロサギとして行っていることとは反対の価値観を示す必要があるだろう。
 黒崎がクロサギを辞めた時にどんな人間になっているのか?
 あたたかい家庭の父親なのか?恋人の笑顔で歩く姿なのか?
 そんなことを明確にしなければならないと思う。

 今回は氷柱を抱きしめようとして抱きしめかった黒崎。
 彼がラストにどんな結論を出すか楽しみだ。

★研究ポイント
 物語の作り方:ラストの結論をどう持ってくるか?
         現在の主人公の価値観とは反対の価値観の提示。

★キャラクター研究:三島ゆかり
 黒崎を全面的に受け入れるゆかり。
 その受け入れ方がスゴイ!
 チラシを配って応援する。
「すごい人がいるんです!詐欺師をみんなやっつけちゃうの!」
 その過激な行動は黒崎にも疎まれているらしく、ゆかりを見つけると黒崎は言う。
「出た」
 でも、ゆかりはめげない。
「着物姿もすごい似合いますね!頑張って騙してくださいね!応援してますから!」
「声がでかい」
 しかしそうしたブッ飛びキャラだけでなく、言うべきことはしっかり言う。
 黒崎に詐欺師をやめさせようとする氷柱に
「自分の理想押しつけないでよ!氷柱のそんな所が嫌い!人間の気持ちなんてそんな理屈でわりきれるもんじゃないでしょう」
 氷柱も反論。
「そうだけど、それを理性で押さえるのが人間でしょう?」
 しかし、ゆかりも反論。
「じゃあなんで氷柱は黒崎さんが好きなの?しかもその人の部屋に泊まったりして…」
 そして日を改めて別の場所では
「まだ理性の力は働かないわけ?早くしてよね!検事さん!」

 恋愛や人の気持ちは理屈じゃない。
 この辺の人間理解は人生経験豊富なゆかりの方が氷柱より上か?
 氷柱VSゆかり
 対照的なキャラクターがぶつかり合う三角関係は面白い。
 それにしても黒崎のまわりにはどうしてこんな女の子ばかりが集まるのだろう?

★ディティル
 インチキ占い師のテクニック~コールドリーディング・ホットリーディング

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