平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

功名が辻 開運の馬

2006年05月29日 | 大河ドラマ・時代劇
 第21回「開運の馬」
 今回は千代(仲間由紀恵)が可哀想だった。
 夫・一豊(上川隆也)の喜ぶ顔が見たくて叔父から託された十両を見せた千代。
 ところが一豊は怒り出す。
 「情の強いおなごよ。小賢し過ぎる」
 「心が何室にもわかれていて、玄関からは見通せぬ」
 お金のことで苦労してきた一豊と千代。
 自分と千代は苦労を分かち合う一心同体だと思っていた。
 ところが千代は十両のことを黙っていて相談もせず、自分で判断してその使い方を考えた。
 それが一豊には許せないのだ。
 一豊は言う。
「高みにおいてわしを見下しているのではないか?」
 自分以上に思慮のある年下の妻に劣等感を抱いていた一豊。
 それが怒りに繋がった。

 千代や家のために懸命に働いてきた夫のプライドもある。
 冒頭、一豊が千代に扇を買ってやろうとするシーンがあるが、千代が一豊に何かを買ってあげるのではなく、自分が千代に買ってあげるのが夫のプライドだ。
 それが一豊の怒りを強くした。

 一方、千代は哀しい。
 ただ、夫の喜ぶ顔が見たいだけなのに。
 十両を託した叔父、叔母の思いもある。
 叔父は十両のお金を一豊に見せた時、ふたりが手を取り合って喜ぶ姿を思い描いていたでろう。
 それがこんな哀しいことになってしまうなんて。
 山内家のお方様として立派になった千代もここは少女の千代に戻る。
 大泣きする。
「旦那様の夢はおのれの夢。妻という形で夫と共に乱世を戦っていきたい」

 千代に泣かれれば一豊も弱い。
 なだめて、言い訳して、謝って、馬を買いにいく。
 このうろたえ方が千代を愛している証拠。

 この場面を単に「ありがとう」と言ってもらったのでは、これほど伝わらない。
 想いが裏切られて千代が哀しみ、千代の想いがわかって一豊が謝ったから、いいドラマになった。

 今回のもうひとつのドラマは濃(和久井映見)。
 人を捨て神になった夫・信長(舘ひろし)。
 諫言も聞き入れられず、織田家に居場所がなくなったと考える濃。
 光秀(坂東三津五郎)にも拒まれた。
 濃は光秀に言う。
「(光秀と夫婦になった)夢を描いてみることも許されませぬのか?」
「やり直せぬのが人の定めにございます」
 すべてに絶望した濃は織田家を出る。
 そこで千代と関わる。
 馬をめぐっての千代と一豊の会話を聞いて、かつての自分たちのことを思い出す。
 自分たちも昔はふたりして夢を追ったのではなかったか?
 千代たちに力をもらった濃は城に戻り、馬を信長に見せに来た一豊夫婦にその礼として砂金を渡した。

 この濃の物語。
 これも絶望から一縷の希望を見出したからドラマになった。
 その希望はまた絶望に変わるものなのだけれど。
 砂金を渡されて意味がわからない一豊とお方様と知って驚く千代の顔は面白く、ユーモアのあるいいシーンになった。

★研究ポイント
 ドラマの作り方:喜びと悲しみ、絶望と希望、この両方の感情を盛り込む。
          千代と濃の物語を掛け合わせる。

★キャラクター研究:千代
 千代ははつらつとした少女のような面を持っている。
 安土の町で人々といっしょに踊り、町をいっしょに歩けるだけで嬉しいという。
 扇をプレゼントされようとすると、「目で楽しむだけで十分」と言う。
 しかし、自分をほったらかして馬市に一豊が行くとふくれる。
 信長に相対した時、大きな声で「はい」と答えてしまう。
 それでいて、思慮がある。

★名セリフ
 馬がほしい一豊が言う。
「夢のような話じゃ。笑えば済む」
 大声を出して笑う一豊と千代。
 ※こうやって笑えば幸せ。強欲にとらわれることもない。

★名シーン
 光秀の夢。
 眠っている信長を刺そうとする光秀。
 信長はカッと目を開け、「お濃はそちにくれてやるわ」と言う。

★追記
 今回の物語を原作と読み比べてみた。
 原作では千代の涙を千代が意識してやったものとしている。
 怒った一豊に千代は考える。
「泣くにかぎるわ、理屈を言わないで」
 機嫌をとろうとする一豊に
「この辺でかんべんしてやろうかしら」
 夫操縦術だ。
 こうも書かれている。
「さんざん泣くと、やっとおさまってきて、今度は笑いがこみあげてきた。背中が笑いでふるえている」
 原作の司馬遼太郎さんは、夫を手の上に乗せて出世させた妻として千代を描いている。
 この点では純粋さを残した大石静さんの千代の方がテレビドラマ向き。
 だが、「夫の名を高めるために馬を買った」という後のエピソードという点では司馬さんの千代の方が説得力がある。

★追記2
 信長の狂気はいよいよ激しく。
 自分を祀った寺を造り言う。
「天がわしに命ずるのだ。天がこの信長を生かしておるのじゃ。この刀で刺してみよ」

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9 コメント

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僕は、、、 (てれすどん2号)
2006-05-29 11:00:40
原作よりこっちが好きですね、文識がないせいか、完全に「ふるきよき女性の姿」があるとはいえないが、とてもまっすぐで元気のイイ千代が魅力的に感じれます!



光秀の夢は効果的でしたね!来週はよりいっそうたのしみです!!
コメントありがとうございます (コウジ)
2006-05-29 17:31:06
僕もテレビ版の千代の方が好きです。

演じられているのも仲間由紀恵さんですし。

来週からはいい演技をされている舘ひろしさんと坂東三津五郎さんの激突!

本当に楽しみですね。
こんにちは (rico)
2006-05-29 19:39:54
TBいただきありがとうございました。



原作を読んだことがないので「★追記」の

読み比べを興味深く拝見しました。

私のこれまでの「山内一豊の妻」のイメージは

まさにこの原作風な千代でした。

仲間さんの魅力と相まって、ドラマ版の千代の方が

好感が持てますね。
コメントありがとうございます (コウジ)
2006-05-30 08:57:53
>ricoさん

 仲間さんの演技には、子供の頃の千代がまっすぐに一豊を見つめていた雰囲気が残っていますよね。

 歳を重ねて、千代も仲間さんの演技も変わっていくのでしょうか?

 楽しみです。
わかりました(^o^) (おりょう)
2006-05-30 09:47:13
こんにちは

自分のブログで ”10両を千代が出した時、たしか原作ではケンカしなかった”と書いてしまいました。(追加訂正済み)

なんで そんなふうに思ったのか?? 思い違いをしていたのか、こちらの記事を読んでわかりました!



原作で千代は一豊を操縦していたんでしたね。ケンカとは 一豊と千代が本音で いさかいをする事。だけど、千代は 一豊の気持を 手のひらで転がして コントロールしたのでした。



だから、きっと私には ふたりがケンカをしたイメージが残らなかったのだ!・・・と思いました。



ありがとうございました。
コメントありがとうございます (コウジ)
2006-05-30 15:36:47
>おりょうさん

 コメントありがとうございます。

 原作と読み比べてみるといろいろな発見がありますね。

 原作で言うと、この話は全4巻の中の1巻目の話なんですよね。

 残り半年で3/4の内容をやることになるのですが、大石さんがどう書かれるか楽しみです。
こんばんわ! (bluestar1719)
2006-05-30 17:12:21
TBありがとうございました。

今回も素晴らしいです。



原作読んでないからか、

ドラマの千代の方が人間味が

あって好きですね。

ちょっと小賢しいトコもある

ものの、たまに見せるそそっ

かしいトコが・・。

夫を掌で転がすことができる

妻っていいですね。自分は

到底ムリですけれど(苦笑)



当方URL

http://tb.plaza.rakuten.co.jp/bluestar1719/diary/200605280002/f1637/

原作の千代は・・ (ジェニファー)
2006-05-31 02:02:15
したたかなんですね。夫の出世のため、また夫を操縦するために 涙を流す・・仲間由紀江さんのイメージではありませんね。

おもしろいです。TB頂いていきますね。
コメントありがとうございます (コウジ)
2006-05-31 15:56:56
>bluestar1791さん

 そそっかしいところ。そう言えば今回千代のコケがありましたよね。それにあんな所に10両をおいておいていいのかなど。それが千代の魅力になっています。



>ジェニファーさん

 今は仲間さんの実年齢に近い千代ですが、今後歳を取った時、仲間さんがどんな演技をされるのか楽しみです。

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