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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ユナイテッド93

2009年09月29日 | 洋画
 現実は何よりも雄弁だ。

★9・11の同時多発テロ。
 ニューアーク空港発サンフランシスコ行き「ユナイテッド93便」。
 物語はその乗客とテロリストが描かれる。
 飛行機を乗っ取られた乗客たちは最初、普通のハイジャック事件としてテロリストの言うことに従う。
 しかし飛行機の電話などで他の飛行機が乗っ取られ、ビルに突っ込んでいることがわかると、抵抗を開始する。
 消化器などの武器を調達し、戦う意思のある者を伝言で集める。
 テロリストのパイロットの代わりに飛行機を操縦できる人間も必要だ。かろうじてプロペラ機を操縦したことがある乗客がいて、彼にジェットの操縦をさせようとする。

 そしてテロリストとの戦い。
 柔道が出来る巨漢が先頭を切ってテロリストにぶち当たる。
 テロリストが身につけていた爆弾は偽物であることが判明。
 操縦士のコックピットをぶち壊す。
 これらの戦いの描写は少しも格好良くない。
 アクション映画だったらヒーローが華麗にキックやパンチで倒す所だが、そんなことは全然ない。
 もつれ合い、もがき合い、引っ掻き合う。
 これが現実の戦いなのだ。

★そして作品はラストまでその現実を徹底させる。(以下ネタバレ)

 9・11のことはご存じだと思うが、このユナイテッド93は墜落して地面に激突する。
 乗客は全員死亡。
 生きるために戦った乗客達は飛行機がターゲットに突っこむことは阻止したが、結局助からなかったのだ。
 これがフィクションのアクション映画なら飛行機は何とか着陸して、めでたしめでたしになる。
 ところが現実は正反対。

 これが現実だ。
 勇気を出して雄々しく戦っていった乗客達が死んでしまう。
 ウソの世界でヒーローが正義を行うのは映画として面白いが、やはり心に伝わってくるものはウソでない現実だ。
 乗客全員が死んでしまうことで<テロの悲惨さ><人生の不条理>が伝わってくる。
 これはウソのヒーロー物語では描けないこと。
 
 物語は今後こうしたノンフィクションの方法で描かれていくのかもしれない。


コメント
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