側室になる由布姫(柴本幸)に対して晴信(市川亀治郎)は言う。
「自分は国のため個人を捨てた人間。個人を捨てて生きることが自分の定め。それは姫も同じではないか?」
「いずれにしても人はひとりでは生きられぬ」
由布姫とは「個人を捨てて生きる定め」を持った者どうし、その点で理解し合い、共感することが出来るのではないかと晴信は言うのだ。
人が人に心を開く時、それは何かに共感する時だ。
喜び、哀しみ、苦しみ……。
きっかけはあった。
晴信の下手くそな和歌(これは意図して下手に作ったわけではなく、本気で作ったらしい)。
これで由布姫は笑った。
これが最初の共感。
そして今回は個人を捨てて生きなければならない苦しみの共感。
これで、父親を殺されて憎しみにとらわれた姫が心を開いた。
政治の道具として人の心を捨てた姫が心を開いた。
勘助(内野聖陽)の時といい、晴信は人の心の在処をとらえて揺り動かすのに巧みだ。
今回は恨み・憎しみ・恥辱という感情から転じて心を開かせるというダイナミックな心のドラマ。それが市川亀治郎さんの迫力と気品のある演技によって描かれる。
そして、それを閨の場、ひとつで描いてみせる鮮やかさ。
晴信と姫はこの間、一度も逢っていない。
大きな事件も起こっていない。
「功名が辻」のホームドラマさながらの愛情ドラマもいいけれど、こういった形の愛情ドラマも素晴らしい。
緊張感あふれる一場の舞台を見るような感じ。
小道具の笛の使い方も見事。
晴信に眠気を誘うための三条夫人の呪いの笛だと笑わせておいて、ラストに大きな意味を持たせる。
心を開いた姫の笛の音は以前のものとは違っていたのだ。
見事な短編小説の落ちを見るような感じ。
また、今回は晴信によって勘助の真意が姫に明らかにされた。
勘助は姫の「生きたい」という目に惹かれていた。
「生きたい」と思う姫の意思を実現するために、動きまわり、悪役も買って出た勘助。
ラスト、勘助は姫の笛の音を聞きながら姫の幸せを願い、信濃攻略のための旅に出る。
この大きな愛。
勘助もまた晴信のために姫のために、個人を捨てた人間なのだろう。
この個人を捨てたという点で、勘助・晴信・由布姫の三人は結びつく。
「自分は国のため個人を捨てた人間。個人を捨てて生きることが自分の定め。それは姫も同じではないか?」
「いずれにしても人はひとりでは生きられぬ」
由布姫とは「個人を捨てて生きる定め」を持った者どうし、その点で理解し合い、共感することが出来るのではないかと晴信は言うのだ。
人が人に心を開く時、それは何かに共感する時だ。
喜び、哀しみ、苦しみ……。
きっかけはあった。
晴信の下手くそな和歌(これは意図して下手に作ったわけではなく、本気で作ったらしい)。
これで由布姫は笑った。
これが最初の共感。
そして今回は個人を捨てて生きなければならない苦しみの共感。
これで、父親を殺されて憎しみにとらわれた姫が心を開いた。
政治の道具として人の心を捨てた姫が心を開いた。
勘助(内野聖陽)の時といい、晴信は人の心の在処をとらえて揺り動かすのに巧みだ。
今回は恨み・憎しみ・恥辱という感情から転じて心を開かせるというダイナミックな心のドラマ。それが市川亀治郎さんの迫力と気品のある演技によって描かれる。
そして、それを閨の場、ひとつで描いてみせる鮮やかさ。
晴信と姫はこの間、一度も逢っていない。
大きな事件も起こっていない。
「功名が辻」のホームドラマさながらの愛情ドラマもいいけれど、こういった形の愛情ドラマも素晴らしい。
緊張感あふれる一場の舞台を見るような感じ。
小道具の笛の使い方も見事。
晴信に眠気を誘うための三条夫人の呪いの笛だと笑わせておいて、ラストに大きな意味を持たせる。
心を開いた姫の笛の音は以前のものとは違っていたのだ。
見事な短編小説の落ちを見るような感じ。
また、今回は晴信によって勘助の真意が姫に明らかにされた。
勘助は姫の「生きたい」という目に惹かれていた。
「生きたい」と思う姫の意思を実現するために、動きまわり、悪役も買って出た勘助。
ラスト、勘助は姫の笛の音を聞きながら姫の幸せを願い、信濃攻略のための旅に出る。
この大きな愛。
勘助もまた晴信のために姫のために、個人を捨てた人間なのだろう。
この個人を捨てたという点で、勘助・晴信・由布姫の三人は結びつく。