平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

わたしたちの教科書 第7話

2007年05月25日 | 学園・青春ドラマ
 今回は怒りの高め方が見事。

 珠子(菅野美穂)は裁判の準備をしながら、様々なことを見聞きする。
 ひとつは前担任の三澤先生(市川実和子)の発言。
 書き換えをさせられる前の生活指導書。
 いじめの相談を副校長の雨木(風吹ジュン)に相談したが、ことごとく揉み潰されたこと。挙げ句の果てに退職に追い込まれる。
 職員室での三澤の写真に焼け焦げた物体(人形)があるのもいい伏線。

 そして藍沢明日香(志田未来)が残した質券。
 いじめの事実がわかっていくにつれ、この質入れは新しい教科書を買うためにしたことがわかる。配布された2年生の教科書は兼良陸(冨浦智嗣)によって燃やされた。
 そこで新しい教科書を買うためのお金が必要になった明日香。
 質入れした物は腕時計。唯一の父親の思い出。
 角度を変えてみれば、買い直した教科書は「父親に買ってもらった教科書」。
 そんな思い入れのある教科書に「死ね」と書かれたら……。
 ここで珠子の明日香への共感はピークに。
 怒りがこみ上げてくる。
 一枚の質券が発展していって、明らかにされる事実。明日香の想い。
 見事な作劇だ。
 ひとつの物が重要な意味を持ってくる。
 見事な小道具の使い方だ。

 そして、その怒りは雨木副校長に向けられる。
 いじめを隠蔽しようとする雨木に珠子は生活指導書に書かれた事実を列挙して述べる。
 怒りの表現としては直接的ではないが、逆に伝わる。
 見事な怒りのせりふ。
 また、珠子は怒りとは別の人間としての問いを発する。
 「どうして目を閉じてたんですか?目を閉じていたって何の解決にもならないのに。今度はもっとひどいことになっているかもしれないのに」
 このせりふも見事。
 怒りの表現だけでは、珠子がキャラとして浅くなる。

 ラストは珠子による訴状の朗読。
 朗読に沿って各人物の学校でのシーンが描かれる。
 このシーンも見事。
 珠子の怒りと共に今後の裁判を予感させる。
 裁判で各人はどの様に動くのか?
 加地(伊藤淳史)も大城(真木よう子)も 戸板篤彦(大倉孝二)も 八幡(水嶋ヒロ)も熊沢(佐藤二朗)もどう転ぶかわからない。敵にもなり味方にもなる可能性がある。
 その他にまだどんな闇が隠されているかも気になる。

★追記
 弁護士とは必ずしも正義の代弁者ではない。
 瀬里直之(谷原章介)は言う。
 「事実関係を把握し、依頼主を守るのが弁護士」
 事実が間違ったことでも依頼主を守るのが弁護士なのだ。


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