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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

幸せのちから

2007年05月05日 | 洋画
 証券会社の養成コースに通い社員採用を目指すクリス・ガードナー(ウィル・スミス)。社員になれば相当な報酬を得ることができるが、それは超難関。おまけに養成コースの期間、6ヶ月は無報酬。

 正統派のサクセスストーリーだ。
 クリスは高校時代、成績優秀。その頃は何にでもなれると思っていたが、やがて現実の厳しさに押し潰されて、すべてが中途半端に。
 一攫千金を夢見て購入した「骨密度を測る器械」もなかなか売れず在庫の山。安易な夢ばかりを見て地に足のついた努力をしない。悪い循環が続き、生活は困窮。妻は出ていく。部屋代が払えずに追い出され、駐車違反の罰金が払えずに留置所で暮らすことも。
 そんなクリスが最後までくじけなかったのは、息子のクリストファー(ジェイデン・スミス)の存在だ。彼一人だったら、あるいは工場で働いている妻のおかけでそこそこ食べていける境遇だったら、無報酬の、しかも採用されるかどうかわからない養成期間など、とっくに投げ出していただろう。

 しかし、困難はこのふたりをどん底にまで突き落とす。
 駅のトイレで寝る。
 教会に列を作り、一夜のベッドをもらう。
 クリスもイライラして、息子が大事にしていたキャプテン・アメリカの人形が道に打ち捨てられても無視して、教会のベッドを取るために道を急ぐ。
 一方でこんな微笑ましいドラマも生まれる。
 駅に泊まるふたり。
 クリスは「骨密度を測る器械」をタイムマシンだと言って、クリストファに目をつぶらせる。目を開けた世界はただの駅でしかないが、クリスの語って聞かせる世界に息子は恐竜を見る。 
 また、壊れていた「骨密度を測る器械」をクリスは懸命に直そうとする。これが直れば報酬が得られ、惨めな生活をしなくていい。クリスは必死だ。真夜中、器械を直すクリス。直って電球のランプが光を発する。

 作品はこの様な絶望と希望を淡々と描く。
 この作品は実話に基づいた作品だそうだが、ドラマとして大きなうねりはない。作家はクライマックスに向けて話をどんどん盛り上げようとするが、この作品にはそれがない。あるのは転落の過程と転落していきながらも息子と共に希望を捨てずにがんばるクリスの姿だけだ。
 そしてそれが作品にリアリティを与えている。

 原題は「幸せの追求」。
 人は幸せを追求する権利を持っているし、幸せを追求するために生きている。


コメント (2)
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