ダウンワード・パラダイス

「ニッポンって何?」を隠しテーマに、純文学やら物語やら、色んな本をせっせと読む。

あなたの世界の見方を変える(かもしれない)世界文学20冊

2017-10-02 | 物語(ロマン)の愉楽

 ネットで「おすすめ本サイト」を見てまわるのは楽しい。このあいだ、「あなたの世界の見方を変えるであろう名作世界文学おすすめ20冊」というのを見つけた。ずいぶん大きく出たもんだ。リストは次のとおり。


01.『審判』フランツ・カフカ 新潮文庫ほか
02.『神曲 地獄篇』ダンテ・アリギエーリ 集英社文庫ほか
03.『一九八四年』ジョージ・オーウェル ハヤカワepi文庫
04.『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ ハヤカワepi文庫
05.『シャンタラム』グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ 新潮文庫
06.『崩れゆく絆』チアヌ・アチェベ 光文社古典新訳文庫
07.『指輪物語』J・R・Rトールキン 評論社文庫
08.『ボヴァリー夫人』ギュスターヴ・フローベール 新潮文庫ほか
09.『星の王子さま』サン=テグジュペリ 新潮文庫ほか
10.『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』ジュノ・ディアス 新潮クレスト・ブックス
11.『嵐が丘』エミリー・ブロンテ 新潮文庫ほか
12.『冷血』トルーマン・カポーティ 新潮文庫
13.『来訪者』ロアルド・ダール ハヤカワ・ミステリ文庫
14.『エミリー・ディキンソン詩集』エミリー・ディキンソン 岩波文庫
15.『アメリカーナ』チママンダ・アディーチェ 河出書房新社
16.『リア王』ウィリアム・シェイクスピア 新潮文庫ほか
17.『石蹴り遊び』フリオ・コルタサル 集英社文庫
18.『アンナ・カレーニナ』レフ・トルストイ 新潮文庫ほか
19.『変身物語』オウィディウス 岩波文庫
20.『百年の孤独』ガブリエル・ガルシア・マルケス 新潮社


 非・欧米圏によく目を配っている印象だ。あと、女性作家のものをちゃんと入れてるし、あるいは、男性作家が書いたものでも、女性を主人公にしたものを多く入れてる。そういう点では吟味されたリストだ。ただ、未読の作品もあるので大きなことは言えないが、やはり選者の好みが出すぎてる気がする。

 そもそも「あなた」が何歳くらいで、女性なのか男性なのか、どのような人生経験、読書歴を積んできたのか分からないんだから、ほんとはこんなこと一概にはいえない。つまりこれはお遊びである。お遊びで、好きにやってもいいのなら、ぼくだって選んでみたいぜ。しかし「あなたの世界の見方を変えるであろう」はいくらなんでもオーバーなので、もう少し控えめにしておく。


あなたの世界の見方を変える(かもしれない)世界文学おすすめ20冊


01.『シュルツ全小説』ブルーノ・シュルツ 工藤幸雄・訳 平凡社ライブラリー
02.『カフカ寓話集』フランツ・カフカ 池内紀・訳 岩波文庫
03.『神曲 地獄篇』ダンテ・アリギエーリ 寿岳文章・訳 集英社文庫ヘリテージシリーズ
04. 『夜の果てへの旅』上下 フェルディナン・セリーヌ 生田耕作・訳 中公文庫
05. 『チャンドス卿の手紙 他十篇』フーゴ・フォン・ホフマンスタール 檜山哲彦・訳 岩波文庫
06. 『シュルリアリスム宣言・溶ける魚』アンドレ・ブルトン 巌谷國士・訳 岩波文庫
07. 『若い藝術家の肖像』ジェイムズ・ジョイス 丸谷才一・訳 集英社文庫ヘリテージシリーズ
08. 『ロートレアモン全集』イシドール・デュカス 石井洋二郎・訳 ちくま文庫
09. 『日はまた昇る』アーネスト・ヘミングウェイ 高見浩・訳 新潮文庫
10. 『フォークナー短編集』ウィリアム・フォークナー 龍口直太郎・訳 新潮文庫
11. 『悪霊』上下 フョードル・ドストエフスキー 江川卓・訳 新潮文庫
12. 『荒地』 T.S.エリオット 岩崎宗治・訳 岩波文庫
13.『魔法の樽 他十二篇』バーナード・マラマッド 阿部公彦・訳 岩波文庫
14.『白檀の刑』上下 莫言 吉田富夫・訳 中公文庫
15.『伝奇集』ホルヘ・ルイス・ボルヘス 鼓直・訳 岩波文庫
16.『ブリキの太鼓』1~3 ギュンター・グラス 高本研一・訳 集英社文庫
17.『百年の孤独』ガブリエル・ガルシア・マルケス 鼓直・訳 新潮社
18.『イン・ザ・ペニーアーケード』スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸・訳 白水Uブックス
19.『懐かしい年への手紙』大江健三郎 講談社文芸文庫
20.『巨人たちの落日』上中下 戸田裕之・訳 ケン・フォレット ソフトバンク文庫


 どうしてもヨーロッパとアメリカ中心になるなあ。あと、オトコばっかだなあ。最後の2冊は捻じ込んだ感じだが、大江さんは紛れもなく世界水準だと思うので。ケン・フォレットは、エンターテインメントからも選びたかったから。総じて現代に寄りすぎたけど、古典を選んでたらそれだけで20冊になっちまうからしょうがない。「世界の見方を変える(かもしれない)」という点では、われながら悪くないリストだと思う。



 追記)19.12.11   アディーチェさんの『アメリカーナ』が文庫に下りてきた。版元は同じく河出書房新社。すなわち河出文庫。上下巻だからそこそこの値段になるが、これはぜひとも読んでおいたほうがよさそうだ。