桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2011・12・4

2011年12月05日 | Weblog
親しいお客さんが書いたり演出したり出演する芝居を見に行くのは怖い。眠ってしまったらどうしよう。つまらなかったらどうしよう。芝居が終わった後、その人が劇場に来ていたら何か感想をいわなくてはならないから、その脅迫概念に捕らわれる。でも、眠ってしまったとしても、つまらなかったとしても正直にそういう訳にはいかない。それは親しいお客さんじゃなくても全否定しないのが作品を作った人への礼儀だ。だからこそ今日みたいに見た後で面白かったと思った時はこっちがホッとする。お客さんのOさん作演出の「皆既日食」という芝居を見た後、いい年した芝居好きの男(64歳)がこれまたいい年した男(59歳?)が作った芝居をケーキセットを食べつつ語り合う午後。大袈裟にいうと生きていてよかったと思える幸せなひとときだった。最終ソワレ公演のあるOさんと別れて、池袋で靴下、ヒートテックの下着などを買う「決心」をする。今朝出かける時に洗濯をしてなかったので明日来ていくものがないのを思い出したからだ。でも、こんな程度の買い物でも衣服となると迷ってしまって途中で店を出たくなる。それなのに、その後入ったスーパーでは食料品を何の躊躇いもなく買い込む。今朝は出かける前に昨日買った牛肉で一人すき焼をやったので夕食はカキと長ねぎのニンニクバター炒め……いや、ちょっと待て。明日は健康診断を受けるので九時以降飲食禁止だし、それまでにもっと一杯食べておこうと、刺身用のイカ、もろみ味噌で食べるキュウリ、手羽先などを籠にいれてしまう。衣服の買い物は苦手なのに食料品はいくらでもOK。経済感覚がおかしいと誰かに言われたことがあったが、その人は衣服にだと何万も使っても構わない感覚の持ち主だ。俺だったらきっと数日間は自己嫌悪してしまう金額だった。時間とお金の価値観は皆それぞれの文化だ。他人のお金と時間の使い方をあれこれいうのは野蛮だと独り言を呟きながら刺身にした後のイカの足やエンペラで自家製塩辛を作る。芝居について語り合うのも幸せだったが、こうして塩辛を作るのもかなりの幸せ。