ウッディ・アレンの映画は一本残らず見ているといって決してうそではないほど、
ウッディ・アレン通を気取っていたのですが、
いかんせん田舎に住んでいたのでは、なかなか映画館で観ることができません。
このマッチポイントも、キネマ旬報で特集されていらいどうしても観たい作品でした。
おまけにキネマ旬報ベスト10外国映画部門で10位に入ったとなるとどうしても、と思っていたら、ついにDVD化されました。
取りあえず借りて観ようということで借りてきました。
感想ですが、よくできた映画だと思うし、キャスティングもなかなかと思えました。
でも、これがウッディ・アレン監督の作品でないとそれなりに評価できるのですが、
ウッディ・アレンの追っかけをしているような人間から観ると正直ちょっとがっかりかもしれません。
どうしてなんだろうと考えると、それは映画のテーマやストーリーの問題かもしれません。
表題のマッチポイントというテーマはエンディングに通じるまさにポイントであったのかもしれませんが、
ストーリー自体は、何度も読んできたようなそんな気がしました。
まだ観ていない人がいるといけないのであまりストーリーに触れてはいけないのですが、
地位や名誉や生活の安定を取るのか、愛情を取るのかという究極の選択で揺れ動く主人公。
そして、最後には手段を選ばずに行動していく冷血な態度。
何だか、若いときに観た映画「青春の蹉跌」を思い出してしまいました。ショーケン演じる青年が、
司法試験にも受かり、壇ふみ演じる金持ちの令嬢との結婚も決まった頃に、
桃井かおり演じる恋人から妊娠を告げられて、ついには桃井かおりを殺してしまうというストーリーです。
しかも皮肉にも桃井のおなかの中の子はショーケンの子ではなかったというおまけつきなのです。
原作は石川達三です。石川の作品にはこういったものが多かったように思います。他にもこういったテーマでは、松本清張や、森村誠一の推理小説にも多かったように思います。
マッチポイントはどうもこういった流れに感じてしまい、何かすっきりしませんでした。
もちろん、スカーレット・ヨハンソン“魔性”ぶりはなかなか見応えのあるもので、
女性の好みがうるさいウッディー・アレンらしいキャスティングではあると思います。
今回の「マッチポイント」でも、その魔性っぷりを発揮。ヨハンソン演じるノラは、
ジョナサン・リース・マイヤーズ演じる主人公クリスの前に現れたかと思うと、クリスは結婚も間近な恋人のある身ながら、
ノラの魅力に抗えずに不倫の世界に足を踏み入れてしまうという役どころ。
そこだけでも観て良かったと思えるかどうかがこの映画の評価の分かれ目かもしれません。