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とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

映画「アントキノイノチ」

2012-10-09 22:28:50 | 映画

私ごとで言えば、映画館ではまず観ない部類の作品です。

出演者も岡田将生と榮倉奈々というアイドルムービーのお涙ちょうだい的な映画だろうと勝手に想像していました。

原作もさだまさしということで、「やれやれ…」という思いでした。

WOWWOWで放映するというので、まあ録画しておこうか程度で観ることにしました。

結果から言うと意外や意外…けっこうヒューマンな作品に仕上がっていました。

最初の印象があまりに悪かったのでその反動かもしれません。

オープニングからなかなかのスタートです。

引き裂かれた制服にナイフが刺さっていて、「僕は二人の人間を殺した」という独り言から始まって、屋根の上に全裸の永島(岡田将生)が座っています。

永島(岡田将生)は、遺品整理業者で働き始めます。

そこで、暗い過去を持つゆき(榮倉奈々)と知り合います。

二人の物語を中心に、遺品整理をするシーンを映しながら亡くなった人たちの生活を映し出します。

一人暮らしの人もいれば、家族と離れて生活しなければいけなかった人まで、人々の生と死を描いていきます。

人が生きるということ、死ぬということの意味を観客に投げかけていきます。

現実の場面と、永島の高校生時代の過去を挿入していきます。

高校生の頃にいじめに会い苦しんでいたこと、ネットで執拗に苦しめられていた友人を助けることができなくて自殺に追い込んでしまったこと。

そのいじめをしていた同級生(松坂桃李)を山の上から突き落とそうとする衝動に駆られたことや、

友だちとナイフでもみあいになったことなどから精神的に不安定になってしまう姿をフラッシュバックさせて描いていきます。

一方のゆきは、友だちからレイプをされ妊娠してしまうことから、心を閉ざしてしまいます。

そういった過去をもつ二人が徐々に心を許しあうそういった場面がていねいに描かれていきます。

この夏休みに場面緘黙の本を読みあさった関係で、心がいかにもろいものなのか…考える機会がありました。

そういう意味で、心が蘇っていく二人に一縷の希望を持って観ていました。

遺品整理の中で子どもをキーワードにして、ゆきは仕事を続けることができなくなります。

遺品整理で見てきた“生と死”自分たちに関わる生命そういったものを考えさせるシーンが続きます。

どういう形で締めるのかと考えていたら、タイトルにつながる海岸のシーンです。

「アントキノイノチ」…「アントニオ猪木」…「元気ですか~!」正直どうなんだろう?と思わせる終わり方です。

これだけ、見ている側にいろんなことを預けていって命のバトンタッチ的な終わり方でいいの?そんな思いがしています。

原作がさだまさしでもともとこういうお話しなのかもしれませんが、映像にした以上、もう少し終わり方を考えて欲しいと思いました。

ラストのお涙頂戴で終わることが予定調和なのかもしれません。

でも素直に物語を追いかけ、素直にラストシーンで涙ぐむということは、そのことを期待して観る人たちには直球ど真ん中の作品だったのかもしれません。

私的には、途中ではいろんなことを考えることができたので有意義な時間となりました。

作品に対する評価は人それぞれだろうなと思います。

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映画「害虫」

2012-10-01 23:34:49 | 映画

WOWWOWで「害虫」を観ました。2002年の公開ということで結構前です。

主演は宮崎あおいです。蒼井優も出ています。今を代表する若手二大女優が出ているというのがすごいです。

「害虫」というタイトルだからけっこうコアな中身になるんだろうと予想していましたが、その通りになりました。

監督は、『黄泉がえり』や『どろろ』で有名な塩田明彦さんです。

ストーリーを簡単に紹介しておきます。

サチ子(宮崎あおい)は、小学校時代に担任の先生と怪しかったことや、母親(りょう)が自殺未遂したことが学校で噂になり不登校状態になります。

家は普通に出て行きながら、町中をふらふらしながら時間を過ごします。

コンビニで時間をつぶして夜道を一人で歩いていると、後ろから中年(石丸 謙二郎)に付け狙われます。

その時助けてくれたのが、万引きや当たり屋で生活する少年タカオです。

タカオの導きで知的障害だろうと思われるキョウゾウとも知り合います。

この二人の奇妙な生活に付き合いますが、そこにもサチコの居場所はありません。

お金を得ようとして、サチコはタカオのまねをして当たり屋をしようとしますが、肝心な所で怖じ気づいてできません。

お金があればタカオの中に自分の場所を得られると思いますが、うまくいきません。

援助交際を考えてラブホテル近くにいきますが、中年男性(大森南朋)から声をかけられて、慌てて逃げ出します。

母親には新しい彼氏(天宮良)ができ、さらに家に居づらくなります。

そういう時にタカオから「どっか遠くへ行かないか?」と聞かれ、待ち合わせの場所にタカオは現れません。

タカオのアパートに行くと、タカオともめていたヤクザの死体があります。怖くなって逃げ出します。

一方、クラスメイトの夏子(蒼井優)は何度も登校するように説得してくれていました。

居場所がなくなったサチコは再び学校に行くようになります。

文化祭の合唱のピアノ伴奏者にさせられたり、夏子が好きだった男の子と付き合うようになったりと少しずつ変化が見られるようになります。

居場所ができたかなと思えた時に母親の彼氏にレイプ未遂をされてしまいます。

助けてくれたのは、様子を見に来てくれた夏子でした。

少し遅れて母親が帰ってきます。

夏子は母親を罵倒します。

「おばさん、さーちゃん(サチ子)可哀そうです。こんなこと…どうして…どうして…やっと学校にも来れるようになったのに…。父さんはいなくて、お母さんは自殺未遂して…さーちゃんだって辛いんです。私たちまだ中一です…さーちゃんだけがこんなに可哀そうなの…私、さーちゃんが…」

サチコは無言で無表情のままです。

母親は人格が破壊されたように泣き崩れていきます。この親子に今まで何があったんだろうと思わせるシーンです。

その後、学校ではまた噂が広まり、学校に居づらくなります。

彼氏も、小学校時代の話を持ち出されてしまいます。

再び登校拒否になったサチ子は、キュウゾウのもとを訪れるようになります。

キョウゾウはサチコに好かれようとしていろんなことをして見せます。善悪の判断が難しいキョウゾウはどんどんエスカレートしていきます。

最後には、キュウゾウとともに夏子の家を火炎瓶で放火するに至ります。

途中までははしゃいでいたサチコですが、夏子の家が激しく燃えているのを見て後ずさり、一人で逃げ出します。

秋田の原発で働いている小学校時代の先生緒方(田辺誠一)のもとへヒッチハイクで向かいます。

2人はあるファミリーレストランで待ち合わせをしますが、車が故障して先生はきません。

そこへ急に見知らぬ男(伊勢谷友介)が現われ、お金を稼げる仕事があるからとサチ子を誘います。

誘いに応じて車に乗り込みます。

その車がレストランを出たのと同じときに、緒方の乗った車が到着します。

振り返ったサチ子に男は「どうしたの?」と尋ねますが、サチコは前を見据えて「何でもない」と呟きます。

何が「害虫」なんだろう?と考えてしまいます。家にも学校にも居場所のないサチコが害虫なのか…

サチコの周りにいつもつきまとう嫌な大人たちが「害虫」なのか…

みんなサチコに恋をしていきます。そしてみんなが不幸になっていきます。

同級生でさえも、健康的で優等生の夏子には恋をせずに、サチ子に恋をします。

サチコのことを真剣に考え、母親に訴えかけようとまでする夏子に男子は恋をしません。

サチコもそんな夏子に放火という方法で応じます。(どういうこと???)

サチコはとにかく無防備なのです。

夜中に一人で歩いて襲われかけたり、タカオの肩に頭をのせたり、母親の彼氏からレイプされかけた後でもヒッチハイクでトラック運転手(男)の助手席に乗ったり

最後には、「いい仕事があるよ」と言って声をかけてきた男についていく。

その無防備さは自分の魅力というものを知っていて計算されたものなのか、単に純粋で無防備なのか…そこらへんが「害虫」の意味とリンクするのかもしれません。

話が淡々と進んでいくわりには、サチコの状況はどんどん悪い方向へ向かっていきます。

観ている方が辛くなるような流れです。

居場所のないサチコが求めていたのは、小学校時代の担任の緒方との文通です。

緒方はサチコとの噂のためか、学校をやめて原発労働者として秋田で働いています。

サチコは映画の随所で文通をしている様子を文字で映し出します。

宮崎あおいはこの映画で賞を得ています。

こうした演技が彼女の魅力を最大限に引き出すのかも知れません。

でも、今は笑顔100%で健康的な女性を演じています。大河ドラマで篤姫でも圧倒的な国民的人気を博しました。

どっちの宮崎あおいが本物なのか、そんなことはどうでもいいのですが、彼女のキャラクターはたぐいまれなものだと思います。

映画の主題に戻ります。

居場所がないことは、自分自身を見失うことなんだと思います。

映画の中でいくつかの事件が登場しますが、事件があったから居場所がなくなったのか、事件がなくてもサチコの居場所はなかったのか…

いろいろ考えさせられる映画です。

決して面白い映画ではないので、観る人は心してみないといけないと思います。



 

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DVD「僕達急行 A列車で行こう」

2012-09-30 00:26:41 | 映画

 この映画は、テアトル徳山という小さな映画館で1週間だけ上映された映画で、見損ねた作品でした。

TSUTAYAで発見した時は、すでに誰かに借りられた後で、しかも小さなTSUTAYAなので1本しか用意されてなくて、借りるのも苦労でした。

鉄道オタクの映画ということで、ぜひ見たいと思っていました。

このテのお笑いムービーが森田芳光監督の遺作になるとは思ってもみませんでした。

出演は、松山ケンイチ、瑛大です。この二人は出演作によって見事に演じ分けることのできるなかなかの若手俳優だと思っています。

電車マニアにはたまらない九州の電車が次々に出てきます。

それだけではなく、随所に森田芳光ワールドのコミカルな遊びが見られます。

この映画を観ると、連休のどこかには九州までカメラをさげて出かけたくなります。

ストーリーをかいつまんで紹介すると…

車両が一台、ボックス席のローカル線でデートらしきカップルが座っています。

彼女のことそっちのけでヘッドフォンで音楽を聴いている若者小町(松山ケンイチ)がいます。

窓は全開で、彼女は髪を抑えるのに必死です。

怒った彼女は次の駅で降りてしまいます。

そんな小町が、少し離れた席の小玉と目が合います。

小玉はアジア系の二人の外国人と楽しそうに話しています。この外国人はなぜか、妙な関西弁で受け答えしています。

小町は大手建築会社の社員だけど、建物よりもとにかく電車が好き。

一方の小玉は、町工場の二代目です。そこで働く外国人の面倒も見る人の良い電車オタクです。

小町は住んでいるマンションを出なければいけなくなり、小玉の社員寮に住まわせてもらうことになります。

二人でアパート探しをしているうちに、別の電車オタクの住むアパートへつれて行きます。

その部屋のすごいこと…シートだけでなく電車の部品がたくさん飾ってあります。もちろん、窓からは電車が見えます。

そこで、小町は電車に乗っても電車の音を聞くのではなく、車窓から見える景色を見ながら音楽を聴くのが喜びだといいます。

小玉は電車の部品や金属製品、車両の構造や工場などを見るのが楽しいという告白をしあいます。

一つの趣味があっても楽しみ方は千差万別、でも楽しむという気持ちは同じ。そういう場面を観客に見せて、電車オタクワールドに誘います。

そういう私は電車を撮影するのが好きです。車窓から見える線路も好きです。先頭車両から見えるカーブなんか最高です。

小町は社長(松坂慶子)の気まぐれで九州へ転勤になります。

小玉は見合い相手にふられて傷心の旅へ…もちろん行く先は九州。

二人の行く先は豊後森駅です。ここには鉄道遺産があります。ここで、中年の調子の良いおじさんに巡り会います。

この出合いが後にいろんな出来事に発展していくことになります。

この後の展開はある意味、植木等のサラリーマンシリーズに出てくるようなお調子者パターンなのですが、

これは、森田芳光ワールドと観るべきでしょう。あえてクレージーキャッツ的お遊びを加えていったのだと思います。

私は基本的には、いい加減な人物描写は好きではないのですが、ここまでいい加減にされると付き合うしかないか…と思わされます。

登場人物の名前は全部電車の名前になっているところからも、「こんな人間いないやろ!」の世界の連続なのです。

小玉の見合い相手のお母さんがなぜか伊東ゆかりなのです。

その伊東ゆかりが「小指の思い出」のエピソードを持ち出したり、小町と付き合うのかと思わせるあずさはサンダーバードJrと結婚することになったりなど…

これでもかと思うほど、どたばたの連続です。

登場人物の仕草に効果音を使って舞台演出のような笑いも作り出します。

とにかく良くも悪くも森田芳光ワールドです。

のんきに映画を楽しんで休日を過ごしたい人には最適な映画です。

九州まで電車を観に行きたくなってしまうこと請け合いです。 

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DVD「五日市物語」

2012-09-27 22:43:08 | 映画

TSUTAYAで借りたDVDです。

広島にも五日市というところがあるので、タイトルにつられました。

でも、東京のあきる野市市制15周年記念作品だそうです。

出演者に遠藤久美子の名前を見た時に、正直「まだ頑張っているんだ~エンクミ」というのが本当の借りた理由かもしれません。

私は地方色たっぷりの映画は好きなんです。

…で観た感想ですが、正直言ってコメントしづらい映画でした。

情報を集めることを仕事にしている会社の一員として、遠藤久美子(すっかり大人のエンクミ)演じる女性が、五日市について調べようとやってくる。

あきる野市役所の、観光担当の青年が、その案内をします。

五日市の観光ポイントをカタログ的に紹介する展開で、「どうにかしてよ」と思っていると

とってつけたような物語がついてきます。

この雰囲気はどこかで観たような…そうです。啓発映画の手法です。

五日市の歴史は、おばあちゃんに語らせていきます。
 
登場人物の演技もやれやれ…という感じです。

セリフの棒読み具合と、妙な間はもう勘弁してよという感じです。

その中で遠藤久美子の上司役で出てくる井上純一のオーバーな台詞まわしは一人だけプカプカです。

五日市を徹底して「癒し」の土地と描いていきます。

借りた以上最後まで鑑賞しましたが、これをレンタルに置くのはどうなんでしょう?

遠藤久美子のファンですら許せないかもしれません。

五日市に一度行ったことがある人は懐かしく観るのかもしれません。

せめてもの救いは劇場で観なくて良かったと言う点です。

久しぶりのめちゃくちゃなこきおろしです。(関係者ごめんなさいです)

  

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DVD「キツツキと雨」

2012-09-20 09:51:40 | 映画

5本のDVDの1本です。

映画館でやっていたのを知っていたのですが、役所広司と小栗旬の二人のポスターを見て

「さあ、どうしよう?」と思ったのが正直な気持ちです。

役所広司さんは、コミカルな役所(やくどころ)もシリアスな役所(やくしょ)も何となく役所広司なので

どうしよう…という気持ちでした。

でも、見終わった気持ちは、「しまった…映画館で観たら良かった…」という気持ちにさせられました。 

何ともいい感じで人間が描かれているのです。

もちろん、コミカルタッチで描かれているので「そんな話はないだろ!」と思う場面がないわけではないのですが…

簡単にストーリーを紹介すると…

役所広司分する林業労働者の岸は妻に先立たれ、仕事をやめた息子と一人暮らしをしています。

岸が、森でチェーンソーで木を切っていると、見知らぬ人が近寄ってきます。

「昔、昔、ある所に木こりが住んでいました。木こりが山で木を切っていると…」まさに昔話の雰囲気で始まっていきます。

見知らぬ人は、「本番中なので静かにしてほしい」という無理難題を押しつけてきます。

次の日、また見知らぬ人と再会します。

映画を撮っているのだが、川の増水のためにロケ地を変更したいので「20人くらいがザブザブ入れる川を知らないか」と言われます。

しかも車の故障で困っているということで、人のいい純朴な岸は言われたとおりに

監督の田辺と助監督の鳥居を別の地に案内していきます。

ということで

60代の岸は2年前に妻を亡くし、現在は仕事を辞めた息子と二人暮らし。岸はきこりの仕事をして生活している。

ゾンビ映画を撮っているという彼らに関心も無かった岸でしただが、

無理矢理案内させられたうえに、他のロケ隊の合流にまで借り出された上、ゾンビ役まで引き受けることになります。

こんな時間まで人を拘束しやがってと怒る岸でしたが、

きこりの仲間達が「映画に出たのか?」「すごいな」と持ち上げてくれてだんだんその気になってきます。

更に今まで撮影をしたものを観るから、「岸にも是非に」と鳥居が誘いにやって来ます。

ゾンビを演じた自分を映像で観た岸はもう止まらなくなります。 

近くの温泉では、思わずゾンビの演技を再現してしまうほどです。

そこへ、映画監督の田辺が入ってきます。

ここでは、岸の方から田辺に近づいて話しかけます。このシーンは後の伏線になっていきます。 

前半は役所広司さん目線で後半は映画作りの目線になってきます。

監督の田辺(小栗旬)は、気の弱い監督で、現場でも声小さくて、役者の言い分に押され、スタッフにも指示が出せません。

カメラマンからも助監督からもバカにされています。

しかも途中で現場から逃げ出そうとまでします。

本気で追い掛けて来た助監督の鳥居は「何でこんな若造が監督で、俺が助監督なんだ!」の怒りが爆発します。

そんな田辺を救ったのが、岸でした。ゾンビと戦う竹槍婦人隊の数が少ないと聞きつけ、だったらとご近所ネットワークで人を集めます。

予想以上の集まりに、現場の指揮が高まっていきます。

そこは映画好きな仲間の集まりです。助監督もこうしたらどうだ、カメラの人もレールを使ったらどうだ。といろんなアイディアを出してきます。

田辺もだんだん自信が出てきます。

「人が喜んでくれたら何でもやってしまう」岸の単純で純朴な日本人らしさがどんどん出てきます。

まるでフィルムコミッショナーと助監督になっていくほどです。

村の人はほとんど映画関係者になり、大人も子どもも、皆ゾンビメイクになります。ありえないけどいいセンスだと思いました。

どんどん自信をつけていく田辺監督は岸との距離も近くなっていき、ますます監督らしくなっていきます。

岸の方も、田辺との出会いで心境に変化が出てきます。

息子との間に気持ちが通じなくなっています。

「東京に行くから」と出て行く息子を勝手にしろと突き放します。

しかし田辺の映画監督になったいきさつ聞いて、息子への思いが変わっていきます。

父親が買ってきたビデオカメラがきっかけで、でも両親は新潟で旅館をやっている、長男だからこんなことして喜んでいるかわからないといいいます。

三回忌の前日、映画への協力ですっかり自分は頭から抜けていたのに、

東京から戻ってきた息子はちゃんとスーツを岸の分まで出して用意していました。 

岸と田辺。出会ったことにより、お互い良い方向へと進んで行きます。

予言者のように言い放つことば「雨になるぞ」「晴れるぞ」自信に満ちた良いことばです。役所広司の張りのある声にぴったりです。

岸と田辺、風呂の場面での距離感が何となく笑えます。

人間を描くにはぴったりの日本映画という感じです。

けっこう好きな映画かもしれません。お勧めです。

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DVD「ハラがコレなんで」

2012-09-19 12:57:54 | 映画
 
まとめて借りてきたなかの1枚です。
 
監督と主演女優を見て間違いないと思っていた映画です。
 
私の住んでいる地域にはなかなか来なくてしかも、1週間だけの上映で見ることができませんでした。
 
石井裕也監督は『川の底からこんにちは』や『あぜ道のダンディー』など、非常に台詞の面白い作品が多いように思います。
 
主演の仲里依紗は、言うまでもないくらい映画やテレビでひっぱりだこの売れっ子女優です。
 
魅力的な外見だけでなく、演技でも光るものがあると思っています。
 
「全員、私のおごりで。」「オッケー」「大丈夫」「粋だねぇ」この台詞で全てのストーリーを語ってしまうくらい痛快なのです。
 
簡単にストーリーを紹介しておきます。
 
妊娠9か月の原光子(仲里依紗)です。 
 
子どもの父親は、アメリカ人の元カレの可能性が高いが行方知れずのままです。
 
父親と母親にはロスにいることにしています。
 
お金もなく行くあてもないけど、昔住んでいた長屋に行ってみることにします。
 
ここの長屋が実はくせ者の長屋のです。
 
そこには貧乏で優し過ぎるがゆえに、パッとしない住人たちが昔と変わらず住んでいます。
 
光子は、すっかり身体の弱った大家・清(稲川実代子)の世話を始める一方で、
 
幼なじみの陽一(中村蒼)が、叔父(石橋凌)と一緒に営む食堂の手伝いにも乗り出します。
 
人のことなど構っていられないはずの光子だったが、彼らのために一肌脱ごうと決意します。
自分のことより、他人のことを優先する、人情味というか、「粋」を描いた映画なのです。
 
ただ「粋」ということばの意味を間違えています。
 
「全員、私のおごりで!」
 
 彼女は金持ちで気前がいいわけじゃない。どちらかというと貧乏なのです。
 
でも彼女は粋(いき)だから、全員おごろうとします。
 
こういうときは、「粋」というよりも「気前がいい」と表現すべきだと思いますが、細かいことにはこだわるません。
妊娠9か月の光子は、昔気質というか、思いやりのある粋な女性なんですが、ただただお節介なのです。
 
「粋か粋じゃないか」それだけを基準に生きている原光子の口癖は、「オッケー」「大丈夫」「粋だねぇ」です。
 
彼女はドーンと構えて、細かいことは気にしません。 いいですね~朝霞光代さんみたいですね。

「他人を思いやる、ってことが、昔っぽい」というイメージになってるのも、なんというか、悲しい現実かもしれません。

心配や不安が蔓延する日本の中ではっきりどーんと構えるおおらかさがいいですね。

毎年3万人も自殺する日本には絶対必要なキャラクターです。

そこで原光子が私たちに授けてくれたのが、次のような魔法の言葉です。

「オッケー」「大丈夫」「粋だねぇ」。

久しぶりに見た痛快な作品です。

元気がない時は取りあえず、「昼寝しよう!」「そのうちいい風が吹いてくるから、その時ドーンといこう!」

そういうことばを聞くと意味のない元気がわいてくるかもしれません。

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DVD「ロボジー」を観ました

2012-09-18 21:25:22 | 映画

監督は矢口史靖(しのぶ)だということで、けっこうノリのいい笑いを提供してくれるのだと思い、借りて来ました。

矢口監督は『ウォーターボーイズ』(01)、『スウィングガールズ』(04)、『ハッピーフライト』(08)とヒット作を飛ばして人気監督の一人だと思います。

映画館で観ようと思っていたのですが、忙しい時期と重なっていて、DVD鑑賞となってしまいました。

最新のロボットテクノロジーを駆使してできたロボットが、実は中に爺さんが入っていたという奇想天外の矢口ワールドです。

ロボットテクノロジーを省略してロボジー、爺さんのジーと掛け合わせて『ロボジー』です。

簡単なストーリーを紹介しておきます。

冒頭からおかしな3人組が登場します。見るからに風体のあがらない3人組です。

3人は木村電器に勤める小林(濱田岳)、太田(川合正悟)、長井(川島潤哉)です。ひどく疲れています。

木村電器は白物家電の弱小メーカーなのですが、突然3ヶ月前に社長の思いつきでロボットを作ろうということになります。

しかも、ロボット博に出品することまで決まっています。

エアコンのIC担当、洗濯機の営業、梱包現場から集められた彼らにロボットなど作れるはずもありません。

それでも、不眠不休の作業の成果か、何とかロボットらしいものができてきます。

でも眠さと社長への怒りが頂点に達した時、ロボットが突然に暴走を始めてしまいます。

そして、パソコンと共に窓の外から落下してしまい、3人の努力はすべて失われることとなってしまいました…

そして、3人は悪巧みを始めます…という話です。

ロボット“ニュー潮風”を巡るドタバタコメディです。

そして、お約束の「ばれたらどうするんだ…」という連続です。

誰が見てもわかる作りのロボジーが、いかにばれないようにしていくか、全くバカバカしい話の連続です。

途中はついていけなくて、何度もDVDを止めてしまおうかという思いました。

着ぐるみのオーディションと偽って1日だけのアルバイトに雇われたのは73歳の鈴木さん(五十嵐信次郎)の存在はちょっと面白かったかも。

彼は普段はちょっと偏屈で家族にも老人会の人々にも上手く溶け込めない性格なのですけど、

そんな自分をどこかで変えようと思っています。

“つまらない”という子どものの言葉を耳にした鈴木さんは、思いもしない行動にでてしまいます。

その結果、騒ぎの最中にピンチになった学生(吉高由里子)を助けてしまいます。

ロボジーは新聞やテレビで一躍ヒーローになってしまいます。

引っ込みのつかなくなった一行が、次々と巻き起こすドタバタに好き嫌いがはっきりしてくると思います。

私はどちらかというと苦手な分野だと思います。

全体的なおとぼけ具合が日本的でよかったかもしれません。

でも、映画館まで行ってこれを見ていたら帰りの車の中は落ち込んでいたと思います。

結論から言うと、好き嫌いがはっきりわかれる映画だと思います。

吉高由里子のわざとらしい演技が好きな人なら手放しで楽しめると思います。

 

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DVD「家族X」

2012-09-17 23:01:12 | 映画

5本まとめて借りて来た1本です。

過酷な在宅介護の現実を描いた『症例X』でPFFアワード2008の審査員特別賞を受賞した吉田光希監督が、

PFFスカラシップを得て撮り上げた劇場デビュー作だそうです。出演者が何とも個性的で南果歩、田口トモロヲです。

冒頭 親子3人の家族写真が長めに移ります。

もちろんわざとだと思いますが、画面がブレブレの映像です。

その後、主婦南果歩の日常になります。

この映像がなんとも中途半端な映像で、周囲の音もノイズも全部入ってきます。

画角も不思議な感じです。1台のカメラでずっと撮り続けている感じです。

誰かの目線なのかもしれませんが、生活に対するけだるさが十分伝わってきます。

淡々と家事をこなす妻、仕事先で戦力外通告を受け 帰宅拒否の夫、

他者とコミュニケーションが取れずに孤立気味の息子の3人が登場人物の全てがけだるい状態です。

この家族は郊外の一戸建に住んでいます。

無理してローンで買ったんだろうな…想像してしまいます。

家を買った頃は、幸せで家族みんなでいろんな話ができていたんだろうな…

でも、今は…ダイニングのシーンは出てきますが、家族団欒のシーンは一切出てきません。

家族は完全に崩壊しています。

妻は次第に家の中で孤立していきます。夫は会社で孤立していきます。息子はバイト先でも孤立していきます。

3人の孤立は家の中で決定的になります。

誰も食べてくれないから、食事もスーパーの弁当と惣菜にかわってきます。

冷蔵庫の中には 腐った野菜ばかり…やがて妻は、過食してはトイレで吐くような生活に入って行きます。

近所の主婦から無理に売りつけられたタンク式の給水器の水には カビの塊が浮いています。

でも、誰もそのことを言う人はいません。

久しぶりに作ってみた食事も誰も食べてくれないことに気づきます。

発作的に妻はせっかく作ったロールキャベツを握りつぶし、食卓を 台所をメチャメチャにして家を飛び出してしまいます。

夫は夫で朝帰りしても それに気づかない妻に愕然としたり、

息子はバイト先の運送会社で運転手のおじさんに 褒められます。

人から評価されたり認められたりしたことがなかっただろうということを想像させる場面です。

そんなエピソードがいくつか重なっていきます。

そんなこんなでの妻の失踪です。

まず帰ってきた夫が ダイニングの惨状に気付き車で妻を探しに行きます

その後に帰ってきた息子も 自転車で探しに行きます。

しかし、2人ともすぐどこをさがしていいのかわかっていないことに気づきます。

3人とも自分たちのことを全然理解していなかったのだと思います。

人ぞれぞれのところで精一杯生きていて、すぐ傍にいる人のことまで気持ちがいかない家族。

みんないっぱいいっぱいで生きているんだということもみんな分かっているしね。

ようやく深夜のファミレスで、夫は妻を発見します。

妻は、水だけしか置かれていないテーブルに突っ伏して眠っています。

起こそうともせずにずっと正面から妻を見守ります。

本当は何を見ているんだろう。

翌朝、自転車を走らせる息子の後ろから助手席に妻を乗せた 夫の車が並んだところで映画は終了します。

決して観て面白い映画ではありません。

3.11以降の家族とは?ということなのかもしれません。

家族ってなんだろう?

時折東京から帰ってくる娘や息子に妙に気をつかっている自分がいることに気づくことがあります。

帰省してきて家族が増えるとそれなりに嬉しいのですが、再び東京に行ってもらってからいつもの生活に戻ると安心してしまう自分もいます。

映画自体はあまりに淡々とし過ぎていて、まるでドキュメントを見ているような気すらします。

だからこそ、南果歩サンや 田口トモロヲさんの演技は見事としかいいようがありません。

でも、はっきり言って休日にわざわざ借りてまで観る映画ではありません。

でも、こういう映画は必ず必要なのです。こういう映画がなくなって商業ペースだけの映画になったら日本の映画はダメになります。

いろいろ考えたい人向けの映画です。

見終わっても幸せにはなれない映画です。

でも、最後のシーンはもしかして、家族再生への途が開かれようとしているという終わり方なのかもしれません。


 

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DVD「小さな哲学者たち」

2012-09-16 22:21:35 | 映画
学生時代、哲学にはまっていたこともあり、哲学ということばに弱いのでDVDを借りてしまいました。
 
また、仕事柄最近保育園や幼稚園に行くことが多く、その中でも早期教育をやっている用知恵園・保育園にとても疑問を感じていることも理由の一つです。
 
DVDを観て本当に衝撃を受けました。
 
字幕を見て解釈しているので、本当のニュアンスは伝わっていないかもしれませんが、子どもたちにどう響いているのか気になって仕方ありませんでした。
 
映画はフランスの幼稚園で「哲学」の授業を二年間行ったドキュメンタリー映画だそうです。
 
それは極めて考えさせられることの多い内容でした。
 
子どもたちを集めて、真ん中にろうそくを1本立てて、話を始めます。
 
言語だけであらゆる抽象的な話をするのです。
 
子どもたちを相手に議論をふっかけるのです。
 
カエルのペープサートを持ち、「僕は目をつぶると頭の中においしいものが見えてくるんだ。君は?」と投げかけます。
 
ろうそくを立てることで子どもたちを集中させていきます。
 
このあたりは自己催眠的は手法かもしれません。
 
「私たちが頭で考えていることは目に見えるかしら?」「考えることを人に知らせるのはどうしてかしら?」と問いかけます。
 
「どうやって人に知らせる?」子どもたちが答えます。
 
「口をあける」子どもの一人が身振りを交えて「外に出すため」と答えます。見事な回答です。
 
「どうやって知らせるの?」→「話す」
 
この後子どもらしい会話につながっていきます。
 
口に影響された子どもが「食べる」と続けます。教師は「食べることも口の大切な役割だね」とフォローします。
 
すると他の子が「食べるときに話すのはいけないんだよ」とつなげていきます。
 
こういう主題から外れていく流れはよく見かけます。
 
最初に、子供たちに考えさせ、議論させる手法を繰り返します。
 
子どもたちは次第に慣れていき、活発に議論していきます。
 
「友だちと恋人はどう違う?」
 
「リーダーって何だろう? どんな人知ってる?」
 
「死ぬってどういうこと?」「違い、違うっていうのは?」
 
「自由って、どういうこと?」等々の問いを教師が提起し、子供たちは自分の体験を出し合います。
 
教師は、時々別の子どもたちに、「それに賛成? 反対?」「それはなぜ?」と問いかけます。
 
このあたりは賛否両論があるような気がします。
 
WHY?WHAT?の質問は子どもたちにとって極めて困難な質問です。
 
実はそこらへんが哲学なのですが…。
 
それなくして哲学とは呼べなくもないかもしれません。
 
移民の多い地区の幼稚園なので、子どもは、アフリカ系、中東系、アジア系など多彩で、白人は少数派というのも良かったかもしれません。

 

子どもたちの語ることばは極めて社会性のつよいもので、子どもたちを取り巻く親やTVから得たもので構成されているのかもしれません。

それはあたかも模倣に近いものかもしれません。

でも、それを子どもたちみんなの口から伝え合うことによって、自分の絶対的な経験が相対的なものになるとしたら意味あるものかもしれません。

「アフリカ人は裸だよ」というある子供の発言が飛び出します。
 
どこで得た知識かわからないけど、曖昧な記憶や絵本の世界かもしれません。
 
そういう私たちも小学生の頃までは『ちび黒サンボ』の世界だったり、『人食い人種』の存在を信じていたように思います。
 
それに対して、アフリカ系の少女が「ちがうよ」と反論します。
 
「うちは、夏はセネガルの別荘に行くんだけれど、メイドさんもいて、みんな服を着ていたよ。裸の人なんかいなかったよ」。
 
それを聞く子供たちの驚きの表情を示します。

「自由って?」という問いには、多くの子供が「一人で外出させてもらえること」と語ります。

「働くのは自由じゃない」「自由になるために働くんだ」とか本質に迫るような議論も出て来ます。

中には退屈してあくびをする、眠ってしまう子もいます。

でも一生懸命人の話をきいて、意見を言う子、活発に話す子、いろいろいて楽しいものです。

大人になった自分を画用紙に描いたとき、黒人の女の子は花嫁と花婿を書きます。

花嫁は自分で、花婿は彼氏です。

先生が聞くと、彼女が彼氏と思い込んでいる男の子から、「もう恋人じゃないんだから書くな!」と言われます。

先生は「誰から何を言われてもあなたにはそう思える自由と権利がある」と説明します。そこまで幼児に言うの?とツッコミ満載の映像です。

でも、この実践は家庭でもこういう話をすることによって、家庭そのものが大きく変化していきます。

実はこのことの方が本質的だったかもしれません。

画像がYou Tubeで見られます。↓

http://www.youtube.com/watch?v=0h2XbQVo4vA

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DVD「吉祥寺の朝比奈くん」

2012-09-16 15:34:32 | 映画

2011年11月公開 監督加藤章一

連休の間することがないのでこういう時こそ、DVDと思い、TSUTAYAに出かけました。

新作2本、準新作3本の組合せで1050円というセットにするために選んだ1本です。

吉祥寺を舞台にしているということと、星野真里さんが出演しているということが決め手になりました。

まあ、5本のうちの1本ということで外れでもいいか…という気持ちもなかったかというと嘘になります。

「吉祥寺の朝比奈くん」というタイトルもいい加減ですね。

こんなつかみ所のないようなタイトルで映画館に入る人はいるんだろうかと心配になってしまいます。

舞台はもちろん東京・吉祥寺です、。私たち世代としては、俺たちの旅路の井の頭公園がイメージに浮かびます。

娘が東京の大学に行っていて、吉祥寺の近くに住んでいたせいもあって、娘との夕食会の時間つぶしに井の頭公園界隈は何度も歩いていました。

簡単なストーリーだけ触れると

吉祥寺に住んでいるらしい主人公の朝日奈くん25歳(桐山漣)です。

いつからかしらないけど、役者を目指し小さな劇団で芝居を続けていましたが、その夢も破れ現在はフリーターをしています。

フリーペーパーで毎日アルバイトを探していますが、なかなか良い仕事が見つかりません。

本棚は推理小説の文庫本ばかりが並んでいるような若者です。

それでも、毎日のように文庫本を片手に喫茶店に通っています。

その喫茶店にはウェイトレスの山田真野(星野真里)という年上の女性が働いています。

何とか知り合うチャンスをうかがっていましたが、ある日チャンスが訪れます。

隣のテーブルに座ったカップルが痴話げんかを始め、そのとばっちりで鼻血を出してしまい、介抱してもらいます。

それをきっかけに二人は急接近していきます。

ところが、真野は結婚していて娘もいるということがわかります。

それでも、朝比奈くんは諦めきれずにつきあいを続けます。

真野は朝日奈くんの優しさに心の拠り所を求めているようで次第に親しくなっていきます。

朝日奈くんは元バイトの哲夫先輩(要潤)からアドバイスを受けながら、デートを重ねていきます。

…とここまで書くと何と言うことはない普通のありきたりの恋愛ドラマです。

しかも、朝比奈くんが超純情で手もなかなか握ることのできない青年ときています。

真野の夫も何となく想像がついてしまい、最後はどろどろの修羅場を演じての何かか…と思っていたら…

途中から見事な逆転ストーリーになります。

そう考えると、あの時のあの場面は…あの台詞は…となかなかいい脚本なのかもしれません。

主演の桐山漣は『仮面ライダーW』や『37歳で医者になった僕』に出ている人です。

今回“は勇ましい仮面ライダー俳優でもないし、金持ちの研修医役でもない、ナイーブな役どころを好演していまう。

真野役の星野真里は透明感あふれた感じがよく出ていて、年下男がころっと参ってしまうような可愛いらしさを持つ人妻を演じていました。

金八先生の娘役とはちょっと違うイメージが出ていました。この女優は伸びるかもしれませんね。

要潤は相変わらずです。演技をしているのか素なのかわからないような役所です。いつもこうですね。

どんでん返しのストーリーには原作があるようで、中田永一原作ということでしたが、よく調べると乙一さんの別名だそうです。

納得いきました。この人の本ならこういう流れは当然あるし、タイトルの凡庸さもこの流れの中の布石ですね。

あまり期待せず観たDVDでしたが、なかなか面白かったです。

最後の終わり方も実に良かったと思います。

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