パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

安倍効果

2012-11-14 00:33:03 | Weblog
 お久しぶりですが、さぼっていたわけではなくて、いや,まあ,さぼっていたと言えば言えるけれど、例の活字本をともかく仕上げてしまおうと思って、完全に仕上がったわけではないけれど、難題だと思っていた「思想家としての中平卓馬」が、だいぶはちゃめちゃに突っ走ってしまったけれど、なんとかかたちになった。

 しかし,そう思ったのが一週間前で、今もまだあれこれいじってはいるけれど、それはあくまでも、じぶんのいいたいことが、読む人にできるだけ正確に伝わるようにするために手を入れているので、事実上「完成」と言ってもいいと思う。

 それで、中平とは古くからの知り合いで、「日本で一番よく知っている」と豪語するYに読んでもらったのだけれど,そのテーマの中心が,中平は理系思考の持ち主だというところにあるので、その点を聞いてみたら、「中平は直感の人だから理系思考ではないだろう」と言う。

 いや,私自身が落第生とはいえ,理系だからわかるのだが,理系思考とは、まさに「直感」の世界なのだ。

 ただ中平は,自分の直感をよくわかっていなかったということがあるのだけれど。

 しかしさぼっている間に、国会解散が決まった。

 で,野田は、TPPを一つの争点にしたいらしいが、ニュースを見ていたら,東大の教授が猛反対していた。

 言っていることは相変わらずで,日本の農業は死滅するという。

 その理由は、たとえば米なら、米の生産価格がアメリカと日本では20倍くらいちがうから、関税ゼロにしたら壊滅だというわけだ。

 司会者が、農家の所得保障で対処できないかというと、教授は、4兆円かかるから、非現実的と言っていた。

 しかし、4兆円かかっても、米の価格が圧倒的に安くなるし、米以外の食料品全般に価格の下落が及べば、消費者のエンゲル係数が下がるから,他の消費に回るだろう。多分、3兆円くらいは市場に出てくるのではないか。

 少なくとも、4兆円の所得保障がまるまる農民の懐に死蔵されるということはないだろう。

 東大の教授を名乗るのだったら、これくらいの「目配り」というか、客観的な考え方を披露してくれなければ困る。

 安倍が、国際の日銀引き受けを断固やらせる発言で、株価が上がり、円安になった。

 もちろんこれだけでは判断できないだろうが、少なくとも、20年前…は無理でも、せめて10年前に、この議論を徹底的にやるべきだった。

 ところが日本のマスコミは、財務省の洗脳か、不勉強か、どちらか知らないが、「議論」を完全にネグレクトしてきた。

 私は、安倍の「建設国債」というところにひっかかるが、方針としては,安倍に賛成である。

 もし、それが正しい答えでなくても、やってみて、それがだめなら,別の政策をとればいいし、安倍とは反対の意見を採用して,それがだめなら,安倍の政策を採用すればいい。どっちもだめなら、また別の方法を探ればいい。

 ところがマスコミは、「日銀引き受け」という政策を「問題外」として、まったく相手にしてこなかった。

 問題は、その結果、試行錯誤が行われなかったことだ。

 「失われた20年」というけれど、何が失われたのかというと「試行錯誤」の機会が失われたのであり、その責任は、挙げてマスコミにある。

 道ばたで売っている「ビッグイシュー」を買った。

 意外に面白い。

 3,4年前に買ったことがあるが,格段に誌面が充実している。

 今の週刊誌類の中では一番いいかもしれない。