パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

君のいた永遠

2010-09-21 23:24:32 | Weblog
 …という金城武主演の映画を見た。

 もちろん、例によって中途からなのだけれど、最初にちらりと見たとき、結構雰囲気があっていいなと思ったのだが、恋愛ドラマのようで,面倒くさいので、NHKの台湾リスの映像なんかを見ていたのだが、それも終わり、映画にもどったら、男がギターを弾きながら、男の噂をしているらしい二人の女性の方をちらりとみて笑った。

 かっこいい!

 それでそのまま見ることにしたのだが、もう終盤近くで、15分程度で映画は終わってしまった。

 最後は、旅客機の中で男から渡された箱を女が開けると、中にいろいろな思い出の写真が入っていて,それをじっと見ながらエンドマーク。

 それで,後で調べたら、映画は「君のいた永遠」という、香港映画か、台湾映画で男は金城武だった。

 これが金城か、と思ったが,監督が、出演していた女優の一人らしい。

 これにも驚いた。

 ネットで、評判をチェックしてみたが,日本のトレンディドラマのようなものという書き込みが多かった。

 私は日本のトレンディドラマというのを一つも見たことないのだが、ここまで抑えた演技、演出をしてくれれば,見たいと思うが、どうなんだろう。

 「13人の刺客」とかも評判いいようだけれど、ぎゃーぎゃーうるさそうで見る気がしない。

 小林正樹の名作「切腹」もリメイクされるようだけれど、小林の「切腹」がよかったのは、なぜかわからないが、演出、演技が、エキセントリックな内容に比べて極めて落ち着いていたことだ。

 「なぜかわからないが」というのは、ああいう、本来、主流となるべき演出、演技が、あの一作のみに奇跡的に実現していただけで,その後はまた、ぎゃーぎゃーうるさいだけの映画になってしまった。

 黒沢映画だって,「うるさい」点では同じだ。

 ジョナスメカスが、「映画日記」で、日本映画は怒鳴り声がうるさいので、見る気がしないと言っていたが、「静かな」となると、「あの夏一番静かな海」みたいに押し黙ってしまうし。

 「プリズンブレーク」がいよいよ佳境だ。

 しかし、これもよく見るとシナリオはかなりいい加減。

 マンガチックというか、実際、日本の漫画を参考にしているのでは、とも思うストーリー展開なのだが、でも、演技、演出がいい。

 デーブスペクターが、日本のドラマはまず俳優の演技が問題だと発言して,2chで、話題になったことがあった。

 論点は,ドラマの出来はシナリオか,演技(演出)かという問題だったが、8割方、シナリオが大事、スペクターは何を言っているのか、という意見が多かった。

 こういうのが、素人のなんとかなのだ。

 ハムレットを素人が演じて感動させることが出来るか?

 これだけで、ドラマの基礎は、まず演技、ということがわかる。

 演技、あるいは演出はシナリオの欠点をカバーすることが出来るが、演技の欠陥をシナリオでカバーは出来ない。

 ところで、金城は大根ということになっているらしいが、演技が下手なら演技を一切しなければいいのだ。

 ギターを弾きながら見せたあの笑顔は、演技じゃ出来ない。

 いや、すてきでした。