パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

あれから二時間。ただいま……

2005-12-23 14:20:23 | Weblog
 さっき(ちょうどお昼の12時頃)、二丁目の中央通りを歩いていたら、中年男性が若い女性の腕をとり、引きずるように歩いている。母親が、「ちゃんと歩きなさい」と幼児を叱責しているような感じ。しかし、若い女性は別に嫌そうな顔ではなく、むしろ、バカみたいにニコニコ笑いながら、後ろに向って手を振っている。その先には、二人の若い男が、同じく、笑いながら手を振っている。その脇を通り過ぎようとした時、「頑張っていい子作れよ」という声が耳に入った。ん?と思っていると、続いてもう一人が、「オレ知らないよ~」と言って両手をバッテンにして、口をふさぐ仕種。な、なんなんだ?「お昼時」という設定も含めて、橋口亮輔監督の映画を見ているような気持ちになった。

 橋口監督と言えば、とっさに名前が思い出せなかったので「みんなのシネマレビュー」というサイトで調べた。そうしたら、私が見たことのある橋口作品は『二十歳の微熱』と『渚のシンドバッド』だけなのだが、両作品とも非常に評判がよい。平均、七点ぐらいとっている。以前、ヒッチコックの『北北西に進路をとれ』について「テンポが遅くて退屈」なんて書き込みがあって、激怒したサイトなので、意外だった。どうみたって、橋口作品はテンポが遅いし。特に、『二十歳の微熱』で、監督自身が少年を買う客として出演した場面の長回しは評判が悪かった。たしかに、相米監督の「長回し」に比べると、芸がないかもしれないけど、芸がないだけで批判するのもどうかなあと思う。というのも、私は「相米監督の長回し」という噂を聞いてから『セーラー服と機関銃』を見て、なるへそ、みんなが言っている「相米の長回し」はこのことかあ、と思いながら見たものだったが、感想は、正直いって「芸」以上のものは感じなかった。もちろん、「芸」は大切なのだけれど。
 それはともかく、橋口作品は橋口監督が好きな人が見るので、こういう結果になるのかな。

 ん? ふと時計を見たら、今、午後二時ちょっとすぎ。今頃、あの二人は何をテンテンテンテンテン……。