Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LEFE1241. 記憶にない風景

2015年12月23日 | Shinkansen commuting
 画像を見ながら、被写体をねらって構図や露出を考えながら撮影するというよりも、あのあたりといったアバウトな気分でシャッターを連写していると、後で見返すとそのほうが意外に面白い風景だと発見させられる画像が撮影されていることの方が多い。
 つまり画像というのは、機材が勝手に撮るものなのである。新幹線は1秒間に75m移動しているのだから、そんな風景を人間の目が追いつけるはずがない。だからアバウトに撮影しておけば、なんか写る。あとは選択するだけだ。その選択の瞬間だけ人間の意識が関わっている。まあそれにしても、この工事現場の仮設小屋みたいに画像は、私の意識には記憶のない風景である。
 ブログを8年も書いているから、当然他人の撮影ブログなどもよく読む。よくあるのは、「さあ休みだ、今日は調達した自慢の機材で気合いを入れて撮るぞ!」、といった記述を読むと笑っちゃう。大体街には、人寄せ被写体が散りばめられている。商店街の面白い看板や古いドアや変わり商品といった具合に、道行く人の足を止める要素が意識的に商人によって多々仕掛けられており、いわば撮影者は商人の仕掛けに見事にはまってゆくわけだ。
 ならばガード下でも歩くとすると、お決まりの落書きや張り紙の残渣があったりして、被写体だとおもったりしてレンズを向けたりするが、大体そんなものはすでにみんな撮影している。つまり意識的にとろうと思えば思うほど、都市の人間が仕掛けた罠の残渣に見事にはまってしまうわけだ。都市の研究者からみれば、予めわかりきっている予定調和の世界が都市の特性なのであるといえばよいか。だから最近街を歩こうと思わないのも、そんな認識があるからだろう。
 だから突然予想外の風景に遭遇して右往左往しているときに活躍するのはiPhoneだし、例えPENを持っていても撮影しそびれたりしている。いつもポケットにはいっていて持っていることを忘れさせてくれるiPhoneが一番よい撮影機材だと思われる。そう、撮影機材には、もっていることを忘れさせてくれる仕様が大変大切なスペックなのである。それ以外のことはマニアックな世界だと思う。マニアック機材では、特定の目的を持たない限り(例えば水中を撮影するといった具合に)撮影した画像がつまらんしさ。

新幹線 米原-岐阜羽島 冬至
OLYMPUS PEN E-P5,M.LEICA SUMMILUX25mm/F1.4
ISO200,露出補正0,f2.8.1/4000
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