コストカッター・ダニエル

2008-12-01 02:55:13 | Dano Column
ダンエレクトロの創設者ネイサン・ダニエルも少年時代はラジオに熱中したそうだ。レオ・フェンダーもそうだし、レス・ポールもそう。それほど歳の離れていない3人が同じようにラジオに夢中になり、それぞれ独自のエレクトリック・ギターを開発するに至ったというのはなかなか面白い話だなと思う。
もっと面白いのはレス・ポールは当時最高のギタリストの一人だったけれど、レオもネイサンもギターを弾けなかったということ。レス・ポールはギタリストとしての経験から、つまりハコモノギターのハウリングをなくしたいということでソリッドボディを考えたわけで、それ以外はそれまでのギターの流れを汲んでいる。ところがレオとネイサンの二人は、むしろローコストで職人技なしに量産できるようにというのが先に来ている。そのため、この二人が世に問うたギターはそれまでの常識を覆し、破廉恥でスキャンダラスなものとなったわけだ。
とくにネイサンの場合、通販で安く売るためのギターをというオファーによりギターを開発したわけだから、そのコストカットぶりも徹底していた。ボディ材がメゾナイトでピックアップは口紅のケースを流用というのはダンエレクトロの特徴でもあるけれど、ここにはネイサン・ダニエルの発明家にしてコストカッターという独特の才能が発揮されている。
ここでコストカットに励むあまり、ネックやピックアップに手を抜いたら、単なる安物の粗悪なギターでしかないわけだけれども、ダンエレクトロのネックは前にも書いたようにロッドが入っている。厳密に言うとロッドではなく、細い鉄の板状のものを2本、ネックの中に通している。ネイサン曰く、このほうがネックを薄くできるし、トラスロッドよりもネックの反りやねじれを回避できるそうだ。

いわゆる発明家という人種は採算を度外視する傾向にあるが、ネイサン・ダニエルは合理的・現実的に、制約された条件の中でうまくやることができる人だった。
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