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Baby Sitar

2014-09-09 21:31:20 | Dano Guitars


というわけで、リイシューされたベイビー・シタールを品切れにならないうちにさっそく入手した。

このベイビー・シタールはヒョウタン型のヘッドストックを持ち、ネックは21フレットである。コーラルのエレクトリック・シタールのような共鳴弦はなく、通常のギターと同じ6弦で、リップスティック・ピックアップが1個、例によってボディの裏からネジ止めされている。コントロール・ノブはVolとToneが1個ずつ、オリエンタルな唐草模様をあしらったピックガードにマウントされている。ボディ側面には壁紙のようなサイドテープが貼られているが、実はオリジナルの方にはこうしたテープは貼られていなかったりする。これもレッグ・レストがついていないことと同様、オリジナルと今回のリイシューとの大きな違いである。とはいえ今回のリイシューは総合的には素晴らしいできばえだと思う。

エレクトリック・シタールといえば、最大の問題はオクターヴ・ピッチとシタールマティック・ブリッジの調整であろう。ピッチはブリッジの構造上、そのままでは合わせられないので、ナットやネックを調整しなければならない。ブリッジは3つのネジで調節できるが、6弦から1弦まで、ローポジからハイポジまでまんべんなくいい感じのシタールサウンドにするには意外に難しい。時間をかけてネジを少しずつ回しながら試行錯誤を繰り返すほかない。このへん、音程感があやふやなのがシタールの持ち味だと割り切るのが精神衛生上よいのではないかと思われる。

Danoblaster Innuendo 12string

2014-04-13 18:08:40 | Dano Guitars


久しぶりにダンエレクトロのギターを手に入れた。今回手に入れたのはDanoblasterと呼ばれるシリーズのinnuenndo、つまりエフェクターが4種内蔵されたタイプの12弦である。ボディカラーはエイジドチェリー、あるいはオレンジ・サンバーストになるだろうか。これはリップスティック・ピックアップが搭載されていない唯一のダンエレクトロギターであり、それゆえに鬼子的な存在となっている。



Danoblasterについてはすでに記事(「Danoblasterをめぐって」)を書いているので、その特徴や仕様はここに改めて書くことはしないが、12弦ということで書き加えておかなければならないことがある。



ダンエレクトロの12弦はオリジナルの場合、弦を張る順番がリッケンバッカーと同様に主弦-副弦の順だったが、リイシュー後は副弦-主弦の順になっていて、このダノブラスターも例外ではない。そしてブリッジは主弦をボディ裏通し、副弦をテイルピースに通すという構造になっている。弦をボディ裏通しにしたのはサスティンが向上すると言われているからだろうが、実のところあまり変化はないらしい。

Where the Wild Things Are

2012-12-18 23:59:39 | Dano Guitars


このWild Thingはダンエレクトロの2011年モデルで、60年代に試作品がつくられただけのものをリイシューしたという意欲的な試みではあったが、売れているという話もあまり聞かないし、このギターを使用しているギタリストを見かけることもほとんどない。これをステージで演奏したのは私の知るところではMickey Romanceただ一人である。



Wild Thingというネーミングからまず連想されるのはザ・ワイルド・ワンズがオリジナルで、トロッグスやジミ・ヘンドリックスがカバーしたことで知られる楽曲だろうが、もともと「手に負えないやつ」とか「大胆なことをする」とかいった意味があり、そう思って見てみれば、確かにこのギターのホーン部の、本来ネック側に向かって湾曲するはずのものが外を向いてしまったシェイプからは、手に負えない無法の暴れん坊ぶりやら、やっちまった感といったものがあふれ出してくるから不思議なものである。

次に連想されるのはモーリス・センダックの絵本「Where the Wild Things Are(かいじゅうたちのいるところ)」であろう。ここでWild Thingsは「かいじゅうたち」と訳されているわけだが、ダンエレクトロのWild Thingはある意味怪物的な、ミュータント的な存在のように思えないこともなく、遺伝子の変異により形質が変化したものの、自然淘汰の圧力に勝てずに消えてしまう運命を背負った哀しみを感じさせたりもする。実際、エレクトリック・シタールを例外として、真の意味で独創的なダンエレクトロのギター開発はここで終わったとみることもできる。

ここで改めてダンエレクトロのギターの形状を時系列で見てみると、シアーズから依頼され、とりあえずつくってみました的なSilvertoneの1375のようなギターがUシリーズとして洗練されたものとなり、そのカッタウェイがシングルからダブルになってショートホーンが誕生、さらにそのホーン部の先端が尖鋭化して1448となって、そしてそのホーン部がぐにゃりとあらぬ方向を向いたWild Thingに至る、というような変遷をたどることができる。



MCAに売却されたあとのダンエレクトロはどうかといえば、HawkやHornetなどに代表されるDaneシリーズのシェイプはFenderとの異種交配の結果と見ることができるだろうし、Coralに至ってはKawaiやVoxなどとのさらなる雑種化が進んでいったと見ることもできるだろう。そしてこのような異種交配が原因で次第にダンエレクトロらしさは失われていき、やがて絶滅していったと考えることもできそうではある。



その一方で、弦楽器の起源であるリラにさかのぼってデザインされたロングホーンのように、様々な淘汰圧力にも耐え、その形質を維持したギターもある。そしてPro1は、ゲーテのいう「原植物」のような、いわば「原ダンエレクトロ(Ur-Dano)」とでも呼ぶべきギターとして、ダンエレクトロのギターの中でも特筆すべき存在と言えるだろう。装飾的な曲線をできるだけ排し、シンプルさを極限まで追求したかたちにダンエレクトロのすべてが実は含まれており、ダンエレクトロのギターの形状の変遷をPro1の収縮と拡張によるメタモルフォーゼとして記述することができれば、ダンエレクトロの形態学なるものを展開できるかと思う。

   

Companion 5025

2012-03-24 00:26:52 | Dano Guitars


ダンエレクトロの5000番台というと、化粧板の貼られたメゾナイトをトップの材としたモデルで、StandardとConvertibleとCompanionの3種類がある。そのうち5025というのは2ピックアップのモデルのことで、StandardとCompanionがある。

CompanionはConvertibleのようにアルミのテールピースとボディに乗せるだけの木製ブリッジが採用されたモデルだが、サウンドホールは開けられていない。またピックガードが独特なものとなっていて、Standardのアザラシ型ピックガードの緩やかな曲線部分がカットされたよりシンプルな形状である。



要するにStandardとConvertibleを足して2で割ったような感じのモデルというわけだが、それゆえにか、1959年から1960年までの1年間ほどしか生産されなかったため、現在ではかなりレアなモデルとなっている。

Longhorn 4123 Guitarlin (2)

2011-06-03 20:05:49 | Dano Guitars


ギターリン2本目。以前手に入れたものよりもボディの塗装がきれいな状態だったのでつい買ってしまった。今回はebayではなく、ショップから直接購入したのだが、先方がペイパルのアカウントを持っておらず、クレジット・カードで支払おうとしたら認証がうまくいかず拒否されてしまったようで、しかたがないので郵便局から指定された口座へ海外送金をした。海外送金のトラブルはよく聞く話であるが、今回は予定通り5日後くらいに無事届いた。組み戻しなどしなければならないとなると相当面倒なことになりそうなので不安だったがうまくいった。

今回手に入れたものもフルオリではなく、ヘッドのロゴがリイシューのものになっている(Rの文字のつぶれ具合でわかる。つぶれているのがリイシュー)ことからネックはリフィニッシュされていると思われる。ナットの付き方にも腑に落ちないところがあったりするが、ボディのきれいなギターリンを手に入れたということでよしとしたい。


右が今回手に入れたもの。

Silvertone 1375

2011-05-01 21:26:42 | Dano Guitars
2008年11月に「始まりのギター」というタイトルの記事でSilvertoneの1377の画像を使っているが、1375はその1ピックアップ・モデル。



もともとアンプメーカーとしてシルバートーン・ブランドにアンプを提供していたダンエレクトロが通販用の廉価なギターの開発をシアーズから依頼されたのが1954年のこと。フェンダーがストラトキャスターを世に送り出した年にダンエレクトロがつくったギターは、ソリッド・ボディのエレクトリック・ギターをとりあえずつくってみました、といった感じの、まだまだ洗練には程遠いデザインのものだった。ボディにはポプラが使われ、オリジナルはそのボディを人工皮革で覆ったものだったが、私が入手したものは革が取り去られ、その代わりにブラウンに塗装されてしまった。



このダンエレクトロ最初のギターにはまだリップスティック・ピックアップが採用されていなかったとか、しかしながらすでに金属プレートと木製サドルを組み合わせたブリッジの構造は確立されていたとかいったことは、以前にも何度か書いてきた。今回、現物を手に入れてわかったことは、ネックの太さである。ネックは三層構造で両側にRがつけられてはいるものの、真ん中は平らになっていて、かまぼこというよりは台形に近い。そのためか握った感じは角材を握っているような感じ。当然弾きにくいのだが、その形状のわりには案外弾けるものだな、といった感じでもある。

その他の部分については、ヘッドの付き板やピックガードは薄いプラスティックが使用されていて、経年変化で伸び縮みや歪みが激しい。また、アンプにつなぐとノイズが大きいので、トグルスイッチとブリッジのネジを余った弦でつないで、とりあえず簡易な弦アースを取った。

音は意外によい。このギターをつくってから2年後、ダンエレクトロはUシリーズを生み出し、ギター開発は実を結ぶことになる。

いずれにしても、ダンエレクトロのギターを集めるようになり、その歴史などにも関心を持つようになった私としては、ダンエレクトロ最初のギターのひとつである Silvertone 1375 は手に入れたかったものであったし、それをフルオリではないながらも今回手に入れることができたのはとても嬉しいことなのである。

Silvertone 1449

2011-03-10 22:29:34 | Dano Guitars


シルバートーンのアンプ・イン・ケースが登場したのは1962年のこと。その1年後くらいに仕様変更したモデルがこの1449となる。
18フレット、1ピックアップの1448に対し、1449は21フレット、2ピックアップとなっているが、黒にシルバースパークルが施されたボディやピックガードの形状は1448と同じまま。フレットが増えた分、1449のほうが背が高い。



仕様変更はアンプにもおよび、出力が3Wから5Wに増え、スピーカーが6インチから8インチ、そして新たにトレモロが加えられた。

この1449、実は1963年の1年間くらいしか製造されなかったモデルなのである。その後すぐにレッドサンバーストの1457がアンプ・イン・ケースの2ピックアップモデルとなる。
1年間しか製造されなかったといっても、1449はそれほどレアというわけではない。もちろん1448や1457に比べれば目にする機会は多くはないけれども全然見つからないということもない。

私が今回手に入れたものはピックアップを切り替えるトグルスイッチが交換されていたり、フロントピックアップがコイル断線しているかのように音が小さかったり、状態はあまりよろしくない。この機会にダンカンのリップスティックを試してみるのも面白いかもしれない。

Deluxe 6038

2010-12-30 22:29:20 | Dano Guitars
ダンエレクトロのデラックスは1959年から1966年まで生産された。文字どおりショートホーンシリーズの高級機種として、家具調の化粧板が貼られたメゾナイトをトップ材として用い、またボディの周囲にはバインディングを施しているが、デラックスといっても、こうした見た目の高級感の演出のみで、ボディやネック、あるいは電装関係の材などに高品質のものが使われているというわけではない。

色は白とハニー・ウォルナット、ダーク・ウォルナットの3種類。それぞれ1ピックアップから3ピックアップのモデルがあるので、全部で9種類となる。





今回手に入れたのはデラックスの6038で、ハニー・ウォルナットの3ピックアップモデル。コントロール部はそれぞれのピックアップに1Vol、1Toneでウッドポインタノブが取りつけられている。ピックアップセレクターはなく、VolとToneを調節して音色を決めていく。ここで決めた音色をそのままに音量を調節するためのマスターヴォリュームもついている。

Dane A 1N12

2010-07-03 17:03:57 | Dano Guitars
ダンエレクトロのDaneシリーズは1967年から1969年まで生産された後期のシリーズで、AからEまであるが、Dane AシリーズはHawk、Dane BシリーズはSlimlineといったように、別なネーミングもされていて、MCAに売却されてからのダンエレクトロの混乱ぶりがうかがえるような気がしないでもない。

Dane Aはショートスケールのギターで18フレットまでしかない。シルヴァートーンのアンプ・イン・ケース・モデルやPro1のようなスチューデント・モデルとしてつくられたものと思われる。6弦と12弦、そして4弦ベースがある。ベース以外のモデルにはそれぞれ1ピックアップと2ピックアップのモデルがあり、ピックガードの形状に違いが見られる。



ブリッジはPro1と同様、金属を折り曲げただけの簡素なものだが、オプションでハンドヴィブラートの付いたものもあった。その仕組みはブリッジを前の部分で2点止めし、後ろの部分をボディから浮いた状態にし、そこにアームバーを取りつけ、浮いた部分を上下させることでヴィブラート効果を得るというものだが、やはりオクターヴ・チューニングは合わない。ショートスケールで12弦に金属を折り曲げただけのブリッジというのはさすがに無謀といったところで、アート・リンゼイのようにノン・チューニングでかきむしるように弾くくらいしかできそうもないわけだが、このギターで超絶なプレイをキメてしまうスティーヴ・ハウはやはり常人の域を超えたギタリストだと言えるだろう。

 

私が手に入れたものはあまりいい状態ではなく、全体は雑にリフィニッシュされ、表面が粒立っているところがあり、しかもクリアが吹かれていない。ナットも磨耗しているし、フレットも何度かすりあわせを施されているようだが、けっこうガタガタになってきている。そしてほとんどのビスがオリジナルではない。さらにブッシュが4個とコントロールノブが1個なくなっている。ボディエンドのストラップピンもなかったが、これは手持ちのものを取りつけた。

このように問題が多い個体ではあるが、なかなか出てこないモデルなので、とりあえず音さえ出てくれれば満足。できればオリジナルの状態に復元したいところではあるが、当時のパーツを揃えるのは困難なので、時間をかけてゆっくりやっていきたい。

Silvertone 1451

2010-06-07 21:51:13 | Dano Guitars
Silvertoneのアンプ・イン・ケースは1962年から1969年まで生産された。
1967年にモデルチェンジされ、ソリッドボディでいわゆるホーネットシェイプのものになった。1ピックアップで18フレットのショートスケールのモデルが1451で、2ピックアップで21フレットのロングスケールが1452。

1451は1448と同じヘッドで、ボディはブラックに塗装され、シルバースパークルが施されている。電装系はすべてピックガードに取りつけられていて、コントロールは1Vol、1Tone。ノイズはほとんど気にならない。中を開けてないので確認していないが、きちんとシールドされているのだろうと思う。
アンプ・イン・ケース付属のギターはケースに収納して持ち歩いているとアンプ部が当たったり、ケースの縁が当たったりするので、ボディ側面に塗装のはがれや傷がついたものが多い。今回入手したものもそれなりに傷があり、あきらかにマジックインキのようなもので塗りつぶされている個所がいくつかあったが、まだましなほうかもしれない。



今回ついていたアンプ・イン・ケースは1451ではなく、実は1457で、8インチのジェンセンスピーカーがついている。しかし、コーンを見ると修正跡があり、穴も空いている。真空管はプリ部が12AX7、パワー部が6V6、トレモロ用に12AX7、レクチに6X4を使用する。Silvertoneの、いわば純正品がついているが、かなり痛んでいるように見える。出品者のコメントでも出音に問題があるようなことが書いてあったので、電源は入れず、音出しはしなかった。