小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

医者と二人の女 (小説)(1)

2020-07-19 13:52:33 | 小説
医者と二人の女

「1」

山野哲也は、週一回、日曜日に、盛岡に、コンタクト眼科の、診療に、行っている。
彼は、神奈川に住んでいるのだが、ここのクリニックの院長なのである。院長といっても、あるコンタクトレンズの小売り、の会社と、提携している、眼科クリニックで、いわば、雇われ院長である。もちろん、彼の収入は、クリニックの診療報酬だが、クリニックのテナント料が高く、経営は、もちろん、赤字だが、そこは、コンタクト会社が、業務支援金、という形で、出してくれるので、収入は、毎月、定額である。
仕事は簡単で、ややこしい人間関係もなく、精神的なストレスはないが、肉体的ストレスが、きついのである。クリニックは、10時からだから、朝、4時30分に、起き、5時に家を出て、東京から、東北新幹線に乗って、盛岡まで行く。
哲也は、胃腸の運動が悪く、すぐに腸の動きが、悪くなる。新幹線の時速、300km/hの、微細な振動は、彼の胃腸の運動を止めた。
そして、クリニックも、空調が、あまり良くなく、胃腸が動かなくなるのである。
しかし、最近、彼は、盛岡に、行くことに、密かな、楽しみを、持っていた。
それは、最近、アルバイトの女の子が、最近、2人、入ってきて、2人ともに、きれいなのである。
彼女らは、同じ大学の、友達の関係だった。
一人(順子)は、体格が大きく、肉感的で、彼女は、彼に対する、態度から、明らかに、哲也に、好感をもっているのを、哲也は、感じとった。それは、まず、間違いないだろう。哲也が、彼女に、「付き合って下さい」とか「一度、デートして下さい」と告白しても、まず、彼女は、喜んでくれるだろう。
カルテを渡す時、彼女は、必ず、「ありがとうございました」と、言って、お辞儀をする。しかし、医者である哲也は、何も言わない。それでも、彼女は、「ありがとうございます」と丁寧に言う。
もっとも、医者が、それに対して、「どういたしまして」と言うのは、全く不自然であるから、何も言えないのも、仕方がない。
もう一人(京子)は、歳は、順子と、同じなのだが、しっかりした性格である。少し、スレンダーだが、痩せては、いない。抜群のプロポーションで、アルバイトの制服である、ピンクのワンピースからも、胸の所が、隆起しているのが、はっきり、わかる。パンティーラインも、ピンクの制服の上から、見える。ピンクのワンピースの上に、紺のカーデガンを着ているのだが、その制服が、哲也には、悩ましかった。長い黒髪を、もてあますように髪留めで、止めて、明るい声で話す。それも魅力的だった。
哲也は、彼女ら2人に恋していた。二人とも、甲乙つけがたかったが、思慕の想いは、京子の方が順子より、上だった。
しかし、彼女の態度からは、彼女は、哲也には、特別な感情は、もっていないように感じられた。しかし、哲也の彼女に対する想いは、募る一方だった。
「ああ。彼女は、どんなパンティーをはいているのだろうか?」
「ああ。彼女の太腿に、しがみつきたい」
「彼女を背後から、抱きしめてみたい」
そんなことを彼は思っていた。
しかし、もし、彼が、そんなことを、言ったら。つまり、
「はいているパンティーを下さい」と言ったりしたり、背後から、抱きしめたりしたら、彼女は、どんな、反応をするだろうか。それは、わからなかった。
順子なら、背後から、そっと、抱きしめたりしたら、彼女は、嫌がらないだろう。
むしろ、喜ぶだろう。しかし。京子は、哲也をどう思っているのかは、わからなかった。
しかし、京子は哲也を、嫌ってはいない、ことは、確かだった。
彼女も、哲也が、カルテを渡すと、彼女は、「ありがとうございます」と返事するからだ。
哲也が、患者の診察を終わって、診察室の戸を開けると、彼女は、誰より、急いで走って、カルテを、とりにくるからだ。彼女らは、性格が、極めて、穏やかだった。
ともかく、哲也の京子に対する妄想は、どんどん募る一方だった。
彼は、夢想で、こんなシチュエーションを考えた。

ある、患者がいない時。
彼が、彼女の背後から、彼女を、そっと抱きしめる。
彼女は、「あっ。先生。何をするんですか?」
哲也「すまない。前から、君のことが好きで、好きで、たまらなかったんだ」
彼女「・・・・」
彼女は、黙っている。
哲也「太腿にしがみついてもいいですか?」
彼女「・・・・」
哲也「ああっ。最高の感触だ」
と言って、哲也は、彼女の太腿に頬ずりする。
彼女「せ、先生。患者さんが来ます」
と言いながらも、本心から嫌がっている様子はない。

というシチュエーションの夢想を考えていた。
しかし、実際に、その通りになってくれる、という保証はない。
万一、「やめて下さい」と言われたら、彼は、この世で最悪の、羞恥地獄に、のたうちまわり、発狂してしまう、ことは、横浜DeNAベイスターズが、セ・リーグで優勝できないこと以上に、絶対に確実なことだった。
だから、彼は、それは、どうしても出来なかった。
そのため、彼の煩悶は、どんどん激しくなっていった。
彼女らの太腿にしがみつきたい。
彼女らのパンティーを見てみたい。彼女らのパンティーが欲しい。
しかし彼は、彼女らにキスしたいとは、全く思っていなかった。

哲也は、女に、キスする、という行為を嫌っていた。もちろん、映画やテレビドラマで、超美形なハンサムな男が、綺麗な女にキスする、映画のキスシーンなら、美しいが、哲也は、劣等感を持つほど、容貌に自信が無い、わけでは、なかったが、そんなに容貌に、絶対の自信を持てるほど、でも、全くなかった。まあ、大体、普通のレベル、標準的、な顔、と思っていた。し、他人の評価もそうだった。なので、彼女に強引にキスして、嫌われるのが、怖かったのである。彼は、京本正樹ほどの、超美形なら、強引に女にキスしても、いいのだと思っていた。
それと、哲也は、フェラチオという、行為も、嫌っていた。アダルトビデオで、腹の出た、中年男の汚いマラを、美しい女が、しゃぶっている、シーンを見ると、女が可哀想で、可哀想で、仕方がなかった。彼は、ビデオの男に対して、憤怒の目で、拳を握りしめ、「やめろー」と叫んだ。実際にそれをして、彼は、テレビを壊してしまったこともある。また、一心に、男のマラをしゃぶっている女の心理もわからなかった。男のマラをしゃぶる、といっても、京本正樹ほどの美形なら、わかるが、腹の出た中年男のマラを、しゃぶる女の心理は、どうしても、わからなかった。彼は、ビデオの女に向かって、いつも、泣きながら、「お願いだから、やめてくれー。そんなことー」と、叫ぶのだった。
哲也は、本番という行為も嫌った。女に挿入して結合する、という行為が嫌いだった。京本正樹ほどの美形なら、ともかく。彼にとって、女とは美しい、鑑賞する、芸術品、人形だった。
ちょうど、美しい、絵画や、彫刻のように。
なので彼は、女にズカズカ入って行くのでなく、女をそっと、抱きしめたり、太腿にしがみついたり、パンティーを、祭壇に祭ったりと、ひたすら女を崇める、夢想に耽っていた。

「2」

ある日曜日の診療が終わった、午後5時半。のことである。
順子と、京子、の2人は、仕事が終えて、ほっとしていた。
山野院長は、タイムカードを押して、受け付けにいる2人に、「さようなら」と、言って、そそくさと、帰っていった。
あとには、順子と京子の2人が、残された。
「はあ。今日は多かったわね」
「何人きた?」
「70人、来たわ」
「帰りにマクドナルドに寄っていかない?」
と順子が京子を誘った。
「そうね。行きましょう」
こうして二人は、制服から私服に着替え、マクドナルドに行った。
時刻は、5時50分だった。
「先生は、ちょうど、今頃、上りの東北新幹線に乗った頃だわ。5時50分発の、はやぶさ号、に乗っているでしょうから」
「先生って、無口で、何を考えているのか、わからないわね」
「そうね。女に興味ないのかしら?」
「私達のこと、どう思っているのかしら?」
「女に興味を持たない男なんて、いるのかしら?」
「さあ。わからないわ」
「先生って、彼女がいるのかしら?」
「もしかしたら、きれいな彼女がいるのかも、しれないわね。だから、私達には関心がないのかも、しれないわ」
「そうかしら。私はそう思わないわ」
「どうして?」
「男って、好きな彼女が、いても、きれいな女を見ると、例外なく、その人も、好きになっちゃうでしょ」
「私達2人のうち、とっちを一番、気にいっているのかしら?」
「それは、もちろん、京子じゃない。京子は、学校でも、全男子の憧れだもん」
そう順子に言われて、京子は顔を赤らめた。
「ふふふ。実を言うとね。私は知っているわ。先生も、女が好きなのよ」
順子が言った。
「どうして。順子?」
「あのね。先生。昼休みには、いつも、駅前の、すき家に行くでしょ。先生、いつも、ノートパソコンを机の上に置いて、何か打ってるでしょ。前に、先生が、昼休みに、すき家に行っている間に、先生の、ノートパソコンを開いて見たことがあるの。そうしたら、デスクトップの上に、画像が一杯あったの」
「どんな画像だった?」
「ものすごくエッチな画像ばかりだったわ。SM写真の画像とか、ビキニ姿の画像、女子アナの画像、とか、そんなのばかりよ」
「へー。やっぱり、先生も男なのね」
「あと、先生。ホームページと、ブログを持っていて、ホームページに、小説を、たくさん、出しているわ」
「へー。先生。小説を書くの?」
「ええ。書いているわよ」
「どんな小説?」
「恋愛小説や、エッチな小説よ。山賀哲男という、ペンネームを使っていているわ」
「読んでみたいわ。先生の小説」
「じゃ、京子。スマートフォン、貸して」
「ええ」
と言って、京子は、順子に、スマートフォンを渡した。
順子は、京子のスマートフォンをピピピッと操作して、
「はい。これよ」
と言って、京子に返した。
「うわー。本当だ。すごい」
京子は、カチャカチャと、スマートフォンを操作していたが、
「あとで、じっくり読むわ」
と言って、スマートフォンをしまった。
「京子。先生があなたを一番、好きなのは、間違いないわ」
順子が言った。
「どうして?」
と京子が聞いた。
「いつかね。昼休みに、あなたが、受け付けの机で寝ていたことが、あったの。覚えている?」
「いえ。覚えていないわ」
「その時ね。先生が、あなたの寝姿を、ジーと見ていたわ。股間をさすりながら。ハアハア荒い息をしていたわ。それでね。私は、クリニックの入り口の前から、先生に、見つからないよう、少し様子を見ていたの。先生は、スマートフォンで、あなたの、寝顔を、こっそり撮っていたわ。それを、パソコンに入れたのね。その後、昼休みに、先生の、パソコンを、開けてみたら、デスクトップに、「京子」というフォルダが、あったから、開けてみたら、あなたの、寝顔の写真が、数枚、入っていたわ」
「本当?」
京子が聞いた。
「本当よ。私。USBメモリで、それを、コピーしたわ。それを、スマートフォンに入れたから。見てごらんなさい」
そう言って、順子は、自分のスマートフォンを京子に渡した。
京子は、それを受けとった。
京子の顔が真っ赤になった。
そこには、順子の言った通り、京子の寝顔の写真が、数枚、入っていたからだ。
「ね。言った通りでしょ。先生は、あなたが好きなのよ」
と、順子が言った。
「京子。あなたは、先生のこと、どう思っているの?」
「嫌いじゃないわ。優しい人だし、好感をもっているわ」
「先生は、シャイだから、自分からは、言えないのよ。あなたから、先生に、話しかけたら?」
「でも・・・」
「でも、何なの?」
「私だって、恥ずかしいわ」
「そこを、勇気を出して、言ってみなさいよ」
「何て?」
「一度、お話し、して頂けませんか、って」
「そんなの、恥ずかしいわ」
「もー。勇気が無いんだから。私だって、先生が、私のこと、どう思っているか、知りたくて仕方がないわ」
順子が不快そうに言った。
そんな具合で、順子は、しかめっ面で、マックフライポテトを、食べた。
「先生って、真面目で、いつも、文学書とか、歴史の本とか、難しい本、読んでいるでしょ」
「ええ」
「アカ抜けてないのよ。それで、女を見ると、つい、女を、意識しちゃって、それを、さとられないように、ことさら、女に無関心なように、装っているのよ」
「ふーん。でも、そんな、ストイックな態度、とっていたら、余計、ストレスがたまっちゃうんじゃないの?」
「そうよ。だから、SM写真や、ビキニの画像を、集めているのよ。それにね。私、先生のホームページの小説、読んでみたけど、すごく、エッチな小説が多いわよ。私、興奮しちゃった」
と言って順子は、さらに、
「きっと、女と話が出来ない欲求不満を、小説に書くことによって、晴らしているのよ」
と言った。
「じゃ、私も、今日から、読んでみるわ」
「私。先生のことを思うと、変な気分になっちゃうの」
順子が言った。
「どんな気分になるの?」
「先生に、いじめられたい、と思ったり、逆に、先生を、いじめたい、と思ったり」
「私も、そう思う時、あるわ。先生は、おとなしいから、きっとマゾなんじゃないかしら」
「先生も、一人でいる時、私達2人に、いじめられることを、想像して、オナニーしているんじゃないかしら」
「そうかも、しれないわね」
「先生は、きっと、言わないで、ポーカーフェイスを、装って、わざと、興奮を高めて、それを楽しんでいるんじゃないかしら」
「じゃあ、帰ったら、先生のホームページの小説、読んでみるわ」
京子は、飲みかけの、アイスティーを、一気に飲んだ。
2人は、「じゃあ、明日またね」と言って、別れた。

「3」

順子は、家に帰ると、ベッドにゴロリと横になった。
そして、順子は、山賀哲男のホームページを開いた。
エロティックな山野の小説を読んでいるうちに、だんだん、興奮してきた。
「先生は私のこと、どう思っているのかしら?」
順子は、そのことが、気になった。
山野は、京子のことを、好きなのは間違いない。
以前、昼休みに、山野が、京子の寝姿を、息を荒くして、食い入るように、眺めていて、その時、スマートフォンで、写真まで、撮っているのだから。
しかし、順子も、哲也の態度を思うと、まんざら、自信がないわけでは、なかった。
ふと思いついて。順子は、パソコンを開いて、去年の夏、京子と、二人で海水浴場に行った時の写真を開いた。
二人、ビキニ姿の写真、京子が、髪をかきあげて、ポーズをとっている写真、同じように、順子が、髪をかきあげて、ポーズをとっている写真を見た。
ふと。順子に、ある、悪戯がひらめいた。思いついた。
順子は、ふふふ、と、苦笑した。
京子には、悪いけれど、先生は、京子を好いているのは、明らかだし、だから、後で京子に、全部、話して、事後承諾をとればいい。それより、山野は、自分のことは、どう思っているのかは、全く、わからない。だから、その悪戯は、そんなに、悪いことじゃない、と順子は自己正当化した。
山野はクリニックの院長という責任者の立場なので、住所も、携帯番号も、メールアドレスも、順子は知っている。
しかし、山野は、アルバイトの、個人情報は、知らない。
だから、当然、順子や京子のメールアドレスも知らない。
順子は、スマートフォンの、メールの一覧を出した。
そして、山野のアドレスを、出した。
そして、文章を入力し出した。
「先生。突然、メールをお出しする失礼を、お許し下さい。私は、佐藤京子です。今日、先生が、以前、昼休みに、私が、寝ていた所を、先生がじっと見ておられて、スマートフォンで、私の寝顔を撮っていた、ということを、順子に聞かされました。先生が、私に好意を持っていてくださるのなら、幸甚にたまわります。(この上なく嬉しいです)私も先生が好きです。いつか、プライベートなお話をしたく、思います。去年の夏、順子と、海水浴場に行った時に、撮った、ビキニ姿の写真がありますので、添付いたします。ところで、先生は、順子に対しては、どう、お思いでしょうか。先生は、順子が好きでしょうか、それとも、関心がないでしょうか?佐藤京子」
順子は、本文に、こう書いて、去年の夏、京子と、海水浴場に行った時に、撮った、ビキニ姿の写真、10枚を、添付して、送信ボタンを押した。
ビキニの写真には、順子と京子の写真。順子だけの写真、京子だけの写真、などか、あった。
順子は、ルビコンの川は、渡られた、と思った。
つまり、順子が、京子を装って、山野哲也にメールを送ったのである。
順子は、哲也にメールを送信してから、哲也から、メールが来るかどうか、来るとしたら、どんな内容のメールなのか、に、ハラハラと興奮して、眠れなかった。
一時間くらいして、ピッと、着信メールが来た音がした。
哲也からだった。
順子は、ハラハラ、ドキドキしながら、メールを開けてみた。
本文には、こう書かれてあった。
「佐藤京子さま。メールありがとうございます。佐藤京子さま、の、方から、告白して、頂けるなどと、思ってもいなかったので、驚くと、同時に、最高の幸せです。以前、昼休みに、あなた様が、寝ていた時に、あなた様の寝顔を見て、スマートフォンで写真を撮っていたところを、順子さんが、見ていたんですね。順子さんにも、あなた様にも、恥ずかしいです。しかし、こうなったら、もう僕も本心を告白するしか、ありません。僕は、京子さんが好きです。大好きです。憧れています。添付してくださった、順子さんとの、ビキニ姿、とっても、美しいですね。僕も、京子さんと、一度、プライベートに、お会いして、お話ししたいです。順子さんについて、ですが。もちろん、順子さんも好きです。しかし、なんといっても、京子さんが一番、好きです。あなた様のビキニの写真を、頂けて、もう言葉には、表せないくらい、幸せです」
メールには、こう書かれてあった。
順子は、やはり、哲也は、京子が一番、好き、と知って、少し、さびしい思いがした。
「順子さんも」の、「も」という言葉が引っかかっていた。
しかし、哲也は、当然、メールは、京子が出したものだと思っている。
男は、女をくどく時、「あなたが世界一好きです」と言うのは、男の常套手段である。
なので、本当の本心は、わからない。
たまたま、京子が、寝ている所を、見かけたから、寝顔を写真に撮ったのであって、もし、自分が、寝ている所を、哲也に、見つけられたら、自分も、哲也に、寝顔を見つめられ、写真を、撮られていたかもしれない。
順子は、そんなことを思った。
「一度、プライベートに、お会いして、お話ししたいです」と、あるので、順子は、どこで、会おうかと、しばし、考えた。
そして、一つのいい、アイデアを思いついた。
順子は、また、哲也宛てにメールを書いた。
「先生。今度の診療日の日曜の、前日の土曜日に、盛岡に、お出で頂けないでしょうか?盛岡駅前で、待っています。土曜のホテル代は、私が、お払いします」
順子は、そう書いて、送信ボタンを押した。
しばしして、すぐに、哲也から、返信メールが返ってきた。
それには、こう書いてあった。
「はい。行きます。土曜日に。ホテル代は、コンタクト会社が出してくれるので、必要ありません。出来るだけ、早く、行こうと思います。盛岡に、正午頃に着くよう、行こうと思いますが、よろしいでしょうか?」
順子は、すぐに、
「はい。盛岡駅の到着時刻がわかりましたら、すぐに知らせて下さい。盛岡駅前で待っています。京子」
と書いて、メールの送信ボタンを押した。
順子は、京子に無断で、京子を装って、メールを送ったことが、やはり、心に引っかかった。
一時間くらいして、哲也から、またメールが来た。
それには、こう書かれてあった。
「京子さん。あなたのビキニ写真を見ていたら、いろんなことを想像してしまって、興奮して、勃起して、寝つけなくなってしまいました。あなたは、罪な人だ。山野哲也」
と書かれてあった。
「どんな想像ですか?佐藤京子」
と、順子は、すぐにメールを送った。
また、すぐに、哲也からメールが届いた。
「もう正直に白状します。京子さんの足を舐めたり、京子さんに、いじめられたり、あるいは、逆に、京子さんを、縛ったりする妄想です。僕には、SM的な性格があるんです。さらに、京子さんと、順子さんの、二人に、いじめられたり、といった、妄想です。哲也」
順子は、この上なく嬉しかった。
哲也の妄想に、自分も入っている、ということを、哲也が自発的に言ってきてくれたからだ。
哲也は、世辞ではなく、自分にも、関心を持っているのだ。
そう思うと順子は、嬉しくなった。
順子は、急いで、メールを書いた。
「先生。私も、正直に白状します。私も、先生を見た時から、変な感情に悩まされるように、なってしまいました。先生に、縛られたい、いじめられたい、と思ったり、逆に、私が、女王様となって、先生をいじめたい、といった妄想です。私、一人で、という妄想もあれば、順子と一緒に、いじめたい、いじめられたい、というような妄想です。先生の、優しい、おとなしい性格が、私に、そういう妄想を、起こさせてしまうんです。佐藤京子」
そう書いて、順子は、メールを送信した。
一時間くらいして、哲也から、またメールが来た。
それには、こう書かれてあった。
「京子さま。あなたが、私を、いじめたい、と思って下さっていたなんて、最高に幸せです。今度、お会いする時には、あなた様に、いじめられたいです。恥ずかしいですが、正直に告白します。私は、あなたのパンティーが欲しい。今度、お会いした時、あなたの、パンティーを、頂けないでしょうか?もう、我慢できません。山野哲也」
順子は、急いで、返信メールを書いた。
「私なんかの下着でよろしいのであれば、差し上げます。でも、恥ずかしいです。佐藤京子」
そう書いて、順子は、メールを送信した。
哲也から、またメールが来た。
それには、こう書かれてあった。
「ありがとうございます。パンティーは、メールや、写真と違って、すぐに、送って頂けないのが、残念です。しかし、今度、頂けると思うと、ワクワク、ドキドキします。それまで、あなた様の、ビキニの写真を見て、我慢します。おやすみなさい。山野哲也」
それからは、哲也のメールは、来なくなった。
順子は、京子に、なりすました事に、不安と興奮を、持ち出した。
明日、京子に、会ったら、本当のことを、言おうか、どうか、で、悩んだ。
どうするのが、一番、いい方法かを、順子は、考えた。
山野とメールを遣り取りするのは、楽しい。
たとえ山野は、メールの相手が京子だと思っていても。
しかし、山野は、京子と順子の二人に、いじめられたい、とも、言ってきた。
だから、山野は、順子にも、関心を、もっている。のだ。それが、メールを続けさせてしまった、要因だと順子は、思った。○○○○
結局、明日、京子に、言おうか、言わないか、決めることが出来ないまま、順子は、その日、寝てしまった。

「4」

翌日になった。月曜日である。
目が覚めた順子は、枕元にあるスマートフォンを開いたが、哲也からのメールは、なかった。
順子は、トーストと、コーヒーの朝食をして、カジュアルな服を着て、スクーターに乗って、学校に行った。
バックには、ある意図があって、パンティーを、一枚、入れておいた。
順子が教室に入って、いつもの席に座ると、ほどなく、京子も入ってきた。
「おはよう。京子」
「おはよう。順子」
順子が挨拶すると、京子は、それに、呼応するように、愛想よく返事した。
京子は、順子の隣りに座った。
「順子」
「何?」
「昨日、哲也さんのホームページの小説、読んでみたわ」
「どうだった?」
「何か、変な気分になっちゃったわ。先生を、いじめたり、いじめられたり、したいような・・・そんな変な気分になっちったの」
京子は、顔を火照らせて言った。
「そう。私もよ」
順子が言った。
「ところで、京子。話は、変わるけど。すまないけれど、あなたのアパートの鍵、貸してくれない?」
順子は話頭を変えた。
「いいわよ。だけど、どうして?」
京子が聞き返した。
「私の大切な指輪が、いつの間にか、なくなっちゃったの。色々と、探してみたんだけど、見つからないの。もしかしたら、この前、あなたのアパートに行った時に、あなたのアパートで、落としちゃったのかも、しれない可能性があると思うの」
順子は、そう説明した。
「わかったわ」
そう言って、京子は、バックからルイ・ヴィトンの財布を取り出し、財布から、鍵を出して順子に渡した。
「はい。これ。私のアパートの鍵よ」
「ありがとう」
そう言って、順子は、京子から、鍵を受けとった。
「ちょっとトイレに行ってくるわ」
そう言って、順子は、教室を出た。

順子は、スクーターに乗って、急いで、京子のアパートに向かった。
途中、コンビニ、で、順子は、A3(?)の角封筒を買った。
京子のアパートに着くと、鍵で、急いでドアを開けて、部屋に入った。
順子は、何だか、京子のいない間に、京子の部屋に入って、泥棒になったような気がした。
京子の洗濯機の横の、洗濯カゴの中には、脱いだ後のピンク色のパンティーが、入っていた。
順子は、角封筒の宛名に、山野哲也の住所を書き、差出人には、京子の住所と名前を書いた。
そして、順子は、履いていたブルーのパンティーを、脱いで、バックに入れておいた、別のパンティーを履いた。
順子は、京子のピンク色のパンティーと、自分の、ブルーのパンティーを、角封筒の中に入れて、角封筒を糊づけした。
そして順子は、京子のアパートを出で、急いで、郵便局にスクーターを走らせた。
そして、角封筒を、速達で、出した。
「今日中に着きますか?」
と郵便局員に聞くと、
「今日中には、難しいかもしれません。明日には、必ず着きます」
と答えた。
順子は、郵便局を出ると、スクーターで、大学にもどった。
「どうしたの。トイレ、ずいぶん長かったわね」
と京子が聞いた。
「いえ。ちょっとね」
へへへ、と順子は、舌を出して笑った。
その日の講義も、いつもと、たいして変わりなかった。
講師が一方的に、喋るだけで、生徒は、わけもわからず、それをノートするだけだった。
昼休みになった。
順子と京子は、硬式テニス部だった。
「京子。ちょっと、テニスコートに行って、打ち合いしない?」
順子がそう、誘った。
「どうして?」
「京子。今日は、ジャージじゃなくて、白の半袖と、スカートで、やらない?」
「どうして?」
「何となく。今日は、天気もいいし・・・」
「いいわよ」
二人は、コートに出た。
テニスコートには、誰もいなかった。
二人は、コートに出で、ストロークの打ち合いをした。
しばしして、順子が、
「ちょっと、一休み」
と言った。
二人は、ベンチに腰かけて、アクエリアスを飲んだ。
「京子。サービスしてみて。写真に撮ってあげるわ」
順子が言った。
「ええ」
京子は、ボールをトスアップして、何回か、サービスをした。
カシャ、カシャ、と、順子が、それを、スマートフォンで撮った。
午後の始業の鐘が鳴ったので二人は、教室にもどった。
そして、つまらない、午後の授業が終わった。
「じゃあねー」
と言って二人は、別れた。
順子は、スクーターで、アパートに帰った。
アパートに着くと、順子は、ベッドに、ゴロンと横になった。
そして、哲也にメールを書いた。
「先生。我慢できない、と書いてありましたので、私のパンティーと、ついでに順子のパンティーを、今日、午前中に、速達で、送りました。私の下着だけでは、恥ずかしいので、順子に頼んで、順子のパンティーも、一緒に送りました。今日か、明日には、着きます。ちなみに、ピンクのパンティーが私のパンティーで、薄いブルーのパンティーが、順子のパンティーです。それと、順子に頼んで、テニスウェア姿の私を撮ってもらったので、添付して、送ります。佐藤京子」
順子は、そう書いて、送信ボタンを押した。
順子は、自分のパンティーにも、哲也が、関心を持ってくれるか、どうか、ということに、ハラハラ、ドキドキ、していた。
すぐに、哲也から、返信メールが来た。
それには、こう書かれてあった。
「ありがとうございます。京子さま。もう、京子さまの、ことが、気にかかって、今日は、何も出来ませんでした。助かります。京子さんの、テニスウェア姿、最高に、美しいですね。感謝感激です。山野哲也」

「5」

翌日(火曜日)の、夕方に、哲也から、メールが来た。
それには、こう書かれてあった。
「京子さま。ちょうど今、速達郵便が届きました。感謝感激です。京子さまの、パンティーを鼻に当て、匂いを嗅ぎながら、京子さんの、ビキニの写真を見ながら、オナニーしています。素晴らしく、いい匂いです。山野哲也」
順子は、すぐに、哲也に返信メールを書いた。
「哲也さま。私なんかの、下着の匂いを、嗅がれてしまって、とても、恥ずかしいです。ところで、哲也さまは、順子のパンティーは、どのようにして、おられるのでしょうか?不要でしたでしょうか?」
順子は、そう書いて、メールを送信した。
すぐに、哲也から、返信メールが来た。
それには、こう書かれてあった。
「不要なものですか。もちろん、僕は、京子さま、が一番、好きですが、もちろん、順子さんも、大好きです。京子さんと、順子さんの、二人に、いじめられる、ことを、想像して、楽しんでいます。もちろん、順子さんのパンティーも、貪るように、匂いを嗅いでいます。とても、いい匂いです。山野哲也」
これを読んだ時の、順子の嬉しさ、といったら、なかった。
哲也は、京子を一番、好いている。しかし、自分は、哲也に、どう思われているのか、は、わからなかった。昨日の、哲也からのメールでの、「順子さんも、好きです」の「も」という言葉にひっかかっていた。
社交辞令、で、言っているような気がして、仕方がなく、哲也の本心を、どうしても、知りたかったのである。
哲也は、このメールの遣り取りを、京子を、相手に、している、と思っている。
ならば、本心で、京子だけを好きならば、「あなた、だけが好きです」と言った方が、相手をうっとりさせる。順子には、知られていないのを、いいことに、「順子さんは、興味ありません」と言った方が、京子の心をつかむ、には、都合がいいはずである。
しかし、哲也は、はっきりと、順子も、好きであることを、キッパリと言ったのである。
文面からは、ウソ偽りは、感じられない。
哲也が、京子を一番、に好きなのは、間違いない。
しかし、彼は、自分にも、好感を持っていてくれる、のも、間違いない、と順子は、確信できたのである。

その夜、遅く、京子が電話してきた。
京子の声は、喘ぐように、上擦っていた。
「京子。どうしたの?」
「あのね。哲也さんの小説を、読んでたら、興奮してきて、眠れなくなっちゃったの。哲也さんを、いじめてみたい、と思ったり、逆に、哲也さんに、いじめられたり、されてみたい、と思って。つい、オナニーしちゃったわ。つい、我慢できなくなって、あなたに電話しちゃったの」
京子の声は、ハアハアと、上擦っていた。
「私もそうだったわ。先生の、小説を読んだ、最初の頃は、私も、興奮して、オナニーしちゃったわ」
「そう。あなたも、そうだったの。それを聞いて、少し安心したわ。じゃあね」
そう言って、京子はスマートフォンを切った。

誰にでもは言えない、煩悶を自分に、打ち明けたことで、京子も、少し、落ち着きを取り戻し、眠れるんじゃないか、と順子は、思った。
順子は、サイドテーブルの電気を消して寝た。

「6」

翌日(水曜日)になった。
目覚めた順子は、スマートフォンのメールを開けてみた。
哲也からのメールが一通、あった。
それには、こう書かれてあった。
「京子さん。土曜日は、盛岡駅に、12時10分に着きます。お会いするのを楽しみにしています。山野哲也」
順子は、哲也と、約束した土曜日に、どうしようかと、思い悩んだ。
いっそ、全部、正直に、メールで、哲也に、話してしまおうかとも思った。
そして、京子にも、正直に話そうかとも思った。
順子は、決断できないまま、急いで、メールを書いた。
「はい。わかりました。私も、お会いするのが楽しみです。盛岡駅前で待っています。佐藤京子」
そう書いて、順子は、送信ボタンを押した。
哲也の高まった喜びを、壊したくないという思いから、つい、そう、書かずにはいられなかった。
順子は、トーストと、コーヒーを飲んで、カジュアルな服を着て、スクーターに乗って、学校に行った。
順子が教室に入って、いつもの席に座ると、ほどなく、京子も入ってきた。
「おはよう。京子」
「おはよう。順子」
京子は、すぐに順子の隣りに座った。
京子の目は、ワインを飲んだ後のように、少し、ポーと、酩酊しているような感じだった。「京子。どう。昨日は眠れた?」
「ええ。あなたに電話して、少し、高ぶった気持ちが、落ち着いて、ほっとしたわ。でも、午前3時頃までは、眠れなかったわ」
「そう」
「私。今度の日曜日。先生に会ったら、手が震えてしまいそうで、怖いわ」
京子は、神経質なので、順子は、いきなり、今までのことを、全部、正直に話したら、気が動転してしまう、のではないか、と心配した。
そのため、どうしても、順子は、言い出せなかった。
京子に無断で、京子の名前を使って、哲也と、メールの遣り取りをしていた、なんて言ったら、京子との友情も、壊れてしまいそうな気がした。
順子は、どうするのが、一番、いい方法だろうかと、思案を巡らした。

「7」

約束の土曜日になった。
前日の、金曜の夜、順子は、ドキドキ緊張して、なかなか寝つけなかった。
順子は、目いっぱい化粧して、11時30分に家を出で、盛岡駅、行きのバスに乗った。
盛岡駅には、11時50分に着いた。
しばしすると、下りの東北新幹線が、やって来るのが、見えた。
東北新幹線は、盛岡駅で、前の、秋田行きの、秋田新幹線こまち号と、新青森行きの、はやぶさ号に、分断された。そして、秋田新幹線は、西の秋田に向かって発車し、はやぶさ号は、新青森に向かって発車した。
順子の緊張は、極度に達した。
順子は、改札が見える、駅ビルの、中の、スターバックに入って、マスクをつけて、改札の方をじっと、固唾を呑んで見つめた。
順子のスマートフォンがピピピッと鳴った。
哲也からのメールだった。
それには、こう書かれてあった。
「京子さん。今、盛岡駅に着きました。山野哲也」
順子は、それには、返事のメールを出さなかった。
改札を出てくる哲也の姿が見えた。
哲也は、改札を出ると、京子を、探すため、キョロキョロあたりを見回した。
しかし、京子の姿が見えないので、駅を出て、駅前の、大きなロータリーに出た。
哲也は、京子は、駅前のロータリーにいるんだろうと、思っているのだろう。
あたりを、さかんに、キョロキョロ見渡した。
哲也は、スマートフォンを取り出して、メールを打つ様子はなかった。
京子が、少し遅れているのか、あるいは、すぐに、来るのを、確信しているようで、待つつもりの様に見えた。
順子は、胸がドキドキ破裂しそうなほど、緊張しながら、哲也に気づかれないよう、背後から、哲也に近づいた。
「あ、あの。先生・・・」
順子は、哲也の背後から、トントンと、肩を叩いた。
哲也は、すぐに、振り返った。
「あっ。順子さん」
哲也は、吃驚した様子で、言った。
「先生。京子を、待っているんでしょう」
順子が言った。
「・・・・」
哲也は、返答に窮している。
どういうことなのか、わからない、といった、疑問の顔で、順子を、見つめている。
「あの・・・。京子は来ません。私が、代わりに来ました」
そう順子は、言った。
哲也は、ますます、首を傾げた。
「タクシーで、一緒に、アパートに来て頂けないでしょうか。詳しいことは、アパートに着いてから、お話しします」
順子は、そう言って、駅前に、並んでいるタクシーの先頭のタクシーに、哲也と、乗り込んだ。
「順子さん。先生なんて、堅苦しい呼び方でなくて、いいですよ。哲也さん、で、いいですよ」
と哲也は、言った。
「ここへお願いします」
順子は、住所の書いてあるメモを、タクシーの運転手に渡した。
タクシーは、勢いよく、走り出した。
哲也は、車の中で、順子に話しかけなかった。
きっと、今、哲也の頭の中は、混乱しているだろうと、順子は、思った。
タクシーは、大通りを通って、北上川を渡って、から、右折して、路地に入って行った。
しばし、数回、左折、右折、した後、あるアパートの前で、タクシーは止まった。
哲也が、料金を払おうと、財布を取り出したのを順子が制止した。
「私が払います」
と言って、順子が財布を取り出して、料金を支払った。
二人は、タクシーを降りた。
「アパートは、ここです」
と順子が哲也に言った。
表札には、「筒井順子」と書かれている。
哲也は、それを、疑問に満ちた目で、見たが、順子が、
「どうぞ。お入り下さい」
と言うので、順子の後について、アパートに入った。
順子は、哲也を六畳の畳の部屋に案内した。
そして、座布団を差し出して、
「どうぞ。お座り下さい」
と言った。
哲也は、順子に、言われるまま、座布団に座った。
順子も、哲也の前に座った。
順子は、いきなり、
「申し訳ありません」
と言って、哲也に、向かって、両手をついて、深々と頭を下げた。
「どうしたんですか?」
哲也は、順子の謝罪の意味を聞いた。
順子は、顔を上げた。
そして、話し始めた。
「哲也さんは、今日、京子に会いに来られたんですよね」
順子が言った。
哲也は、疑問に満ちた目で、順子を見たが、すぐに、
「ええ。そうです」
と答えた。
「ははあ。京子さんが、今日、僕が京子さんと、会う、ということを、あなたに知らせたんですね」
哲也が言った。
当然の推測である。
「いいえ。違います」
順子は、首を振った。
「先生は、この一週間、京子と、メールの遣り取りをしていまたしたね」
「ええ。そうです。よく知っていますね。やはり、京子さんが、あなたに知らせたんですね。それで、京子さんは、メールの内容まで、あなたに、言いましたか?」
「いえ。違うんです?」
「何が、どう違うんですか?」
「実は、京子と、名乗って、私が、先生と、メールの遣り取りをしていたんです」
「ええっ。そうなんですか」
哲也は、吃驚して、目を皿にして、目の前の、順子を見た。
「これが、私のスマートフォンです」
そう言って、順子は、スマートフォンを哲也に渡した。
哲也は、スマートフォンを、受けとると、メールを確認し出した。
「ああっ。本当だ。京子さんと、遣り取りした、メールが、全部、入ってる」
哲也は、驚いて、目を丸くした。
「じゃあ、僕は、京子さんと、ではなく、あなたと、メールの遣り取りをしていたんですね。あはは。恥ずかしいな。でも、どうして、あなたは、京子さんの、名前を使ったんですか?」
「それは・・・。先生は、京子さんを好いているのは、間違いないけれど、私のことは、どう思っているのか、分からなくて・・・。もし、私に、関心をもっていないのだったら、恥ずかしくて、つい、京子の名前を使ってしまったんです。一度で、やめようかとも、京子に、このことを正直に知らせようかとも思ったんですけれど、つい、先生との会話が弾んでしまって、京子を装い続けてしまったんです。本当に、ごめんなさい」
と言って、順子は、深々と、頭を下げた。
「じゃあ、京子さんには、このことは、知らせていないんですね?」
「ええ。全く、知らせていません。京子が知ったら、吃驚するでしょうね」
「なるほど。京子さんが、受け付けで、寝ている姿を、スマートフォンで写真に撮ったのを、あなたに、見られてしまっていたんですね。それが、運が悪かった。もし、あなたが、寝ている所を、僕が見つけたら・・・そして、それを、京子さんに、見られていたら、問題はなかったんですね。僕は、あなたが寝ているのを、見つけたとしたら、やはり、あなたを写真に撮ったでしょう。運が悪かったんですね」
「そう言って頂けると、嬉しいです」
「僕も、あなた方に対して、シャイだったのが、シャイ過ぎたのが、悪かったと、思っています」
「あ、あの。先生。メールの相手が、京子でなく、私だと知って、絶望したでしょうか?」
哲也は、強く否定の、手を順子の前で振った。
「いえ。メールに、書いたことは、全て僕の本心です。僕は、京子さんが好きですけれど、あなたも大好きです」
「ありがとうごさいます。そう聞くと、私も嬉しいです」
「では、速達で、送ってくれた京子さんの、下着も、あなたの下着なのでしょうか?」
「いえ。違います。間違いなく、京子のパンティーです。学校で、京子のアパートの鍵を借りて、すぐに京子のアパートに行って、洗濯カゴの中にある、京子の下着をとってきましたから、間違いなく、京子の下着、と言ったピンクのパンティーは、京子の物です」
「そうですか。僕は、京子さんの下着も、あなたの下着も、大いに、匂いを嗅いで、酩酊していました」
「そう、言われると、恥ずかしいような、嬉しいような・・・」
順子は、赤面して困った顔をした。
「僕だって、こんなことを、告白するのは、非常に恥ずかしいです」
「あ、あの。先生。それと、もう一つ、言っておかなくては、ならない事があるんです」
「はい。何でしょうか?」
「実は、私。以前。先生が、昼休みに、すや家に昼食を食べに行った時、先生のパソコンを、こっそり見てしまったんです」
「そうですか。ははは。恥ずかしいな。それで、何と、何を見たんでしょうか?」
「あ、あの。デスクトップにあった、SMの画像、とか、ビキニ姿の女の画像とか、女子アナの画像とか。それと、先生のホームページも、知ってしまいました」
「そうですか。ははは。恥ずかしいな。でも、僕も、京子さんの寝顔を、京子さんに無断で、撮ってしまいましたから、僕も人を非難することは、出来ませんね」
そう言って、哲也は、苦笑いした。
「先生のホームページの小説、読ませて頂きました」
「どうでしたか?」
「とても、エッチな気持ちになってしまいます。京子にも、先生のホームページを教えました」
「彼女の感想は、どうでしたか?」
「京子も、すごく、興奮してしまって、眠れないって、私に電話してきました」
「そうですか。僕は、エロティックの表現を追求していますから、そう言って頂けると、嬉しいです」
「それと、京子には、先生が、京子の寝顔を写真に撮っていたことを、話してしまいました。すみません」
「いえ。僕も、黙って、相手の断りもなく、京子さんの寝顔を撮ったのですから、僕の方が悪い。あなたが、謝る必要は、ありません」
「先生。京子の名前を使った罰として、私を、好きなように、虐めて下さい」
順子が言った。
「順子さん。メールで言った通り、僕も、京子さんや、あなた、を、いじめたい、と、思ったり、逆に、いじめられたい、と思ったりしています。では、少し、させて下さい」
「ええ。私も、メールで言った通り、先生を、いじめたり、いじめられたい、と思っています。それが、実現できるのは、嬉しい限りです」
「こういう会話をしているだけで、もう十分過ぎるほど、あなたと、エッチなことを、したのも同然です。ところで、順子さん。ピンク色の、制服は、持っていますか?」
「はい。先生が、制服姿の私達に興奮する、と言ったので、持ってきました」
「そうですか。それは嬉しい。では、順子さん。制服に着替えて貰えないでしょうか?」
「はい。わかりました。先生。それでは、ちょっと、着替えてきます」
そう言って、順子は、六畳の部屋を出た。
順子は、キッチンで、ピンク色の、制服に着替えた。
そして、哲也のいる、六畳の部屋にもどってきた。
「ああ。素晴らしい。憧れの、あなたの、制服姿を、こうして、まじまじと、見れるなんて。夢のようだ」
哲也は、制服に着替えた順子を、見るなり、感慨した口調で言った。
順子は、クスッと笑った。
「さあ。先生。思う存分、好きなように、なさって下さい」
「じゃあ、そうさせて、貰います」
そう言うや、哲也は、立ち上がって、順子の背後に、回った。
哲也は、順子の背後から、順子を、そっと、抱きしめた。
「あっ。先生。何をするんですか?」
順子は、雰囲気を出すために、ことさら、哲也を、挑発するような、ことを言った。
「すまない。前から、君をこうして、抱きしめたい、と思っていたんだ」
哲也も、雰囲気を出すために、そう言った。
その雰囲気とは、いうまでもなく、クリニックで、仕事中の、医師と、アルバイトの検査員という、場面である。
それは、双方ともに、了解している。
「せ、先生。患者さんが来ます」
順子は、雰囲気を出すために、そう言った。
もう二人は、完全に、クリニックにいる雰囲気になっていた。
「もう、我慢できないんだ」
そう言って、哲也は、ガッシリと、順子を背後から、抱きしめた。
「ああ。柔らかい。温かい。大きなヒップ。豊満な胸。引き締まったウェスト。最高のプロポーションだ」
哲也は、そう言って、順子の体を、制服の上から、弄った。
哲也は、順子の、尻を撫でたり、腹をさすったり、胸の隆起に手を当てたり、した。
哲也は、ハアハアと息が荒くなっていった。
順子も、体の各部分を弄ばれる度に、「ああっ」と、喘ぎ声を洩らした。
哲也は、自分の腰を、順子の尻に、服の上から、押しつけた。
硬いモノが、柔らかい順子の尻に、触れる感触が伝わってきた。
哲也は、もう、ビンビンに勃起していた。
順子が制服を着たままで、あくまで、制服の上から、順子を、触っているということに、哲也も、順子も、今が、仕事中であるという、錯覚が感覚的に、作られていた。
哲也は、「ふふふ」と、笑って、
「順子さん。あなたの制服の上から、見える、パンティーラインや、ブラジャーの背中のベルトに、僕は、物凄く興奮していました」
そう言って、哲也は、順子の制服の上から、順子の、パンティーラインや、ブラジャーの背中のベルトを触った。
哲也は、順子の、太腿に、手を差し込んだ。
「ああっ」
順子は、思わず、声を上げた。
しかし、順子は、防御反応から、太腿を、ピッチリと閉じ合せた。
それが、哲也の手を、ギュッと、太腿で挟み込むことになってしまった。
これは、順子としては、仕様がないことだった。
哲也は、もう一方の手で、順子のスカートの中に手を入れて、順子の、パンティーを触った。
「ああっ」
順子は、また、声を上げた。
哲也は、順子のパンティーのゴムを、つまんで、離して、ピチンと音を鳴らしたり、そっと、パンティーの中に、手を忍び込ませようとした。
その度に、順子は、
「ああっ。嫌っ」
と、声を上げた。
哲也は、順子が、「嫌っ」と言うと、パンティーの中に、入れかけた手を、パンティーから、抜いた。
これは、パンティーの中に、どんどん手を入れて、恥部を触られるより、触られるのか、触られないのか、わからない、不安と、もどかしさ、を順子に起こす哲也の意図だったが、そのもどかしさ、に、順子は、激しく興奮した。
順子は、腰をプルプル震わせた。
哲也は、そうとう、スケベだと、順子は、思った。
哲也は、今度は、順子の、パンティーの、恥肉を収めている、盛り上がった部分に手を当てた。
「ああー」
順子は、思わず、声を上げた。
「ふふふ。ふっくらしていて、とても気持ちいい感触ですね」
哲也は、そんなことを言った。
哲也は、順子の恥肉の盛り上がりの、感触を楽しむように、念入りに、つまんだり、揉んだりした。
「ああー」
順子は、興奮してきて、だんだん、恥肉が、大きくなり出した。
女の恥肉も、興奮によって、大きくなるのである。
「先生。お願い。許して」
順子は、つらそうな顔で、そう哲也に哀願した。
「ふふふ。わかりました」
哲也は、順子の予想に反して、案外、素直に、順子の哀願を聞き入れた。
哲也は、順子のパンティーから、手を離し、背後からの、抱きしめ、も、やめた。
「あ、ありがとうございます」
順子は、自分の哀願を、聞いてくれた、哲也は、優しい性格なんだな、と、改めて感じて、お礼を言った。
しかし、それも、束の間だった。
哲也は、順子の華奢な、両手を、つかむと、グイと、背後に回した。
そして、背中の真ん中で、両手首を重ね合わせ、麻縄で、順子の手首をカッチリと、縛りあげた。
「ああっ。先生。何をするんですか?」
順子が、少し、何をされるか、わからない不安から、聞いた。
「君を、一度、こうして、後ろ手に縛ってみたかったんだ」
哲也は、興奮した口調で、そう言った。
そして、哲也は、順子の前に、ドッカと腰を下ろして、胡坐をかいた。
順子は、両手を、後ろ手に縛られているので、どうしようもない。
拘束される、恐怖感を、体験するのは、初めてだったので、順子の、恐怖感は、大きかった。
両手を、背中で、縛られているので、何をされても、抵抗することが出来ないのである。
哲也は、おもむろに、順子のスカートを、たくし上げた。
「ああっ。やめて下さい」
順子は、太腿をピッチリ閉じ、体をプルプル震わせながら、訴えた。
しかし、哲也は、順子の訴えなど、どこ吹く風と、相手にしない。
「ふふふ。順子さんのパンティーが見えてきた」
哲也は、実況中継するアナウンサーのように、また、順子に、ことさら知らせて、恥ずかしがらせるため、のように、そんな事を言った。
哲也は、スカートを、どんどん、上げていった。
順子の、パンティーが、哲也の目の前で、その全部を晒した。
「ああっ。順子さん。すごく悩ましいです。モッコリと、盛り上がっていますよ」
哲也は、そう言って、順子のパンティーを、しげしげと、見つめた。
「ああっ。先生。恥ずかしいです」
そう言って、順子は、太腿をピッチリ閉じ合せ、腰を引こうとした。
しかし、後ろ手に縛られているため、順子は、隠すことも、逃げることも、出来ない。
「ふふふ。順子さん。親指を掌の中に入れて、残りの四本の指で、親指をギュッと、握り締めてごらんなさい。たとえ、親指だけでも、隠している、という感覚が起こってくれますよ」
哲也は、そう言って、順子の親指を、残りの四本の指で握らせた。
「どうですか?」
哲也が聞いてきたが、順子は、恥ずかしくて、答えられなかった。
しかし、哲也が言った通りだった。
順子は、恥ずかしさに、耐えるために、両方の手の、親指をギュッと、握り締めた。
哲也は、パンティーの上から、順子の大きな尻を触ったり、モッコリ、盛り上がった、部分を、念入りに触ったり、つまんだり、した。
そして、弾力のある、パンティーの縁のゴムを、つまんで、離し、ピチンと音をさせたりした。
「ああっ。先生。やめて下さい」
順子は、体をくねらせて、訴えたが、哲也は、やめない。
哲也は、「ふふふ」と、笑って、順子の太腿を触ったり、ラグビーのタックルのように、抱きしめたりした。
「ああー。柔らかくて、弾力があって、温かくて、最高の感触だ」
「僕は、あなたの制服の下に見える美脚に、ずっと、悩まされてきたんです」
哲也は、順子の、太腿を愛撫しながら、そんなことを言った。
哲也は、しばし、順子の、パンティーに包まれた、モッコリと、盛り上がった部分を見ていたが、そっと、顔を近づけて、鼻先をパンティーにつけた。
「ああっ。先生。やめて下さい」
順子は、体をくねらせて、訴えたが、哲也は、やめない。
さかんに、クンクンと、鼻を、sniffした。
「ああ。いい匂いだ。順子さんが送ってくれた、パンティーでは、こうまで、生の匂いは、感じられませんでしたが、こうやって、嗅ぐと、パンティー一枚、隔てて、順子さんの、ナマの素敵な体臭が、鼻腔に伝わってきます」
そう言って、哲也は、さかんに、クンクンと、鼻を、sniffした。
「ああっ。先生。やめて下さい。恥ずかしいです」
順子は、恥ずかしさの、あまり、腰を引こうとした。
しかし、哲也は、両手で、順子の太腿を、ガッシリつかんでいるので、腰を引くことは、出来なかった。
哲也は、鼻先を当てて、しばらく、sniffした後、顔を離し、順子の、パンティーを、しげしげと、見つめ、また、鼻先を順子の、パンティーに当てる、ということを、数回、繰り返した。
充分、パンティーの上から、順子の、恥部の匂いを嗅いだ後、哲也は、順子の、パンティーから、顔を離した。
「さあ。順子さん。疲れたでしょう。座って下さい」
哲也が言った。
言われて、順子は、そのまま、腰を降ろしていき、尻を畳の上につけた。
順子は、制服姿を、後ろ手に縛られ、足を行儀よく、そろえて横に流した、横座り、の姿勢になった。
「ふふふ。順子さん。とても、素敵な格好ですよ。捕らわれた美女という哀愁があって。一度、順子さんの、こういう姿を見てみたかったんです」
哲也は、嬉しそうな口調で、そんなことを、言った。
哲也は、しばし、沈黙した順子の姿を、じっと眺めていた。
順子も、哲也に、物のように、扱われ、しげしげと、見られることに、ほんのりとした、心地よい被虐の快感を感じていた。
このまま時間が、止まってくれればいいと、順子は、思った。
しかし時間は、止まってはくれない。
否応なしに、人間に行動することを、催促する。
心いい沈黙を哲也が破った。
「順子さん。あなたが、こうなってしまったのは、あなたが悪いんですよ。あなたが、京子と名乗って、メールを出したり、黙って、僕のパソコンを、見たりと、悪いことをするから、こうなってしまったんですよ。あなたは、今、その罰を受けているんです」
哲也が言った。
順子に、羞恥の気持ちが起こって、顔が、赤くなった。
「あっ。それは、今は、言わないで下さい。恥ずかしいです」
順子は、赤らんだ顔で言った。
順子は、何もかも忘れて、心地よい酩酊に浸りたかったのである。
哲也は、笑顔で、また、順子の背後に回った。
そして、順子に抱きついた。
「ふふふ。今度は、座ったままですから、ゆっくりと時間をかけて、楽しませて貰います」
哲也は、そう言って、順子の背後から、順子の体にピッタリくっつき、腹を撫でたり、胸や、大きな尻を触ったり、と、体のあらゆる部分を、心ゆくまで、楽しむように、触りまくった。
順子は、顔を、ポーと赤らめて、黙って、哲也の、されるがままに、身を任せた。
哲也は、順子の太腿に、指を乗せて、ゆっくりと、焦らしながら、指を順子の、足の付け根の方に、這わせていった。
「ああっ」
順子は、怖さに、声を出した。
しかし、スカートの中の太腿の付け根に、近づくと、ふっと、離した。
そんなことを、哲也は、何度もした。
順子は、哲也の気まぐれな、じらし、に、激しく興奮した。
「お願い。哲也さん。そんな、じらすようなこと、やめて下さい」
順子は、言った。
じらされることは、はっきりと恥部を触られる、より、精神的に、つらかった。
しばしして、哲也は、スカートの中に手を入れて、弾力のある、パンティーの縁のゴムを、つまんでは、離し、ピチンと音をさせたりした。
「ああっ。先生。やめて下さい」
順子は、体をくねらせて、訴えたが、哲也は、やめない。
そして、順子の、恥部の盛り上がり、に手を乗せて、パンティーの上から、膨らんだ恥肉を、撫でたり、つまんだりした。
順子の、パンティーは、じっとりと濡れていた。
「ふふふ。順子さん。感じているんですね」
哲也は、そんな、揶揄を言った。
それは事実なので、順子は、耳朶まで、真っ赤になった。
「パンティーが、濡れていては、気持ちが悪いでしょう」
哲也は、そう言って、部屋の衣装引き出しを開けて、白い、洗濯ずみの、順子のパンティーを、取り出して、順子の前に、置いた。
哲也は、順子の、パンティーの縁のゴムを、つかんで、順子が、はいているパンティーを、降ろし始めた。
「ああっ。何をするんですか?」
「濡れたパンティーでは、気持ち悪いでしょう。交換してあげます」
「い、いいです」
「大丈夫ですよ。スカートを、はいているから、恥ずかしい所は見えませんよ」
そう言って、哲也は、順子の、パンティーを、スルスルと、降ろしていって、両足の先から、抜きとった。
その白いパンティーには、順子の白濁した愛液が、ベットリとついていた。
哲也は、それを、順子の、顔の前に持っていった。
「順子さん。ベチャベチャですよ。すごく気持ちが良かったんですね」
哲也は、ことさら、言い聞かすように言った。
「ああっ。嫌っ。恥ずかしいです」
順子は、顔を真っ赤にして、激しく顔を振った。
「ふふ。これは、僕の宝物として、貰います」
そう言って、哲也は、パンティーを反転させて、内側の、愛液がベットリついている二重底の、あたりに、鼻先を当てて、クンクンと、鼻を鳴らした。
「ああ。いい匂いだ。順子さんの匂いだ」
哲也が、そう言うと、順子の顔は真っ赤になった。
「ああっ。嫌っ。恥ずかしいです。やめて下さい」
順子は、顔を真っ赤にして、激しく顔を振った。
「順子さん。パンティーを、はいてないと、落ち着かないでしょう」
そう言って、哲也は、抽斗から出した、替えのパンティーを手にとった。
「あっと。その前に・・・」
と言って、哲也は、風呂場に行った。
そして、すぐに、濡れタオルを持って来た。
「順子さん。アソコが濡れていて、気持ち悪いでしょう。拭いてあげます」
そう言って、哲也は、濡れタオルを、順子のスカートの中に、入れて、恥部を、念入りに、拭いた。
スカートの中なので、恥部は、見えないが、哲也に、恥部を拭かれることに、順子は、羞恥から、顔が真っ赤だった。
拭き終わると、哲也は、濡れタオルを、取り出した。
それにも、順子の、白濁した愛液がついていた。
順子の顔は真っ赤だった。
「それじゃあ、パンティーを、はかせて、あげます」
哲也は、そう言って、白いパンティーを、順子の、両足に、くぐらせて、スルスルと引き上げて行き、スカートの中で、ピッタリと、順子の、腰に、とりつけた。
「順子さん。濡れたパンティーを、交換して、気持ちよくなったでしょう」
哲也は、そんな揶揄を言った。
着せ替え人形のように、扱われることは、恥ずかしかったが、確かに、哲也の言ったことも事実だった。
「お願いです。そういうことは、言わないで下さい」
順子は、哲也に、パンティーまで、交換されて、恥ずかしくて、顔を赤くしていた。
「順子さん。色々と、弄んでしまって、ごめんなさい。今度は、あまり、過激なことは、しません。優しくします」
哲也は、そう言って、横座りしている順子の、足をつかんで、伸ばした。
そして、自分の口に持っていって、しげしげと眺めた。
「きれいな足指ですね」
そう言って、哲也は、順子の、右の、足指を開いて、チュッと、口に含んだ。
「あっ。先生。や、やめて下さい」
順子は、咄嗟に言った。
しかし、哲也はやめない。
「僕は、女の人の足指に、すごく興奮するんです。気にしないで下さい」
「私が気にします」
順子は、そう強く訴えたが、哲也は、順子の、足指を開いて、一本一本、丁寧に、足指の付け根まで、口に含んで、舐めていった。
「ああ。酸っぱくて、とても、素敵な味だ」
哲也は、感慨を込めて、そう言った。
順子は、顔を赤くして、黙っていた。
右足の足指を、親指から小指まで、全部、舐めると、哲也は、今度は、反対の左足の足指を、同じように、一本一本、開いて、丁寧に、舐めていった。
そして、順子の、足首を、つかんで、順子の足の裏で、哲也の、口や目などの、顔に押し当てた。
「ああ。気持ちいい。こうしていると、僕はすごく、落ち着くんです」
そう言って、哲也は、順子の足の裏の感触を心ゆくまで、味わった。
初めは、恥ずかしがっていた順子も、だんだん、哲也のすることに、任せるような気分になっていった。
時計を見ると、4時を過ぎていた。
哲也は、顔に当てていた順子の足を降ろした。
「順子さん。今日は、このくらいに、しておきましょう」
哲也は、ニコリと笑って言った。
「はい」
順子も、穏やかな表情で言った。
哲也は、順子の、後ろ手の縄を解いた。
「ごめんなさい。順子さん。長い間、後ろ手に縛ったりして。つらかったでしょう」
「いえ。そんなに」
順子は、否定したが、手首には、縄の跡が、クッキリと残っていた。
「順子さん。今日は、とても楽しかったです。ありがとうございます」
「私も、楽しかったです。ありがとうございました」
順子は、ニコリと笑って言った。
「順子さん。このパンティーは、貰ってもいいでしょうか?」
哲也は、順子から、抜きとった、白濁液のついているパンティーを、手にして順子に聞いた。
「え、ええ。ちょっと、恥ずかしいですけど・・・。構いません」
順子は、顔を赤らめて言った。
「では、頂戴します」
そう言って、哲也は、順子の、パンティーを、自分のカバンに入れた。
「順子さん」
「はい。何でしょうか?」
「言い出しにくかったんですけれど・・・こんな物をもって来たんです」
そう言って、哲也は、カバンから、ゴソゴソと、何かを取り出して順子の前に置いた。
それは、丈夫な、黒い皮のTバックのTフロントのようなベルトのようなもので、しかし丁度、食い込ませる縦の皮の真ん中に、天狗の鼻のような、男のマラの形をした物が、取り付けられていた。
一見して、順子は、それが、大人のオモチャであると、わかった。
そして、哲也は、小さなリモコンのような物を取り出した。
「順子さん。これは、大人のオモチャで、ワイヤレス・リモコン・バイブレーターです」
そう言って、哲也は、リモコンのスイッチを入れた。
すると、男のマラの形をした物が、ウネウネと気味悪く、生き物のように、動き出した。
順子は、それを見て、真っ赤になった。
「パンティーを貰った、代わりに、これを、あげます。よかったら、使ってみて下さい」
哲也は、ふふふ、と笑って、それを、順子に、渡した。
順子は、「ありがとうございます」とも、「いりません」とも、言えなかった。
黙って、受け取った。
「では、僕は、駅前のホテルに行きます」
そう言って、哲也は、立ち上がった。
「あ、あの。先生」
順子が呼び止めた。
「何ですか?」
「これ、京子の、スマートフォンの携帯番号です。それと、住所です」
そう言って、順子は、哲也に、メモを渡した。
「ありがとう」
そう言って、哲也は、メモを受けとった。
ホテルは、4時にチェック・インだった。
なので、もう、チェック・イン出来る。
哲也は、タクシーを呼んで、ホテルに向かった。

「8」

盛岡駅前は、何にもない。
すき屋が、一軒あるだけである。
24時間、営業のファミリーレストランも、漫画喫茶もない。
24時間、営業しているのは、二店舗のコンビニと、すき屋だけである。
マクドナルドも、一軒、あるのだが、それは、駅続きのショピングビルの中にあって、駅前のショッピングビルは、夜の10時に、シャッターを閉めてしまうので、マクドナルドも、10時に閉店である。
そのかわり、やたら、ホテルが多い。
それは、駅の西側に、大きな、公民館があって、催しごとが、あると、どっと人が集まるので、そのために、ホテルが多いのである。
哲也は、クリニックの院長になった時は、週二日、土曜と、日曜の、二日間、診療していた。
土曜の、診療が終わると、駅前の東西インホテルに泊まった。
そこが、クリニックに一番、近いからである。
もう一つ、ホテル・ロート・イン、という、東北地方の、ホテルチェーンのホテルもあった。
ホテルの宿泊料は、コンタクト会社が出してくれるので、より、設備のいい、ホテルに泊まった方が得なのは、当然である。
東西インホテルと、ホテル・ロート・インでは、明らかに、ロート・インの方が良かった。
宿泊料金も、東西インホテルは、4980円だが、ホテル・ロート・インは、6600円である。そのため、ホテル・ロート・インには、最上階に、大浴場があって、朝食もゴージャスだった。一方、東西インホテルは、大浴場など、なく、客室についているユニットバスで、朝食も、ロート・インに比べると、質もメニューも、はるかに落ちた。
共に、「朝食、無料バイキング」などと、書かれているが、当然、これは、宿泊料の中に含まれているのは、明らかである。
哲也は、その時の気分によって、両方のホテルに泊まっていたが、安い、東西インホテルに、泊まることも、多かった。
なぜかというと、哲也は、いつも、小説を書くことを考えているので、盛岡に診療に行く時も、当然、ノートパソコンを持っていった。
しかし、彼は、肩や背中が凝りやすく、机と椅子の関係に、神経質だった。
少し、パソコンの位置が高くなると、パソコンが、打ちづらいのである。
ホテル・ロート・インの机は高く、パソコンが、打ちづらく、一方、東西インホテルの机は、低いので、パソコンが打ちやすいのである。
なので、哲也は、駅前の、東西インホテルに、泊まることの方が多かった。
東西インホテルの、受け付けの、ホテルレディーも、彼は好きだった。
しかし、冬は寒く、寒いと、創作できないので、ホテル・ロート・インに泊まった。
一年ほどして、新幹線の振動と、盛岡の寒さのため、体調が悪くなり、彼は、日曜だけ、診療して、土曜は、代診のDrに、やってもらうことにした。
今日は、どちらのホテルに泊まろうか、と迷ったが、哲也は、東西インホテルに泊まることにした。
まだ、あの、きれいなホテルレディーは、いるだろうか、と胸をドキドキさせながら、哲也は、ホテル東西インに入ったが、あのホテルレディーは、いなかった。
哲也は、ホテルにチェック・インした。
哲也は、コンビニで、弁当を買ってきて、ベッドに寝ころんだ。
テレビをつけると、野球中継をしていた。
それを、見ながら哲也は、弁当を食べた。
野球中継が、ちょうど、終わった頃である。
順子からのメールの着信音がピピピッと鳴った。
哲也はメールを明けた。
それには、こう書かれてあった。
「先生。先生が、置いていった、リモコン・バイブレーター。どんな物か、つい気になってしまって、つけて、使ってみてしまいました。とても、興奮して、エッチな気持になります。Tバックを履いたような、股間に食い込む感触も・・・。今も、着けています。そして、時々、スイッチを入れてしまいます。ああっ。何だか、先生に、犯されているような、感じがしてしまいます。リモコン・バイブレーターをつけた写真を添付します。順子」
メールには、写真が添付されていた。
それは、リモコン・バイブレーターが、取り付けられている下半身の写真で、股間の前と、尻の方から、写された、写真だった。
順子が自分で、撮ったものであることは間違いない。
装着用の皮のTバックが、尻の割れ目に食い込み、前はTフロントで、ギリギリ、女の恥ずかしい所が、隠されていた。
わざわざ、写真まで撮って、送ってくるとは、順子は、そうとう、興奮しているのだと、哲也は思った。
もっとも、これは、哲也が、最初から、予想した通りだった。
女に、ああいう物を、渡しておけば、つい、興味本位から、まず、ほとんどの女が、つけてしまうだろう。と。
哲也は、順子への返信メールを書いた。
「添付して下さった、リモコン・バイブレーターの写真、とてもセクシーですよ。お尻の割れ目に、食い込んでいて、前は、ギリギリ見えなくて。自分で、着けて、スイッチを入れて、興奮しているなんて、順子さんは、そうとう、淫乱なんですね。山野哲也」
哲也は、そう書いて、順子にメールを送信した。
その日は、その後、順子からは、メールは来なかった。
哲也は、アラームと、モーニングコールをセットして寝た。

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