小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

医者と二人の女 (小説)(2)

2020-07-19 13:50:40 | 小説
「9」

翌日、モーニングコールの音で、哲也は目覚めさせられた。
メールをチェックしたが、順子からのメールは、来ていなかった。
7時からの、ホテルの朝食を食べて、また、部屋にもどって、一眠りして、チェック・アウトの10時の、30分前に、ホテルを出た。
駅前ショッピングセンターの中にある、哲也のクリニックは、ホテルから、歩いて、5分で、行けた。
哲也が、クリニックに着くと、もう順子が来ていた。
いつものピンク色の、制服を着ていた。
「おはようございます。先生」
「おはよう。順子さん」
二人は、月並みな、挨拶を交わした。
「あ、あの。先生・・・」
順子は、言いにくそうな様子で、哲也に、声をかけた。
「何ですか?」
「あ、あの。私。昨日、先生から、貰った、バイブレーターを、着けてきました」
順子は、顔を真っ赤にして言った。
哲也は、ふふふ、と、笑った。
「どうして、わざわざ、バイブレーターを着けてきたのですか?」
哲也は、意地悪な質問をした。
「そ、それは・・・」
順子は、そこまで言って、それ以上は、喋れなかった。
「バイブレーターの上に、パンティーは、履いているのですか?」
「い、いえ。履いていません」
順子は、顔を赤くして言った。
哲也は、順子の、制服の中で、Tバックの、リモコン・バイブレーターが、順子の股間に、厳しく、食い込んでいるのを、想像して、興奮した。
昨夜、順子が、リモコン・バイブレーターを装着した、写真を見ているだけに、それは、もはや、想像ではなく、ありありと、目に見えているのも、同然だった。
「せ、先生。これ。お渡しします。好きなようになさって下さい」
そう言って、順子は、リモコン・バイブレーターのスイッチを哲也に差し出した。
哲也は、順子の意を解して、ふふふ、と笑った。
哲也は、リモコン・バイブレーターのスイッチを、受けとった。
そして、早速、スイッチを入れてみた。
「ああっ」
順子は、体をくねらせて、眉を寄せ、苦しげな表情で、体をモジモジさせた。
尻がプルプル震えている。
哲也は、リモコンを回して、バイブレーターの、振動の量を増やした。
「ああー」
順子は、一層、激しく、悶えて、体をくねらせた。
少しして、哲也は、バイブレーターのリモコンのスイッチを切った。
順子の、体のモジつきが、止まった。
順子は、ハアハアと、息を荒くしている。
すかさず、哲也は、また、リモコンのスイッチを入れた。
「ああー」
また、順子は、体をくねらせ始めた。
そんなことを、数回、繰り返した、後、哲也は、リモコンのスイッチを切った。
「どうですか。順子さん?」
「か、感じちゃいます。自分で、やっても、いつでも、自分で、止められる、という安心感が、ありますが、他の人に、やられると、いつ、スイッチが入るのかわからない、恐怖感と、いつ、スイッチを切って貰えるのか、わからない、恐怖感があります。まるで、先生に犯されているような感じです」
「ふふふ。元々、これは、そういう風にして、遊ぶためのオモチャなんですよ」

その時、京子が、「おはよー」と元気よく言って、クリニックに入ってきた。
順子も、「おはよう」と返事を返した。
京子は、順子より少し離れていた哲也を、見つけると、
「おはようございます」
と丁寧に挨拶した。哲也も、
「おはようございます」
と、挨拶を返した。
そして、そそくさと診療室(院長室)に入っていった。
京子は、哲也と、顔を合わせた時、思わず、顔が赤くなった。
無理もない。
今週。順子から、哲也が、自分の寝顔をスマートフォンで写真に撮っていた事、哲也のホームページで、哲也のエロティックな小説を読んで、興奮してしまったこと、から、哲也は、京子にとって、以前の哲也では、なくなっていた。
自分に好意をもって見ている、そして、エッチなことを考えている、哲也なのだ。
おそらく自分に対しても、エッチなことを考えているだろうと、京子は、確信していた。

それは哲也にとっても、同じだった。
今週、哲也は、京子と何度も、メールの遣り取りを哲也はした。京子から好意を告げられた。それは、実は、順子だったと、昨日、知ったが、メールをしている時には、てっきり京子だと思っていて、その時の興奮は、この上なく、激しかった。それに、順子から、京子のパンティーを送ってもらって、それを貪り嗅いだ。京子の寝顔もスマートフォンで写真に撮ったことも、京子に知られてしまっている。それに、京子が哲也のホームページの小説を読んで、興奮した、とも順子から聞いた。
哲也にとっても、京子は、それまでの京子ではなかった。

10時になって診療が始まった。
京子と順子の、二人は、受け付けに並んで座って患者が来るのを待った。
クリニックは、患者の多い日と、少ない日のバラつきが、あって、その日は、患者は少なかった。
しかし、一時間ほどして、チラホラ患者がやって来た。
診療の手順は、まず、患者に、カルテに記載してもらって、何か目の症状はないかを、聞き、使っているコンタクトレンズの度数を聞き、どのメーカーの、どのコンタクトを欲しいかを聞き、視力検査図で、大体、1・0くらいになる、度数のレンズを決定する。
1・2や、1・5まで見えるようにしてしまうと、過矯正となって、よく見えても、疲れて眼性疲労になってしまいやすいので、少し、ゆとりをもたせて、コンタクトレンズを、つけた時の視力が1・0くらいに、なるようなレンズを処方する。
医師のやることは、最初に、スリットランプで、角膜に傷がないかを調べ、結膜に、結膜炎がないかを、調べる。ことと、コンタクトレンズを決定した後、コンタクトレンズが、ちゃんと角膜にフィットして動いているかを、調べることの、二つである。
症状を訴える患者は、染色してスリットランプで検査して、角膜に傷があったり、結膜炎があったら、目薬を処方する。ことである。しかし、症状を訴える患者は少ない。
まず、トントンと、検査員が院長室の戸を外から叩くので、医師は、「はい。どうぞ」と、言って、戸を開ける。検査員が、「お願いします」と言ってカルテを医師に渡す。医師は、角膜と結膜を調べ、診察が終わったら、戸を開けて、検査員に、カルテを渡す。
そして、検査員が、患者の要求を聞いて、患者の欲しいメーカーのレンズを聞き、テストレンズで、丁度いい度数のレンズを決める。
最後に、また、検査員が、トントンと戸を叩き、「フィッティングをお願いします」と言ってカルテを医師に渡し、医師がフィッテングをチェックして、検査員に渡す。
その日。「お願いします」と哲也にカルテを、渡す時と、「ありがとうございます」と言って哲也から、カルテを受けとる時の、京子の態度は、今までと違っていた。
京子の顔は、赤くなっていた。そして、カルテを受け渡しする手は少し震えていた。
アルバイトの検査員の京子と順子は、二人で、検査も会計もやる。
患者(というか客)が来ると、検査員は、忙しくなるのだが、院長は、検査員ほどには、忙しくはならない。
哲也は、院長室の戸を、少し開けて、その隙間から、順子が、検査しているを見た。
そして、ニヤリと笑って、バイブレーターのスイッチを、入れてみた。
途端に、順子は、「ああっ」と言って、苦しそうに、体をプルプル震わせた。
振動の量を上げると、順子は、一層、激しく、体を震わせた。
順子が、そっと、診察室の方を見た。
院長室の戸の隙間から、哲也がニヤリと悪戯っぽい笑顔で順子を見ていた。のを見ると、順子の顔は、サッと真っ赤になった。
順子は、ハアハアと、つらそうに、体を震わせながら、患者にコンタクトの説明や検査をした。哲也は、あまり、順子が、つらそうになると、スイッチを切った。
そんな悪戯を、哲也は何度もした。
客は、不可解な目で順子を見た。
京子も、順子を不可解な目で見た。
やっと、客がいなくなって、二人は、受け付けに、並んで座った。
「順子。どうしたの。体の具合が悪いの?」
京子が、聞いた。
「ううん。悪くないわ」
順子が答えた。
「でも、あなたの態度、絶対、おかしいわ。体の具合が悪いのなら、休んだら?」
京子が、提案した。
「いいの。大丈夫よ」
順子が、手を振って、念を押すので、京子は、理由が、わからないまま、無理に聞くのはやめた。
そんなことで、午前中の診療が終わった。
トントンと診察室が叩かれたので、哲也は、戸を開いた。
順子が立っていた。
「ふふふ。順子さん。どうでしたか。気分は?」
「つらかったです。でも、先生に、いじめられると、変な感じの気持ちよさが、あります。すごく興奮してしまいました」
「そうされたい、ために、順子さんは、バイブレーターを着けて来たんですよね?」
「え、ええ」
順子は、真っ赤になって言った。
「でも、午後は、もう、あんまり、いじめないで下さい。お願いです」
「ええ。わかりました」
「バイブレーターを着けているだけでも、皮のベルトが、尻の割れ目に、食い込んできて、頭がポーとしてしまうんです」
順子は、顔を真っ赤にして言った。
「順子さん」
「はい」
「渡そうか、どうしようか、迷っていたんですが、渡すことに、決めました。これをあげます」
そう言って、哲也は、順子に、袋を差し出した。
「何でしょうか?」
「開けてごらんなさい」
言われて順子は、袋を開いた。
「あっ」
と順子は、驚きの声を上げた。
袋の中には、順子が、貰ったバイブレーターと、同じリモコン・バイブレーターが入っていたからだ。
「これは、構造は、あなのと、ほとんど同じですが、メーカーが異なりますので、こっちのスイッチを入れても、こっちのバイブレーターが動くだけで、あなたの、着けているバイブレーターは、反応しません」
哲也は、それを証明するように、取り出した、水色のスイッチを入れた。
袋から、取り出した、バイブレーターが、ウネウネと動き出した。
しかし、順子が、つけているバイブレーターは、確かに、動かなかった。
「二つ、くださるのに、どういう意味があるんですか?」
順子は、首を傾げて聞いた。
「順子さん。あなたは、わざわざ、着けて来るほど、バイブレーターを気に入ってくれました。だから、たとえば、好きな友達にもプレゼントするとか・・・」
哲也は、そこで、言葉を止めた。
「あっ。わかりました。ありがとうございます」
順子は、礼を言って、もう一つのバイブレーターを受けとった。
「先生。ちょっと、待っていて下さい」
そう言って、順子は、院長室を出て、受け付けに、行き、何かを持って、戻ってきた。
「はい。先生。これ。京子の大切な万年筆です」
そう言って、順子は、青い万年筆を哲也に差し出した。
「どうして、これを僕に?」
「先生。京子とも、メールの遣り取り、したいでしょう?」
「そ、それは・・・したいです」
哲也は、照れくさそうに言った。
「これを、ちょっと、保管しておいて下さい。出来れば、今日、持って帰ってくれませんか?」
「どうして、そんなことを、僕が、するんですか?」
「まあ。任しておいて下さい。京子に、先生にメールを送るよう、私が、差し向けますから。そのために、先生が、その京子の万年筆を持っておくことが、必要なんです」
「よくわからないけど、順子さんが、そういうなら、そうします」
順子に何か考えがあるんだろうと思って、哲也は、わからないまま、万年筆を受けとった。
順子は、「ありがとうございます」と言って、診察室を出ていった。
一時間の昼休みの後、午後の診療が始まった。
午後は、患者(というか客)は、あまり、来なかった。
京子と順子は、受け付けで、二人ならんで、客が来るのを待っていた。
「順子。午前中は、どうしたの。体の具合が悪かったの?」
午前中、ハアハア言っていた順子が、ケロリとしているので、京子が聞いた。
「いえ。大丈夫よ。もう、治ったから」
順子は、ニッコリ笑って答えた。
順子が、全く、何ともなくなったのを、京子は、不思議なものを見るような目で見た。
「治った、と言う所を見ると、やはり、何かあったのね。何だったの?」
「それは秘密。後日。教えてあげるわ」
順子が言った。
「何で、後日なの。何で、今じゃ言えないの?」
「まあ、いいじゃない。ともかく治ったんだから」
順子が、どうしても、言おうとしないので、京子も無理に聞くのをやめた。
しばらくすると、数人、患者がやって来た。
二人は、手分けして、検査の仕事を始めた。
京子は、順子が、また、具合が悪くなりはしないかと気にかけて、順子の様子を、観察した。
しかし、順子は、午後は、何の不調の様子もなく、通常通り仕事をした。
京子は、わけがわからず、訝しそうな目で、順子を見た。
最後の患者になった時、京子が、哲也に、カルテを渡す時、哲也は、ニコッと、今までに、見せたことのない、笑顔で、京子に会釈した。
京子は、嬉しいという感情、以上に、なぜ、哲也が、会釈したのか、わからず、驚いた。
ようやく、午後5時半になって、診療が終わった。
哲也は、白衣を脱いで、受け付けに、二人、並んで座っている、京子と順子に、
「さようなら」
と言って、クリニックを出ていった。
この時も、哲也は、京子に、心のこもった、やさしい視線を投げた。
「おつかれさまでした」
と、二人は、お辞儀した。
「はあ。やっと、終わったわね」
順子が言った。
「ねえ。順子。今日。先生。今までに見せたことのない、優しい笑顔で私に接してくれたわ。驚いちゃった」
「そう。良かったじゃない。先生は、京子の寝顔を写真に撮るほど、好いているんだから」
「でも、何で、態度を変えたのかしら?」
「さあ。何か、いいこと、あったんじゃないかしら?先生。いつも、無口、だけど、たまにハイになる事もあるわよ。あなたは、知らないでしょうけれど、私にも、前に、優しい口調で話してくれたことも、あったわ。きっと、その時、何かいいことがあったんじゃないかしら」
「そうだったの。知らなかったわ?」
「じゃあ、私達も帰りましょう」
そう言って、二人は、帰り支度をした。
「あら。万年筆がないわ」
ペンケースを開いた京子が言った。
「落としたんじゃないの。探してみたら」
京子は、床や机や引き出し、などを、一心に探した。だが見つからない。
「たいへん。あの万年筆。お父さんが、ヨーロッパに行った時、おみやげに買ってきてくれた記念の舶来の万年筆なの。順子。あなたにも、言わなかったかしら?」
「さあ。記憶にないわ」
京子は、また一心に探した。だが見つからない。
「あっ。そう言えば、昼休みに、先生が、万年筆、拾ったけれど、君の?と私に、聞いてきたわ。私のじゃありません、って言ったら。先生は、きっと、お客さんが、置き忘れていった物だろう、って、言って、預かっておく、と言っていたわよ」
「どんな万年筆だった?」
「青色の万年筆だわ」
「間違いないわ。きっと、それだわ。どこに保管しておくって言ってた?」
「それは、聞いてないわ」
「そう。残念」
「じゃあ、京子。そんなに、大切な物なら、先生にメールして、確かめてみたら?」
「でも、それは、次回、聞けば、いいことだわ」
「でも、京子にとって、大切な物なら、一刻も早く、確かめたいでしょ?」
「それは、そうだけど・・・。でも・・・」
「ても・・・何なの?」
「どうして先生は、順子には、聞いて、私には、聞いてくれなかったのかしら?」
「きっと、あなたに、話しかけるのが、照れくさかったんじゃないの。あるいは、あなたの方から、先生に、聞くことを、心待ちにしているんじゃないの?」
「そうかしら?」
「そうに違いないわよ。だって、先生は、あなたの寝顔を写真に撮るほど、あなたが好きなのよ。充分に、考えられることだと思うわ」
そう言われて、京子は、黙ってしまった。
「京子。勇気を出して、先生に、メールを出して、聞いてみたら?」
「でも、それは、来週、来た時、聞けばすむことだから・・・」
「あなたが、先生にメールを、送ったら、先生。きっと、喜ぶわよ」
順子は、京子に、哲也に、メールを出すことを、さかんに促して勧めたが、京子は、決めかねている様子だった。
「京子。あなた。先生のメールアドレス、スマートフォンに登録してある?」
「え、ええ・・」
京子は、顔を赤らめて答えた。

「10」

順子と別れて、アパートに帰った京子は、その夜、勇気を出して、哲也にメールを出してみた。
それには、こう書いた。
「先生。突然、メールを送る失礼を、お許し下さい。今日、私の大切な万年筆が、なくなってしまいました。クリニック中を探したんですけど見つからないんです。先生に、お心当たりは、ないでしょうか?佐藤京子」
京子たち、アルバイトが、哲也の携帯番号や、メールアドレスを知っているのは、別に、おかしくない。
哲也は、クリニックの院長なので、責任者として、大切な連絡などのために、受け付けに、連絡先や住所が書かれている、のは、むしろ、当然しておかなくては、ならないことである。
京子は、ドキドキして、返事を待った。
すぐに、哲也から返事が来た。
「今日、青い万年筆を拾いました。お客さんのだろうと、思って、とってあります。クリニックに、置いておいて、紛失しないように、家に持って帰りました。万年筆の写真を添付しますので、あなた様のか、確認なさって下さい。山野哲也」
メールに添付されている写真の万年筆は、まさに京子の物だった。
哲也が、家に、持って帰るのも、さほど、おかしくはない。クリニックは、土日が診療で、土曜は、代診の医師にやってもらっている。
クリニックの鍵は、店長が持っている。
なくならないよう、家に持って帰るのも、おかしくはない。
京子は、嬉しくなって、また、メールを出した。
「それです。大切な、記念の私の、万年筆です。よかったです。写真を添付して下さって、ありがとうございます。佐藤京子」
京子は、二重に嬉しかった。
一つは。万年筆が見つかったこと。もう一つは、メールで、哲也と、遣り取り出来たこと。である。
順子には、「君のかい?」と聞くのに、自分には、聞かなかったのは、順子の言う通り、哲也は、京子に、言い出しにくい、のだとも、確信できた。
なんせ、哲也は、自分の、寝顔を写真に撮るほどなのである。
哲也から、またメールが来た。
メールには、こう書かれてあった。
「それは、よかったですね。次回、持っていきます。お休みなさい。山野哲也」
手紙であるから、事務的、形式的、とはいえ、「お休みなさい」と、書かれたことは、嬉しかった。
京子も、すぐに、
「よろしくお願い致します。お休みなさい。佐藤京子」
と返信のメールを書いて送信した。

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「2」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

「11」

翌日(月曜日)になった。
大学の教室には、順子が先に来ていた。
「おはよう」
順子が挨拶した。
「おはよう」
京子も、挨拶を返した。
「ねえ。順子。昨日、勇気を出して、先生に、メールを出しちゃった」
京子は、微笑して、言った。
「そう。それで、先生から、返事のメールは来た?」
順子が聞いた。
「来たわ。これが、先生との、メールの遣り取りよ」
そう言って、京子は、スマートフォンを、順子に渡した。
順子は、どれどれ、と言って、京子の、スマートフォンのメールを見た。
順子は、メールを読んでから、
「よかったじゃない。万年筆が、見つかって。また、先生とメールの遣り取り、が出来て」
と言った。
「え、ええ」
京子は、嬉しそうに言った。
順子は、京子にスマートフォンを、返した。
「京子は、先生のこと、好き?」
順子が聞いた。
「ええ。もちろんよ」
京子は、堂々と答えた。
順子は、急いで、スマートフォンを、取り出し、
「先生。京子。先生とのメールの遣り取り、が出来たことを、すごく喜んでますよ。先生の方からも、京子に、好感を持っていることを書いた、メールを送ったら、京子、すごく喜びますよ。順子」
と書いて、送信した。
すぐに、着信音がピッと、鳴った。
哲也からの返信メールだった。
それには、こう書かれてあった。
「ありがとう。君のおかげだよ。山野哲也」
しばしして、京子のスマートフォンの着信音が、ピピピッと、鳴った。
哲也からだった。
それには、こう書かれてあった。
「京子さん。正直に告白します。僕は、あなたが好きです。あなたを初めて見た時から好きでした。山野哲也」
うわっ、と、京子は、大きな声を、思わず、出した。
「ねえ。順子。見て見て」
と言って、京子は、スマートフォンのメールを、順子に見せた。
「わあ。すごいじゃない。よかったわね。京子。先生が、勇気を出して、告白したんだから、あなたも、本心を言ったら?」
と順子は言った。
「そ、そうね」
と京子は、言って、カチャカチャと、スマートフォンのメールを、操作した。
「私も先生が好きです。日曜日に、クリニックで、先生と会うのが、いつも、楽しみでした。先生は、あまり話しかけて、くれないので、私のことを、どう思っているか、ということに、悩まされて、ドキドキしていました。京子」
京子は、そう書いてメールを送信した。
「ふふふ。私も、本心を、言っちゃったわ」
と言って、京子は、そのメールを、順子に見せた。
「よかったわね。これで、お互いに、想いを言い合えて」
と順子は、京子に言った。
京子は、「ええ」、と言って、嬉しそうな顔をしている。
「でも、どうして、先生。急に、こんな、大胆な告白をしてきたのかしら?」
京子は、首を傾げて、そう言った。
「そ、それは・・・」
順子は、咽喉もとまで、出かかった言葉を、出さずに、止めた。
しばしして、順子に哲也から、メールが来た。
それには、こう書かれてあった。
「ところで、順子さん。京子さんには、バイブレーターを渡しましたか?山野哲也」
順子は、すぐに、哲也にメールを書いた。
「先生。まだ、京子には、渡していません。ごめんなさい。順子」
順子は、そう書いて、哲也にメールを送信した。
しばしして、京子のメールの着信音がピピピッと鳴った。
哲也からだった。
それには、こう書かれてあった。
「京子さん。恥ずかしいですけど、正直に告白します。僕は、あなたを、見ると、複雑な耐えられない気持ちに、なります。僕は、あなたの制服姿に、ずっと、悩まされてきました。あなたの制服姿を見ると、頭がボーとなってくるのです。そして、エッチな妄想が起こってしまうんです。それは、あなたを、服の上から、後ろ手に縛って、あなたを正座させてみたいとか。そして、それとは、逆に、あなたの、足元に、膝まづいて、あたなに、いじめられたい、というSM的な妄想です。こんな、変なことを、言ってしまって、ごめんなさい。でも、もう、我慢が出来なくなってしまったので、告白します。不快な気分になられたら、ごめんなさい。あなたは、罪な人だ。山野哲也」
うわっ、と、京子は、また大きな声を、思わず、出した。
「ねえ。順子。見て見て」
と言って、京子は、スマートフォンのメールを、順子に見せた。
しかし順子は、何も言えなかった。
京子は、嬉しそうに、また、メールを書いた。
「先生。告白して下さってありがとう、ございます。では。私も、正直に告白します。私も、先生に、いじめられたい、と思ったり、いじめてみたい、と思ったり、していました。これは、本当です。先生は、私に対して、事務的なこと以外、話してくれないので、私のことを、どう思っているのか、ということに、悩まされてしまうんです。私も、正直な胸の内を告白したいけれども、でも、出来ない、煩悶に悩まされてきました。やっと告白できた、ことで、スッキリしました。佐藤京子」
そう書いて、京子は、メールを送信した。
「へへ。順子。こんなこと、書いて、先生にメール、送っちゃった」
と京子は、言って、そのメールを順子に見せた。
その日の学校では。京子は、ウキウキしていた。
一方、順子は、ほとんど、京子と口を聞かなかった。
午前中の授業が終わり、昼食の時間になった。
「ねえ。順子。元気ないわね。昨日も、何か、体の具合が、おかしかったけれど、今日もそうなの?」
「い、いえ」
順子は、首を振った。
「そうね。今日は、昨日のようには、つらそうじゃないわね。昨日。後日、教える、って、言ったけれど、今日は、その後日に当たらないの?後日って、大体、どのくらいの日にちなの?」
「・・・・」
順子は、答えられなかった。
もう、順子は、隠し事は、やめて、京子に、全て、言おうと思った。
「ねえ。京子。今日。授業がおわったら、あなたのアパートに行ってもいい?私のアパートでも、いいけど・・・」
順子は、そう言った。
「私のアパートでいいわよ。何か、わけがありそうね」
「・・・・」
順子は、その問いにも答えられなかった。
授業が終わった。
二人は、バスに乗って、京子のアパートへ行った。
二人は、六畳の畳の部屋に、座った。
すぐに、順子が話し出した。
「京子。私。あなたに、謝らなくてはならないことがあるの」
順子は、憔悴きみな顔で、重い口調で言った。
「なあに?」
京子は、キョトンとした顔で聞き返した。
「実はね。私。先週の日曜の夜から、あなたの名前を使って、先生と、メールの遣り取り、を、してしまったの。ごめんなさい」
そう言って、順子は、両手を京子の前について、頭を、畳につくまで、下げた。
「ええっ」
京子は、吃驚して、目を丸くした。
「それで、どんな、会話をしたの?」
京子が聞いた。
「はじめは、先生が京子を好きなのに、言い出せないのを、助ける、という軽い、気持ちだったの。また、先生は、京子を好いているのは、間違いないけれど、私のことは、どう思っているか、先生の本心を知りたくて・・・。それには、あなたの名前で聞いた方が、本心を聞き出せると思ったので・・・。でも、だんだん、話が弾んで、エスカレートしていって、先週の土曜日には、先生を、私のアパートにまで、来させてしまったの」
順子が聞いた。
「ちょっと、よく、わからないわ。どんなことがあったの?」
京子が聞き返した。
順子は、スマートフォンを、取り出した。
「私と先生とのメールの遣り取り、を、最初から、順番に読んでみて。そうすれば、わかるわ」
そう言って、順子は、スマートフォンを、京子に渡した。
京子は、しはし、一心に順子の、スマートフォンを、めくって見ていた。
全部、読み終わって、京子は、パッと顔をあげた。
「これによると、順子は、月曜日に、私のパンティーを、先生に、速達で送ったのね。どうやって、私のパンティーを、手に入れたの?」
京子は、案外、落ち着いた口調で聞いた。
「先週の月曜日に、私の指輪を、あなたのアパートに忘れたかも、しれないって、言って、あなたのアパートの鍵を借りたでしょ」
「ええ。覚えているわ」
「あの後、トイレへ、行くって、言ったけれど。本当は、スクーターで、急いで、あなたのアパートに行って、洗濯カゴの中にあった、ピンク色のパンティーを、盗って、私のパンティーと、一緒に、郵便局に行って、速達で出したの」
と、順子は、言った。
「そうだったの。そういえば、何だか、パンティーが、一枚、なくなっているような、気がしたけど、それ、だったのね。たかが、パンティー一枚だから、どこかで、なくしたんだろうと思って、気にしなかったわ」
京子は、飄々とした口調で言った。
「それで、土曜日に、順子は、先生と会ったんでしょ」
「ええ」
「どこで会ったの?」
「私のアパートに来てもらったの。そこで、先生に、私のスマートフォンを、見せて、全ての事を、先生に、正直に話したの」
「先生。怒ってた?」
「怒らないわよ。だって、先生は、おとなしくて、怒ることなんか、出来そうもない性格だし。それに、私が、正直に、本当のことを話したから、何も言わず、許してくれたわ」
「ねえ。順子。アパートで、先生と何かした?」
京子は、鋭い目つきで、順子を見た。
「もう、全て、正直に話すわ。先生には、内緒で、隠しビデオを、部屋の中にとりつけて、おいたから、全てが映っているわ」
順子は、投げやりな口調で言った。
京子は、早速、ビデオを再生した。
哲也が、制服姿の順子を、やさしくペッティングしている映像、順子を後ろ手に縛って、ペッティングしている映像、順子の足指を、舐めている映像、リモコン・バイブレーターを渡している映像、などの、二日前の土曜日の、順子のアパートでの、哲也が順子を、愛撫している、映像が、アダルトビデオのように、映し出された。
京子は、一心に、ジーと、固唾を呑んで、ビテオの進行を見ていた。
「順子。すごいわね。あんなことまで、もう、先生と、したのね」
京子が、言った。
「恥ずかしいわ。私が興奮して、喘いでいる姿を、見られちゃって」
順子は顔を赤らめて言った。
しかし、全てを、正直に、京子に知らせるのには、ビデオを見せるが、一番、いいと順子は思っていた。
「どう。感想は?」
順子が京子に聞いた。
「ほとんど、想像していた通りだわ。先生は、フェミニストで、あんなふうに、いやらしく、そして、優しく、ペッティングされたら、女なら、誰でも、興奮しちゃうわ」
京子は、淡々と感想を言った。
「昨日、私が、仕事中、苦しんでいたのは、私が、先生から、貰った、リモコン・バイブレーターをつけていたからなの。あんな物、渡されたら、女なら、誰でも、つい、興味本位から、つけてしまうわ。それで、私も、興奮が、抑えられなくて、仕事中に、先生に、スイッチを、渡したの。先生の、気紛れな意志によって、やられてみたい、と、女なら、誰でも思ってしまうわ。きっと、先生も、それを計算してたのね」
順子が言った。
「なるほど。そうだったの。私。てっきり、何か、あなたの、体調が悪いんだと思っていたわ。心配して、損しちゃった」
京子が、ふふふ、と、笑いながら言った。
「順子。あなたも、そうとう、淫乱なのね」
「そんなことないわよ。女なら、あんなことされたら、誰だって、感じちゃうわ」
「わかったわ。万年筆は、わざと、あなたが、私のペンケースから、盗って、先生に渡したのね。私が先生に、メールするよう、仕向けたのね」
「そうよ。ごめんなさい。京子」
「いいわよ。私。先生とメール、の、遣り取り、を、一度、してみたいと思っていたんだもの」
「ところで、京子。先生から、あなたに、渡してって、預かっている物があるの」
「何それ?」
「これよ」
そう言って、順子は、京子に、リモコン・バイブレーターを差し出した。
「なに。これは、先生が、あなたに、あげた物じゃないの?」
京子が首を傾げて言った。
「先生は、リモコン・バイブレーターを二つ、もって来ていて、一つは、わたし用。もう一つは、あなたに、あげてって、って言ったの」
そう言って、順子は、黒の、バイブレーターを京子の前に差し出した。
順子の、リモコン・バイブレーターは、茶色だった。
「先生が、あなたに、私に、渡してって、言ったの?」
「いえ。私の友達に、あげて、って言ったわ。でも、先生の意図は、あなたに、あげて、っていうのは、明らかだわ」
京子は、バイブレーターを、手にとってみた。
そして、リモコンのスイッチを入れてみた。
皮ベルトに付けられた、天狗の鼻のような、男の形の物が、畳の上で、ウネウネと動き出した。
それは、まるで、生き物のようだった。
「うわー。すごーい」
京子は、大声で言った。
「どう。京子。着けてみる?」
順子が聞いた。
「ちょっと怖いわ。それより、順子。あなたが、着けてみて」
京子が言った。
「えっ。私は、もう、着けた感覚を知っているから・・・」
順子は、ためらっている。
「順子。今、私の前で、つけなさい。私の名前を使った、罰と、私のパンティーを、盗んだ罰よ」
京子は、命令的な口調で言った。
「わ、わかったわ」
京子に、そう言われると、順子は、返す言葉がなかった。
順子は、スカートを降ろして、パンティーも脱いだ。
そして、腰に、リモコン・バイブレーターを、着けた。
順子は、上は薄いブラウスだけで、下は、リモコン・バイブレーターを、着けただけという、惨めな格好である。
順子が、バイブレーターを、つけた上から、パンティーを、履こうとすると、
「だめよ」
と京子が制した。
順子は、あきらめて、手にとったパンティーを、手放した。
尻の割れ目に、リモコン・バイブレーターの皮ベルトが、食い込んでいて、大きな尻が丸見えである。
前は、Tフロントである。
京子は、スイッチを入れてみた。
途端に、順子は、「ああっ」と、言って、体をくねらせた。
順子は、眉を寄せて、苦しそうに、喘いだ。
京子は、「ふふふ」と笑って、リモコン・バイブレーターの、振動の量を大きくした。
順子は、「ああー」と、言って、より、激しく、体をくねらせた。
京子は、それを意地悪そうな目で、順子を見ていた。
しばしして、京子は、リモコン・バイブレーターのスイッチを、切った。
順子は、ハアハアと息を切らしている。
その油断を、責めるように、京子は、また、リモコン・バイブレーターの、スイッチを入れた。
「ああっ。順子。許して」
順子は、また、喘ぎ声を出して、眉を寄せて、苦しそうに、体をくねらせた。
「だめ。私の名前を使った罰と、私のパンティーを、盗んだ罰」
そう言って、京子は、バイブレーターのスイッチを、入れたり切ったりと、何回か、繰り返した。
京子は、リモコン・バイブレーターのスイッチを切った。
「ふふふ。順子。日曜日には、こうやって、先生に責めてもらっていたのね」
京子は、悪戯っぽい口調で、言った。
「でも、どんな、感じなの?見ているだけでは、わからないわ」
「じゃあ、京子も、つけてみたら。一度、実際に体験すれば、どんな感じかは、わかるわ」
順子は、そんな誘いを京子に、かけた。
「じゃあ、試しに、着けてみるわ」
京子の好奇心が動いた。
京子は、バイブレーターを、手にとった。
「順子。ちょっと、後ろを向いていて」
京子が言った。
順子は、クルリと体を回転して、後ろを向いた。
女同士でも、着替えを、見られるのは、恥ずかしいものである。
特に、京子は、バイブレーターを、腰に、つける、なんて、ことは、初めてである。
京子は、スカートを脱ぎ、パンティーも脱ぎ、バイブレーターを、着けた。
「ああっ」
京子は、声を出した。
「どうしたの?」
後ろ向きの、順子が聞いた。
「なにか、変な気持ちに、なっちゃうわ。こんな物をつけたら」
京子が、後ろを向いている順子に言った。
「もう、前を向いてもいいわよ」
京子が言った。
順子は、前に向き直った。
京子は、スカートも、パンティーも、着けておらず、ブラウスの下に、バイブレーターだけ、という姿だった。
「京子。どうして、スカート履かないの?」
順子が聞いた。
「恥ずかしいけど、バイブレーターを、つけたら、それだけで、何か、エッチな気持ちに、なっちゃったの」
京子は、顔を火照らせながら言った。
無理もない。バイブレーターの装具は、TバックのTフロントで、ちょうど、皮の股縄であり、尻の割れ目に、厳しく、食い込んでくる、ので、女を淫乱な気分に、させてしまうのである。
「そうでしょ」
順子は、ニヤッと、笑った。
「ねえ。順子。ちよっとスイッチを、入れてみて」
京子が、おそるおそる言った。
「はいはい」
順子は、嬉しそうな顔で、リモコン・バイブレーターのスイッチを、入れた。
「ああっ」
京子は、順子と、同じように、眉を寄せて、苦しそうに、体をくねらせた。
「ふふふ。先生は、本心では、私より、あなたの方が、好きなのよ。口惜しいわ」
順子は、そう言って、バイブレーターのボリュームを、大きくしていった。
しばし、順子は、バイブレーターのスイッチを、入れたり、切ったりして、京子を虐めた。
「と、とめて。順子」
京子は、ハアハアと息を荒くして順子に言った。
しかし、順子は、ニヤリと笑って、やめない。
「いいじゃない。もう少し、味わってごらんなさい」
順子は、そう言った。
「そう。わかったわ。それならば・・・」
京子は、そう言って、順子のリモコン・バイブレーターを、手にとって、スイッチを、入れた。
「ああっ」
京子は、順子の、リモコン・バイブレーターのボリュームを、上げていった。
「ああー」
順子は、激しく体を、くねらせて、悶えた。
京子も、激しく体を、くねらせて、悶えている。
二人は、手を掴み合って、お互いの目と目を見た。
京子と順子の二人は、お互い、相手の手やブラウスを、ギュッと握ることで、つらさ、に耐えようとした。
しばし、二人は、お互いの、手や相手のブラウスを、握り締めることで、バイブレーターの、つらさに耐えた。
二人の尻は、ブルブル震えていた。
しばしの時間が経った。
「もう、このくらいにしておきましょう」
順子が、言った。
「ええ」
京子も同意した。
二人は、お互いの、バイブレーターの、スイッチを、切った。
「どう。京子。バイブレーターで責められる感じは?」
順子が聞いた。
「感じちゃうわ。ものすごく」
京子が、顔を赤くして言った。
「そうでしょ」
「もう、このくらいにしておきましょう」
順子が言った。
「ええ」
京子も、同意した。
二人は、お互い、皮ベルトのリモコン・バイブレーターをはずした。
そして、パンティーを、履き、スカートを履いた。
二人、一緒に、履いたので、今度は、京子も順子も恥ずかしくはなかった。
「私。今日は、もう、帰るわ」
京子は、立ち上がった。
「京子。それは、先生が、あなたに、渡して、って、言った物だから、あなたの物よ」
順子は、黒の皮ベルト固定式リモコン・バイブレーターを、指差した。
「わかったわ。貰うわ」
そう言って、順子は、リモコン・バイブレーターを、カバンに入れた。
そして、順子は「さようなら。また、明日、学校でね」と言って、京子のアパートを出た。
その夜。
京子は、哲也にメールを出した。
それには、こう書いた。
「先生。全てのことは、今日。順子から聞きました。先生と順子の、メールの遣り取りも、全部、見ました。先生と、順子が、二日前の、土曜日にしたことも・・・。先生は、メールの相手を私と思っていたのですから、私が、先生に、あんなに、慕われていたなんて、すごく光栄です。佐藤京子」
すぐに哲也から、返信のメールが来た。
それには、こう書かれてあった。
「京子さん。そうですか。僕は、順子さんからの、メールは、てっきり、あなた、だと、思っていました。それが、すごく嬉しかったでした。今は、もう、本当の、京子さんと、メールの遣り取りが出来て、この上なく、嬉しいです。あなたから、光栄、などと、言われると、僕も、無上に嬉しいです。あなたは僕の女神さまです。これは、本当に京子さんのメールなのですね?山野哲也」
京子は、すぐに、返信のメールを出した。
「ええ。本当に私です。先生が、私の汚いパンティーを持っていると、思うと、とても、恥ずかしいです。あまり、見ないで下さい。京子」
と書いて、スマートフォンで、自分で撮った顔写真を添付して、送信した。
すぐに哲也から、返信のメールが来た。
それには、こう書かれてあった。
「京子さん。申し訳ありません。が、京子さんのパンティーは、僕の宝物です。一生、大切に、保管させて頂きます。山野哲也」
京子は、そのメールを見て、赤面した。
哲也が自分の、パンティーを嗅いでいる姿が、想像されて、京子は、恥ずかしくなった。
順子が哲也に送った、自分のパンティーを、京子は、覚えていない。
シミでも、あったら、この上なく、恥ずかしい。
どうせ、送るのなら、使用後のパンティーでも、自分で選んで、シミの、ほとんどない、きれいな、パンティーを、送りたかった。
女の、つつましさ、たしなみ、に、大きく関わることである。
京子は、勝手に、パンティーを、送った順子に、不快な思いをもった。

「12」

翌日になった。火曜日である。
いつもの、窓際の、後ろの席には、もうすでに、順子が来ていた。
「おはよう」
順子が挨拶した。
「おはよう」
京子も、挨拶を返した。
「ねえ。順子。昨日、先生にメールを出したわ」
そう言って、さっそく、京子は、スマートフォンを、順子に渡した。
順子は、それを見て、はーと、溜め息をついて、京子にスマートフォンを、返した。
「よかったわね。京子。先生と、親しくなれて」
順子の言葉は、元気がなかった。
無理もない。
昨日、順子には、哲也からのメールは、来なかったからだ。
哲也の心が、自分から、京子に、移ってしまったようで、順子は、寂しさを感じた。
講師が来て、つまらない授業が始まった。

午前中の、つまらない授業が終わって、昼休みになった。
「ねえ。順子。テニスコートで、打ち合い、しない?」
京子が言った。
「いいわよ。でも、どうして?」
順子が聞き返した。
「まあ、いいじゃない」
京子は、お茶を濁すような返事をした。
「わかったわ」
順子が言った。
二人は、コートに行った。
コートには、誰もいなかった。
二人は、更衣室に入った。
「順子。誰もいないから、これを着てみなさいよ」
そう言って、京子は、順子に、短いスカートを渡した。
それは、京子のテニスウェアで、極めて短いスカートだった。
「は、恥ずかしいわ」
順子は、顔を赤らめて言った。
しかし、京子は、とりあわない。
「それと。これを、着けて」
そう言って、京子は、黒色の、京子の、リモコン・バイブレーターを、取り出した。
「京子。なんで、そんな物を、わざわざ、学校に持ってきたの?」
順子は、驚いて、目を丸くして聞いた。
「いいから、着けなさい。あなたは、私を装って、先生と、メールの遣り取りをしたり、私のパンティーを、無断で、盗って、先生に送ったりしたのよ。恥ずかしいったら、ないわ」
そう京子に言われると、順子は、返す言葉がなかった。
順子は、京子の、短いスカートのテニスウェアを着て、その下に、仕方なく、京子から、渡された、リモコン・バイブレーターを、着けた。
京子が順子に、バイブレーターを、つけさせる理由を、もう、順子は、聞くまでもなく、大体、予想できた。
二人は、コートに出た。
そしてラリーを始めた。
テニスの腕前は、順子の方が、京子より上手かった。
「いくわよー」
そう言って、京子は、ボールを順子に打った。
順子は、短いスカートで、しかも、その下は、パンティーを、履いてなく、リモコン・バイブレーターを、つけている、という状態である。
恥ずかしいこと、この上なかった。
あまり、激しく動いて、スカートが、めくれると、Tバックだけの尻が丸見えになってしまう。
テニスコートの、隣りのグラウンドでは、男も数人いて、サッカーや、キャッチボールをしている。
もし、万一、スカートが、めくれて、尻を見られたら、大変である。
そのため、順子は、スカートが、揺れないように、気をつけて、打ち合いをした。
しかし、テニスの技術は、順子の方が、上なので、ラリーは、続いた。
しかし、動く度に、TバックTフロントの、股縄のような、リモコン・バイブレーターの皮のベルトが、尻の割れ目に食い込んでくる。
それが、順子には、つらかった。
京子は、順子の、不自然な動きに、ふふふ、と、笑った。
「じゃあ、試合をしましょう」
少しラリーをした後、京子が言った。
「え、ええ」
京子は、順子と試合をして、今まで、一度も勝ったことが、なかった。
それも、当然で、順子は、ジュニアの時からテニスをしているのだが、京子は、中学の時、軟式テニスを、体育の授業の時に、少しやっただけで、高校では、バスケットボール部に入り、大学に入ってから、硬式テニスを始めたからである。
当然、順子にも、色々、教えてもらった。
「フィッチ」
京子がラケットのヘッドを地面につけて、回した。
「スムース」
順子が言った。
ラケットは、くるくる、数回転して、パタンと止まった。
京子は、ラケットを拾いあげた。
「残念。ラフでした」
京子が言った。
「どっちにする?」
順子が聞いた。
「じゃあ、サービスにするわ」
京子が答えた。
こうして、京子のサービスで試合が始まった。
京子のサーブは、最速でも、120km/hなので、順子と、試合をしても、サービスエースを取れたことは、一度もない。むしろ、リターンエースを取られたことは、数限りない。
あっという間に、
「0-15」
「0-30」
「0-40」
となった。
順子は、いつも、京子に手加減して、あげているのだが、それでも、京子は、順子に、勝てなかった。
手加減した上で、勝つのは、順子にとって、気持ちのいい優越感だった。
「京子―。もう後がないわよー」
京子のサービスを、待ち構えている、順子が、優越感に浸って、そんなことを言った。
「ふふふ。それじゃあ、奥の手」
と言って、京子は、ポケットの中の、リモコン・バイブレーターのスイッチを、入れた。
途端に。順子は、「ああっ」と、悲鳴を上げて、体をブルブル震わせた。
「行くわよー」
そう言って、京子は、ファーストサーブのボールを青空の中に、トスアップした。
ボールは、ポーンと山なりの緩い球だったが、サービスコートの中に入った。
京子は、サービスすると、すぐに、ポケットの中にある、バイブレーターのリモコン・スイッチを取り出して、ボリュームを最大にした。
「ああっ」
順子は、レシーブ出来ず、空振りした。
「ふふ。15-40」
京子が嬉しそうにカウントした。
その後も、
「30-40」
「40-40。ジュース」
「アドバンテージ、サーバー。つまり、私」
となり、アドバンテージも、京子が取って、京子が勝った。
「ふふふ。初めて、順子に実力で勝ったわ」
京子は、嬉しそうに笑った。
京子は、ポケットの中で、バイブレーターのスイッチを、切った。
今度は、順子のサービスだった。
「今度は、あなたがサービスよ」
そう言って、京子は、順子にボールを二つ、渡した。
「サービスなら、私は、順子が本気になったら、私は、返せないから、勝てるでしょ」
京子が言った。
そう思いたかったが、しかし、順子には、一抹の不安があった。
「いくわよー」
そう言って、順子が、ボールをトスアップした時だった。
京子は、ポケットの中の、バイブレーターのスイッチを入れた。
「ああっ」
順子は、体勢を崩し、順子の打った球は、スイートスポットに当たらず、ヨロヨロの山なりになった。
しかし、かろうじて、サービスコートに入った。
京子は、すかさず、それを、思い切り、打った。
京子のレシーブエースとなった。
「0-15」
京子が、元気よく、言った。
その後も、順子が、サービスを打とうとすると、京子は、バイブレーターのスイッチを入れるものだから、そして、いつ、バイブレーターのスイッチが、入るか、わからない不安から、順子は、ダブルフォルトしたり、本気で打つと、どうせ、京子が、バイブレーターのスイッチをいれるだろうと思って、サービスは、緩い球を打った。
その、緩い球を、京子は、思い切り、ジャンプして、「エアー京子」と、自分で名づけている、飛び上がって、打つ、打法で、目一杯、ドライブ回転をかけて打ち返した。
それが、レシーブ・エースになった。
「0-30」
「0-40」
となって、結局、京子は、ストレート勝ちした。
試合の後。
「ふふふ。初めて、順子に実力で勝てたわ。嬉しいわ」
京子は、そんなことを言った。
「あんなの。あなたの、実力で勝ったんじゃ、ないわ」
順子は、京子の、悪ふざけに、頭にきて、言い返した。
「順子は、メンタルが弱いのよ。だから、鍛えてあげたのよ」
そんなことで、二人は、更衣室にもどって、服を着替え、午後の授業を受けた。
その夜。
京子は、哲也に、メールを書いた。
それには、こう書いた。
「先生。昨日は、恥ずかしくて言えませんでしたが。昨日、順子から、バイブレーターを、貰いました。順子をバイブレーターで、いじめたり、逆に、順子に、いじめられたり、して、すごく、興奮してしまいました。今度、来た時には、この前、順子にしたように、先生に、ちょっと悪戯されて、みたいです。でも、怖いです。あんまり、虐めないで下さいね。京子」
メールには、ラリーの前、順子に撮ってもらった自分の、テニスウェア姿の写真を添付した。
すぐに哲也から、返信メールが来た。
それには、こう書かれてあった。
「京子さん。あんな物を、あなたに、渡してしまって、僕は、恥ずかしいです。あなた様に直接、渡すことは、とても、出来ないので、順子さんに、渡して、順子さんから、あなた様に、渡すよう、仄めかしたのです。もちろん、京子さんが、嫌でしたら、しません。京子さんは、僕の女神さまですから。それと、毎日、京子さんの、ことを想って、何も手につきません。京子様の、下着を嗅いで、興奮しています。山野哲也」
京子は、すぐに、返信メールを書いた。
それには、こう書いた。
「下着は、あまり、見ないで下さい。恥ずかしいです。それと、順子と同じように、今度の土曜日に、私のアパートに来て頂けないでしょうか。先生と、お話しがしたいです。それと、順子にしたような、ことも、少し、されてみたいです。京子」
すぐに哲也から、返信メールが来た。
それには、こう書かれてあった。
「京子さま。京子様に、そう言って頂けるなんて、最高に嬉しいです。もちろん、土曜日には、お伺いさせて頂きます。時間は、何時がよろしいでしようか?山野哲也」
京子は、すぐに、返信メールを書いた。
「先生は、何時がよしいでしょうか?京子」
すぐに哲也から、返信メールが来た。
「では、10時では、いかがでしょうか。朝一番の東北新幹線で行きます。僕は、盛岡駅前で、待っています」
京子は、すぐに、返信メールを書いた。
「はい。構いません。では、10時に、盛岡駅前で待っています」
しばらくして、哲也からメールが来た。
「京子さま。考え直したのですが・・・。やはり、ぼくの女神さま、である、京子さまに、順子さんに、したような事をするのは、気がひけます。来週の土曜日は、レンタカーを借りてドライブして、平泉の、中尊寺金色堂か、十和田湖か、八幡平なと、を見てみたく思います。いかがでしょうか?山野哲也」
京子は、すぐに、返信メールを出した。
「ええ。先生が、望むのであれば、そうします。先生は、ロマンチックなんですね。では、私が、手によりをかけて、お弁当を作っておきます。味の保障は、出来ませんけれど。ふふふ。京子」

「13」

翌日になった。水曜日である。
いつもの、窓際の右側の、後ろの席には、もうすでに、順子が来ていた。
「おはよう」
順子が挨拶した。
「おはよう」
京子も、挨拶を返した。
「ねえ。順子。昨日も、先生とのメールの遣り取り、をしたわ」
京子は、ウキウキした顔で言った。
「どれどれ。どんなことを、話したの。よかったら、見せてくれない?」
順子が、うかない顔で言った。
「いいわよ」
と京子は順子に言って、順子に、スマートフォンを、渡した。
順子は、しばし、黙って、スマートフォンを、見ていた。
「よかったわね。先生と、親しくなれて」
順子は、そう言って、京子にスマートフォンを、返した。
しかし順子の言葉は、元気がなかった。
無理もない。
昨日の夜、遅く、哲也から、順子に、メールが来ていた。
それには、こう書かれてあった。のである。
「いとしの順子さま。わけあって、今週は、また土曜日に盛岡に行きます。夜、遅くになりますが、また、先週の、土曜日のようなことを、しませんか?」
と書かれてあった。のである。
順子の体の中では、怒りの炎がメラメラと、燃え上がっていた。
哲也の心が、自分から、完全に京子に移ってしまった、と、順子は、感じた。
特に、哲也のメールで、「京子さまに、順子さんに、したような事をするのは、気がひけます」という所にムカついていた。そして、自分には、京子と、ドライブした後、その夜、遅く、「また、エロティックな事を、しませんか?」
などと、堂々と言ってきたのである。
京子は、哲也にとって、本命の、女神で、自分は、哲也にとっては、性欲を処理するための、セックス・フレンドとしか、哲也が思っていないのは、間違いない、と順子は、思った。
考えてみれば、自分は、そう悪くはない、と順子は、思った。
確かに、京子の名前を、使って、哲也と、メールの遣り取り、を、始めたのは、自分である。
しかし、それは、シャイで、京子を好いているのに、言い出せない、哲也を、京子と、結びつけて、あげるために、してあげた、ことなのである。
京子のパンティーを、盗んで、哲也に、速達で送ったのも、哲也が、京子のパンティーを、欲しい、と言ってきたから、その希望を叶えてあげるために、したことなのだ。
いわば、恋のキューピットの、役割り、を自分は、演じてあげたのだ。
それなのに、この、仕打ちは、一体、何なのだ。
「恩をあだで返される」とは、まさに、この事だと、順子は、隣りの席で、ウキウキしている京子の笑顔を見て思った。
順子は、考えているうちに、どんどん、哲也と、京子に対して、ムカついてきた。
多分に、えてして、概ね、女の思考というものは、こういうふうに、感情に、よって、展開していくものである。
決して、論理的、知性的、には、展開しないものなのである。
人類の歴史を見ても、哲学者というものは、男だけであって、女の哲学者というは、いない、ということが、それを、ちゃんと証明している。

「14」

さて、約束の土曜日になった。
順子は、朝7時に起きた。
そして、8時に、アパートを出て、スクーターで、急いで、京子のアパートに行った。
チャイムを鳴らすと、京子が出てきた。
「おはよう。京子」
「おはよう。順子。何の用?」
「まあ、いいから。ちょっと、話したいことがあって来たの」
「そう。じゃ、入って」
順子は、京子のアパートに入って、六畳の部屋に入った。
「順子。何なの。用は?」
京子が聞いた。
「京子。ちょっと急に、思いついたんだけど。先生に、去年、海水浴に行った時の、ビキニの写真を送ってあげたら、先生、物凄く喜んだでしょう」
「ええ。そうね」
「海水浴の時は、潮風で、髪も、乱れていたし、屋外だから、いい写真じゃないわ。もっと、髪を掻き上げたり、ヒップを上げたりと、セクシーな姿の、綺麗な写真を撮って、先生に、あげたら、きっと、先生、喜ぶと思ったの。だから、あなたの、いい写真を撮るために、やって来たの。先生も、早く、京子の、セクシーなビキニ姿を、見たくて、見たくて、仕方がないはずだわ。あなた、一人で自分では、自分の写真、撮れないでしょ。だから、私がカメラマンになろうと、思って、急いで来たの」
順子は、そう説明した。
「そんなことまで、配慮してくれるなんて、順子って、思いやりがあるのね。見直したわ」
「そんなこと当たり前じゃない。私たち、管鮑の交わり、以上の、永遠の友情を誓い合った仲じゃないの。水くさいこと、言わないで。ところでビキニは、ある?」
「あるわ。じゃ、ビキニに着替えるわ」
そう言って、京子は、箪笥の一番下の抽斗を開けて、ビキニを取り出した。
「順子。じゃあ、ビキニに着替えるわ。ちょっと、後ろを向いていて」
「はいはい」
そう言って、順子は、クルリと、体を回して、京子に背を向けた。
ガサガサと、京子が着替える音がした。
「もういいわよ」
そう京子が、言ったので、順子は、また、クルリと、体を回して、京子の方を向いた。
そこには、セクシーな黄色いビキニを着た京子が立っていた。
それは、去年、二人で、海水浴に行った時、京子が着ていた、セクシーなビキニだった。
「こんな感じで、どう?」
そう言って、京子は、長いストレートの黒髪を掻き上げて、セクシーなポーズをとった。
「そうね。もうちょっと・・・」
と言って、順子は、京子の背後に回り込んだ。
突然、順子は、京子の華奢な手首を、ムズと、つかんで、手首を縛り上げた。
「あっ。順子。何をするの?」
京子は、突然の順子の、行動に、驚いて聞いた。
「まあ。いいじゃない」
そう言って、順子は、テーブルの上に、京子を乗せた。
「な、何をするの?」
京子が聞いた。
だが、順子は、答えない。
硬式テニスを、ジュニアの頃から、始めている順子である。
体力、腕力では、京子は、とても、順子に、かなわない。
順子は、持っていた、縄で、京子の右足の足首を縛り、テーブルの右下の脚の一つに、結びつけた。
そして、左足の足首も縛り、テーブルの、もう一方の左下の脚の一つに、結びつけた。
順子は、硬式テニスの上級者だけあって、動作が素早い。
これで、もう京子は、動けなくなった。
順子は、京子の体を、倒して、テーブルの上に、仰向けにした。
「順子。一体、何をするの?」
京子が、驚いて、聞いたが、順子は、答えない。
しかし、京子も、あまり、抵抗しなかった。
管鮑の交わり、以上の、永遠の友情を誓い合った、親友の順子である。
もしかすると、ビキニ姿で、縛られた自分の写真を、撮るのかもしれない、とも京子は、思ったからである。
しかし、順子は、テーブルの上に乗って、京子の腹の上に、馬乗りに、乗っかった。
ズシンと順子の体重が、京子の腹の上に乗っかった。
これでは、京子は、抵抗しようがない。
「順子。一体、何をするの? 私たち、管鮑の交わり、をした仲じゃない」
京子は、そう、訴えたが、順子は、黙っている。
そして、順子は、京子の、手首の縄を解いた。
京子は、縄を解かれたことの、意味がわからなかった。
しかし、順子は、京子の、右の手首を縄で縛って、テーブルの四本の脚の一つの、京子の頭の上に位置する、右上のテーブルの脚に、その縄尻を結びつけた。
そして、左手の手首も、縄で縛って、左上の、テーブルの脚に結びつけた。
そして、おもむろに、テーブルの上の京子を見た。
京子は、テーブルの上で、大の字の形になっていて、両足は、大きく開かれている。
京子の両手首と、両足首は、それぞれ、テーブルの脚に、結びつけられている。
大の字縛り、である。
「京子。すごくセクシーよ」
順子は、そう言って、京子のストレートの長い黒髪を、横に揃えて流し、髪の毛の2、3本を京子の口に挟ませた。
それは、一部のマニアにとって、否、マニアでなくても、男なら興奮する、図である。
順子は、スマートフォンで、パシャ、パシャと、テーブルの上で、大の字縛りにされている、ビキニ姿の京子を写真に撮った。
「なるほど。これなら、確かに、セクシーで、エロティックなホーズね」
テーブルの上で、大の字縛りにされている京子が納得したように言った。
京子の体の曲線美は、美しかった。
順子が見ても嫉妬するほど。
スラリと伸びたしなやかな脚。細い華奢なつくりの腕と肩。細くくびれたウェスト。それとは対照的に太腿から尻には余剰と思われるほどたっぷりついている弾力のある柔らかい肉。それらが全体として美しい女の肉体の稜線を形づくっていた。
順子は、色々な角度から、パシャ、パシャと、カメラマンのように、シャッターを切った。
「もういいんじゃない。縛られたビキニの写真は。今度は、普通の、ビキニの写真を撮って」
京子が、カメラマン役の順子に言った。
「京子。もう少し、あなたの、エロチックな写真を撮りましょうよ。その方が、先生が喜ぶわ」
そう言って、順子は、部屋の隅に置いてあった、京子の、黒のリモコン・バイブレーターをもってきた。
順子は、京子のビキニの下の、横紐を、解いて、ビキニのパンティーを、はずした。
京子の、恥部の、割れ目と、陰毛が、露わになった。
「な、何をするの。順子。恥ずかしいわ。まさか、全裸の写真を撮るんじゃないでしょうね?」
いくら、女同士といえども、服を着ている順子に対し、京子は、テーブルの上で、大の字で、縛られている、姿を見られるのは、恥ずかしいものである。
ましてや、それを写真に撮られて、哲也に見られるのは、もっと恥ずかしい。
「大丈夫よ。隠す所は、ちゃんと隠すわ。私たち、永遠の親友じゃない」
そう言って、順子は、京子の、腰に、バイブレーターを取りつけた。
まず、男の形のモノを、京子の、女の穴に、挿入した。
そして、しっかりと、奥まで入れた。
はじめは、入りにくかったが、一旦、亀頭の部分を入れると、後は、スルッと入った。
「ああっ」
と、京子は、声を出した。
順子は、縦の皮ベルトを、うんと、引き絞って、京子の、尻の割れ目に、食い込ませた。
そして、腰回りのベルトの両側の、留め具をウエストのあたりで、しっかりと、きつく、引き絞って固定した。
京子の股間は、TバックにTフロント、という、極めて、エロティックな姿である。
それは、女の最低限を、隠しただけだった。
「順子。この姿を写真に撮るの?恥ずかしいわ」
「いいじゃない。とっても、セクシーよ」
「じゃあ、ついでに、これも、とりましょうね」
そう言って、順子は、京子の、ビキニのブラジャーも、はずした。
京子の、豊満な、乳房と、その、肉まんのような、柔らかい、膨らみの真ん中にある、可愛らしい、尖った乳首が、露わになった。
「ちょ、ちょっと。順子。これは、恥ずかしいわ」
「京子。下は、過激なのに、上は、ビキニをしっかり、着けているのって、かえって、アンバランスだと思わない?」
確かに、恥ずかしくはあったが、順子の言うことも、一理あるように、京子は、感じた。
「で、でも・・・」
京子は、言いかけた。が、やめた。
「京子。大丈夫よ。ちゃんと、これを、貼ってあげるから」
そう言って、順子は、二つの、ニプレスを、京子に見せた。
二プレスとは、女の乳首を隠すために、乳首に貼る円形のパッチである。
ハート型や、飾りのついたのも、あるが、順子が見せたのは、直径3cmほどの円形の、小さな、肌色のパッチだった。
順子は、それを、京子の、乳首に、貼りつけた。
京子の、胸は、かろうじて、ニプレスで、乳首が、隠されている、だけで、乳房は、もう、丸見えだった。
順子は、テーブルから、離れて、しげしげと、京子を見た。
京子は、テーブルの上に、大の字に縛られて、バイブレーターの皮ベルトの、TバックTフロント、という、女の最低限の、割れ目、を隠しているだけで、胸も、乳首が、ニプレスで、見えないだけで、豊満な乳房は、丸見え、という姿だった。
「は、恥ずかしいわ」
京子が、顔を火照らせて言った。
順子は、スマートフォンを、京子に向けて、パシャ、パシャと、色々な角度から、写真を撮った。
「京子。凄いセクシーよ。ほら。見てごらんなさい」
と言って、順子は、スマートフォンを、京子の顔に近づけて、撮った、京子の、あられもない姿、の、写真を、京子に見せた。
「は、恥ずかしいわ」
と、京子が、顔を火照らせて言った。
そこには、テーブルの上に、大の字に、縛られている、自分の姿があったからだ。
それには、ニプレスと、バイブレーターの、皮ベルトの、TバックTフロントの、姿が、写されていた。
それは、もう、ほとんど、全裸に近かった。
特に、足の方から、撮った写真は、大きく、開かれた股間や、太腿の内側や、尻の肉が、女の割れ目が、見えないだけの、物凄く、いやらしい写真だった。
「は、恥ずかしいわ」
と、京子が、顔を火照らせて言った。
順子は、洗面所から、洗面器を、持ってきた。
洗面器には、湯が満たされていてた。
そして、順子は、また、洗面所に行って、カミソリと、石鹸と、タオル、を持ってきた。
そして、それを、テーブルの下に置いた。
「な、何をするの?」
京子が、不安げな顔で聞いた。
「何もしないわ。小道具よ。こういう物を、置いておけば、エロティックでしょ」
順子は、そう言った。
そして、順子は、京子に、
「はい。あーん、と、口を開けて」
と言った。
「な、何をするの?」
と京子が聞いた。
「猿轡よ。SMでは、猿轡をするでしょ。猿轡をすると、いかにも、女が、捕らわれている、といった雰囲気が出て、エロティックでしょ。猿轡をした、あなたの写真も、撮ってあげるわ」
そう言って、順子は、京子の口に、強引に、小さな、布切れ、を、詰め込んだ。
そして、縄を、京子の、口に、挟み込ませ、グルグルと、三回、頭の後ろを、回して、きつく縛った。
京子は、これで、言葉が喋れなくなった。
京子は、喋ろうとしても、ヴーヴー、という、全く聞きとれない、唸り声にしかならなかった。
「京子。とっても、セクシーよ」
そう言って、順子は、また、スマートフォンで、猿轡をされた、京子を、パシャ、パシャと、写真に撮った。
次に、順子は、封筒を、五つ、洗面器の横に置いた。
封筒には、1、2、3、4、5、6、7と番号が書かれてあった。
そして、その上に、何か文章の書かれた、紙切れを置いた。
そして、順子は、冷蔵庫に、かなりの、マグロの刺し身を、入れた。
「それじゃ。京子。私。ちょっと、用があるから、アパートを出るわ。すぐに、もどってくるからね」
そう言い残して、順子は、京子のアパートを出た。
京子のスマートフォンを、持って。
順子は、急いで、タクシーを呼んで、盛岡駅に向かった。
タクシーの中で、京子のスマートフォンに、哲也から、メールが来た。
それには、こう書かれてあった。
「いとしの京子さま。ただいま、仙台を発車しました。あと、一時間で、盛岡に着きます。平泉の中尊寺金色堂、の、見物が楽しみですね。山野哲也」
順子も、哲也に、返信のメールを書いた。
自分のスマートフォンで。
「先生。順子です。今日の、京子とのドライブは、中止して欲しい、ということです。昨日、京子から、今日、私に、京子のアパートに来て欲しい、という、メールが、届きました。そしたら、京子は、私に、凄いことを、頼みました。私は、親友の、京子の頼みなので、仕方なく、してやりました。盛岡駅には、私が待っています。順子」
順子は、そう書いて、哲也に、メールを送信した。
すぐに、哲也から、順子のスマートフォンに、メールが来た。
それには、こう書かれてあった。
「順子さま。一体、どういうことなのか、さっぱり、わかりません。ですが、とにかく、すぐに、盛岡駅に、着きます。その時、詳しいことを、お聞きします。山野哲也」
順子は、9時45分に、盛岡駅に着いた。
順子は、タクシーを、降りて、盛岡駅の、ドトールコーヒー店で、アイスココアを飲みながら、待った。

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