記憶力

2016-01-16 23:37:35 | Weblog
「のうだま」の著者池谷先生の「記憶」についての著書を読んだ。池谷先生は記憶を司る「海馬」の研究者。まさに目から鱗。最新の脳科学からの内容である。脳科学者は最近多く現れるが、これだけの説得力をもって、分かりやすく説明してくれる学者は、そうはいない。自分はピアノを勉強しているので、やはり暗譜の問題が常に立ちはだかっている。ピアニストの中には、暗譜はもう諦めて譜面を見ながら弾く人もある。しかし、あれほど興ざめなことはない。暗譜に自信がなくなって一線を退くピアニストも多い。古くはギーゼキング、現在は横山さんのようなとてつもない記憶力の持ち主もいるが、池谷氏はそれは科学的に説明できるとしている。暗譜はとても奥が深い問題であるが、これを読んで、自分も何とか前進できそうな気がしてきた。また、他に興味深かったのは、池谷氏が九九を覚えていないということ。それでは、簡単な計算はどうするのか?読んでみて、なるほどと合点した。他にも将棋さしは、試合後に打った手をなぜ復元できるのか?など記憶のメカニズムが明快に分析されている。文章も素晴らしく整頓されている。やはり天才的な頭脳の持ち主は、書く文章も極めて精緻である。

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