柳川氏の東京公演

2013-11-04 16:29:19 | Weblog
東京文化会館に赴く。開演までまだ時間があったので、旧東京音楽学校奏楽堂まで歩く。ここは気持ちのよい散歩ルートである。19時からの演奏会。年配の聴衆が多かった。ここのホールは天井が高く、独特な響きの音空間である。柳川氏の音楽は、潤いのあるレガートタッチを基本とする。作曲家ごとに様々なタッチで弾き分けられ、快速なテンポにのった音楽である。近年、デジタル的な音ばかりが溢れているが、その対極にあるサウンドだ。瑞々しさと同時に老練的な要素もある。軽井沢公演はあまりに素晴らしかったが、今回は、弾き損じたところがあり、悔しそうに見てとれた。やはり、あれだけ大曲ばかり。最高度のコンディションニングが要求されるのだろう。休憩時間に近くに座っていたご婦人から聞こえてきたひそ声「外来ピアニストだって、80過ぎてあんなに弾ける人いないよねぇ!」柳川氏のピアノは、よくあるステレオタイプな演奏ではなく、1回1回が魂のこもった全力投球のピアノなのだ。