goo blog サービス終了のお知らせ 

アラン・ドロン LE REGARD D'ALAIN DELON

アラン・ドロンさんの魅力を多方面から考察し、またファンの方々との交流に重きを置いております。

『MORT D'UN POURRI』(3)

2005-08-28 | THE SOUNDTRACKS
CDのライナー・ノーツは
この作品の監督のジョルジュ・ロートネルが執筆しており、
舞台裏の大変興味深いエピソードが綴られています。
その中からこの作品にスタン・ゲッツが起用された経緯の部分をご紹介します。

-------------------------------------------------------------------

撮影が全て終了した後もこの映画にはもう一人マジシャンが存在した。
その男の名はフィリップ・サルド。

フィリップはいつものように私たちの編集作業に付き添いながら、
突然こう切り出した。
“なあジョルジュ、アラン・ドロンの眼差しをさらに豊かに表現させるには
バックの音楽に偉大なソロイストの音が必要じゃないかな。
できればテナー・サックスのプレイヤーがいいと思う。”

フィリップという男は全くおかしな奴で、
それにはスタン・ゲッツがいい、などと言い出した!
私たちはそれまで彼と面識は全くなく、どこにいるかさえ知らなかったが
私たちの仲間が彼をスウェーデンでつかまえてくれた。

ゲッツはパリに到着するとすぐにリドに行く途中にあるサルドの自宅に
音楽を確認しにやってきた。

私たちは熱狂して彼を出迎えた。
ゲッツは楽器のケースを開けると、
フィリップのピアノの伴奏に合わせてサックスでテーマ音楽を吹き始めた。
そしてゲッツの下した評決は“非常にセンシティヴなメロディだ!”

演奏するゲッツを見ながら私は彼の姿を映画に登場させようとふと思いついた。
そしてゲッツはこれに応じてくれた。

次の日私はフィリップの映写室の中で白いシーツで必要な場所を覆いながら
即興の撮影セッションを行った。

私たちはゲッツがオープニング・テーマの『 Paris, Cinq Heures du Matin 』
を伴奏なしのアカペラ演奏するのを撮影した。

このような経緯で、オープニング・タイトルの映像にゲッツは起用された。
『チェイサー』はスタン・ゲッツが音楽と映像と両方で登場した映画といえる。

---------------------------------------------------------------------

これを読んでいるとスタン・ゲッツの起用は
ドロンではなくフィリップ・サルドの発案であったことがわかります。
プロデューサーであるアラン・ドロンはこの過程には一切登場しませんが、
恐らくフィリップ・サルドを全面的に信頼していたことが伺えます。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『MORT D'UN POURRI』(2)

2005-08-21 | THE SOUNDTRACKS
『チェイサー』サントラのフランス輸入盤CDです。

リマスターで音質も向上し、非常に満足のいく内容のアルバムです。
LP盤と比べて曲順がやや異なっているのと、映画での未使用曲や、
映画で使用されたもののLPに収録されていなかった曲が加えられています。

これらの曲について整理してみますと、

CDの曲順                     LPの曲順
① Dans le Regard d'Alain Delon ------未発表&未使用曲
② Paris, Cinq Heures du Matin -------A面(1)「パリ=夜明けの5時」
③ Valérie  ------------------------A面(3)「恋人バレリー」&A面(2)「思い出の数々」
④ Getz O Mania  ------------------A面(6)「ゲッツ・オン・マニア」
⑤ Montparnasse  -----------------B面(2)「モンパルナス駅」
⑥ Un Homme dans la Ville ----------未発表&未使用曲
⑦ En Souvenir de Maurice ----------A面(5)「待機」&B面(3)「カフェテリア」& 未発表曲
⑧ Mort d'un Pourri -----------------B面(1)「チェイサーのテーマ」
⑨ Les Aveux  ---------------------A面(4)「カー・チェイス」&B面(4)「告白」
⑩ Elysée-Matignon ----------------未発表曲
⑪ Solitude ------------------------未発表&未使用曲
⑫ Tout Est Tranquille --------------B面(5)「ロカンクール」&B面(6)「すべては静寂のなかに」
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『MORT D'UN POURRI』(1)

2005-08-20 | THE SOUNDTRACKS
Mort d'un pourri (1977)

『チェイサー』サントラ盤(日本盤LP)です。

数多くあるアラン・ドロン作品のLP、CDの中でも
この日本盤のジャケットのデザインは最も優れた物ではないかと私は思います。
写真、文字の配置、字体、文字と背景の色、全て完璧です。

1978年10月25日に発売されたこのアルバムは、
ロードショー誌第65回推薦サントラ盤として同誌にて詳しく紹介され、
LPの解説文は故関光夫氏が執筆しています。

関氏の解説文は前半が映画のストーリーの紹介で、
後半が曲ごとの映画での使用箇所が書かれています。
現代のようにビデオやDVDが普及されていなかった時代に、
映画のシーンと曲の使用部分とをぴったり一致させて解説できることのすごさを感じます。

この関氏の曲ごとの解説文に敬意を表して、以下に全文をそのままご紹介します。
------------------------------------------------------
A面
(1)「パリ=夜明けの5時」
タイトルからフィリップの訪問まで流れる。

(2)「思い出の数々」
フィリップの依頼を聞いた後、グザビエが、
二人の思い出の写真を観ながら考える場面。

(3)「恋人バレリー」
フィリップの恋人バレリーとグザビエの出会い。
バレリーのフィリップを気づかう心情

(4)「カー・チェイス」
トラックに襲われるグザビエの車。無気味に近づいてくる感じである。

(5)「待機」
バレリーを車で待つグザビエ。しかし追跡者の監視の目が、
彼の動きを見張っている。

(6)「ゲッツ・オン・マニア」
高級クラブでグザビエは、フィリップの妻のクリスチアーヌとその恋人に会う。
ユベール・ロスタンの曲だが、映画の中の曲調とはやや違う。

B面
(1)「チェイサーのテーマ」
映画の第2テーマともいえるもので、
ゲッツを中心にピアノのアンドル・ラバーン、ベースのリック・レイヤーなどのコンボ演奏。

(2)「モンパルナス駅」
グザビエがバレリーと会う約束をした駅の中。
しかしここにも殺し屋の手がのびている。

(3)「カフェテリア」
フィリップの妻の恋人コラールは、文書で一儲けしようと、
グザビエを有力者に会わせる。

(4)「告白」
フィリップがグザビエにセラノ文書について語る。

(5)「ロカンクール」
フィリップは、文書を恋人バレリーのアパルトマンに隠したと言う。
その場所がロカンクール。

(6)「すべては静寂のなかに」
セラノ文書事件は終わった。
部屋の窓から夜明けのパリの街を見下ろすグザビエの淋しい顔。
「悪い奴らはすぐ戻ってくる。
しかし、死んだ友よ、みんな安らかに眠ってくれ」
彼は心の中でこうつぶやく。
-----------------------------------------------------
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『TRAITEMENT DE CHOC』

2005-08-16 | THE SOUNDTRACKS
Traitement de choc (1973)

『ショック療法』のサントラ盤です。

音楽の担当はこの作品の監督でもあるアラン・ジェシアとルネ・コアリング。
ボサノバ、サンバ、アフリカ音楽のエッセンスがちりばめられた
夏に聴くには最適のエスニック・ミュージックのサントラです。

メロディが印象的なメインタイトルのボサノバや、
アコースティック・ギターで演奏される劇伴などなど
映画の内容とはとても似つかわしくない美しい音楽が聴ける
とても好きなアルバムです。



Comment (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『LES AVENTURIERS』

2005-08-02 | THE SOUNDTRACKS
Aventuriers, Les (1967)

今のこの暑い季節になると必ず聴きたくなるのが『冒険者たち』の音楽です。
この映画も正式なサントラ盤は発売されていませんが、
写真の3枚のCDに映画からの数曲を聴くことができます。

CDのタイトルは写真の上から順番に

【A】FRANCOIS DE ROUBAIX 10 ANS DE MUSIQUE DE FILM
【B】フランソワ・ド・ルーベ・エディションⅡ
【C】フランソワ・ド・ルーベ アンソロジーVOL,1

聴くことのできる曲は以下の5曲です。

①Journal De Bord 航海日誌
 (映画のメイン・タイトル。口笛の音色が印象的な名曲。)
②Enterrement Sous-Marin 水葬
 (クリスチャン・ルグランのスキャット。レティシアの水葬シーンに流れる。)
③Les aventuriers 
 (ハモンド・オルガンとエレキ・ギターのソロが主題曲をリズミックに演奏。)
④Laetitia(Chante Par Alain Delon) 愛しのレティシア
 (ドロンの歌。日本版のエンディング)
⑤Enterrement Sous-Marin(version inedite) 
 (オリジナル・エンディング。ピアノとベース、オルガンだけの演奏)

そして上記の曲とCDとの組み合わせは

【A】③&②
【B】①②メドレー&④&③
【C】①&⑤

となっています。

映画の中で、パリに一人帰ったドロンがレティシアの思い出に浸りながら
展示会跡地を徘徊するシーンに流れた②のアレンジ違いの曲
(ルグランのスキャットの代わりに口笛のソロがメロディを奏でる曲)
が大変印象深い素晴らしい曲ですが、CD化はされていません。
早くCD化されないものかといつも映画を観るたびに思ってしまいます
Comments (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『LA PISCINE』 ET 『LE CERCLE ROUGE』

2005-07-15 | THE SOUNDTRACKS
Piscine, La (1969)

Cercle rouge, Le (1970)

先月フランスで発売された
『LE CINEMA DE MICHEL LEGRAND』です。

1950年代から現在に至るまで、
ミシェル・ルグランが手がけた膨大な映画音楽を4枚組のCDにまとめた
正にルグラン・シネマ・ミュージックの決定盤と言える本作の中で、
ドロン出演作品からは2作品の音楽を聴くことができます。

まずは恐らくこれが世界初CD化となる『太陽が知っている』のメイン・テーマです。
ルグランと姉のクリスチャンヌ・ルグランとのスキャットで始まり、
前半の二人のアドリブ合戦の後、アップテンポなリズムに変わってからの後半は
コーラス隊のスキャットをバックに、
ステファン・グラッペリのめくるめく音色の変化が美しいバイオリンン・ソロに移り、
最後は再びコーラス隊も交えた二人のスキャットで幕を閉じます。
ちょうど今のこの蒸し暑い季節に聴くには一服の清涼剤となる一曲です。

そしてボーナス・トラックとしてCD4枚目の19曲目に収められている
『仁義』(未使用バージョン)は本作の最大の目玉といっていい大変珍しい一品です。

『仁義』の音楽は当初ジャン・ピエール・メルヴィル監督がルグランに要請していたものの、
結局出来上がった作品がメルヴィル監督のお気に召さず、お蔵入りとなりました。
そしてその後を引き継いだのが『影の軍隊』でメルヴィル作品の音楽を担当した
エリック・ドマルサンだったのです。

『仁義』サントラ盤のライナー・ノーツによりますと、
当初自分に依頼が来るものとばかり思っていた『仁義』の音楽が
ルグランに要請されたことに大変失望を感じたドマルサンは、
それまで私生活でも交流を深めてきたメルヴィルと距離を置くようになりました。
しかしその後メルヴィルから突然の呼び出しがあり、
「『仁義』の音楽をルグランに替わって担当して欲しい。」との要請があったとのことです。
しかしながらルグランとの友情関係にひびが入ると懸念したドマルサンは、
その要請をいったんは固辞しました。
そのときにルグランからドマルサンに直接電話がかかり、
「『仁義』の音楽については気にしないで取り組んで欲しい、
アレンジなどで自分が協力できることは何でもする。」
と言ってくれ、ようやく引き受ける決心がついたそうです。
ドマルサンはこのときのルグランの大きな心にいたく感銘を受けたと書かれています。
正に映画の内容を彷彿とさせるような舞台裏の男の友情劇にこちらも感銘を受けました。

さてそのお蔵入りとなったルグラン版『仁義』の音楽の中身について。
基本的にはビブラホンを使ったモダン・ジャズで、この曲自体の出来は素晴らしいのですが、
ルグランの持つ独特のセンスと明るさがどうしても顔を出してしまっており、
『仁義』にある“乾いた暗さ”を表現するには至っておらず、
ここはメルヴィル監督の判断が正しかったと言わざるをえません。

このCDには上記のドロン関連2作以外にも
イーストウッド監督作『愛のそよ風』、
『真夜中の向こう側』、『面影』、マックウィーン遺作『ハンター』、『モン・パリ』など
これまでCD化されていなかった作品が多数収録されており、
ルグラン・ファンにとってはもとより、20世紀映画音楽の記録として大変貴重なアルバムです。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『LES ACTEURS』

2005-07-02 | THE SOUNDTRACKS
Acteurs, Les (2000)

アラン・ドロンが『ハーフ・ア・チャンス』出演を最後に映画界を引退する、
との声明があった直後にゲスト出演した『LES ACTEURS』のサントラ盤です。
(下のドロンの写真はジャケット写真ではありません。)

音楽を担当しているのは『勝手にしやがれ』のMARTIAL SOLALで、
全編ビッグ・バンド・ジャズの素晴らしい演奏が聴けるアルバムです。

アラン・ドロン登場シーンに流れる曲は6曲目の“NOSTALGIE”で、
映画の中ではドロンがジャン・ギャバンとリノ・ヴァンチェラに対するオマージュを捧げる
シーンのバックに静かに流れます。(ドロンはこのシーンのみの出演。)
ミュート・トランペットがソロを取るこの短い曲は、
まるで50年代のギル・エバンスとコラボレートした時期の
マイルス・デイビスの音楽を現代に蘇らせたようなムードを持つものでした。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『TEHERAN 43』

2005-06-29 | THE SOUNDTRACKS
Tegeran-43 (1981)

アラン・ドロンが初めてソ連(1979年当時)映画に出演した、
ということで話題になった(のかどうかわかりませんが)
『テヘラン』のサントラ盤です。
(下のドロンの写真はジャケット写真ではありません。)

正確には同作品の音楽を担当したジョルジュ・ガルバランツが作曲し、
シャルル・アズナブールが主題歌を歌った作品のコンピュレーション・アルバムで、
『テヘラン』からは4曲が収録されていました。

物語が第2次大戦中から現代にかけての大河ドラマ風の展開となるため、
音楽もスケールの大きいオーケストラによる演奏がメインとなります。
アズナブールの歌う主題歌はメロディの美しい、哀愁漂う名曲です。
(この曲のみアレンジはフランシス・レイとのコンビで有名なジャン・ミュジー)

アラン・ドロンはこの作品では出演シーンは多くはないものの、
上記写真中央のようによれよれのレインコートを身にまとって
明らかに刑事コロンボを意識したようなリラックスした刑事像を作っています。
しかしながらナチの黒幕をハイジャック犯の要求に応じて空港で釈放する場面でのドロンの演技は、
他の共演俳優たちとは異質の格段の陰りを感じさせるものでした。
フランス人がナチに対して抱く憎悪の感情を象徴的に見せてくれたような気がします。

ドロンの出演場面にはNO,25『Paris,ma ville』が流れますが、
パリの街角の雰囲気を表現したワルツが随所に効果的に使われています。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『VARIATIONS ENIGMATIQUES』

2005-06-28 | THE SOUNDTRACKS
アラン・ドロンが96年と98年に上演した舞台、
『VARIATIONS ENIGMATIQUES』(『謎の変奏曲』)
のサントラ盤です。

エリック・エマニュエル・シュミット原作のこの舞台については、
私は全く知りませんが、先日こちらにお越しいただきました
Tomo様のサイトにそのエピソードが書かれていますので、
どうぞ皆様そちらをご覧下さい。

日本では、①仲代達也&風間杜夫、②杉浦直樹&沢田研二
のコンビでそれぞれ上演されており、二人しか登場しない劇のようです。

音楽はエドワード・エルガーという人の実在のクラシック曲で、
それがそのままこの舞台のサウンドトラックとして使用されています。

ドロンの作品としては大変珍しい純クラシック音楽のCDです。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『CINEMA』

2005-06-27 | THE SOUNDTRACKS
"Cinéma" (1988) (mini)

1988年製作、アラン・ドロンが初めて主演したテレビ・ドラマの大作
『シネマ』(『CINEMA』)のサントラ盤です。
(下の写真はジャケットのものではありません。)

音楽を担当したのはジャン・マリー・セニア。
(この方も私は勉強不足で、どういう人なのか全く知りませんでした。)

物語は現代が舞台にもかかわらず、その背景には第2次大戦の影が色濃くあり、
しかもキーパーソンとなる主人公の母親が元著名なピアニストであったことから
サウンドトラック盤はピアノとオーケストラの演奏が中心となっています。
壮麗な宮廷音楽を思わせる色鮮やかで奥行きのある曲の数々は
それまでのアラン・ドロン映画の音楽にはなかったものでした。

このCDには時間にして計46分、曲数にして全24曲が収録されており、
ドラマで使われた曲がほぼ完全な形で聴くことができる正にサントラのお手本のようなアルバムです。

1曲目の「LA CHANSON DE MANDA」はドラマのエンド・タイトルのバックに流れ、
その美しいメロディは主人公マンダの奥深い人間性、
優しさ、力強さ、そして少しばかりのユーモアを同時に感じさせてくれる見事な曲です。
このメロディはドラマの中でマンダのテーマという位置づけで頻繁に流れ、
CDの中では1、の他に2、7、10、11、12、13、14、17、19、23曲目が
それぞれこのメロディをアレンジしたバリエーションになっています。

3曲目の「LE PIANO DE LULU」はオープニング・タイトルのバックに流れる曲で、
主にヒロイン、ルルのテーマとして、これも頻繁にドラマの中で流れます。
CDでは、他に4、6、9、15、18、20曲目がこのメロディを加工した曲たちです。
特に9、は最初ピアノ・ソロから始まり、徐々にオーケストラがかぶさっていき、
最後は映画の主演に抜擢されたルルの歓喜の気持ちが湧き上がるような
至福のエンディングへと連なります。

他にはイタリアのチネチッタ撮影所の活気に満ちた様子を描写する10、が印象的で
ここではニーノ・ロータの音楽を彷彿とさせるようなメロディが聴けます。

このCDを車のチェンジャーに入れて大音量で鳴らして運転していると
周りの街の景色が全く別世界のように見えてきて、
心の底から優雅な気分にさせてくれます。
映画音楽として誠に素晴らしい作品です。(ジャケットの左右反転写真を除いて。)
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『FRANK RIVA』

2005-06-25 | THE SOUNDTRACKS
昨年第2シリーズがフランスで放映されたばかりの
アラン・ドロン主演の最新刑事ドラマ『FRANK RIVA』
(公式サイトはこちら→http://frankriva.france2.fr/qui_est_riva.php3)
のサウンドトラック盤です。

音源は第1シリーズも第2シリーズも同じものが使用されており、
ドラマの統一感が保たれています。

音楽担当はPierre-Luc Jamainという人ですが、初めて聞く名前で私はどういう方なのか知りませんでした。
しかしながら主題曲はミュート・トランペットで演奏されるメロディが大変印象深いもので、
このフレーズはドラマの中ではドロン刑事のテーマとして再三使用され、効果を上げています。
(上の公式サイトの“★VIDEOTHEQUE”から“VOIR LE GENERIQUE"をクリックすると聴く事ができます。)

全体的にはアコースティックなジャズを基調とし、バックにぶ厚いストリングスの演奏が絡む曲が中心です。
これは明らかにフィルム・ノワール全盛期の音楽を再現しようとした作者の意気込みが感じられ、
往年のドロン作品を見てきたファンにとって好感が持てるものでした。
かといって懐古趣味一辺倒というわけでもなく、随所にシンセサイザーも効果的に使われており、
新しいフィルム・ノワール・ミュージックの創造が試みられています。

アルバム最後に収録されている曲は第1シリーズのエンド・クレジットで流れる主題歌で
唄っているのはAXELLE RED。
間奏の部分ではアラン・ドロンとミレーユ・ダルクの劇中での台詞を聴くことができます。

夜独りで車を運転しながら聴くのにお薦めの一枚です。
(ジャケット写真は他になかったものかとちょっと残念です・・・)
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『LE LION』

2005-04-26 | THE SOUNDTRACKS
Lion, Le (2003) (TV)

『LE LION』(公式サイト→http://lelion.france2.fr/index.html)

今のところアラン・ドロン作品の最新のサントラ・アルバムです。

このCDはフランスのサントラ雑誌CINEFONIAのレーベルから発売されており、
こちらのサイトから注文して購入することが出来ます。
           ↓
http://www.cinefonia.com/shopmanager/catalog/product_info.php?products_id=96

音楽を担当しているのは、
Serge Perathoner & Jannick Top
のコンビです。
(二人の公式サイトはこちら→http://www.1212.com/a/top/english/index.html)

ドロンとジョゼ・ピネイロ監督が組んだ前作
『FABIO MONTALE』(『アラン・ドロンの刑事物語』)
に引き続いての登板となりました。

『FABIO MONTALE』のときと同様、一度聴いたら耳から離れないテーマ曲
(上記リンクの公式サイトの“VOIR LE GENERIQUE”から聴けます。)は、
1曲目の『序曲』から始まり、3曲目(アコースティック・ギターのソロ)
10曲目(アコースティック・ピアノのソロ)、13曲目(アコースティック・ギターのデュオ)
14曲目(シンセとアフリカン・コーラスとアコースティックピアノ)
16曲目(アコースティック・ピアノとアコースティック・ギターのデュオ)
とアレンジを変えてたびたび登場します。

この曲だけでも買う価値はありますが、その他の曲も打楽器を中心としたアフリカ音楽や、
ゆったりとしたシンセで朗々と奏でられ、アフリカの大地を思わせる雄大な曲で構成されており、
1枚のアルバムとして非常に完成度の高いものとなっていました。

ただアルバム最後の曲は映画(TVドラマ)の中では使用されなかったボーナストラックで、
尺八の音色が使われた不思議なアレンジで、これには若干違和感を覚えました。

ジャケット写真も素晴らしく、音楽の中身も聴き応え十分な、
ファンとしては必ず押さえておきたい1枚と言えます。
この勢いで『FABIO MONTALE』のアルバム化も望みたいところです。




Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『2 HOMMES DANS LA VILLE』

2005-04-23 | THE SOUNDTRACKS
Deux hommes dans la ville (1973)

フィリップ・サルドとフランソワ・ド・ルーベ

CD『フランソワ・ド・ルーベ アンソロジーVOL.1』
(プレイタイムサントラシリーズ)のライナー・ノーツに、
フィリップ・サルドがフランソワ・ド・ルーベについて語った文章がありました。
ドロンの作品に関連した記述がありましたので、ここにご紹介します。

「僕が彼(ド・ルーベ)のことを確実に意識したのは1967年、18才の時、
エルミタージュの映画館でのことだった。『冒険者たち』の予告編を見たんだ。
ものすごいショックだった。
3分間、その音楽で僕は体の奥深くギュッと摑まれるような感動を受けた。
そこには独特のメロディやリズムに対するセンスがあったし、
ヌーヴェル・ヴァーグの作曲家達とは明らかに違っている音楽だった。」
(採録:ステファン・ルルージュ 対訳:寺田あり子)

今ではフランス映画音楽界の巨匠となったフィリップ・サルドが
初めて衝撃を受けた音楽が『冒険者たち』であったということに、
私はとても親近感を持ちました。

~ライナーノーツより抜粋~
その後、『悪魔のようなあなた』の音楽をサルドが作曲し、
監督のジュリアン・デュヴィヴィエに気に入られていたにもかかわらず、
監督の急死で製作の権利を引き継いだドロンがサルドからド・ルーベに変えてしまった。
(当時ド・ルーベはドロンのお気に入りだった。)
また今度は『暗黒街のふたり』の音楽を作曲していたド・ルーベが
ドロンに気に入られずお払い箱にされ、
『帰らざる夜明け』でドロンの目に留まったサルドが代わりに担当を引き継いだ。

このエピソードはドロンを軸とした二人の作曲家の運命を予感させずにはいられません。
この約3年後にド・ルーベは趣味のスキューバ・ダイビング中の事故で帰らぬ人と
なってしまうのですから。まるで『冒険者たち』の主人公たちのような最期に胸が詰まります。

結局サルドが『悪魔の~』で用意していた曲は『暗黒街の~』のテーマとして復活し、
またド・ルーベが『暗黒街の~』で用意していた曲は、
ロミー・シュナイダー主演作の『追想』のテーマ曲となり、
1976年第1回セザール賞の音楽部門を受賞しました。
しかしながらこの受賞はド・ルーベが永遠の旅に出てから3ヵ月後のことでした。

------------------------------------------------------

『暗黒街のふたり』のサントラ盤は3曲収録されているEP盤(写真の分)が
公開当時発売されたようですが、今のところ完全なCD盤はありません。
このレコードに収録されているのは、

A面 1曲目 『暗黒街のふたり』
オーボエの前奏から始まりオーケストラがメインのメロディを奏でます。
映画の中では特に交通事故後のジーノの生活場面によく使われ、彼のその後の運命を
予感させるのに十分な悲哀に満ちた曲です。

B面 1曲目 『モンペリエの町』
出所後のジーノの生活拠点となったモンペリエの町でのつかのまの幸せな時間を描写する曲。
ギャバン一家とのキャンプのシーンにも流れていました。

B面 2曲目 『ジーノのテーマ』
映画のメインタイトルに使われた曲でA面1曲目のアレンジ違い。
ジャン・ギャバンが電車から降りて職場に向かうシーンに流れます。
アコースティック・ギターのソロからオーケストラの演奏に連なり
ジーノを失ったギャバンの心情を投影したかのような曲です。
この曲のみ、こちらのCDに収録されています。
   ↓  
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005F1F6/qid=1114191430/sr=8-14/ref=sr_8_xs_ap_i14_xgl14/250-6466187-5462600

もしこの映画の音楽に『追想』のドルーベの音楽が流れていたら、
映画は全く別の印象をもつことになったことでしょうし、
もしこの音楽が『悪魔のようなあなた』に使われていたら
これもまた映画の雰囲気はより悲劇的なものへと変わっていたはずです。

ドロンの音楽に対する選択眼の確かさを改めて感じます。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『LE CHOC』

2005-04-19 | THE SOUNDTRACKS
アラン・ドロンのフィルモ・グラフィーを総括して見て行くと
その映画音楽の素晴らしさに触れないわけにはいきません。
今回からは随時不定期的にドロン映画のサントラについて記していきます。

第1回目は『LE CHOC』です。

この作品は現在のところ残念ながら未だCD化されていません。

私が所有しているのは1982年、映画がフランスで公開された頃に、
輸入されてきたLPレコードです。

初めて神戸三宮の輸入レコード店でこれを見つけたときは、
まずそのジャケットのデザインの印象の強さに驚き、
家に帰ってきてそれを開いたときの裏ジャケの写真のかっこよさにしびれ、
レコード針を落とした瞬間から流れてきたその音楽の素晴らしさに感嘆しました。

音楽の担当はフィリップ・サルドです。
彼はドロンの作品はこれが7作目ですが、それまで6作のイメージとはがらりと変わり、
スリリングかつメロディアスでハッピーな曲を次から次へと聴かせてくれます。
70年代後半から80年代前半のサルドの作品には、アメリカのジャズ・ミュージシャン
をゲストに迎え、バックを重厚なオーケストレーションで固めることで
今まで聴いたことのないようなシンフォニック・ジャズの世界を堪能させてくれました。
(その代表作はスタン・ゲッツを招いたドロンの『チェイサー』でしょう。)

そしてこの『LE CHOC』の音楽はいわばその集大成といった内容で、
ジャケットには一切ミュージシャンのクレジットが記載されていないのですが、
かなり著名なアーティストが参加していることは、その音から十分に推察できます。

メロディの中心を奏でるのはソプラノ・サックスです。
しかしながら『チェイサー』のゲッツのテナーのようにアドリブ演奏は一切なく
うねるようなバックのオーケストラとシャープなリズム・セクションと一体となって
あくまでも譜面に忠実な演奏を聴かせてくれます。

また最初にドロンがドヌーヴに出会う七面鳥農場の場面で流れる曲は
その名も『七面鳥シンフォニー』と名づけられた壮大な曲で、サルドの多才さに酔わされます。
海岸でドロンとドヌーヴがふたりで歩くシーンに流れる叙情的な愛のテーマも素晴らしい曲です。
テロリストたちが襲ってくるシーンに流れるフリージャズ風のサスペンス曲は、
ストリングスのスピード感溢れる演奏とベースの音色が非常に印象的です。

これほど何回聴いても飽きの来ないサントラはありません。
一日も早いCD化を心から願っています。
Comments (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする