陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

個人投資家は呉々も慎重に

2008-10-26 23:33:19 | 財政・経済問題
 9月半ばから顕著になった<経済カタストロフィー>は、10月に入って一層深化した。従来の企業評価の指標である株価が、業績を反映せず下がる方向で変動(ボラティリティ)している。これは、半ば詐欺同然の「アングロサクソン型ビジネスモデル」が崩壊し、よりまともなビジネスモデルへ移行しようと暗中模索しているからだ。

 単なるバブル状態が弾けたのではなく、戦争を伴わない一種の革命に近い状況が起きている。1989年暮に日経平均がピーク値に達し、それが崩壊して行ったプロセスとは明らかに違う。変化が余りにも早過ぎるし、規模が全世界に及び、為替も株価も変動幅が大きい。ニクソンショックやプラザ合意で変貌したブレトン・ウッズ体制=ドル基軸通貨体制が、終焉を告げている。

 今迄の膿みを出し切って、ダウ平均や日経225の変動が緩やかに収まるのは年を越してからであろう。その時は、ダウ平均が3000ドルになるのかも知れないし、日経平均も5000円を割っている可能性だってある。只今よりも世界的に株価は下がると言う以外、誰にも分からないのである。

 株の動きをある程度読むことが出来、また売買経験の豊富な個人投資家には、只今の金融危機で東証が激しい動きをしているのが魅力的に映るであろう。空売りなどの方法を使えば、下落時でも儲ける事は出来る。だが、そうした人達にも、これは景気循環に基く株価変動でない事を把握するよう強く申し上げたい。

 これから特定口座開設で新たに株式市場に参入する個人投資家は、更に慎重であって欲しい。

 個人投資家が、彼らの資産の内、20%位はこの変動期を利用して投資し、緊張感を持って経済を学ぶのは良いだろう。一種の賭けであるから、儲かる事も有り得る。だが、間違っても自己資産の大半をこの時期に投資しない事だ。底が近づいたなどと証券会社が美味しい事を言っても、頭と尻尾は呉れてやる姿勢が必要と思うのである。

攻めか逃げか個人マネー 激震下 松井、カブドット活況
2008/10/25

 金融危機と実体経済の負の連鎖が強まる中、東京市場の激震が収まらない。24日の日経平均株価は、バブル後最安値寸前まで急落、円相場も欧州市場で約13年ぶりの1ドル=90円台をつけた。東証1部上場企業の2009年3月期は7期ぶりの減益が濃厚で、バブル崩壊を乗り越えて戦後最長の景気回復を導いた小泉内閣以降の“貯金”は吹っ飛んだ格好だ。そんな中、「ここが底値」と動き出した個人投資家が壊滅寸前の市場を支えているが、経済の不透明感はぬぐえず、マーケットは瀬戸際だ。

◆「口座開設」殺到

 日経平均が一時1000円以上暴落し、大和(やまと)生命が破綻(はたん)するなど、欧米発の金融危機が日本に本格的に波及した今月10日。松井証券にはこの日だけで772件の口座開設の申し込みが殺到した。10月の1日当たりの新規口座開設申込件数は9月の2.5倍で、月末までに1万件に達する勢いだ。広報・IR担当の治部樹(じぶたちき)リーダーは「底入れが近いと考える人が増えている。短期的な売買を繰り返すデイトレーダーが多かったが、新規顧客の中心は30~50代の会社員」と客層の変化も指摘する。

 カブドットコム証券も1日当たり約定代金は8月を底に反転し、10月は約450億円で推移。なかには、1日で億円単位のキャッシュを投じる“猛者”もいるという。将来の円安を期待した外国為替証拠金取引(FX)も伸びており、委託手数料は8月は6000万円だったが、今月は1億1000万円に到達した。

 久しぶりにオンライン取引を行う“再開組”も目立つ。楽天証券では、1年以上取引のなかった顧客が取引を再開した割合は通常の3倍に上っている。

 取引内容にも変化が出てきた。目立つのが、値動きの激しさを逆手に取った投資手法だ。松井では、FXでドルやユーロを買ったその日のうちに売って差益を確保する顧客が増えた。カブドットコムでは、日経平均に連動する投資信託に大口の買いが戻り、一定の期日にあらかじめ決められた価格で商品を売買する権利を取引するオプション取引が増えているという。

 先物取引でも日経平均連動型商品は人気だ。SBI証券では、17日現在の1日当たり平均注文件数が5月の1.3倍で過去最高を記録。経営企画室の緒方剛史氏は「相場の動きが激しいほど、投資家にとって魅力的な商品」と分析している。

 東京証券取引所によると、10月第3週の3市場(東京、大阪、名古屋)は外国人が売り越した一方、個人は4週連続買い越した。マネックス証券の福井エリサ広報担当は「日米欧の金融安定化策で、市場に若干の安心感が出てきた」と話す。

◆慎重な取引を

 ただ、既存の投資家には莫大(ばくだい)な含み損を抱えて身動きのとれなくなった個人が多いのも事実だ。カブドットコムの荒木利夫営業推進課長も「相場が急激に冷え込み、資産が尽きるほどに追いつめられた人もいる。指し値で取引する人も増えた」として、顧客が慎重な姿勢を強めていると指摘する。

 金融危機の拡散で、金融機関や主要企業の業績が悪化。世界的な景気後退懸念が株安・円高を招く悪循環で、市場の低迷が長引けば、個人投資家もさじを投げる懸念はぬぐえない。

 大和証券SMBCの西村由美グローバル・プロダクト企画部情報課次長は「ネット証券などで信用取引をしている投資家の中には、株価急落で追い証(追加証拠金)を求められる人も出てくるだろう。個人投資家は慎重に取引すべきだ」と警告している。(米沢文)
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200810250068a.nwc
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