陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

地震に強い和風家屋の設計を求む:瓦屋根への工夫

2007-07-30 02:08:12 | Weblog
 昨日7月29日の南東北は、昼前後から断続的な俄か雨、それもスコールに近い大粒の雨が叩きつけていた。あの豪雨が被災に中越柏崎地域の被災者にも降っているかと思うと、気の毒に思えてならない。改めて、被災者の方々にはお見舞いを申し上げます。どうぞ、体に気をつけて頑張り抜いていただきたい。

 柏崎地域の旧家は、大半が重い土瓦屋根だと思う。それは、海岸故の塩害防止、強風対策、雨音を嫌うなどの実利に加え、伝統的な家屋建築スタイルから来ているが、屋根重量増加が災いして規模の大きな寺の本堂、酒造りの倉庫など家屋面積の大きな所は全壊に近い状態となった。2年前の中越大地震で損傷を受けていた部分が、今回の震度6強の揺れで破壊されたものもあるだろう。

 湿気の多い日本では、風通しを良くするために壁強度を犠牲にして窓を多くし、襖や障子を多用する。そして重い瓦を屋根に載せる。それは、中越地域のみならず、金沢や能登、福井にかけて共通のスタイルだ。日本海沿岸を電車に乗って旅をすると、家並みには鈍色(にびいろ)をした土瓦屋根が延々と続くことに誰でも気がつく。それは、伝統的な日本の風景として落ち着きを覚えるのだが、一方では地震災害が大きくなるだろうなと思わせる。

 耐蝕性金属屋根の家屋もかなり増えているが、そればかりになると味気ない。日本の伝統的な瓦屋根を生かしながら、耐震技術を加味して震度6強程度では破壊に至らない家屋設計が出来たらと思う。軽量のスレート瓦を用い、一方では家屋設計に「柔構造」を取り入れて、地震のエネルギーを逃がすのである。複合材料の耐火性を向上させ、新しいタイプの瓦を造り出すのはどうだろうか。建築家や建材企業に是非考えてもらいたい内容だ。

 一方、被災家屋に関して、二次的な問題が発生しているようである。

中越沖地震、募る不安の声 家屋半壊、隣人トラブル
7月29日12時51分配信 産経新聞

 新潟県中越沖地震の被災地で、「傾いた隣家が処理されず倒壊が怖い」との不安の声が多く聞かれる。被災者向けに新潟県弁護士会が23日から続けている無料電話法律相談でも、半数がこうした傾いた家屋、塀に関する相談。弁護士会は隣人トラブルに発展し、被災者の精神的負担となることを懸念している。

 中越沖地震で全壊した新潟県内の住宅は27日までの集計で約1000棟、半壊や一部損壊が約1万6500棟。被害の大きかった柏崎市中心部では、地震で傾いた家と大きな損傷を受けなかった家が混在する光景が多く見られる。

 裏の家が自宅に向かって傾き、それを理由に家屋の応急危険度診断で「危険」と判断された女性(57)は、毎晩隣家から一番離れた玄関で寝ている。「怖くて仕方ないが、長年の付き合いもあり強くは言えない」と不安を訴える。

 一方で、傾いた家の住民も「隣人に申し訳ないとは思うが、お金がないと直せない」「先の見通しが立たない中で解体には踏み切れない」と苦しい胸の内を明かす。

 阪神大震災で被災者の法律相談を経験した日弁連災害支援復興委員会の津久井進副委員長(38)は「まずは専門家が被災者の悩みを聞いて問題点を整理するなどして解決への基礎をつくるべきだ。そうすることで住民のストレスも緩和できる」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070729-00000905-san-soci


 政府は「激甚災害指定」を急ぎ、早急に家屋建替えや補修費用の補助金を出すようにして欲しい。中共にODA額700億円を出す位なら、今年はそれを全額中越地域の復興に支出すべきと思う。安倍首相には、震災当日に現地見舞いをした行動力で、中越地域復興策の実施に強い指導力を発揮するよう願う。
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