陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

晩春の庭木と草花、そして山菜

2015-05-12 03:31:23 | Weblog
 あっと言う間に、桜の花は散り、采振り木(ざいふりぼく;シデサクラ)も若葉になった。連休中は、椿が満開で薄紅色の花が眼を和ませていた。白や黄色の水仙は既に咲き終えた。

 桜と殆ど同時に咲き誇った白木蓮は、4月中に約1週間で散ってしまい、今は美しい若葉に覆われている。

  木蓮の 花散る様や 白拍子     茶絽主

 今は豪雪に耐えた低木ツツジが、白や桃色の花を元気良く咲かせている。2mはある紅ツツジの木では、真紅の花が満開になり、その前を雀達が飛び交っている。一方、ヤマツツジの木は何とも勢いが良くない。鮮やかな橙色の花が、ちらほらと申し訳ないように咲いているのみ。例年であれば、数え切れない位の大輪を咲き誇っているのだけれども。

 山茱萸(さんしゅゆ)に代わって、山吹が黄色い八重の花を咲かせている。この花を見ると、太田道灌の逸話を想い出す。

  七重八重 花は咲けども山吹の
     実の一つだに 無きぞ悲しき      兼明親王

 山吹の花は、タンポポのように花びらをぎっしりと立ち並ばせて、華麗である。枝に連なったそれらがそよ風に揺らいでいる様は実に優雅でもある。王朝時代の古人は、美に加えてその姿に一抹の哀れを感じていたのだろう。

 水仙は咲き終えたが、今はアヤメが葉を伸ばし、鈴蘭も芽を出し始めた。牡丹や芍薬もそろそろ眠りから覚めたようである。

雪解けの頃、茎立菜(くきたちな)がスーパーで売られるようになる。これは、前年雪が降る前に種を蒔き、越冬させて収穫する。お浸しや、油炒めにして味わう。次いで蕗の薹、蕨やぜんまい、コゴミ、タラの芽が食卓を賑わす。私は、タラの芽の天ぷらが好物で、一昔前は残雪の残る山に分け入り、探し求めた。

 西吾妻山中腹では、小ぶりの細い筍を収穫した。この土地では、「吾妻筍」と呼んでいるが、早春の頃は各地方何処の山でも採れる山菜の一つであろう。これは、煮付けにして料理する。

 以前、このブログでも記したが、私は秋の季節よりも春が好きである。雪の多い中で、雛祭りを迎えると何かホッとするし、4月からは様々な草花が可憐な姿を見せ始め、雪囲いを取り去ると開放感が一気に押し寄せる。木々は眠りから覚めて花を咲かせ、小鳥も餌を求めて庭に訪れるようになる。

 晩春は若葉も美しく、北国に住む人々は生命の息吹を最も強く感じる季節なのではあるまいか。
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