陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

「グルジア和平合意」(8/16)は先行き不透明

2008-08-16 23:04:51 | Weblog
 グルジア領土内で暴れ回ったロシアが、一応の停戦協定に署名をした。だが、停戦ラインはグルジア領土へ15km入り込んだ部分を主張している。また、彼方此方のグルジア軍施設(航空基地及びレーダー監視装置など)や鉄道網を破壊し続けているようで、完全な停戦に至っていない。

ロシア大統領、和平合意に署名=軍は即時撤退を拒否-グルジアの鉄橋爆破か
8月16日19時56分配信 時事通信

 【モスクワ16日時事】ロシア大統領府は16日、メドベージェフ大統領がグルジア・南オセチア自治州をめぐる軍事紛争解決に向けた6項目の和平合意文書に署名したことを明らかにした。しかし、ロシア軍は米国などが求めているグルジアからの即時撤退を拒否した。

 同大統領の署名で、ロシア、グルジア、南オセチア、アブハジア自治共和国の紛争当事者すべての署名がそろい、本格的な停戦実現に一歩近づいた。しかし、ロシア軍のノゴビツィン参謀次長は同日、グルジアからの撤退について、「和平合意に基づいて交渉する」と述べ、即時撤退に応じない方針を示した。

 ライス米国務長官は15日、グルジアのサーカシビリ大統領が和平合意文書に署名したのを受け、ロシア軍の即時撤退を強く要求。ドイツのメルケル首相も同様の呼び掛けを行っており、ロシア軍の即時撤退拒否は国際的非難を浴びそうだ。

 一方、グルジアからの報道によると、同国内務省は16日、首都トビリシの西方約45キロにある鉄橋をロシア軍が爆破したと述べた。鉄道はグルジアを東西に貫く主要路線で、内務省は「ロシア軍はグルジアの鉄道網をまひさせた」と非難した。ロシア軍は爆破を否定している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080816-00000158-jij-int


 米国は、人道的救援物資を輸送機で運び込んだが、いま一つ存在感が薄い。ライス国務長官は、15日にグルジアへ乗り込んだものの口で即時撤退を主張するだけで、ロシアにしてみれば馬耳東風と言うところか。小ブッシュ大統領は、グルジア戦争が始まっても、なお4日間ゆったりと北京に滞在し続けた。一方、プーチン首相は、予定を切り上げて直ちに北オセチア共和国へ入り、状況報告を受けると共に軍の士気を鼓舞した。

 ロシアは、グルジア領土の制空権を楽々と確保したし、グルジア軍の保有するイスラエル製戦車をかなり破壊した。軍港ポチに配備してあったグルジア軍艦も沈められたようだし、もうグルジア軍には首都トビリシを防衛する程度の力しか残っていない。これは、圧倒的なプーチン攻勢の勝利である。

 次のロシアの狙いは、欧米流民主主義の旗手サーカシビリ・グルジア大統領を辞任させることである。同大統領を支えて来た米国とEUが、どの様に劣勢を挽回するのか、注目せざるを得ない。軍事的背景としては、米陸軍をイラクとアフガンから動かせないから、稼働軍事力はNATOしかない。それも、黒海周辺に移動させるには相当の時間を要する。米欧は、恐らく軍事力抜きで当面ロシアと外交交渉せざるを得ないのが実情だろう。

 グルジアの南に隣接するトルコがこの事態をどう考えているのか、情報が殆ど無い。BTC石油ラインに関与しているトルコは、歴史的にロシアに不信感を持っている国だ。米国は、水面下でトルコと何らかの交渉をしているのだろうか。
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