陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

庭に山鳥が来た

2008-08-16 13:13:31 | Weblog
 昨日、山鳥の雌が庭へふらりと遊びに来た。柘(つげ)の木の下で、幹に体を近づけて鳴いている。雉(きじ)は時折我が家へ番(つが)いで姿を見せるが、山鳥は珍しい。しばらく窓から観察していると、大きな鳥が急降下で舞い降り、山鳥を目がけ飛び掛った。が、体をかわされ、その鳥はブロック塀の上にすっと留まった。鷹の一種、ケアシノスリだ。

 このノスリは、顔から胸にかけて白く、天頂と羽根は茶色っぽい。大きさは山鳥と同じ位だが、嘴(くちばし)は鋭く尖り、実に精悍な顔付きをしている。太い足と鋭い爪を持ち、何とも獰猛な姿だ。しばらく山鳥を狙っていたが、枝の下にいる山鳥が出てこないと見て、諦めたように飛び去った。山鳥はなお鳴き続けている。どうやら、ノスリに狙われて、庭へ逃げ込んで来たようだ。

 山鳥はキジ科の一種で、日本の国鳥・雉に似ているが、肉食ではない。大きさは、雉よりも少し大きく、体長50cm位。雄も雌も赤褐色で、斑(まだら)鱗模様の羽毛に体が覆われている。オスの尾は竹節模様でかなり長く、古歌にも詠われるほど。

あしひきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寢む

 これは、百人一首にある柿本人麻呂の歌。しだりは、垂れ下がること。鳴き声は表現が難しいが、クエッ、クエッと言う感じでケーン、ケーンと鳴く雉と全く違う複雑なものだ。

山鳥のほろほろと鳴く声聞けば 父かとぞ思ふ母かとぞ思ふ

と 行基(ぎょうき;『玉葉集』卷十九)が表現したような「ほろほろ」とは、とても聞こえない。

 暫くして鳴き止み、襲われたことを忘れたように芝生に出てのんびりと歩き回っていたが、やがて草の茂みに入って姿を消した。
 またノスリに狙われたら、遊びにお出で。
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