陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

日朝拉致問題交渉の結果に強い不満を覚える

2008-08-14 14:19:58 | 拉致問題
 8月11日から行われた日朝間の拉致問題を主とする交渉は、一応合意に達した。北朝鮮は、再び口約束をしただけ、日本は制裁措置を一部解除する。どうしてこのようなアンバランスな交渉結果になるのか?それは、6月の交渉段階で福田内閣が制裁緩和を既に約束していたからだ。産経新聞 阿比留記者の記事によると

日朝実務者協議合意、予断許さぬ再調査の行方
2008.8.13 08:55

 【瀋陽(中国遼寧省)=阿比留瑠比】2カ月ぶりに開かれた日朝実務者協議で、北朝鮮と拉致問題の再調査の具体的な進め方で合意したことについて、政府は「かなりの部分、日本側の意見が受け入れられた」(外務省幹部)と自賛する。確かに、成果なく終わった過去2回の調査と異なり、進捗(しんちよく)過程でチェックを入れる仕組みがあるのは事実だ。ただ、実際に北朝鮮が合意事項をどう運用していくのかは不透明で、日朝協議筋も「結果がどうなるかまだ予断を持つのは早い」と必ずしも楽観できないことを認めている。

 「日本国内には、制裁解除は調査による結果が出てからだという意見もあるが、実際の外交ではそれはちょっと難しい」

 外務省幹部は13日、北朝鮮が再調査のための調査委員会を立ち上げた時点で制裁措置の一部解除を実施することについて、国内で批判が出る可能性に言及しつつこう述べた。政府が「行動対行動の原則」を盛んに強調している以上、それは事実ではあるのだろう。

 また、6月の協議ではいったん合意されていた貨客船「万景峰92」をはじめとする北朝鮮籍船舶の人道支援物資積み込みに限定した入港解禁が、今回の合意事項から消えたのも、国内世論に一定の配慮を示したものといえそうだ。

 だが、「一歩前に進んだ」(外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長)ことは認めるにしても、今回の日朝合意を手放しで歓迎するわけにはいかない。

 過去の調査では、北朝鮮外交当局は、権限が軍部や朝鮮労働党の特殊機関に権限が及ばないことを、調査内容が不完全である口実とした。今回は、「権限が与えられた調査委員会」が調査主体となるが、メンバー選定は北朝鮮側に委ねられており、現時点で本当に「権限」が担保されているわけではない。

 調査委員会による調査期限にしても「可能な限り秋には終了」とあり、これが10月なのか11月なのか、さらに延びるのかは分からない。政府関係者は「北朝鮮も経済的に追いつめられており、前回と同じような調査結果でお茶を濁すようなことは通用しないことはわかっている」と指摘するが、相手の出方が正確に見通せているわけではない。

 いたずらに先行きを悲観しても仕方ないが、日本は経験上、北朝鮮には裏切られ続けた記憶もある。

 12日の実務者協議では、斎木氏の宋●・朝日国交正常化交渉担当大使との直接会談の後、約10時間にわたって双方は交渉事項の一つひとつについて書面でやりとりしたという。それだけ厳密かつ詳細に文言を詰めた結果の合意なのだろうが、これを実効あらしめるかどうかは、今後の政府のぶれない姿勢・対応にかかっていそうだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080813/plc0808130857003-n1.htm

 拉致された日本人は、それなりに北朝鮮の特殊な部署で教育を受け、北朝鮮政府の判断で特定の職務に着かされたはず。何故、外務省はそれを具体的に問わないのだろう?また、前回までの調査で得た結論と、6月の時点で北朝鮮が再調査すると判断した内容にどのような違いがあるのかも聞くべきと思う。

 こう言うと北朝鮮が怒るのではないかとか、また振り出しに戻るのが怖いとかの気持ちを持って交渉しても、相手の言いなりになるだけだ。もっときちんと約束を守れといって、席を立つのも重要である。それが出来なければ、北朝鮮に舐められるだけだろう。

 工作船「万景峰92」の寄港を許さなかったのは、取りあえず良かったと思う。新潟県の泉田裕彦知事も、この船の寄港に強く反対している。そういう地方行政責任者がいる一方で、国会議員の半数は、拉致問題に関するアンケートに答えようともしない。国政に責任を持つ人達が、国家意識を持たないで一体どうすると言うのだろうか。
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