陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

モルディブで爆発テロ事件

2007-09-30 12:21:29 | Weblog
 モルディブ共和国は、インドの南端から少し西に寄った位置にあって、インド洋に浮かぶ小さな島嶼(とうしょ)国である。Wikipedia によれば、島の数は1200を数え、26の環礁があると言う。人口は34万人、国土面積は合計で300平方キロ。石垣島が222平方キロだから、それよりも少し広い位のイメージだ。英国連邦に加盟していて、首都はマレ。近くのフルレ島に国際空港がある。

 イスラム教(スンニ派)を国教とする国柄で、観光と漁業が主産業。日本からもスリランカ(旧セイロン)のコロンボを経由して観光客が多数訪れるらしい。リゾート施設やホテルが充実し、平和な国と言うイメージだ。一つの島に一つのホテルがあるというのも面白い。こうした楽園のような国で手製爆弾が爆発、外国人観光客が負傷した。

モルディブ 首都マレの公園で爆発 日本人ら12人負傷
9月30日9時56分配信 毎日新聞

 【ニューデリー支局】インド洋の島国、モルディブの首都マレで29日、爆発があり、日本人の男女2人を含む外国人観光客ら12人が負傷した。ロイター通信が伝えた。外務省邦人テロ対策室によると、2人とも軽傷という。

 現場は観光名所「サルタン公園」の入り口にあるモスク付近。地元メディアによると、携帯電話や洗濯機のモーターなどを組み合わせて作った手製爆弾が使われた。

 モルディブは日本人にも人気の高いリゾート地で知られ、観光客でにぎわっていた。近年は大きな紛争や爆発などは起きていない。

最終更新:9月30日9時56分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070930-00000002-maip-int


 スリランカでは、激しい民族間の争いがあり、<タミールの虎>によるテロ事件は日常茶飯事と聞く。その関係で起きた事件なのか、あるいは中東でのテロ事件の影響なのかは分からないが、モルディブ人にとっては迷惑な話だろう。

 以前から、米軍の戦略爆撃機の駐留する英領ディゴ・ガルシア島は、インド洋(アラビア海と言う方が良いのだろうか)に位置すると理解していた。だが、私がモルディブ共和国の存在を知ったのは、2004年12月末の「スマトラ沖大地震」で津波情報が報道された時であった。モルディブの平均海抜は僅か2.4m、大津波があればひとたまりも無く国が海中に没する。だが、日本のODAがこの国を救った。当時の毎日新聞によると

「日本の防波壁が首都を守った」モルディブ

 「日本の支援がなかったら、マレはなくなっていただろう」--。モルディブの人口の約3分の1が住む首都マレでは、日本からの公的支援で建設された防波壁が、島を津波の大惨事から守ってくれたとの見方が広がっている。海抜1メートル程度しかない約1200の島々から成る同国は地球温暖化の進行で国全体が沈みかねないとの不安を抱え、常に海面上昇への恐怖と隣り合わせで生きてきたが、88年以降、進めてきた首都の護岸工事が壊滅的な被害を回避するのに貢献したと、島民は口々に語った。

 災害対策本部の置かれたマレ市のイスカンダール小学校校庭でボランティア活動を指揮する元オリンピックマラソン選手のフセイン・ハリームさん(35)。彼になぜマレは3分の2が冠水しながらも死者が出なかったのだろうと尋ねた。するとすぐに答えが返ってきた。「10年以上かけて作った防波壁が大いに助けになった。日本の援助のおかげだと聞いている」

 その防波壁を見たくて市南部の海岸まで案内してもらったタクシー運転手のアハメド・シャフィールさん(30)も「日本が作ってくれたあの壁がなかったら今ごろマレはもうない」と語り、「助けてくれた日本人からこんな時に金を受け取るわけにはいかない」と決して料金を言ってくれなかった。

 大統領府によると、日本はモルディブ最大の援助供与国で13年をかけた防波壁工事の費用6600万ドルの主要部分を日本の援助が支えたという。南部の海岸通りには、「日本とモルディブの友好のため日本政府が提供した支援で作られた」と消波ブロックに記した記念碑が海に向かって建っていた。
(2004年12月28日、毎日新聞)


 6600万ドル=約70億円を13年で提供したとすれば、1年間では5億円強。それがモルディブの人々を救い、これほど感謝されるのだから悪名高いODAも使い方次第、冥利に尽きると言うことだ。我が国の隣には、ODAや経済援助を合わせて既に6兆円もの大金を提供し、空港や病院、地下鉄建設に協力してもまだ足りないと言われ、罵倒する国もある。当然のことながら、その国には日本の資金提供でこの施設が出来たと言う記念碑などはありえない。これは民族の違いが歴然としていると感じてしまう。

 地球温暖化により、モルディブのような島嶼国は国家消滅の恐れに苛(さいな)まれている。南太平洋のミクロネシアに位置する島嶼国も同様だ。それらの国々に防波堤を作り、海水から真水を作る施設を提供して行けば、海洋国日本の面目躍如と言うことになるだろう。

 私は死ぬ前に、是非モルディブとパラオを訪問したいと思っている。これらの国に海洋平和国家の原点を感じるからだ。それ故に、モルディブの爆発事件を寂しく思う。

(追記:10月3日)

 引き続いて、以下のニュースが共同通信から配信された。

首都の爆発事件で7人逮捕 モルディブ

 【ニューデリー30日共同】
 AP通信などによると、インド洋に浮かぶ島国モルディブの首都マレで29日発生した爆弾事件で、同国警察当局は30日までに、事件に関与した疑いで容疑者7人を逮捕した。7人の国籍など詳細は明らかにしていないが、モルディブ人が含まれるほか、一部は国外に逃亡しようとしたもよう。

 事件では日本人の男女2人を含む外国人観光客12人が負傷した。治安当局は、容疑者を現場での鑑識結果を基に割り出したとしている。7人の背後関係も調べている。

 地元メディアによると、ガユーム大統領は30日、地元テレビに対し、モルディブの人権侵害を批判し民主化を求めて観光のボイコットを呼びかけている非政府組織(NGO)など、外国の組織が関与した疑いがあるとの見方を示した。

2007/10/01 01:19 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200709/CN2007093001000632.html
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 福田内閣の世論支持率 | トップ | 「三峡ダム」完成と環境保全... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事