陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

イラン原発、ロシアの技術で稼動へ:8月21日に核燃棒を装填

2010-08-17 22:06:16 | 中東問題
 イランの濃縮ウラン製造に大反対して来た米国であるが、同国内の原発建設と稼動にも強硬に反対を続けていた。イランのブシェール原発は、ロシアの協力でペルシャ湾に面した町に建設されている。この原発は、既に国際原子力委員会(IAEA)の査察を受けている。

 ロシアは、この原発用に濃縮ウランを提供し、使い済みの燃料棒(プルトニュウムが含まれる)を全て引き取ることを前提に技術協力して来た。今年6月、ロシアはイラン追加制裁に関する安保理決議に賛成、米国へ協力的な姿勢を見せたので、米国もブシェール原発稼動を容認する譲歩姿勢に転じたと見られる。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/100814/amr1008141017004-n1.htm

 勿論、イスラエルは反対であるが、アラビア半島を横断してブシェールを空爆する可能性は低いと見られる。仮に同国が空爆するのなら、燃料棒が装填される8月21日よりも前に実行しなければならない。装填後に爆撃すれば、核物質がアラビア半島周辺へ飛散し、イスラエルは世界中から非難されるだろう。

 ロシアは、米国の譲歩を引き出し、一方ではイランの要望に応えて恩を売った。ロシア外交の巧みさが現れた事案である。


イラン・ブシェール原発稼働へ 「影響力と利権」狙う露 米欧の静観は織り込み済み
2010.8.14 19:15

 【モスクワ=遠藤良介】ロシアがイランで建設してきたブシェール原発への核燃料装(そう)填(てん)を21日に開始することを決め、核兵器開発疑惑が深まる同国で初の原発が稼働することになった。ロシアの思惑は、イランとの関係を改善してこの国への影響力を強め、同時にロシアが国策として進める原発ビジネスで利権を確保することにある。対イラン追加制裁で圧力を強める米欧が強く反発しないことも織り込み済みだ。

 露外交筋は「イラン問題を含め、核不拡散に関する米露の基本的立場は一致している」と強調する。ただ、米欧が「圧力路線」に傾くのに対し、ロシアはイランへの関与と影響力を強めることで「聞く耳を持たせる」(専門家)アプローチを重視する。

 ロシアは6月、国連安全保障理事会による4度目のイラン制裁決議に賛成してイランとの関係を悪化させた。さまざまな口実で引き延ばしてきたブシェール原発の稼働に踏み切るのも、イランに“あめ”を与えて対イラン政策を立て直すためだ。

 ロシアは2007年末、国策原子力統合企業「ロスアトム」を設立し、新興国を中心に原発の受注攻勢をかける。「原発への核燃料供給を保証し、使用済み核燃料は引き取る」というのがロシアの売り込み方だ。

 この“核燃料リース方式”をイランにも適用することで、ロシアは「軍事転用懸念はない」と主張しながら原発利権を拡大できる。「ブシェールは国際原子力機関(IAEA)の保障措置(査察)下にあり、問題が生じてもロシアの責任ではない。いざとなれば核燃料供給をやめられる」(専門家)との見立てもある。

 もっとも、露指導部内にはイラン政策をめぐって軋(あつ)轢(れき)もある。ブシェールでの発電が始まるのは来年初頭で、イランの対応によってはまだ曲折も予想される。
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/100814/erp1008141930003-n1.htm?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
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