陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

シリアへ米軍ミサイルは何時発射されるか? : 中東大紛争勃発への懸念

2013-08-29 18:33:50 | 中東問題
 <アラブの春>民主化運動が始まって約2年半を経過、シリアでもアサド政権への批判勢力が生まれて次第に武装化し、アサド政府軍と抗争を続けている。シリアの一般市民は逃げ惑い、隣国トルコとヨルダンへ140万人の避難民が押しかけた。連合国(UN)の発表では、死者は7万人を越すという。

 米欧は、反政府勢力(スンニ派主体?)に好意的だが、同勢力の一部はアル・カイーダとの噂もある。彼らは、周辺諸国で軍事訓練を行い、武器供与も受けている。


 一方、ロシアとイランは40年続くアサド独裁政権(アラウイ派)を支援し、武器供与も行っている。アサドは、シーア派戦闘組織ヒズボラとも仲が良い。戦闘機100機の空軍を保有しているから、戦闘は政府軍に有利である。

 英仏独とポルトガルは、シリア政府の反政府勢力弾圧を非難する決議をUN安保理に提出したが、中露の拒否権により採択されていない(2011.10)。だが、UN総会での人権侵害非難決議は賛成多数で採択された。続いて、弾圧即時停止の決議もUN総会で採択された(2012.2)。だが、UNのシリア停戦監視団は、2012年8月に撤収している。

 ここに来て8月21日にサリンなどの化学兵器が使われたとの情報があり、UN調査団が現地調査を行うため首都ダマスカスに到着した。アサドは、これを受け入れた。

<シリア>化学兵器使用疑惑 現地調査許可アサド政権が声明
毎日新聞 8月25日(日)20時26分配信


 【カイロ秋山信一】内戦が続くシリアのアサド政権は25日、首都ダマスカス郊外で21日に化学兵器が使用された疑惑に関連し、国連調査団の現地調査を許可するとの声明を発表した。国営シリア・アラブ通信が伝えた。現場は反体制派の支配地域だが、既に反体制派は調査への協力を表明している。調査団はダマスカスに滞在しており、26日に調査に着手する方向で準備を進めている。

 国連の調査対象地域は、政権との合意に基づき、北部アレッポなど3カ所に限定されていた。そのためケイン国連軍縮担当上級代表がシリア入りし、政権側と交渉していた。

 反体制派によるとダマスカス郊外では25日も激しい戦闘が続いていた。国連が25日に出した声明によると、アサド政権側は調査中の現場付近での停戦順守を約束したという。

 ダマスカス郊外では21日朝に毒ガスによるとみられる攻撃があった。反体制派はアサド政権による攻撃だと非難。一方、政府軍は25日、ダマスカス郊外の反体制派の拠点で、化学兵器を製造するための原材料やガスマスクなどを押収したと発表し、「テロリストが化学兵器を使用した証拠だ」と非難した。政権側は反体制派を「テロリスト」と呼んでいる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130825-00000042-mai-m_est

 化学兵器による被害の実態把握は不明だが、「国境なき医師団」は次の発表を行った。

神経ガス患者3600人=シリアで355人死亡―国境なき医師団
時事通信 8月25日(日)1時4分配信

 【カイロ時事】国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は24日、声明を出し、シリアのダマスカス県にある支援先の3病院で、神経ガスを受けた症状を示す患者3600人を受け入れたことを明らかにした。このうち355人が死亡したという。

 声明は「症状の原因や(神経ガスによる)攻撃の責任を誰が負うのかは確認できない」と断った上で「おびただしい数の患者が短期間に発生していることなどから、神経に作用を及ぼす物質を大量に浴びたことが強く示唆される」と指摘した。

 中立の立場の医療団体が確認した声明により、ダマスカス郊外で大量の人々が神経ガスの被害を受けたのはほぼ確実になった。ただ、シリアではアサド政権と反体制派がいずれも「相手の責任だ」と非難し合っており、発生原因や犠牲の範囲について、なお検証が必要な状況だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130825-00000004-jij-m_est

 この段階で、米国オバマ政権は軍事介入を決意、シリア沖に展開する米空母戦闘集団からトマホークミサイルによるシリア政府軍軍事基地を攻撃するものと見られる。

 この行動に英仏も追従するようだが、独伊は静観の構え。UN調査団がニューヨークへ戻って、実態報告を行うのを待たず、米国が介入決断したのは何故なのだろう?

米欧、シリア攻撃秒読み 安保理決議抜き、軍事行動を検討 米、露の反対念頭
2013.8.29 07:16

 【ワシントン=小雲規生】オバマ政権は内戦が続くシリアでの化学兵器使用疑惑に関連し、国連安全保障理事会の武力行使を容認する決議がない状態での軍事行動を視野に入れている。アサド政権の後ろ盾であるロシアが安保理決議の採択を難しくしているからだ。米国は過去の軍事行動の事例を検証し、実行可能なシナリオを練っているとみられる。
                   ◇
 過去の軍事行動のうち、リビア内戦への軍事介入や、イラクに侵攻されたクウェートの解放を目的とした湾岸戦争では、攻撃前に安保理で武力行使容認決議がなされた。リビア内戦への介入ではロシアと中国が棄権に回ったが、拒否権は行使しなかった。

 しかし今回のシリアへの対応では、ロシアのプーチン大統領が軍事行動に反対している。中国も慎重姿勢で、中露が安保理決議に協力する可能性は低い。

 このため、オバマ政権は1999年のコソボ紛争に際して北大西洋条約機構(NATO)軍が行ったユーゴスラビア空爆を参考にしているようだ。この時、中露は軍事介入に反対したが、NATO軍はアルバニア系住民への民族浄化など「人道上の危機」を理由に安保理決議なしでの軍事介入に踏み切った。

 一方、イラク戦争では、仏露に加えドイツなどが国連安保理での武力行使容認決議案の採択に反対した。シラク仏大統領(当時)が拒否権行使も辞さない姿勢を示すなどしたため、米英とスペイン3カ国が安保理での協議打ち切りで合意、開戦に至った。戦後の調査では、フセイン政権は大量破壊兵器を保有していなかったとされている。

 米中枢同時テロ直後に米国などが2001年10月に開始したアフガン攻撃では11月に治安維持のための多国籍軍展開を認める安保理決議がなされた。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130829/amr13082907180001-n1.htm


化学兵器使用は「米国の核心的利益の問題だ」 オバマ氏
2013.8.29 12:14

 オバマ米大統領は、シリアでの大規模な化学兵器攻撃をアサド政権が実行したと「結論付けた」と明言した28日の公共放送PBSとのインタビューで、化学兵器使用は「国際規範(への違反)の問題だけでなく、米国の核心的な利益の問題だ」として、米国の重要な国益を脅かすとの認識を表明。安保理決議なしでの行動が正当化されるとの考えを示唆した。

 オバマ氏は、シリアの化学兵器使用に対応しなければ、化学兵器が拡散してテロ組織などの手に渡る可能性もあるとして、米国として許容できない事態となると訴えた。

 その一方でオバマ氏は、軍事介入についての最終決断はまだだとも述べた。介入に向けた国連安全保障理事会での議論の行方などをにらみながら、慎重に決断のタイミングを計っているとみられる。

 オバマ氏はこのインタビューで、アサド政権が二度と化学兵器を使わないよう「非常に強いシグナル」を送ると述べた。(共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130829/amr13082912190005-n1.htm


 ミサイル攻撃に合わせて、B2ステルス爆撃機も運用し短期間で攻撃目的を達成する可能性が濃厚だ。しかし、米軍のシリア軍事介入は、イランや周辺諸国を巻き込んだ中東大紛争に発展することを私は危惧してる。

 化学兵器問題に関し、ロイター記者が米国務省に興味深い質問をしている。

「原爆投下も国際法違反か」シリア化学兵器使用で米国務省に質問飛ぶ
2013.8.29 12:24

 原爆投下も化学兵器使用と同じ国際法違反か-。米国務省の定例記者会見で28日、ロイター通信の記者がシリアの化学兵器使用疑惑をめぐり、米国による広島、長崎への原爆投下の例を挙げて軍事介入の正当性について追及した。

 米政府はアサド政権による化学兵器使用を断定。この日の会見でハーフ副報道官は国連安全保障理事会による武力行使容認決議なしに軍事介入することを念頭に、多数の市民を無差別に殺害したことが一般的に国際法違反に当たると強調した。

 これに対してロイターの記者は「米国が核兵器を使用し、広島、長崎で大量の市民を無差別に殺害したことは、あなたの言う同じ国際法への違反だったのか」と質問。ハーフ氏はコメントを避けた。(共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130829/amr13082912260006-n1.htm
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