陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

遂にカダフィ独裁体制が崩壊

2011-08-25 22:36:01 | 中東問題
 今年2月から、反体制派との戦いを続けて来たリビアの独裁者、カダフィ大佐(69)は、NATOの空爆支援と米国の情報提供を受けた反体制派によって追い詰められ、首都トリポリにある同大佐の大邸宅から脱出した。反体制派は、多額の懸賞金を掛けて、カダフィ大佐の行方を追っている。

 現在、大佐の子息を含む家族の行方も不明である。邸宅近傍には、大規模な地下居住区があるとの事、さながらモグラを追うように英国特殊部隊が反体制派に協力して捜索するらしい。

 1969年のクーデターで実権を握ってから何と42年、世界で最長期間の政権維持者も、遂にその命運が尽きたようだ。AFP電によれば

カダフィ大佐「徒歩で撤退した」、身柄拘束に懸賞金1億円超

【8月25日 AFP】リビア反体制派の「国民評議会(Transitional National Council、TNC)」は24日、行方をくらましている最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の身柄拘束に、生死を問わず200万リビア・ディナール(約1億3000万円)の懸賞金をかけたと発表した。

 TNCのムスタファ・アブドルジャリル(Mustafa Abdel Jalil)議長によると、懸賞金は実業家が出す。また、カダフィ大佐を殺害または拘束すれば、大佐の側近であっても恩赦を与えると述べている。

■カダフィ派反撃、外交面では進展も

 首都トリポリ(Tripoli)では同日、23日に反体制派が制圧したバブ・アジジヤ(Bab al-Aziziyah)地区にあるカダフィ大佐の邸宅でカダフィ派の反撃が始まり、激しい戦闘となった。周辺にはカダフィ派の狙撃手が何人も潜んでおり、通りは閑散としている。しかし、反体制派の軍事部門スポークスマンは、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラ(Al-Jazeera)に対し「われわれはリビア国土の90~95%を掌握した」と主張した。

 多くの外国人記者が拠点としている市内のリクソス・ホテル(Rixos Hotel)では、カダフィ派に事実上監禁されていた外国人記者らが解放された。一方、市内でフランス人記者2人が負傷したとの情報があるほか、リビア国内でイタリア人記者4人が誘拐されたとの報道もある。

 米国防総省は、リビア国内にある化学兵器などの大量破壊兵器について「安全」だと発表。ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)報道官は「TNCに信頼を置いている」と述べ、TNCがトリポリ制圧後に新政権を樹立することに自信を示した。また、カダフィ大佐を熱心に支持していたチャドとブルキナファソがTNCをリビア唯一の代表と認め、反体制派は外交上でも大きな強みを握った。

■カダフィ大佐、堂々と逃亡か?

 反体制派は23日、邸宅内にカダフィ大佐の姿はなかったと発表、大佐と家族の居場所は謎のままとなっている。

 そうした中、カダフィ大佐は24日、次男セイフイスラム(Seif al-Islam Kadhafi)氏が運営するテレビ局のウェブサイトで、「(邸宅から)戦略的な撤退をした」とのメッセージを公開。続いて、シリアのテレビ局を通じて音声メッセージも流し、「身分を隠して街中に徒歩で出たが、わたしを見とがめる者はいなかった」「若者たちがトリポリを(反体制派から)守る準備を進めていた」などと述べた。
(c)AFP/Marc Bastian and Dominique Soguel
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2822020/7669049


 カダフィ政権の後継は、イスラム原理主義政権が登場するのであろうか。世界有数の産油国であるリビアは、多民族国家であり、部族間抗争も激しい。国家としてまとまれば、再建後はアフリカの中でも豊かな国として発展出来る。

 今年2月以前の石油生産レベルに戻るには、約3年を要すると中東専門家の佐々木良昭氏は予測する。欧米は、空爆費用の膨大な対価を新リビア政府に要求するであろうし、前途は多難である。シナ・中共は、石油掘削事業で3万人!を派遣(騒動が起きてから全員撤収した)、膨大な投資を行っていたが、上手く回収出来るのであろうか。

 だが、イスラム原理主義を標榜する新政権が出来ると、イスラエルには手強い国家が現れることになり、カダフィ追い出しに協力した欧米諸国も新たな紛争を覚悟しなければならないだろう。
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