陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

イラン核協議の行方

2015-03-25 17:43:03 | 中東問題
 イランが核開発を実行中であることを理由とし、米欧が中心となって現在もイランへの経済制裁が行われている。しかし、イラン大統領が交代したことで、オバマ政権は欧州主要国と共にイラン核協議を行ってきた。数年に亘るマラソン協議だが、今年3月下旬が協議のリミットになっている。

 ウクライナ問題では、米国と独・仏の意見は分かれているように思う。加えて、米国の反対にもかかわらず、シナ・中共の画策するアジア・インフラ銀行(AIIB)へ英・独・仏がこぞって参加の意思表示をするなど、米国の国際政経への主導性に益々陰りが見えている。

 しかし、上記対イラン政策では、米欧が一枚岩であることを何とか確認した。


イランは「難しい決断」を=核協議で結束確認―米英仏独外相
2015年3月22日(日)07:05 時事通信

 【ロンドン時事】米英仏独4カ国の外相が21日、大詰めを迎えているイラン核問題をめぐる主要6カ国とイランの協議での成果と今後の方針を話し合うため、ロンドンで会談した。会談後の共同声明は「特にイランにとって難しい決断を下す時が来た」として、妥結に向けイランに改めて譲歩を求めた。

 声明はケリー米国務長官のほか、英国のハモンド、フランスのファビウス、ドイツのシュタインマイヤー各外相の連名で、これまでの成果について「カギとなる分野で実質的進展があったが、重要な問題でなお合意できない部分がある」と総括。「われわれは好結果を確実に得るため、一致した目標の下で協調を続ける」と、今後も結束してイランとの協議に当たる方針を確認した。

 6カ国とイランは今月末までの「政治的枠組み合意」取りまとめを目指している。スイス西部ローザンヌで15日から行われていた協議は20日にいったん中断されたが、数日中に再開される。

http://news.goo.ne.jp/article/jiji/world/jiji-150322X036.html

 主要6カ国の内、ロシアはウクライナ問題で米欧と対立しているから、別の意見を持っているはず。当事国イランは、この協議に関しては「核問題」に限定すべきと釘を刺している。


イラン最高指導者が米非難=協議するのは「核問題だけ」
2015/03/22-00:36 時事通信

 イランの最高指導者ハメネイ師は21日の演説で、米国が経済的な圧力を通じて、イラン国民をイスラム体制に敵対させようと試みていると非難した。核問題をめぐる米国など主要6カ国との交渉で「政治的枠組み合意」の期限が今月末に迫る中、強硬姿勢を改めて示した形だ。ロイター通信が報じた。

 ハメネイ師は北東部マシャドでの演説で、イラン経済に打撃を与えている最近の原油価格下落について、西側主要国を指す「思い上がった勢力」が背後にいると主張した。核協議に関しても、米国と話し合うのは「核問題だけだ」と述べ、イラクやシリアなど地域の安全保障問題をめぐる対米交渉の意思はないことを明確にした。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201503/2015032200006&rel=m&g=int


 オバマ政権は、核兵器不拡散の立場からイランによるウラン低濃度濃縮を容認しようとしている。ところが、イスラエルはイランを全く信用していない。今月初め、イスラエルのネタニヤフ首相は、共和党有力議員の招聘に応じ、米国議会でオバマ政権が進めるイランとの核交渉に関し大反対の演説を行った。オバマ大統領は、この演説会議場に姿を見せず、しかも同首相との会談も行われなかった。

 米国の国際金融・政治に大きな影響力を持つ在米アシュケナージ系ユダヤ人とイスラエルに在住するシオニスト系ユダヤ人の意見が割れているようだ。第二期オバマ政権になってからは、事あるごとに米国とイスラエル間の不仲が顕在化している。

 イラン核協議は、我が国に直接影響が無いように思われるが、それに不満を持ってイスラエルが単独実力行使に出ると、ホルムズ海峡封鎖などで大変な事態に巻き込まれることを念頭に置く必要がある。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「スパイ防止法」の早急な制... | トップ | ジャーマンウィングス952... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

中東問題」カテゴリの最新記事